インターネットHP攻撃政党
HP掲示板発言者摘発・査問・粛清政党
(注)、日本共産党は、2001年6月のHP改定で、「しんぶん赤旗」記事掲載を1週間分だけにした。それ以前の記事は、以下(1)の記事を含め、すべて削除され、1記事50円の「有料化」検索方式にした。(1)の記事内容に基づいて、HP掲示板発言者にたいする一連の調査(査問)、粛清が行なわれ、現在も継続されている。21世紀Iにおいて、インターネットHP攻撃をしている政党は、世界中で中国共産党と日本共産党の2党だけである。この記事は日本共産党によるインターネット統制・粛清方針の歴史的証拠となる文書である。私のHPで、記事発表当初からリンクしていたが、共産党が削除したので『復刻版』として掲載する。『さざ波通信』側の反論文、私の分析も載せる。
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1、「しんぶん赤旗」記事 2000年10月20日(宮地による復刻版)
2、『さざ波通信』反論文 2000年10月20日
3、共産党HP「メール受付文」併載の『さざ波通信』攻撃文 2001年6月
4、インターネットHP攻撃政党、HP掲示板発言者摘発・査問・粛清政党(宮地作成)
(関連リンク)
秀樹 『「さざ波通信」投稿で除籍』調査(査問)→離党届不受理→除籍
(宮地・注)、日本共産党は、茶太字個所を、下記(3)「メール受付」文(2001年6月)で削除した。
さいきん、インターネットの「さざ波通信」と称するホームページを見た人から、「とても党員の意見とは思えない」「党としての見解を、きちんと公表する必要があるのではないか」などの意見が寄せられている。
この「さざ波通信」なるものは、「現役の日本共産党員によって運営」されていると称しているが、その実態は、日本共産党に敵対する立場に立つものである。今回の日本共産党大会についても、大会議案が発表される前から「決議案はほぼ間違いなく、この間の不破指導部の右傾化路線を全面的に正当化し、その路線のいっそうの推進をうたうものとなる」「すべての良心的党員が、悔いを残さぬよう全力をあげて不破指導部の路線に対する闘いを遂行することを心から訴え」る、とよびかけ、特別の欄までつくっている。
このようなホームページが、日本共産党への攻撃、内部からのかく乱を目的としたものであることは明らかである。日本共産党員がそこに意見を発表することは、たとえ善意からであっても、けっきょく彼らの党攻撃の目的に手を貸すことにならざるをえません。
なお、「さざ波通信」はホームページ開設当初から、ニセ「左翼」集団の一つ「日本革命的共産主義者同盟」の発行する新聞に、「多くの方々のアクセスと参加」をよびかける「投稿」をのせている。
2、『さざ波通信』反論文 2000年10月20日
(注)、これは『さざ波通信第16号』に再録された反論文である。
<再録>『しんぶん赤旗』による『さざ波通信』攻撃について
10月20日付『しんぶん赤旗』は、2面の下のほうの囲み記事で、われわれ『さざ波通信』について、次のようにはじめて正式の見解を掲載した。(『しんぶん赤旗』記事はこのHPで略)
以上が全文であるが、まずもって、私たちは、わが党の不破指導部に対して厳しい批判(攻撃?)をしているのはたしかであるが、共産党全体に対して攻撃をしたことはない。逆に私たちは、不破指導部による変質策動から、わが党を守ろうとしているのである。
さらに、末尾で思わせぶりに「ニセ「左翼」集団の一つ「日本革命的共産主義者同盟」の発行する新聞に、「多くの方々からのアクセスと参加」をよびかける「投稿」をのせている」などと書かれているが、これは読者を迷わす詐術である。ここで名指しされている新聞はおそらく『かけはし』のことを指していると思われるが、私たちは、そこに投稿などしていない。『かけはし』編集部が、インターネット上で発見した私たちのサイトのことを機関紙上で紹介する際に、誤って「投稿」として紹介したというのが事実である。実際、そこで紹介されている文章は、私たちのサイトのトップページにある文章そのままである。私たちは、『かけはし』紙上で、誤った紹介のされ方をしているのを知って、ただちに『かけはし』編集部にメールを出して抗議し、訂正を申し入れている。この申し入れは受け入れられ、後の号で訂正が出されている。
読者になにやら恐ろしげな印象だけを与えることを目的にした末尾のこの文章は、理屈や事実で持って争うとせず、恐怖心を掻き立てることで大衆から切り離そうとする卑劣な手法であり、まさに、支配層がこれまで共産党それ自身に対して繰り返し用いてきた手法とまったく同じであることを、ここで言い添えておく。
3、共産党HP「メール受付」併載の『さざ波通信』攻撃文 2001年6月
