一般質問(1999年9月定例県議会)
県議会で初めての質問をしました。市議会との違いを報告します。
市議会では、開会日1週間ぐらい前、決められた日までに質問を通告すると、その内容に関係する職員が連日押しかけてきて、質問内容について、細々と聞かれます。(ヒアリングといいます)。県議会では通告は代表質問の前日ということもあって、通告する1カ月ぐらい前から議会担当主管がやってきて、何くれとなく質問する議員の面倒を見ることになります。どんな質問をしようと考えているのか議員から聞いて、担当職員を呼び集め、勉強会を催します。わたしは、面倒を見てもらって質問を作る気はさらさらないので、勉強会はいらないといったん断ったのですが、まあ初めてのことでもあり、とりあえず、すべて経験だと思い直して、勉強会をやってもらうことにしました。結果的には質問の2倍ほどの項目の勉強会をやったことになり、良かったと思っています。
わたしの質問担当主管は商工労働委員会の鈴木主管で、所属は厚生課です。大変愛嬌のある人で、自分が質問するかのように心配し、原稿のチエックなどを(頼まれもしないのに)やってくれました。必要以上に議員の面倒を見る仕事を議会担当主管はしているんだなと感じました。
保守系の議員のなかには質問の文章を職員に書いてもらうひともいるらしいということは、市議会の時も聞いていましたが、県議会でも同様ということを感じました。
県議会での初質問の内容は次のとおり。
1、情報公開について、
2、介護保険について、
3、痴呆性高齢者等の人権擁護システムについて、
4、障害児保育、
5、障害のある人の生活、一時保護制度について、
6、ドメスティックバイオレンスについて、
7、犯罪被害者支援について、
8、遺伝子組み換え食品について、
9、三番瀬について
かつて県議会で取り上げられたことのない新しいテーマ、3、5、6、7について質問内容と執行部の答弁を報告します。
痴呆性高齢者等権利擁護システム
介護保険は従来の措置制度ではなく契約によって、自分に必要な福祉サービスを手に入れる仕組みとなっており、サービスを選択することが前提になります。しかし、だんだん意志能力の衰える高齢者が契約行為を行うことを考えると、契約行為にたいするサポートが重要になってきます。ヨーロッパの世話法にあたる、成年後見制度が日本でも来年4月スタートする予定ですが、その制度を利用するには至らない軽い痴呆性の高齢者、知的障害者が、地域の中でできるだけ自立した生活を続けられるように、日常的な金銭管理、虐待からの見守り、などを主目的にこの10月1日から、痴呆性高齢者等権利擁護システムがスタートしました。千葉県では、愛称“すまいる”となり、千葉市、松戸市、柏市の三社協が近隣市町も担当区域とする基幹的広域後見支援センター、それ以外の地域については千葉県社協が後見支援センターとなりました。
同様の事業は東京都、大阪府、大阪市、品川区などではすでに数年前からスタートしており、千葉でのスタートが待たれていたものです。
4つの支援センターに2人ずつの専門員と県内社協に所属する250人の生活支援員でスタートすることとなりましたが、広い千葉県では、少なくとも8つの福祉圏ごとにセンターが必要です。調査訪問を行う専門員が県全体で8人、特に県がカバーする地域に対して2人というのはあまりに少なすぎると思います。以下質問しました。
1、今後、支援センターの増設、県の支援センターの専門員の増員を図るべきと思いますがどうか
また、痴呆の程度がひどく、契約行為ができない場合や、意志能力の衰えによって契約の継続がむづかしい場合は成年後見制度の対象となります。
2、この制度から成年後見制度へのつなぎがスムースに行われることが重要ですがその具体的な流れはどうなっているのか
3、虐待防止については他県では独立した仕組みを準備している例もある。千葉県のシステムでは虐待防止、見守りはどのように行われるのか。また、市町村社協への聞き取りではではこの点について、十分認識されていないような感じを受けました。その点について、見解を求める。
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レスパイトサービスについて
