◇年表を作る自分史を書くに当たって最も心がけねばならないことは、まず、全体の構想を練ることです。 何を書こうか、どのように書こうか。そのためには下記の三点に力をいれて下さい。
(1)年表を作る
(2)年表が出来たらテーマを決め、資料を出来るだけたくさん集める
(3)目次づくりに力をいれる
以上が終われば、構想はおのずからまとまり、本づくりは、70%は終わったといってもよいでしょう。
1.自分の年表を出来るだけ詳しくつくろう
◯簡単な履歴を書いてみよう
まったく初めての方で、なにをどう書いていいのか見当もつかないという方には、履歴書を念頭
においてまず履歴を書いてみることをお勧めします。
自分史の原型であり、これをふくらますことで自分史になります。
簡単な履歴を書くことによって
・生まれたときのこと
・幼年時代
・学生時代(自分の進むべき道を探っていた)
・社会人時代(結婚、会社、子供たちのこと)
と色々な思い出がわいてきます。自然と文章化出来るはずです。
この時代では思い出も多い、或いはこの項目には力をいれようと思えば、そこに重点を絞って書
けばいいわけです。
◯自分の年表をつくろう
自分の人生のアウトラインは確認しました。次に上記の簡単な履歴をまとめて集大成した年表を
作ってみます。
年表づくりも色々ありますが、それは好みの問題です。ただいえることは、自分の歩みと社会の
歴史とを重ね合わせみるといいと思います。私たちは他人とかかわり、家庭をつくり、地域の中
で生きています。地域は国と、国は世界とかかわりをもっています。その中で自分がどのように
生きてきたのかを考えると自分の位置づけがよく分かるものです。
そういった意味で私は身辺の出来事、国内の出来事、海外の出来事、当時の世相などを織り込ん
でつくりました。
2.年表を展開して文章に
年表をつくると、芋づる式に、過去の出来事が鮮やかに蘇ってきます。
年表づくりの過程で、はっきりしなかったことが分かってくるし、結果だけ分かっていたがその原
因もさぐりあてた、などということがあります。ひとつのことがはっきりしたら、芋づる式に、そ
の前後のことが蘇ったりすることもあります。
年表を作り始めると結構楽しくなり、書こうという気になり作業がはかどるものです。
また、年表からどうしても必要なものを年代順にひろっていき、文章化すればよいわけです。
いよいよ文章を書くわけですが、文章を書くのに、一般的に次のような順序が考えられます。
(1)テーマを決める | |
(2)テーマが決まったら、そのテーマに即した「材料を集める」 | |
(3)その材料をもとに「構想を練る」 | |
(4)構想が決まったら、いよいよ「書く」 | |
(5)書きあがったら、念入りに「推敲(すいこう)する」 |
1.テーマを決める
年表が出来たら、全体を書くか(私の歩んだ道等)、或いはある部分に絞って重点的に書くか(学生時代・人生観・趣味に関すること等) テーマを決めます。(テーマにしたい話題)
2.資料を出来るだけ沢山集める
テーマが決まったら、的を絞って、出来るだけ資料を沢山集めることが大切です。資料が沢山集まる
ほど充実したものが出来ます。従って資料集めに出来るだけ力をいれて下さい。
ただ資料集めは平素の心がけが肝要で、平素から資料を大事に保存するよう心がけて下さい。
・資料
日記やメモ、写真、戸籍謄本・抄本、住民票、不動産などの登録証、納税証明、各種チケット、パス ポート、履歴書、カルテ、免許証、家計簿、手紙、葉書類、テープ、卒業証書、通信簿、米穀通帳、 軍隊手帳、母子手帳、健康保険証、給与明細表、表彰状、免状、各資格証明書、引揚証明書、記念品、 レコード、年賀状、愛読書等々……。
思いつくまま書き記しましたが、このような資料を見ているだけで色々な思い出がわいてくるものです。
出来るだけたくさん集めることが充実した自分史につながるのです。
年表、家系図等。家系をたどるのも自分史を書くうえの大切な素材となります。
〇家系図をつくるには
a)戸籍謄本、除籍簿(亡くなった人の戸籍)、改正原戸籍を取り寄せる
本籍地に行かなくとも、使用目的を書き、返送郵送料を同封して、該当役所に郵送すれば入手できます。
七代までさかのぼることが可能です。
改正原戸籍とは、新憲法により戸籍法が従来の一族郎党記載より夫婦単位記載に切り替えられました
が、現在の戸籍謄本の元になるものをいいます。現在は夫婦・子供まで。
b)過去帳と位牌の調査
過去帳と位牌は、自家と菩提寺の両方にあるのが普通です。自家にない場合は、お寺を訪問して閲覧
させてもらいます。
過去帳とは寺に葬った人の法名、俗名、生没年月日などを記入した帳面。
c)墓碑の調査
過去帳で分からなかったことが分かることがあります。
d)分限帳