(宮地・注)、これは共産党HP『メール受付』文を、そのまま転載した。これは、見方によっては、共産党がわざわざ『さざ波通信』をHP検索で見てくださいと宣伝してくれているという逆説も成り立つほどの「共産党へのメール発信者向けキャンペーン」である。しかし、その本質は明白である。党員の掲示板意見発表禁止の脅迫文言、事実を歪曲したニセ「左翼」集団との関係文言を削除した。しかし、2000年10月20日の一日だけの「赤旗」記事にたいして、2001年6月からは、「メール受付」欄における恒常的な攻撃文掲載にヴァージョンアップさせた。しかし、2003年現在、『メールの取り扱いについて』で、その文言も削除した。
(メール) ご意見をお寄せください
いただいたEメールは貴重なご意見として、不破議長、志位委員長をはじめとする党指導部、国会議員団、赤旗編集局、政策委員会などの関係各部門に回付し、党活動、政策立案、国会質問などの議会活動、「しんぶん赤旗」編集などの参考にさせていただいている。
現在、いただくメールの数が大変多く、お返事を差し上げることが遅れがちになっており、お詫びする。いただいたEメールは、日本共産党の担当部門から返事や説明をすることがあるが、その方法はかならずしもEメールでなく電話やファックスで対応することもありる。また、調査・検討のため一定の時間がかかることもある。ご理解とご協力をお願いする。
Eメールは、「しんぶん赤旗」に転載させていただくことがある。その場合は、匿名扱いとさせていただきるのでご了承ください。
Eメールのアドレスは現在、info@jcp.or.jp のみとなっている。これ以外のアドレスでは届かないことがあるのでご注意ください。
※「さざ波通信」と称するインターネット上のホームページにおける、党攻撃について
インターネットの「さざ波通信」と称するホームページを見た人から、「とても党員の意見とは思えない」「党としての見解を、きちんと公表する必要があるのではないか」などの意見が寄せられている。
この「さざ波通信」なるものは、「現役の日本共産党員によって運営」されていると称しているが、その実態は、日本共産党に敵対する立場に立つものである。日本共産党第22回大会のさいにも、大会議案が発表される前から「決議案はほぼ間違いなく、この間の不破指導部の右傾化路線を全面的に正当化し、その路線のいっそうの推進をうたうものとなる」「すべての良心的党員が、悔いを残さぬよう全力をあげて不破指導部の路線に対する闘いを遂行することを心から訴え」る、とよびかけ、特別の欄までつくった。
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4、インターネットHP攻撃政党、HP掲示板発言者摘発・査問・粛清政党
まず、共産党が、『さざ波通信』にたいして『党攻撃』HPというレッテル貼りをした日本語使用法について考える。広辞苑では、「攻撃=他人の行動・意見などを論難すること、論じなじること」とし、「批判=人物・行為・判断・学説・作品などの価値・能力・正当性・妥当性などを評価・けんとうすること。否定的内容をもつものをいう場合が多い」としている。『さざ波通信』の内容は、あくまで「党中央批判」の範囲内のものであって、「党攻撃」ではない。
共産党のレッテルは、「党中央批判」を「党攻撃」にすりかえる詭弁である。しかも、そこには二重の詭弁がある。第一は、「党中央」への意見を「党全体」にすりかえている。第二に、「批判意見」を「攻撃=論難、論じなじる」にすりかえるレトリックである。「党中央批判」にたいして「党攻撃」レッテルを貼りつけて、「批判者への報復的排除・粛清」の口実にするのは、宮本・不破らの常套手段だった。今度の手口もその性質は同じであるが、従来と異なるのは、対象がインターネットHPであることである。
オーウェルは「政治(とくに共産党)こそが、言葉を堕落させる」と明言した。不破・志位・市田新体制は、『日本語練習帳』(岩波新書)で、日本語の正しい使用法を勉強し直したほうがいいのではないか。もっとも、宮本・不破・志位らは、『1930年代のコミンテルンと日本支部』で分析したが、丸山眞男批判大キャンペーンにおいて、華麗な3人揃い踏みの詭弁術を披露した。このような日本語すりかえテクニックは、彼らにとって、もはやぬぐい難い体質になってしまっている。
都市部有権者・無党派層、インターネット加入者にとって、共産党の対応は、2つの問題点となり、共産党への反発、共産党拒否率となって表面化する。
第一、不破・志位・市田新体制の2000年11月、第22回大会における「規約全面改定」結果への幻滅と反発である。そこでは、民主集中制=Democratic Centralismという反民主主義的・閉鎖的・上意下達式組織原則・体質を堅持しただけではない。インターネットHP・掲示板発言規制のための規約改悪をし、「第5条5項、党の決定に反する意見を、勝手に発表することをしない」とした。これは党中央による恣意的な拡大解釈・適用を自由自在にできる、恐るべき日本語改悪である。