重度の障害児を育てている家庭や障害のあるひとを24時間介護をしている家庭にあってはその家族の負担は大変なものがあります。しかし、一昔前と変わり、施設入所のみを解決策とするのでなく、生活の質を大切にするということで、可能な限り地域のなかで、暮らして行きたいと願う障害者とその家族が増えています。そういうひとたちにとってレスパイトサービスの充実は欠かすことができません。レスパイトサービスは24時間介護に当たる家族が一時、介護から離れて休息し、リフレッシュした心で引き続き介護に立ち向かうことを応援するサービスです。障害のある当人にとっても家族以外の人との出会いの経験が得られ社会性の確保と言う点でも有用と言われています。県の障害者施策新長期計画においても、ショートステイ事業の拡充として、その必要性が謳われ、各市町村の障害者プランにおいてもレスパイトを取り上げているところが増えています。しかし、なかなか進んでいない現状があります。福祉や医療施設のショートステイ事業は診断書を求められる場合があったり、福祉事務所や児童相談所の窓口が空いていない土日祭日は対応が難しい、日帰りの利用ができないなど使いづらい面があります。
現在千葉県では柏のばおばぶ、習志野のロンの家、市川のオリーブの家など先進的に取り組む小規模の民間施設が利用者の立場に立った小回りのきく受け入れを行い、これらのニーズに答えております。そして、そこを利用する人達からの声によって、各市町村でも助成制度が整いつつあります。いわゆる、障害児者一時介護委託料助成制度です。柏、我孫子、流山、習志野、鎌ヶ谷、市川、船橋、松戸、浦安、野田、沼南町、白井町で実施されるようになりました。しかし、県全体からみると一部の市町村に限られており、民間レスパイトサービスが各地で利用でき、そして、それに対する助成制度がどこにでもあるという状態が望ましいと思います。公的施設のショートステイはかつての緊急一時保護事業に比べ、使いやすいものになったとは聞いておりますがその足りない部分を確実にフォローしているこの事業について調査したうえ、これらの民間の事業あるいは利用者を助成していくことが必要。 埼玉県では今年から、障害児者サポート事業として、レスパイトへの助成を県事業としてはじめました。行政がすべてを行うのでなく多様化するニーズに迅速柔軟なサービスを提供するとしています。この事業を行う団体に先に述べた3団体のような市民活動団体を含めていることが画期的です。しかも、この事業はレスパイトだけでなく、送迎、介護人派遣、外出援助にもつかえ、その組み合わせによって、個々の生活にあった利用ができるとしています。以下質問しました。
1、ショートステイ事業の現状と利用実績について伺う。
2、民間団体が行っている障害児・者を一時的にあずかり、介護するレスパイト事業に対して、助成を考えるべきだがどうか。
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ドメスティックバイオレンスについて
相手に暴力をふるって身体的精神的被害を与えることは当然犯罪行為であり、容認することはできないことは社会的通念ですが、女性にたいする夫やパートナーからの暴力については、ややもすると人権の問題としてではなく、個人的な家庭内の問題、プライバシーの範疇に入る問題であるとする社会認識が多かった事は否定できないと思います。こうした暴力をドメスティックバイオレンス略してD,V,と表現することが増えています。D,Vは犯罪であり、女性の人権を踏みにじるものです。D,Vのある家庭では子供への暴力も多いといわれ、そのような環境で成長する子どもへの影響を考えると、この問題が単に個人的あるいは家庭内の問題として、放置されてはならないことはあきらかです。暴力には殴る蹴るといった身体的なものから、だれに食わせてもらってるんだなどの言葉によるもの、生活費を渡さないなど経済的な暴力、自分の留守中の生活についても監視するもの、夫婦間レイプ的な性的暴力なども含まれ、力のあるものが弱いものを抑圧する構造そのものと言えます。しかし、さきにのべたように日本社会ではそのことへの社会的認識がなかなか進まない現状にあります。その原因としては、日本が売買春を容認する傾向の高い社会であったこと、女性に対する暴力を容認しやすい社会であったことと今年、5月男女共同参画審議会から総理大臣へ答申された「女性に対する暴力のない社会を目指して」という報告のなかにのべられています。
この間、国連では93年「女性に対する暴力撤廃宣言」を採択、95年には北京行動綱領を採択、各国に被害女性の補償と、身体経済的ケア、加害男性の処罰、暴力防止のための立法措置を求めたところです。各国で、D,Vの調査研究、防止法の制定が進んできました。昨年東京都が女性に対する暴力の実態調査の結果を公表し、暴力の経験者が3分の1、立ち上がれなくなるほどのひどい暴力体験者が1パーセントというその実態と内容の深刻さは多くの市民に驚きをあたえました。千葉県でも女性センター相談室に平成10年度で、171件のDVに関する相談が寄せられたと言うことです。DVに対する対策は全国的にもまだ緒に就いたばかりですが、千葉県の積極的な対応を望み、以下質問しました。
