BCJフォーラム(5) ['99/01/01〜]


ご意見・ご感想のコーナー
BCJファンの皆様からお寄せいただいたご意見やご感想などを集めてみました。内容をできる限りBCJのみなさんにもお伝えして、お返事などを頂けましたらあわせてこのコーナーでご紹介していきたいと思っています。是非こちら[makoto-y@mxi.mesh.ne.jp](または[ニフティID:DZE01555])までご意見等をお寄せ下さい。特に投稿フォームは設けませんが、お送りいただいたメールの内容をこのコーナーで紹介させていただこうと考えておりますので、掲載をご希望されない場合は、その旨お書き添えいただけますようお願いいたします。(ご意見・ご感想No.91〜)

*ご意見・ご感想の中の太字表記は、当ホーム・ページの制作者によるものです。

101 《「サラマンカでお会いしました。」》
 
 矢口様
 先日お便りさせていただきました徳島の河村です。いつもBCJフォーラムを楽しませていただいております。この度、岐阜の熊崎さんより矢口様宛のお便りを預かりましたのでそのまま送らせていただきます。


 矢口様  「BCJのホームページにくまさんの事が載っている!」と友人から知らされてビックリ。あの時はご親切に声をかけてくださいましてありがとうございました。すてきな方に話しかけられ、ブクステフーデに夢中になっている話をニコニコと聞いていただいてうれしかったのは私の方です。初めて行ったBCJの演奏会(97年クリスマスオラトリオ・名古屋)でそれまで経験したことのない大きな感動を受けて、その日から「この人たちの演奏をサラマンカホールで!」と願い続けてきた私にとって1月10日はうれしくて大切な特別な日だったのです。その特別な日が本当に素晴らしい忘れられない一日になりました。ありがとうございます。素晴らしく感動的な演奏会で、遠くからいらした矢口様にとってもよい日であったことを喜んでいます。
 メサイアの感動がまだ胸の中でなり続けていて、何をしていても楽しい毎日を送っています。生の演奏会でいただく感動は格別なものがありますね。もったいなくてまだメサイアのCDを聴けないでいます。
 ホームページを拝見して、矢口様はじめ皆様ほんとうに音楽がお好きでお詳しくて、それに心からBCJを愛していらしゃる方たちなのだとうれしく興味深く読ませていただきました。私は音楽のことは何もわからず、ただ感覚で選んで聴いているうちにBCJの音楽に出会い、深い感動を覚えるようになりました。演奏会の度に大きな感動をいただいて、音楽に対する思いが深まっています。もっと聴きたい、カンタータも生で聴きたい、と思いは募るばかりです。そして音楽との出会いは多くの新しい出会いも生んでくれています。
 これからも「音楽の神様が舞い降りた!」(クリスマスオラトリオ)とか「たましいがあの世へ連れて行かれそう」(カンタータBWV161)とかいった非常に感覚的な聴き方をしてしまいそうですが、もっと聴きたいと思う音楽にあえたことをとても幸せに思っています。ブクステフーデは詩の内容を知ってからいっそう愛しくなって、聴きたい気持ちはずっと止まりそうにありません。ブクステフーデさんに聴かせてあげたいと思います。
 賛助会・後援会というのは誰でも入会する事が出来るものなのでしょうか?情報を教えていただけたらうれしく思います。
 ホームページの記事をまた楽しみに読ませていただきます。どうぞご健康で ご活躍をお祈り申し上げます。もう一度、ほんとうにありがとうございました。 

(岐阜市、熊崎美貴子様) 
追伸:
あの日第6巻はありませんでしたが、鈴木雅明様のオルガンのCDが2枚手に入りうれしく聴かせていただいています。パイプオルガンは見ていても聴いていても「音楽は神様だ」と思わずにはいられません。