この組織原則は、残存する一党独裁国前衛党の中国、ベトナム、北朝鮮、キューバとまったく同一である。この一党独裁政治体制とその組織原則を支持するような日本の有権者は、はたしているのか。この時代錯誤的システムとむしろ改悪した規約にたいする都市部有権者の反発がある。それについては、『規約全面改定における放棄と堅持』、『「削除・隠蔽」による「堅持」作戦』で分析した。
第二、新体制は、党大会前の「規約改定案」討議期間中から、(1)「赤旗」でのインターネットHP攻撃を開始し、(2)HP『さざ波通信』、『JCPウオッチ』掲示板発言者摘発・査問・粛清を全党的に展開した。現在、判明しているだけでも10数人を調査(査問)し、除籍などで排除している。実数は数十人になっている。その摘発システムは、どうなっているのか。掲示板発言党員はすべて、「ハンドルネーム(仮名)」を使っている。その本名を特定するのは、通常のやり方ではきわめて困難である。
そこで、党中央の「HP上の反党分子」摘発専門機関と都道府県組織部(反党分子対策委員会)とが連携して、(1)まず、党員と思われるすべての掲示板発言をチェックし、所属支部・本名を割り出しうる文言をピックアップしなければならない。→(2)その分類・分析データを、都道府県に問い合わせ、地区活動者会議、党会議等で類似の発言内容・文書意見内容をしたかどうかを付き合わせ、→(3)その上で、「容疑者」を特定し、呼び出す。→(4)その党員に、今から、あなたを規律違反容疑で調査(査問)すると告げ、→(5)この掲示板発言者はあんただなと、証拠データを示しつつ詰問し、自白を迫る。
それによる「除籍」経過を公表しているのは、京都府委員会所属の「ハンドルネーム・嫌煙家」である。その経過と討論は、『JCPウオッチ』掲示板「過去ログ」にあった。「嫌煙家」は、『さざ波通信』ではなく、『JCPウオッチ』で発言していた。彼は、第22回大会京都府党会議の代議員だった。党大会において、都道府県党会議は「前期・上り」と「後期・下り」の2回ある。→(6)党中央と京都府委員会は、『JCPウオッチ』掲示板上での「嫌煙家」発言をすべてダウンロード、チェックした。→(7)彼が京都府委員会所属党員であることを割り出した。→(8)彼を「調査(査問)」にかけ、後期党会議の代議員権を剥奪するという党内犯罪まで犯した。この事実は、党中央の「HP上の反党分子」摘発専門機関と都道府県組織部(反党分子対策委員会)がチェックしている掲示板は、『さざ波通信』だけでなく、『JCPウオッチ』、その他も含めていることを証明する。
すでにIT社会に突入しつつある中国でも、中国共産党・国家公安部は、同じ手口で党員・市民摘発・粛清をしている。「嫌煙家」が、『JCPウオッチ』に次の記事(2001年6月22日付)を載せている。時事通信より ネットの「論壇」閉鎖相次ぐ=自由な政治論議締め出し−中国 【北京22日時事】中国人権民主化運動情報センター(本部・香港)が22日明らかにしたところによると、中国で最近、インターネット上で意見の書き込みができる電子掲示板(BBS)の閉鎖や、時事問題を扱うメールマガジンの廃刊が相次いでいる。情報・報道統制の一環で、自由な政治論議や共産党に批判的な論調をネットからも締め出すのが目的とみられる。
不破・志位・市田らの摘発システム・粛清手口は、IT時代における「党内秘密政治警察」システムといえる。共産党は、規約第5条5項に基づく正しい措置としている。それなら、そんなスターリンのNKVD(エヌカーベーデー)のような手法・粛清を正当化する民主主義的中央集権制組織原則こそが、時代錯誤で、根本的に間違っている。このようにインターネットHP掲示板発言者を摘発・粛清しているのは、世界のあらゆる政党のなかで、中国共産党と日本共産党の2党しかない。こうして、新体制3人をトップとする共産党は、インターネットHP攻撃政党・HP掲示板発言者摘発・査問・粛清政党として、かつ、インターネット参加有権者への敵対者として立ち現われた。21世紀における、この驚くべき反動的なHP統制・弾圧反則行為にたいして、高い共産党拒否率が都市部有権者・無党派層から突き付けられているのは当然である。
5、グラムシの分析と警察機関化した共産党
〔小目次〕
1、グラムシの分析
1、グラムシの分析
