●釧網本線
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道東に来れば必ず乗車する釧網線。したがって、乗るのが当たり前になりすぎてしまっている。車窓からみる釧路湿原と、流氷はこの線の2大風景だと思う。特に、列車から見える流氷はここでしか味わえない(暖冬続きで最近は見えないとの情報もあるが)。この路線の知床斜里より網走側の駅は、どこも無人駅になってしまったが、駅舎を喫茶店に改造して営業している。
釧路湿原側も、鶴の餌づけで有名になった茅沼駅をはじめ魅力的なところが多い。特に釧路湿原を横断する区間は、花咲線と匹敵するような殺意すら抱くような荒涼とした風景の中を突っ走る。やはり想い出に残っているのは急行「しれとこ」号だった。
1986年8月23日
17時50分、夕方の「標茶」駅を出発した列車は老朽気動車で、暗い車内は隙間風が入ってきて寒く、至る所で二重窓を閉めていた。エンジン音がウルサイのはまだいいが、細いレールの継ぎ目を渡る時のズシン・ズシンという脳天を突き破りそうな固い振動はどうにかならないのだろうか。コイルバネのせいもあるが、とても快適とは言いがたい。ただでさえ湿地帯の暗い風景、それが暮れようとしている。旅をしていれば出会いと別れがあるが、そんな感傷的な気持ちだった事もあり、人工の灯りの無い、暗い景色を眺めながら完全に凹んでしまっていた。それでも列車は止まる事なく、淡々と激震を繰り返しながら突っ走っていた。やがて真っ暗な車窓の前方に灯りが見えてきた。釧路の灯であった。「やっとまともな駅だ」乗客の誰かが言った。18時40分終点「釧路」着。
1988年3月4日
やがて列車は海岸に出る。吹雪の車窓に大雪原が広がる。車内放送で、車掌さんがこれが流氷だと言う。初めて見る流氷は雪原と変わらず面白味に欠けるが・・・。
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ブリザードの中を走る事もある(川湯) |
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湿原の中の駅は何処か寂しい(塘路駅) |
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単行気動車が多い |
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貨物列車も走っていた |
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釧路湿原をバックに走る貨物列車 |