(河村栄子様) (99/01/28)
 熊崎さん、河村さん、またまたうれしいお便りをありがとうございました! 岐阜での感動が私にも甦ります。イスラエルのみなさんも、きっと今頃同じ思いにとらわれているのではないでしょうか。
・・・それにつけても「ブクステフーデ」はいいですね。私は贅沢にもBCJの「我らがイエスの四肢」のライブを3回聴いているのですが、CDを聴くと、初めて聴いた祐天寺の教会や、カザルスホールでの最後となった定期演奏会での雰囲気なども思い起こされます。このカザルスでの演奏会(第29回東京定期)のプログラムは、「BCJ定期:過去のプログラム内容一覧」によればまだ少々残部があるようなのでBCJ事務局(TEL:03-3226-5333)に連絡すれば入手できるかもしれませんよ。
 「クリスマス・オラトリオ」や「カンタータ161番」のイメージはまさにおっしゃるとおり! 感覚的にも精神的にも知的にも満足できるところがBCJの音楽の素晴らしいところですね。
 賛助会、後援会についてですが、まず「賛助会」とは「BCJ東京定期公演の賛助会員制度」のことでしょう。実は今私の自宅が改装工事中で、BCJのプログラムなどの資料を“疎開”させてしまっていますので、くわしいことが書けません。資料が帰ってきたらここの欄にご紹介させていただきます。「後援会」は「BCJ神戸公演後援会」のことだと思います。こちらについてはこのHP上の別のページでご紹介しておりますので、是非こちらをご覧いただき、よろしかったらお仲間になってください! いずれも入会の資格は特に制限がありませんが、特典の内容など確認してからお申し込みください。ちなみに私は1994年の10月から賛助会員、昨年6月の設立当初から「神戸公演後援会員」です。もちろん来年度も両方継続していくつもりです。(「神戸公演後援会」の継続の案内はそろそろくるのでしょうか?) 2月20日には私もやっと神戸にうかがう予定ですので、本当に楽しみです。 是非BCJのコンサート会場でまたお会いしましょう。またのお便りもお待ちしております。
(矢口) (99/01/31)

100 《BCJサポーターの皆様、今年もよろしく。》
 
BCJサポーターの皆様、今年もよろしく。また、BCJのいっそうの繁栄を期待しています。
年末に引越をして、しばらくE-mailができませんでしたので、ちょっと遅くなってしまいましたが、感動は全然うすくならないので、おたよりしています。
マニフィカトの特集の時はゼレンカが美しく、特に野々下さんの独唱のものがすばらしく、(中略)いつか、CDで出して下さいね。野々下さんの清楚な雰囲気が歌とよくあっていたし、ドレスのセンスもいいなあと思いました。
で、12月のメサイアは引越直後の自宅のゴタゴタをうっちゃっていきました。レーヌ様(と私はこの人のことは様付けでよんでいます)は、型にはまらない自由な感じの歌手ですが、BCJとも違和感なくやっていたと思います。けっこうおもしろい組み合わせなので、今後もまた共演してほしいです。レーヌ様も以前はヘレヴェッヘとバッハのカンタータを録音しています。アルトの長い美しいアリアのあるカンタータNo.42は、アルト・ソロはぜひにと願いますが、無理でしょうか。レーヌ様のことでもう一つ。ソロ・リサイタルの方もよかったですが、いずれ、近江楽堂でクープランのルソン・ドゥ・テネブル全曲というプログラムでやってもらいたいです。 (後略)

(岩佐圭子様) (99/01/27)
岩佐さん、お便りありがとうございます!
「マニフィカト」のCDは順調に録音が進んだようですね。私も発売を楽しみに待っています。ゼレンカ、ユニークな曲でした。
レーヌ&BCJの共演については私も再度聴いてみたいと思っています。35番のソロカンタータなんていかがでしょう。(ちょっと時代があとすぎるかな・・)
しかし、しかし、なんといっても最後のご提案には大賛成です! レーヌファンが、言いたくても「きっと無理だろうなぁ」と思って言えなかったことをよくぞおっしゃってくださいました! 場所も曲目も完璧ですね。昨日のBS放送の録画をまだ見ていないのですが、これをUPしたらそれを見ながら夢をふくらませたいと思います。また是非お便りをお寄せください! (矢口) (99/01/27) 