グラムシは、民主主義的中央集権制とそれに基づく党運営の有機性(オルガニチター)について、次のようにのべた。(1)、党が進歩的であるときには、それは「民主的に」機能する(民主的中央集権制)。(2)、党が退行的であるとき、それは「官僚的に」機能する(官僚的中央集権制)。後者の場合、党は思考力を失ったたんなる執行者にすぎない。その場合、党は技術的には一個の警察機関と化し、「政党」というその名前は、たんに神話的性格の比喩にすぎなくなる(「グラムシ選集第1巻」P.117、合同出版社、1961)。
この文章は、民主主義的中央集権制の観念のソ連型適用にたいする深い哲学的批判である。ただ、この分類は、ソ連にたいするだけでなく、他13カ国の一党独裁・党治国家にもそのまま当てはまる。ソ連崩壊後の21世紀になっても、なお残存する中国共産党・ベトナム共産党・キューバ共産党・朝鮮労働党も同じである。それら4つの前衛党は、技術的には一個の警察機関と化さなければ犯罪的政治体制が崩壊してしまうからである。
14の一党独裁国前衛党は、レーニンのチェーカー創設にならって、すべてが秘密政治警察を保有した。レーニンは、党内の反対を押し切って、権力奪取の2カ月後にチェーカーをつくり、豊富な資金と、制限のない逮捕・銃殺・強制収容所送りの権限を与えた。
『ロシア・ソ連を知る事典』(平凡社)での説明は次の内容である。チェーカー 十月革命後の1917年12月20日に設立された(反革命・サボタージュ取締り全ロシア非常委員会)のこと。KGBの前身にあたる最初のソビエト政治警察である。のち投機の取締りが加えられるなど、名称には異同がある。革命直後の反革命派の動きや革命に反対する公務員のサボタージュを取り締まり、革命法廷へ引き渡すことなどを任務とし、人民委員会議(内閣)に直属する機関として発足した。議長はジェルジンスキー。
中央機関の設立に引き続き、18年には地方、運輸部門、軍隊内などにもチェーカーが創設された。当初この委員会は直接懲罰行動はとらず調査活動を主とするものとされたが、内戦と干渉戦争が本格化する中で、裁判所の決定なしに逮捕・投獄・処刑などを行いうるようになった。18年8月30日、ペトログラード・チェーカー議長ウリッキーの殺害とレーニン暗殺未遂事件がおこると、9月、人民委員会議も白色テロルに対する赤色テロルを宣言した。
ソ連崩壊後に発見されたレーニンの未公開・秘密資料6724点の一つに次のレーニンのジェルジンスキー宛メモがある。(チェーカーによる)監禁・監視などは徹底的に行うこと(特設仕切り壁、木の仕切り壁、戸棚、着替えのための仕切り壁にまで)、不意の捜査、犯罪捜査のあらゆる技術を駆使した、二重、三重のチェック・システムなど。逮捕するなら夜が好都合(ドミートリー・ヴォルコゴーノフ『レーニンの秘密・上』P.381)。これらは、政府の最高責任者というより保安機関の専門家の言葉である。ソルジェニーツィンは、多数の証言に基づいて、レーニンを『下水道の創設者』と明確に規定した。
1921年、ロシア革命は最大の危機を迎えた。(1)ボリシェヴィキの「食糧独裁令」と過酷な「割当徴発」へのロシア全土、とくにシベリア、タンボフでの大規模な農民反乱、(2)ペトログラード労働者の広範なストライキ、(3)クロンシュタット・ソヴェト55000人の兵士反乱、(4)チェーカーによる粛清から逃れていた社会主義他党派の決起、(5)ボリシェヴィキ党内3分派の発生である。ロシア革命を支えた農民・労働者・兵士のすべての階層が、レーニンとボリシェヴィキ一党独裁にたいして、総反乱を起した。レーニンは、あくまで一党独裁に固執し、5つの全分野にたいして、チェーカーと赤軍の暴力を使って、鎮圧と粛清で応えた。
農民にたいしては、農民反乱の徹底的武力鎮圧の一方で、「ネップ」による妥協・後退政策という二面作戦を採った。党内3分派にたいしては、1921年3月、第10回大会で「分派禁止規定」と「民主主義的中央集権制」とを合体させ、チェーカーを使って、21年夏までに、党内の「上から下までの粛清」を指令し、党員の1/4を除名した。この合体により、レーニンは、民主主義的中央集権制の性格を完全に党内民主主義抑圧の反民主主義的組織原則に変質させた。レーニンにより除名された党員のほとんどは、1936〜38年のスターリン大テロルで、32種類の拷問にかけられ、でっち上げの分派活動自白書にサインさせられ、銃殺された。
1921年3月まで、チェーカーは、反ボリシェヴィキ・反革命分子摘発・粛清のための秘密政治警察だった。1921年3月から21年夏までの期間、レーニンは、チェーカーを、党員1/4除名のための党内警察機関の性格も兼ね備えるように変質させた。スターリンは、そのレーニンの教えを忠実に堅持・拡大し、ロシア国民の最低2000万人を粛清しつつ、NKVDを党内警察機関として活用し、レーニンの逮捕するなら夜が好都合指令を守り、ソ連共産党員100万人を「深夜のドアノック」で逮捕し、拷問し、殺害した。党内警察機関というチェーカー、NKVDの性格は、まさにレーニン以来のものである。
