■銚子電鉄・潮風のたどり着く場所篇■

2002年11月4日(月)

海が見たい。

港町・横浜に住む筆者がこんな事を言うと不思議に聞こえるかもしれませんが
閉鎖的な湾ではなく、青い空と紺碧の海の交わる水平線を静かに眺めてみたい。
そんな気持ちで5年ぶりに本州の最東端・銚子に向かいました。


道標
−みちしるべ−

駅名 発着時間 便名 列車
番号
コメント
横浜駅 09:38 横須賀線 854S データイムグリーン料金回数券を使って贅沢に出発です。
千葉駅 10:49 同上 同上 グリーン車2階席からの展望はいいですね。^^)
千葉駅 11:07 成田線 443M おちゃけを買い、横須賀線の隣のホームの113系ちゃんに乗り換えます。
銚子駅 13:02 同上 同上 横浜を出てはや4時間弱。さすがに疲れました。^^;;)
銚子駅 13:04 銚子電鉄 下り JR銚子駅ホームの奥に銚子電鉄の駅舎があります。
観音駅 13:08 銚子電鉄 そろそろお腹が空いてきましたので、おやつの時間です。(笑)
観音駅 13:42 銚子電鉄 鯛焼きとたこやきを食べ、再び列車に乗ります。
外川駅 13:57 銚子電鉄 下り まずは終点まで目指します。
外川駅 14:01 銚子電鉄 上り 写真撮影を済ませ、今来た列車に戻ります。
犬吠駅 14:03 銚子電鉄 海を目指して犬吠駅で途中下車します。
犬吠駅 16:06 銚子電鉄 お寿司とビールで満腹満足!銚子方面に戻りましょう。
仲ノ町駅 16:21 銚子電鉄 小さな電気機関車・デキ3ちゃん達のいる車両基地を見学したくて再び途中下車です。^^)
仲ノ町駅 16:46 銚子電鉄 雨で肌寒くなってきました。待合室で備え付けのマンガを読んで次の列車を待ちます。
銚子駅 16:48 銚子電鉄 銚子電鉄ちゃんともいよいよお別れです。またね。^^)
銚子駅 17:10 JR成田線 468M この後、横浜駅に辿り着くまで数時間を要したのですが割愛します。^^;;)

【 113系ちゃんです。 】 【 113系ちゃんと特急しおさいちゃんです。】
かつて横須賀線でも見かけた113系ちゃんです。
(成田線銚子行き443M・千葉駅にて)
遂に銚子駅までやって来ました。
(443Mちゃんと特急しおさいちゃん)


乗る

  1. 銚子電鉄ちゃん

    銚子駅〜外川駅間、約6.4kmを結ぶ私鉄です。

    大正12年7月5日(1923年)に銚子鉄道株式会社として開業、1960年に京成電鉄の傘下に入り、1990年からは内野屋工務店に
    経営母体が移ったものの、1998年6月5日(平成10年)に親会社が倒産。その後は千葉県、銚子市双方からの資金援助を受けつつ
    濡れ煎餅などの副業で赤字を補填しながら地元住民、観光客の貴重な交通手段としてたゆまぬ努力を続けています。

    決して、運行を止める事はいたしません。

    そんな健気でひたむきな決意を胸に秘めた銚子電鉄ちゃんを抱きしめたい衝動を憶えずにはいられない今日この頃です。
    さっそく元・営団地下鉄銀座線の車両・デハ1002系(昭和35年生まれ・平成6年に移籍)に乗って海を目指す事にします。^^)

    【 気分は南国です。 】 【 デハ1002ちゃんです。】 【 出発進行!】
    JR銚子駅成田線ホーム奥に
    銚子電鉄駅舎があります。
    1両編成のかわいい電車です。 それでは
    海に向けて出発です。

  2. 観音駅(銚子電鉄)

    銚子駅で停車中、車内で、弧廻手形(こまわりてがた・\620-)を買い乗り込んだものの、朝から何も食べておらずお腹が空いたので
    観音駅で途中下車。実は観音駅の売店は、多分全国初の鉄道会社直営の鯛焼き屋さんで1976年3月1日(昭和51年)に開業、現在に
    至ります。鯛焼きは、小豆とクリーム味の2種類(各\90-)、たこ焼きは4個入り(\170-)と8個入り、フライドポテトM(\100-)、L(\150-)など
    豊富な品揃えです。今回筆者は鯛焼き(小豆)とたこやき4個入りを頂きましたが、慌てて頬張り、うぐぅ〜とノドを詰まらせたらしいです。(笑)