1、県としてドメスティックバオイオレンスに関しその実態を調査し、次期女性行動計画へもその対策を位置付けてほしいがどうか。
2、相談受付機関と、一時保護機関、その他の各機関との連携の現状はどうか
3、婦人相談所において、近年一時保護の状況はどうなっているのか
4、シェルターなどを運営している民間団体との連携が大切。まずそれらに対する 調査が必要だが、見解を。
犯罪被害者対策について
60年代から70年代にかけて、世界では犯罪被害者の経済的救済制度が整備されました。我が国でも昭和55年(1980年)に、犯罪被害者等給付金支給法が施行されました。85年には国連総会で「犯罪及び権力乱用の被害者のための司法の基本原則に関する宣言」が採択され、欧米では、被害者がその犯罪から受ける1時的被害だけでなく、刑事、司法機関等の配慮にかけた処遇によって、被害をさらに深いものにする第2次被害、さらには、被害者に適切な対応がされなかったために被害者が自分を責めるような心理状況に落ち込み、回復ができなくなる第3次被害などにも対策されるべきという考えが主流になりました。民間支援組織を中心に精神的ケア、実質的支援、刑事司法手続きにおける被害者の地位の確立などが急速に展開されてきました。犯罪被害者への情報提供や裁判への優先的出席などがなされるケースも増えてきました。
欧米にくらべて20年ほど遅れているといわれてきた日本でもやっと平成にはいってから、警察を中心に犯罪被害者への支援と活動が次々と展開されてきました。一般には交通事故死した片山しゅん君の事故、少年犯罪の被害者の人権の問題などをきっかけに犯罪被害者の心的外傷、PTSDなどの問題がとりあげられるようになってきました。9月8日、埼玉県嵐山町議会は犯罪被害に遭った町民に支援金を支給したり、心のケアをする『犯罪被害者等支援条例』が制定されました。
またずっと言われ続けてきたように、性犯罪、強姦などが被害者の心にいかに大きな傷を残すかまた、捜査や裁判の過程で第2次被害をうけやすいものであるかということが多くの人が認識するところとなりました。
松本サリン事件や、通り魔事件などにおけるマスコミ報道の問題性も被害者の人権と言う観点から何らかの規制が必要と言う声も大きくなっています。
千葉県警察ではこの9月に犯罪被害者対策室を発足、4月にはアクトというカウンセリングチームを全国に先駆けて立ち上げた点は評価できます。各警察署にも1人の女性担当官をおいたり、警察署毎に支援連絡協議会を設立したとのことでその効果に期待したいと思います。そこで
1)まず、被害者への情報提供について、ケースバイケースであろうとは思うが現在犯罪被害者は捜査情報、裁判情報、判決後処遇の情報、出所情報などを知ることができているの2)犯罪被害者等給付制度の利用、運用状況について
3)犯罪被害者対策室を含め、被害者が受けられる支援についてどのように当人や遺族に知らせているのか
4)性犯罪、ドメスティックバイオレンス,児童虐待に対してどのように対処するのか、また、犯罪加害者への再犯防止対策、教育について質問しました。
答弁には見るべきものがなく、人権の問題に対する千葉県の遅れた感覚を感じました。しかし、勉強会の中で何人かの熱心な担当職員と出会ったことで、今後いろんな機会に話し合いをしながら、すこしづつ人権先進県千葉に近づけて行ける可能性も感じました。
商工労働委員会では
1、ホームレス対策
2、恩寵園のその後
について、質問しました。
ホームレス対策はこのところやっと国が首都圏の都市、厚生省、通産省、警察庁などと連絡会議を立ち上げ、実態の調査に入りました。もちろん大阪や、東京、横浜、川崎などでは以前から調査は毎年行われてきましたが、この9、10月の調査では千葉市でも113人ほどが福祉事務所の黙視調査で確認されています。
一旦ホームレスになってしまうと、就職や福祉制度適用が難しいことから、ホームレスになる前の対策が重要です。渋谷区で、ホームレスの問題に取り組んでいる、野地連というNPOの報告では最近若年層のホームレスが増えているそうです。千葉市でもなんとかこれに取り組むNPOができないかと考えています。ニューヨークのホームレスウーマンについて参与調査と言う手法で書かれたドキュメントを読みましたが、ほんとに自分がホームレスにならないでいるのは偶然にすぎないと思いました。ホームレスは文字通り住むところのない人達のことですから、スウエーデンのように権利として住宅が供給される社会ではホームレスはないと言うことになります。
関心のあるかたは資料などご請求ください。
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