中国の公安部、東ドイツのシュタージ、ルーマニアのセクリターテ、その他一党独裁国前衛党の秘密政治警察機関は、権力獲得当初から、レーニン型の二面的性格を持った。
3、非政権前衛党・日本共産党の「警察機関化」
〔小目次〕
第一、党中央規律委員会−中央委員会の下部機関8人
第二、「http://www.jcp.or.jp」機関の一部署−書記局員18人中専任(?)人
第三、中央委員会「第二事務部」−書記局管轄下の一部署(?)人
2000年11月、第22回大会前後からの、日本共産党中央によるインターネットHP攻撃・HP掲示板発言者摘発・査問・粛清の全党的活動は、レーニン以来の党内警察機関活動にたいして、まったく新しい段階を画すレベルとなった。それは、まず、IT社会におけるインターネット上の党中央批判者=反党分子摘発・粛清活動という面である。それとともに、政権党にとどまらず、非政権前衛党が党内警察機関を保有したことを具体的に証明する側面からである。
現在までに行われたキャンペーン規模・内容は次である。第22回大会前期・後期の47都道府県党会議94回、315地区党会議630回すべてにおいて、HP『さざ波通信』攻撃が報告された。その内容は、(1)『さざ波通信』運営者は、「党員の名を騙る」ニセ党員であり、その実態は新左翼、あるいはトロツキストと関係を持っている連中である。(2)共産党員である以上、その掲示板に発言してはならない。(3)この党中央決定に反した者は、規約全面改定で新規に挿入した規約第5条5項・党の決定に反する意見を発表しない規律違反者として、調査(査問)する、というものである。
その摘発・粛清データは以下である。調査(査問)した党員は、HP掲示板上での被調査事実の公表などによって判明した10数人である。実数は、数十人になる。被査問者が、その経過を公表するのは勇気が要る。よって、除籍・排除経過を具体的に発表した人は、その10数人中の2人である。一人は、京都府委員会所属の「嫌煙家」である。もう一人は、下記『日本共産党の組織防衛』を『JCPウオッチ』に投稿した「RON」である。
彼は、非党員であるが、父親が地区委員である関係で、地区事務所に出入りしていた。党中央と中央委員会「第二事務部」は、その投稿内容に激怒した。『JCPウオッチ』掲示板上での「RON」発言をすべてダウンロード、チェックし、日本共産党の秘密機関を公表した反革命分子「RON」の身元を割り出した。しかし、彼が党員でないので、一党独裁国のように逮捕・拷問するわけにはいかない。党中央にとって、残念ながら、「彼の地区事務所への出入り差し止め」という排除措置しかできなかった。ただ、彼の父親を地区委員から排除するという家族への報復をした。
「嫌煙家」「RON」の『JCPウオッチ』掲示板上のすべての発言をダウンロード、チェックし、そこから身元を割り出し、査問・除籍または排除するという粛清執行は、グラムシの分析に当てはまる日本共産党の警察機関化といえる。この21世紀における新型「デジタル警察機関」は党内のどこなのか。その推理として、3つの機関が考えられる。
第一、党中央規律委員会−中央委員会の下部機関8人
不破・志位・市田新体制は、第22回大会の規約全面改定において、わかりやすく改定、誤解をまねくという名目で、さまざまな日本語の削除・隠蔽・変更と改悪をした。前衛党用語の削除・隠蔽と堅持はその典型である。そこでは、「科学的真理を認識、体現できるのは前衛党だけであり、一国には一前衛党しか存在できない」とする前衛党概念の内容を何一つ批判、否定しなかった。それどころか、不破報告で、その概念の正当性を擁護表明しつつ、規約前文だけから削除し、マルクスは前衛について何も言っていないという真っ赤なウソまでついた。結局、理論誌『前衛』名称を継承することで、頭かくして、尻かくさず体質を露呈した。
それと同じ思考で、従来の統制委員会の日本語統制という語感が悪いとして、規律委員会に名称変更した。日本語を変えただけで、党中央による下部統制機関理念とシステムはなんら変えていない。統制委員会は、1966年以前は、党大会選出で、党中央委員会と同等の地位にあり、下級党組織への統制だけでなく、中央委員会が誤りを犯した時は、統制委員会がそれを統制、監督できる立場にあった。しかし1966年第十回大会で、50年問題当時の特殊事情は解消したからという理由づけで、統制委員会を党大会選出でなく、中央委員会によって任命される下級機関に引き下げた。
