下記の内容は関東地方南部での経験によるものです。
生育時期や作業の適期などは、栽培する地方によって異なることも少なくないと思います。
2024.2.13 更新
葉が出始める2月中旬〜3月頃から、葉が枯れ始める6、7月頃までの期間は、なるべく日当たりのよい場所に鉢を置いて育てます。
日に1、2時間程度しか直射日光が当たらない場所でも、育てること自体は可能ではあるものの、葉柄や花茎が倒れたり折れたりして草姿が乱れてしまいます。
葉が枯れてから、翌年葉が出てくるまでの期間は、日当たりのよいところでも日陰でも、どちらでも育てることができますが、暑い夏の間は半日陰や日陰の場所に置くか、日除けを設置して直射日光を避け、鉢と土の温度が少しでも低くなるようにした方が、ひどい根腐れを起こすことが少なくなるように感じられます。
育てる鉢の大きさは、植え付ける芽(根茎)の大きさや数によって変わりますが、1芽ならば3〜3.5号(直径9〜10.5cm)、2芽ならば4号(直径12cm)、4、5芽ならば5号(直径15cm)というのが一応の目安になるかと思います。
芽の数が増えてくれば、さらに大きな鉢やプランターに植えて楽しむこともできますが、さくらそうの場合、深さはそれほど必要なく5号鉢程度の深さがあれば十分なようで、土の量が多くなると乾きにくくもなるので、大きなサイズの鉢では浅めのもので良いです。
鉢の材質は特に問わないようで何でも使えますが、素焼きのものは土の乾きが速く、特に開花時期前後の頃の水やりが大変になりやすいです。
栽培環境(日当たりや気温など)、栽培管理(水やりや施肥など)の違いによって適した用土も違ってくるので、栽培のベテランの方々はそれぞれ工夫しておられますが、一つの例としては、まずは赤玉土7:腐葉土または堆肥3の割合で混ぜたものを基本として、水はけを良くして根腐れを防ぐために、くん炭を1割ほど混ぜたり、根腐れがひどいようならば、さらに水はけ良くするために軽石などを1〜2割混ぜます。
草花用培養土として売られているものも、極端に水はけが悪いものでなければ育てることができます。
用土に固形の肥料を混ぜておく方法では、万が一、量が多過ぎた場合に取り除くのが難しいので、液体肥料を追肥として施す方法が失敗が少ないと思います。
葉が出てきてから開花前までの間に数回と、花後から葉が枯れ始めるまでの間、いずれも1〜2週間に1回の間隔で、他の草花と同程度の濃度の液肥を施します。
葉の色を見て、薄く感じられたら施肥の間隔を詰め、逆に濃く葉が硬いような感じになっていたら一回空けるなど、各々の鉢の状態を見て調整します。
多くの草花と同様に、鉢の土の表面が乾いてきたら、鉢底の穴から流れ出るくらいたっぷりと水やりする、というのが基本になりますが、開花時期の頃は水分をよく吸収する割にそれほど根が張っていないのか、乾いて萎れやすいので、やや早めのタイミングで水をやった方が良いこともあります。
もし萎れていても完全に枯れていなければ、見つけ次第水やりすれば30分程度で回復します。
夏の間は葉が枯れていて、休眠に近い状態にあるようにも考えられるので、やや控えめにしますが、逆に完全に乾かして根茎や根を干乾びさせないように注意も必要です。
秋以降は植え付けてからの時の経過とともに、土の粒が崩れたり締まってきたりして、乾きにくくなるので、表面の土が乾いて見えてから2、3日後に水やりすれば十分です。
特に葉が枯れている時期には、水やりをしようかどうか迷ったら土を少し掘ってみて湿り具合を見て確かめるのも良いと思います。
さくらそうは、植え付けた根茎の芽よりも先に新しい根茎と芽ができる性質があるので、植え替えをしないと鉢の縁の方から芽が出てきやすいことや、植え付けてからの月日の経過とともに鉢土の水はけも悪くなることから、できれば毎年植え替えます。
時期は、古い根が枯れてから新しい芽が伸び始める前までの11月から2月頃の間ですが、少し遅くなっても葉を折らないように注意すれば植え替えることができます。
(画像入りの植え付け方法のページはこちらです)
その年の生育状況や品種によって差がありますが、主に開花時期頃から葉が枯れる頃までの間に、成長した根茎が土の上に出てしまうことがあります。
そうした場合は、根茎や根を覆い隠すように用土を足します。
夏以降も雨や水やりによって土が流れて似たような状況になる場合があるので、見つけ次第同様に土を足しておきます。
咲き終わった花をそのままにしておくと、受粉していた場合は結実して、芽の成長が思わしくなくなったり、意図しない実生株が混ざってしまう危険もあります。
萎れた花はなるべく早めに一輪ずつ、花茎と花を繋いでいる細い茎のあたりで摘み取ります。
このことには、美しい開花状態を楽しめる期間を長くするという効果もあります。
さくらそうの鉢には栽培中、他の植物、いわゆる雑草が生えてきますが、特に生育旺盛なものの場合に、さくらそうの生育が妨げられてしまうことがあります。
雑草を見つけたらなるべく早めに抜き取ります。
根が少ない植物や根が浅く張る植物の場合は、さほど影響が無い場合もあります。
さくらそうには病気や害虫による被害が極端に多い植物という印象はないのですが、病虫害が発生することもあります。
葉や葉柄、花茎、花にはアブラムシ、アオムシ(蝶や蛾の幼虫)、エカキムシ(ハモグリバエの幼虫)、ハダニ、ナメクジなど。
根にはセンチュウ(ネグサレセンチュウ、ネコブセンチュウなど)、ネキリムシ(コガネムシの幼虫)、ヨトウムシ(ヨトウガの幼虫)などによる被害が見られます。
白絹病、菌核病などが見られ、発生頻度は高くはないものの、同じ鉢に植えてある株全てが枯死してしまうような致命的な被害を受けることがあります。
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