武家の場合、自家の仕えていた分限帳を見ると分かります。
e)宗門人別帳
江戸時代の戸籍の役割を果たしました。江戸時代にキリスト教を禁止する目的でつくったもの。
年表
家紋に対する認識もだんだん薄れてきましが、しかしよき伝統は大事にしたいものです。図書館で調べ るか、この種の本が結構沢山出版されています。
・地方地誌の研究
出身地に関係のある地方地誌の閲覧も重要です。
・昔の新聞を利用する
自分の生まれたときの新聞、子供の生まれたときの新聞等、節目節目の新聞を見ることによって
多くの書く材料を与えてくれます。殆どの新聞社はコピーセンターでコピーしてくれます。
テーマがきまり、資料も揃った。その資料をもとにどのように書くか。本の骨組みを考えます。
そのためには、「目次づくり」に力をいれよう。
目次をきちんと作ればあとは文章化するだけです。
目次を作る場合「見出し」に留意しよう。見出しは出来るだけ分かり易く、読む気を起こさせるよう
にしたい。 章などの大きなブロックの前にあるのが「大見出し」、さらにその中を分ける「中見出し」
「小見出し」があります。
目次が出来たらあとはどこから書いてもよい。書きやすい所から書けばよいわけです。
1.起承転結と5W1H
文章の組立方には「起承転結」「5W1H」という構成法があります。
文章を書くために昔からよくいわれている組み立て法です。
〇起承転結
起−事を説き起こす |
承−それを承けて説き起こす |
転−想を転じ、趣を変える |
結−全体をまとめて結ぶ |
いまは「結起承転」と結論を先にもってくる文章も多く見られます。
〇5W1H
Who | 誰が・何が | 主体 |
What | 何を | 客体 |
When | いつ | 時間 |
Where | どこで | 場所 |
Why | なぜ・どうして | 理由 |
How | どのように | 状態 |
○三角形記述法(因果的記述法)
新聞等で用いる 「結起承転」
文章を書くのに、一般的に次のようなことが考えられます。
(1)「である派」と「です、ます派」
この両方を混同しないほうがよい。
(2)文は短いほうが分かり易い
ひとつの文は短いほうが分かり易いし、すっきりする。一般に六十字前後まで、長くても
せいぜい七十五字までといわれています。
長い文章を書く癖のある人は「…が」「…から」「…ので」という言葉を切り捨てていくと、
独立した文章ができるはずです。
(3)一つの文の中に一つの事を書く
「一事一文の原則」といわれています。分かり易い文を書くには、一つの文の中には、出来る だけ一つのことを書くようにしたほうがよい。
(4)句読点の使い方に留意する
句読点の使い方で文がまるで違った意味になることが往々にあるので注意しよう。400字 詰めの原稿用紙の一行20字のあいだに一回くらいの句読点が欲しい。
よく出される例文
☆警官は、バイクに乗って逃げた犯人を追った。
☆警官はバイクに乗って、逃げた犯人を追った。
(5)段落をつける
原稿用紙一枚のうち、1〜2回の見当で改行があると読みやすく感じます。
次のような場合に段落をつければよいとされています。
☆時刻や場面が変わる
☆立場や観点が変わる
☆取り扱う対象が変わる
☆思考が次の段階に発展する
☆同じ段落が長くなりすぎて読みにくいとき
☆そのことを強調したいとき
(6)読み手の立場に立って書く、独りよがりの文章を書かない
(7)感情をおさえる
嬉しい、悲しいとストレートに書くより、その気持ちがにじみでるように書いた方が読者に 訴えるものです。「行間を読む」とよく言われますが、こういう気持ちで書くと文が本当に 生きてくるものです。
(8)「主語」と「述語」の関係をしっかりと
(9)かざった文章は実感がない
(10)曖昧な表現をしない。「らしい」「ようだ」という語は出来るだけ避けたい。
3.書き終えたら推敲(すいこう)しよう
書いた文章を正しく直し、表現に工夫を加えたりすることを推敲といいますが、書き終えたら何 度も読み直し「推敲」しよう。
推敲することによって「分かり易く、すっきりした文章」になります。
推敲に必要なことは読み手の身になって見ることです。
・漢字、仮名遣い、送り仮名は正しいだろうか
・句読点は正しくうってあるだろうか
・意味の分からないところはないだろうか
・表現のたりないところや、だらだらしたところはないだろうか
・文の流れからみて改行は適切だろうか
・文と文との続き具合はよいだろうか
・「です、ます」調、「である、だ」調に統一されているだろうか
・文字は正しく、読みやすく書けているだろうか
また、推敲する場合次のように心がけるとよい。
・一晩位時間をかけて読み直す
・自分で声を出して読んでみる
・家族や友人に読んでもらう
2.自分史の書き方