これによって、党中央委員会、その上級の幹部会、そのまた上級の常任幹部会という3機関は、党内のどこからも批判、統制されることのない絶対的権限を持つにいたった。これは規約文言上の改悪というだけでなく、政党組織における指導部統制システムの必要性、フィードバック・システムの重要性という思想を拒絶したものである。宮本顕治は、この改悪により、全党および下部による党中央指導部統制という党内民主主義理念を窒息させた。よって、新規律委員会の権限は、下部統制・反党分子摘発機能とともに、中間機関による不当処分への調査・是正機能に限定されている。
HP掲示板における党中央批判発言規律違反党員の摘発・査問・粛清をし、処分承認をする正式な機関は、この規律委員会と、そのメンバー8人である。ただ、20世紀型規律違反なら、この機関だけで対応できる。しかし、新設条項・5条5項規律違反の対象は、インターネットHPとその掲示板という21世紀型規律違反である。レーニンがジェルジンスキーに秘密メモで指令した「〜仕切り壁の捜査」レベルは通用しない。不破・志位・市田らが、インターネット掲示板を自宅で見ているかどうかわからない。しかし、彼らも、ITレベルのHP上の反党分子摘発技術指令は、レーニンのようにはできない。その摘発には、よほど高いインターネットHP技術をもつプロフェショナル集団が必要である。
第二、「http://www.jcp.or.jp」機関の一部署−書記局員18人中専任(?)人
書記局は、市田書記局長を含む18人で構成されている。『日本共産党HP』作成・更新は、そこの一部署が担当している。書記局員HP専任者の下には、HP担当の本部勤務員が何人かいる。共産党専従は4000人いて、本部だけで「赤旗」記者370人を含め800人いる。HPに配置する勤務員数にはことかかない。
このHPは、他政党HPと比べて、もっとも充実した、多面的な内容をもっており、常時更新され、2001年6月にもシステムを全面更新した。スタッフも、HP作成技術から見てきわめて優秀である。共産党は、合法・人民的議会主義政党であるとともに、巨大な収益を挙げる新聞社という二面性を持つ特異な組織である。4000人の日本革命を起すことを職業とする専従をもつ革命組織であるとともに、「しんぶん赤旗」記者だけでも、12カ国15人の常駐海外特派員を含め370人を擁し、2006年においてHN164万部の独自地域配達網を確立し、赤旗一紙で間に合うことをスローガンに掲げる新聞社である。そこから、『http://www.jcp.or.jp』は、いわゆる「ブル新」HPレベルに匹敵するコンテンツを持ち、他政党が追随できないHP技術スタッフを抱えることができる。
今回のHP掲示板発言者摘発をする上では、HP技術と掲示板知識について、このスタッフの全面協力が必要となる。党攻撃HPレッテル貼りをしたのは(1)『さざ波通信』であるが、摘発・調査(査問)が判明している10数人の中では、(2)『JCPウオッチ』掲示板発言者の方が多くなっている。現在のアクセス数では、『さざ波通信』が100万を超えているが、テーマの分類・多様性や掲示板発言者数では『JCPウオッチ』の方が多いからである。この2つだけでなく、他にも党員が発言している可能性がある「共産党中央批判」HP掲示板がある。そのいくつかをあげる。『れんだいこ』HP掲示板、『小さな査問の話』HP議論系掲示板などである。それらには、もちろん党中央路線・政策擁護の党員発言もある。その「忠誠派党員」が摘発の対象にならないのは当然である。
摘発作業は、まず、(1)それらから、党中央批判をしている党員らしい掲示板発言をすべてダウンロードすることから始まる。→(2)それを「ハンドルネーム(仮名)」別に分類し、容疑者数十人の一人ごとにファイル、またはフォルダを編集・作成する。→(3)その時系列順の発言傾向を分析し、「間違いなく党員であること」を断定する。→(4)発言内容の細部チェックで、その党内地位、党歴、年齢、所属都道府県、家族関係を洗い出し、「HP上の反党分子」の身元を割り出す。→(5)とくに重要な情報は、所属都道府県である。HP掲示板からは本名が分かるはずがないと油断して、その情報を推測させる反党分子の摘発は簡単である。→(6)そのファイルかフォルダを該当都道府県委員会組織部(反党分子対策委員会)へメール添付ファイルで送信すれば、容疑者逮捕ができる。
→(7)用心深く、身元情報や所属都道府県情報を一つも書いていない掲示板上規律違反者の捜査は、大変である。数十人の大部分が、それを書いていない。となると、まず容疑者のファイルかフォルダの数十人分を47都道府県組織部にメール送信しなければならない。→(8)もっとも、そのメールアドレスは完備しているから、一括送信クリック一つで瞬時に届く。→(9)各組織部は、都道府県党内に該当容疑者がいそうと判断すれば、そこの全地区委員会組織部にメール転送をクリック一つで送る。