    【 鯛焼きだよっ。うぐぅ〜だよっ。 】 【 坂東二十七番観音霊場飯沼山圓福寺本坊・大師堂・納経所だそうです。(長い) 】 【 次の電車に乗るまで駆け足で参拝です。 】 【 ベンチに座っているのが、ひなた です。(ウソ) 】
    今回の目的地の1つ観音駅です。^^;;) 圓福寺大師堂です。 駆け足で飯沼観音本堂を参拝します。 次の列車で
    先に行きましょう。

  3. 外川駅(銚子電鉄)

    おやつを食べ休憩も終え、再び列車へ。今度は元・伊予鉄道のデハ801系ちゃん(旧・モハ104)がホームに滑り込んできました。
    車内に入ると、昭和25年製だけあって床は板張り、天井にはカバーで覆われた扇風機と積年の風格を感じさせます。

    【 銚子電鉄で最初の戦後製造の車両だそうです。 】 【 三連休最終日なので、さほど混雑していません。 】 【 企業努力ですね。 】 【 全線制覇完了。 】
    801系ちゃんの運転台です。 コトコトと
    のんびり進みます。
    不要な蛍光灯を外し(写真上部)
    スピーカーはカーステレオの廃品利用です。
    まずは乗り潰しを完了させました。
    (外川駅にて・笑)

    運行の妨げにならぬ様、進行方向と反対側の運転席を撮影し、座席に戻ろうと、ふと天井に視線を向けるとカーステレオメーカーのロゴ
    が付いた小さなスピーカーを発見。どうやら自家用車用の物の廃品を有効活用しているみたいです。
    また蛍光灯もお客さんのいない箇所は取り外し、必要最小限の照明に留める等のやりくり上手な企業努力には溜飲を下げるばかりです。

    【 澪つくしのロケ地だったそうです。 】 【 タイムスリップした錯覚をしてしまいます。 】 【 黒板の時刻表とは学校みたいですね。 】
    まるでドラマのセットみたいですね。^^;;) 駅舎内部も歴史を感じます。 時刻表も手書きです。

    観音駅から、およそ15分で終点・外川駅に到着。
    戦後のバラックさながらの駅舎は、NHKドラマ「澪つくし」(1984年放送)のロケ地として一躍有名になりました。
    犬吠駅〜外川駅(の一部)は、元々、銚子遊覧鉄道という大正初期にわずか4年の営業の後、廃止・売却された路線を
    銚子鉄道会社(銚子電鉄の前身)が購入し、流用している経緯もあって創業当時の面影を色濃く残している模様です。

  4. 犬吠駅(銚子電鉄)

    外川駅から一駅戻って犬吠駅で途中下車。駅構内の売店で弧廻手形のおまけ(クーポン券)で無料で貰った、ぬれ煎餅1枚(\90相当-)
    を頬張りながら、今回のお目当ての水平線を目指し、てくてくと歩きます。

    【 本日のメインイベント犬吠崎です。 】 【 銚子電鉄最大の駅舎を誇ります。 】
    外川駅から折り返したデハ801系ともお別れです。 南国ムード満点の犬吠駅です。

    歩道のほとんど無い車道を渡り、髪を力強く撫でる潮風を感じると辺り一面真っ青な風景が視界に飛び込んできます。
    風が強いためか、磯の香りは薄れていますが、すーっと胸に空気を吸い込んで、目を閉じると昨日まで鬱ぎ込んでいた気持ちが
    ほんの少しだけ軽くなったみたいです。行く手に眼を向けると白い灯台が聳えているので、更に一歩踏み出してみる事にします。

    【 大海原です。 】 【 向こうに灯台が見えます。 】
    どこまでもどこまでも空と海が続きます。 灯台を目指して歩き続けましょう。

    駐車場、売店、旅館が近づくに連れ少しずつ観光地らしい賑わいを見せ、やっと灯台の麓に辿り着きました。
    敷地内の塀に掲げられた看板を見ると「海上保安庁第三管区海上保安本部犬吠崎航路標識事務所」と記されており
    内部の見学を諦めかけた所、入口の詰所で一般公開している旨の告知を発見し、入場料\150-を払い頂上を目指します。