99 《はじめまして》
 
矢口様、初めてメールを送らせていただきます徳島の河村と申します。
パソコンも触り始めたばかりで、BCJのHPも見せていただいたばかりです。しかし、先日のサラマンカでのメサイヤのご報告を読ませていただいて、思わず失礼とは思いましたが、メールいたしました。と言いますのもブクステフーデを500回聞いた方とは、私の親しい文通友達だったからです。
彼女はメサイヤの後すぐに電話をくれました。そしてどんなにすばらしい演奏だったかを知らせてくれました。その時、ロビーで彼女の最もお気に入りのブクステフーデのCDを紹介してくださった方がいらしたと、うれしそうに話してくれました。
彼女−熊崎さんは97年12月にクリスマスオラトリオを聞きに行って以来のBCJのファンで、私はたくさんのことを教えてもらっています。手紙の文面もほとんどが新しくリリースされたCDや演奏会の感想で、会ったことがないのにもかかわらず、とても楽しいお付き合いをしています。500回聞いたと言うのは、決して誇張ではなく、夢にまでその美しい曲が聞こえてくると言います。矢口様の文をコピーして早速送ったところとてもびっくりしていました。いつかまた演奏会でお話しできることを楽しみにしているそうです。熊崎さんは名古屋でのマタイ、そして私は大阪のマタイを楽しみにしているところです。
BCJについておはなしできる友達が限られている私たちにとりまして、このようなHPはとてもうれしものです。これからまた色々と勉強させていただきたいと思っております。様々な方の音楽の感想を聞かせていただくことで音楽への思いも深まっていくように思えます。
パソコンのない熊崎さんにも情報を送りつつ楽しませていただきたいと思っております。ありがとうございました。季節柄ご自愛くださいませ。突然のメール失礼いたしました。

(徳島、河村栄子様) (99/01/24)
河村さん、「BCJフォーラム」へようこそ! いやぁー、そうだったのですか、お知り合いですか。是非、重ねてよろしくお伝えください。 私も、このメールをきっかけにまたブクステフーデを聴いてしまいました! うーん、やっぱり格別ですねぇ。たしか、昨年の秋ごろのNHK-FM「朝のバロック」でも、「BCJのブクステフーデにやみつきで、夢にも出てきます」とリクエストしていた方がいらっしゃいましたが、同じ症状(?)の人がいるものなんですね。(もちろん私もです!) 
岐阜では他にも何人か初対面の方とBCJの話で盛り上がってしまったのですが、知らないもの同志でもすぐにうち解けて盛り上がれることなど、ファン同志のいいところですね。この「フォーラム」もそんな仲間の交流の場ですから、これからも「マタイ」の感想などを是非お寄せください! お待ちしております。 (矢口) (99/01/27)

98 《五本指の靴下》
 
矢口さんへ
本当にお久しぶりのお便りです。(中略)
さて、BCJとのイスラエルツアーに参加できず残念です。でも、秀美さんから さっそくメールが届けられ、皆さん無事に到着できたそうで、何よりですね。そして今日はコンサートですね。きっとイスラエルの人々を魅了した事でしょう。
暮れのNHK−FMで雅明さんがおっしゃっていましたが、「イスラエルの人々がどのようにBACHを聞き、カンタータを味わっているのか、是非このツアーで体験して」私たちにもレポートしていただきたいですね。

秀美さんのL.P.B.C.J.便りに、モーツアルトの「冗談」で寺神戸亮さんが色違いの五本指の靴下に雪駄履きといういでたちで、とありましたが、9月の松蔭での定期演奏会後の懇親会での秀美さんのいでたちはまさしく、五本指の靴下に雪駄履きでしたよ。(証拠写真があります。) メールを読んでそのことを思い出して大笑いしてしまいました。
矢口さんもついに2月には松蔭にこられるとの事、お会いできるのを楽しみにしています。

(北九州市、大庭美登里様) (99/01/21)
大庭さん、ご無沙汰しております! お便りありがとうございました。
イスラエル公演は無事終了した模様です。「イスラエル・レポート」お待ちしております!(>BCJの皆様) この経験を経てさらにグレード・アップしたBCJサウンドも楽しみです。次のカンタータは、オペラシティと松蔭の2回うかがおうと思っています。大庭さんにお会いできることもとっても楽しみにしております。
“「五本指の靴下」の真実”(?!)も楽しいお話ですね。また色々教えてください! (矢口) (99/01/27)

97 《BCJ Israel Tour》

Dear Sir,

Today the BCJ have had a first concert in Rishon Leziyyon. It had a great success.