→(10)HP掲示板発言内容と、それまでの各党会議・地区活発言、「文書意見発言」とを照合し、両証拠から犯人の本名を特定できれば、あとは、調査(査問)招集をし、ファイルのプリントアウトを絶対的証拠として突き付け、自白を迫るだけである。ただ、今回の調査では、監禁査問スタイルをとっていない。→(11)21世紀型のHP掲示板発言規律違反活動を摘発するこれらインターネット技術は、『http://www.jcp.or.jp』スタッフでないと、手におえない。グラムシのいう党は技術的には一個の警察機関と化したシステムには、この第二機関の参加は不可欠である。
第三、中央委員会「第二事務部」−書記局管轄下の一部署(?)人
これは「RON」が初めて公表した、党中央の党防衛・幹部防衛機関の実態である。私の愛知県委員会県選対部における、宮本・袴田・不破らを迎えての「日本共産党大演説会」での党幹部防衛システムの体験から見ても、この内容は真相に近い。以下は、その冒頭部分だけの抜粋である。全文は、『日本共産党の組織防衛』投稿:RON(掲載2000.12.07)にあった。
RON『日本共産党の組織防衛』中央委員会「第二事務部」
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『日本共産党の組織防衛』
日本共産党は、党の防衛を党員の「任務」として位置づけている。
彼らが「ない」と言い張っている「査問」も、つまるところ「党の防衛」のために行われるものである。
共産党が、どれほど「防衛」に力を入れているかを、知らない人のために、ここで紹介したいと思う。日本共産党という組織の体質を理解するための、一助となることを期待する。
1、中央委員会「第二事務部」
共産党の防衛に直接の責任を負うのは、「第二事務部」という中央委員会内の部署である。
党幹部のガードマンを担当するのはもちろん、都道府県委員会に出向いて防衛教育のレクチャーをしたり、党内部のスパイ摘発に動いたりする。
理論活動としては、右翼や勝共連合、各左翼組織、公明党などの雑誌・文献に目を通し、共産党に対する直接攻撃が記載された文書をコピー、保存し、内容を集約したものを書記局に送る。
第二事務部の部員は、屈強さと、口の固さ、知的水準の高さ、党の理論への忠実さを兼ね備えた者だけがなることができる。家族の口から機密が漏洩することを防ぐため、基本的に結婚は許されない。
第二事務部員は、何よりも党幹部の命を優先する。万一右翼に襲撃されたら、自ら盾となり、防弾チョッキとなる。普通の本部職員よりも危険にさらされる機会が多いので、手当は多めである。
最高幹部(議長・委員長・書記局長)に限っては、常時、専属の部員が傍らに侍(はべ)る。常時とは、当然、自宅においてでもある。緊急時は、彼らの携帯に連絡が入る仕組みである。 以下略 『日本共産党の組織防衛』へ
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この機関の基本任務は、3つある。
第一は、党幹部防衛である。右翼テロに備えての幹部防衛とその体制、専任専従スタッフは必要である。私が、愛知県で彼らと演説会の前日打ち合わせなどで接触した体験からしても、彼らは党中央忠誠の、精悍な顔つきをした青年たちだった。
第二は、党内外からの党攻撃・党中央批判情報の収集・分析とその書記局報告の任務である。その具体的内容は、(1)右翼や勝共連合、各左翼組織、公明党などの雑誌・文献に目を通し、(2)共産党に対する直接攻撃が記載された文書をコピー、保存し、(3)内容を集約したものを書記局に送ることである。その情報収集対象は、雑誌・文献だけでなく、21世紀IT社会においてはインターネットHPが必然的に含まれる。
中央委員会の「全HP情報の監視・収集」機関の中心は、この「第二事務部」である可能性が高いといえる。そうなれば、さしずめ、この「反党・反革命分子宮地健一HP」も、彼らが常時、目を通してくれ、コピーし、書記局へ報告してくれるという栄誉あるHPになっているのかもしれない。ともかく、この機関には、インターネットHP技術・検索技術の専門知識を持った、優秀な「アナリスト」が、その任務上、配属されている。
第三は、党内部のスパイ摘発の任務である。問題は、「RON」によって、党中央秘密機関の存在・名称・任務内容・書記局との関係がバクロされてしまったというケースにおいて、この機関が、秘密防衛と「RON」身元割り出しのためにどう動いたかである。党内部のスパイ摘発活動には、尾行・張込み・拉致・監禁査問を必然的に伴う。共産党がそんな違法行為をやるはずがないと思う方は、『日本共産党との裁判第6部』における私の実体験を見れば、納得できると思われる。「第二事務部」は、当然、独自に、あるいは、本来の党内警察機関任務として、『JCPウオッチ』掲示板「RON」発言をすべてダウンロードし、党中央機密をHPに公表した「反革命分子」を摘発し、非党員だったため、「地区事務所出入り差し止め」措置により排除した。同時に、彼にその情報を漏らした「第二事務部」メンバーを割り出し、査問・処分・専従解任措置をした。