    【 喜びも悲しみ幾年月ですかね。 】 【 中に入ってみましょう。 】 【 君ヶ浜方面を望みます。 】 【 怖かったです。^^;;) 】
    残念ながら
    無人化された
    みたいです。
    現在は一般に公開され見学できます。 眺めは素晴らしいのですが少し怖かったです。
    (君ヶ浜方面)
    手すりに背をもたげながらの撮影です。

    灯台内部はエレベータが無い為、99段の細い螺旋状の階段をくるくる昇ると頂上ですが、非常に幅の細い足場に、簡単な手すり
    足下は子供達が元気良くパタパタとかけっこをしており、カメラを持つ手を振るわせながら撮影したのが上の写真です。(笑)
    冷たい風の中、君ヶ浜方面(北)、長崎海水浴場方面(南)と360度の展望を堪能したので、再び地上に向けて退散です。^^;;)

    【 老人と海の世界のようです。 】 【 満潮の時間に差し掛かったみたいです。 】
    打ち寄せては返す波をぼーっと見つめています。 遊歩道を暫く散策してみました。

    地上に戻ると崖の下に続く、遊歩道があるので波打ち際まで降り、潮騒に耳を傾け、暫くの間、ぼーっと蒼一色の世界を眺めていたら
    お腹が空いてきました。どうやら私には詩人の才能は無いので(笑)島武水産さんで海の幸を堪能して再び駅に戻る事にします。

    【 なんと車内に自転車を持ち込めるんです。 】
    自転車持ち込み可です。

    犬吠駅に戻った途端に暗雲がたちこめ、雨粒がぽたぽたと落ち始めたので慌てて駅舎に駆け込むとサイクリング中のご夫婦も雨宿り
    この後どうするのかな?と思っていたら、なんと自転車を列車の中に持ち込んでいます。

    「自転車一台につき、乗車券大人一枚分を買うと持ち込めるんですよ。」

    なるほどと思いつつ、本日最後の目的地・仲ノ町駅で、途中下車します。

  5. 仲ノ町駅(銚子電鉄)

    仲ノ町駅に降り立つと、近くにヤマサ醤油の工場がある為、醤油の匂いが立ち込めています。
    周囲が工場に囲まれているこの駅の敷地内には銚子電鉄の車両基地があり、駅の入場券(大人\150-)を買うと見学ができるんです。
    08:00〜16:00の時間帯なら整備員さんが説明してくれるそうですが、帰った後なので、一人で車両基地を見る事にします。

    ゆう「(ホームから)線路に降りて(車両基地に)渡っていいんですか?」
    駅員さん「いいよ。」

    一歩ずつ車両に近づくに連れ、血圧 胸の高鳴りを抑える事ができません。

    【 仲ノ町駅舎です。 】 【 銚子電鉄の車両基地です。 】 【 近江鉄道の車両に再開しようとは。 】 【 バリエーション豊かな車両基地ですね。 】
    辺り一面に醤油の匂いが。(仲ノ町駅舎) 銚子電鉄歴代の車両が勢揃いです。 デハ702ちゃんです。
    (元・近江鉄道
    元・鶴見臨海鉄道の
    デハ301ちゃんです。
    (現・JR鶴見線)

    まず最初に出会ったのは、デハ702系ちゃん。元々、近江鉄道の電動貨車デュワ101、102ちゃんを昭和16年に電車(モハ51、52)に改造
    更に昭和61年に今は無き西武鉄道所沢工場で(再)改造し、銚子電鉄ちゃんに移籍してきました。
    続いては、お隣のデハ301ちゃんですが、昭和5年に新潟鉄工所で製造され、旧・鶴見臨海鉄道(現・JR鶴見線)にモハ115として就役。
    その後、昭和26年(1951年)に銚子電鉄ちゃんに移籍してきました。さすがに現在は予備車両として、この車両基地で待機しています。
    JR(国鉄)鶴見線は、その後、クモハ12系ちゃんが就役したのですが1996年3月15日に引退した事を考えると、まさに長寿ですね。^^)

    【 JR大船工場にて撮影。 】
    おまけ画像・クモハ40ちゃん
    (クモハ12ちゃんもこんな姿です。あせ)
    (99年9月4日・JR大船工場にて)

    【 1922年ドイツ生まれのおばあちゃんです。 】 【 デハ1001ちゃんです。 】 【 まだ現役なのでしょうか? 】
    残念ながら幌を被っています。
    (デキ3)
    整備中なのか台車が無いです。
    (デハ1001)
    澪つくし号も健在です(??)