このような秘密警察機関は、レーニンのチェーカー、スターリンのNKVDと同じく、対外的な党防衛機関、「反革命分子」「反ボリシェヴィキ分子」の逮捕・粛清機能を果すだけではない。同時に、1921年におけるレーニンの党員1/4除名・大粛清に見られるように、状況の変化によって、いつなんどき、党中央指令さえあれば、それへの無条件服従規律に従って、「党員粛清の警察機関」に変質する危険性を持っている。党員粛清におけるレーニンとスターリンとの違いは一つである。レーニンは3分派の党員大量粛清を断行したが、粛清形態は「除名」だけで、拷問・殺害をしなかった。スターリンは、党員100万人とレーニンによる被除名者全員を「深夜のドアノックで逮捕」「32種類の拷問と分派活動自白書サイン」「モスクワ見世物裁判」「銃殺または強制収容所送り」をした。
「第二事務部」の3つの任務を総合すると、何が浮かびあがるのか。この機関は、権力獲得前の、非政権前衛党版「チェーカー」「KGB」といえるものである。権力をとったら、アメリカ政府の「CIA」、日本政府の「内閣調査室」「公安調査庁」に相当する、日本共産党情報機関・警察機関の実態を備えている。ただ、『日本共産党の軍事闘争』時期には、軍事機関「Y」「軍事委員会」を持っていた。その時点では、宮本顕治は、コミンフォルムから分派と決め付けられ、それに屈服して、「自己批判書」を書き、軍事闘争方針である「51年綱領」「四全協」を認め、五全協から復帰し、「Y」「軍事委員会」に賛成した。それによって、彼の国際派党員・民青団も全員が、軍事闘争に参加した。この党史から見ても、日本共産党情報機関・警察機関としての「第二事務部」の存在は、なんら不思議なことではない。今回の裏側作業を遂行している実務的中心部署は、この機関である可能性がある。
「赤旗」での『さざ波通信』攻撃記事と第22回大会前期・後期の724回の各党会議における大キャンペーンは、党内における表向きの活動である。それにたいして、HP掲示板発言者摘発・査問・粛清作業は、党内秘密警察機関としての裏側活動になる。今回の裏側活動は、これら3つの機関が単独で担当・粛清執行するのは困難だった。よって、3機関のいずれかが中心となりつつも、その連携・調整機関が別個に作られたとも推理できる。このような警察活動が、党中央3機関、47都道府県・315地区の反党分子対策委員会によって、全党的に行なわれ、数十人規模の本名割り出し、調査(査問)が展開され、現在も続いているという、オーウェルのいう『人間狩り』状況をイメージできるか。
いずれにしても、中国共産党と並んで、日本共産党は、21世紀初頭から、HP掲示板発言者摘発・査問・粛清活動を全党規模で遂行する、IT社会における先駆的・指導的役割を果す政党に名乗りをあげた。それは同時に、HPにおける党員の発言を統制・管理しようとする、全世界の左翼におけるもっとも反動的役割を果す前衛となった。21世紀において、もっとも先進的であり、かつ、もっとも反動的であるという対立物の弁証法的統一を、世界に先駆けて成し遂げたのが、不破・志位・市田新体制である。彼らは、この面に限った規定でいえば、新しい左翼・反動政党として、輝かしいスタートを切ったといえる。
21世紀型の規約第5条5項規律違反容疑者にたいしては、レーニン式の仕切り壁にまで捜査、逮捕するなら夜が好都合という指令技術では、まるで対応できない。グラムシは、スターリン批判として、党が退行的であるとき、党は技術的には一個の警察機関と化しと洞察した。ただ、それは、1914年第二次大戦勃発から1991年ソ連崩壊までの間の「短い20世紀」における洞察だった。彼は、次の世紀に入って、東方の2つの残存するDemocratic Centralism型政党=『現代の君主』が、退行的局面に入ることは想定できていたかもしれない。しかし、その彼も、2つの指導部が、党内の有機性(オルガニチター)を上から破壊し、かつ、このような摘発技術を開発して、デジタル・ポリス(Digital Police)化するとは、想像もできなかったであろう。
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(関連リンク) 「共産党中央批判」HP掲示板
『れんだいこ』HP掲示板
『小さな査問の話』「鹿児島事件と私」HP議論系掲示板
秀樹『「さざ波通信」投稿で除籍』調査(査問)→離党届不受理→除籍
(関連ファイル) 日本共産党が行った1カ月間尾行・張込みとそのシステム
「尾行」『政治の季節』
「1カ月間にわたる尾行・張込み」『日本共産党との裁判第6部』