    そしてデハ301ちゃんよりも高齢なのが、青のビニールシートを被った小さな電気機関車・デキ3系ちゃんなのです。
    1922年ドイツ・アルゲマイネ社製のこの子は、母国を遠く離れ、日本へ単身赴任、宇部地方の炭坑で働いた後に
    昭和16年(1941年)に、ここ銚子電鉄ちゃんに着任、昭和59年(1984年)まで牽引車として活躍していました。
    今は、引退し静かに眠っていますが、なんと2002年生誕80歳を迎えるに当たり修理中との事です。^^)
    もしかしたら近いうちに皆さんの目の前で再び元気に とてとて とかわいく走る姿を見せてくれるかもしれませんね。^^)

    その他、本日、最初に筆者が乗車した車両のお兄ちゃんに当たるデハ1001系ちゃん、そしてトロッコ列車の「澪つくし号」(ユ101)ちゃんを
    見終えたら、雨脚が強くなってきたので、駅舎内の待合室に戻ります。

    銚子電鉄のほとんどの車両が戦前、戦時中に製造された古いものにもかかわらず、健気にがんばる姿を見て
    少しは見習わなきゃと心の中で静かにつぶやく筆者なのでした。また元気な姿であいましょう。


見る

  1. 犬吠崎灯台(犬吠駅)

    見学時間 08:30〜16:00(不定休)
    見学料 大人\150-/子供(小学生)\20-
    電話 0479-22-0244
    備考 荒天時、年末など不定期にお休みになります。


食べる

  1. 島武水産(犬吠駅・寿司/魚介料理)

    銚子電鉄・犬吠駅から内陸に向かって2〜3分程歩いた所にある魚介類専門のお店です。

    1階が回転すし、2階が魚介類料理のお店ですが、今回は1階に入ってみました。
    1皿(2カン)で\100-から\500-と比較的手頃な値段なのも嬉しいですが、なんといってもネタが大きくて新鮮なのが特徴です。
    また白身で脂の乗った深海魚”アブラボウズ”(\300-)などの銚子ならではの地魚も堪能できるのは興味深いです。
    少しだけ難を申し上げるとシャリの握り方が固すぎる点でしょうか。
    個人的にはお口に放り込むとお米がふわっとバラける握り方が理想的かと思います。
    店内には座敷もありますので、グループでわいわい楽しむのもいいかもしれませんね。

    【 犬吠では有名らしいですね。 】
    1Fが回転すし、2Fがお魚料理やさんです。

    店名島武水産
    住所 千葉県銚子市天王台10195-1
    営業時間 不明
    電話 0479-22-2862
    備考 第一、第二駐車場が有ります。

  2. 銚電の手焼きぬれ煎餅

    サクッ、ジワッとソフトな歯触りのお煎餅に生醤油の香りが漂う不思議なお味のお菓子です。
    実は銚子電鉄ちゃん自身が製造・販売を手がけており赤字経営の鉄道業務を救う切り札でもあります。
    犬吠駅/仲ノ町駅で製造販売しているほか、お土産やさんなどでも購入できます。
    銚子まで行けないけど食べてみたい方は、電話注文や銚子電鉄ちゃんのホームページから
    インターネット通販注文もできますので宜しければどうぞ。

    法人名銚子電気鉄道株式会社 直営製造販売所
    住所 千葉県銚子市新生町二の二九七
    電話 0479-20-1737 (Fax 1738)
    備考 インターネットでも通信販売の申し込みが出来ます。

  3. 栗おこわ幕の内弁当(千葉駅)

    詳しくは、駅弁(関東地区)をご覧下さいね。


呑む

  1. 梨のお酒(JR千葉駅構内)

    詳しくは、おちゃけ(その他のおちゃけ)コーナーをご覧下さいね。


参考文献
銚子電鉄ホームページ名物!たびてつ友の会(4) 会報29

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