But the reason why I send you this e-mail is in the attachment. There is one of the hebrew songs which we have learned from... our bus driver!  In the end of the tour we'll know many song like this!
The words are here:

Abaku Shalom Aleihem,
Abaku Shalom Aleihem,
Abaku Shalom Aleihem,
Abaku Shalom Aleihem!

Today my voice was not in a good shape, so I have played it on the violin.
Shalom.wav←ここをクリックすると音声が聴けます![309KB])

Best wishes,

(Dmitry Badiarov [Russian member of BCJ Israel Tour' 99.]様) (99/01/21)
 今回のBCJイスラエル・ツアーにヴァイオリンの助っ人として参加してくださっているBadiarovさんから、ツアー初日の公演の成功と、バスの運ちゃんからメンバーが教えられているヘブライ・ソング(!)のメロディーが音声ファイルで届けられました。かなり重たいファイルですが、よろしかったらお聴きになってみてください。
 今日はもうツアーの公演も最終日。「ヨハネ受難曲」の演奏を最後に、まもなく帰国の途につかれるメンバーのみなさんがどれだけ「ヘブライ・ソング」をマスターしていらしたか、も楽しみですね。無事のご帰還をお待ちしております! (矢口) (99/01/24)

96 《岐阜でのメサイア本当に素晴らしかった!! ですね》

 矢口さんこんばんは
 今朝HPを見て気づいたのですが、昨日あの大雪の中、岐阜までいらっしゃっていたのですね。
平野部でも大雪警報が出ていたらしく、メンバーが来れずに中止なんてことありませんようにと思っていたくらいです。

 それにしても素晴らしい演奏でした。
まず、同じメサイアでも演奏のたびに違う世界を見せてくれるBCJに本当に驚きと敬服と感謝の気持ちです。
昨日の演奏は慈愛に満ちたキリスト像をを思わせるような、落ちついた雰囲気が根底に流れながら、それでいて折からの雪を溶かしてしまうかのごとくHotな演奏であったように思います。
特に第2部以降の緊張感が凄かった。もう年も明けていることもありクリスマスの華やいだ雰囲気よりはこれからむかえる受難と復活を意識されてのことなのでしょうか? あの張りつめた空気、なんともいいんですねぇこれが!
合唱もオーケストラも切々と訴えるように、そして雄弁に語りかけてくるようで本当に感動しました。
なかでも圧巻がアルトの波多野睦美さん。歌が心にしみわたる様に響く時もあれば、突き刺さるような時もある。そんな語り口にぐいぐい引き込まれていくようでした。
米良さんやレーヌの存在感もすごかったですが波多野さんの引力とカリスマ性もとてつもなく大きなもので、ただただ圧倒されました。

ホールがこぢんまりとしているので かなり後ろの方で聴いたにもかかわらず演奏しているBCJの皆さんの表情がダイレクトに伝わってくるようで、それもまた嬉しかったことの一つです(オペラシティの時は何だかちょっと遠いなぁという感じがしていたのです)。ついついサラマンカホールか、しらかわホール(名古屋・伏見)あたりで、カンタータの演奏もやっていただきたいなぁと、我侭で都合のいい願い()まで生じてしまいました(オペラシティも愛知県芸術劇場もいいんですが、やはり小さなホールの方がいい感じだと思うんです)。

一つだけ、惜しむらくはちょっと客席が落ち着かなかったことですね。季節柄多少は仕方ないのかもしれませんが咳払いなどはせめてもう少し遠慮がちにして欲しいなぁと思ったり、なんといってもハレルヤの最後、「ヤ」の声が出るか出ないかのタイミングで勢い良く拍手がでてしまったあたりは残念でなりません。

最後に余談なのですが、名古屋の合唱仲間10人程を誘い、連れだって行ったのですが、皆驚きと感動でいっぱいだったようです。いつもの常で終演後食事に出かけたのですが(岐阜ですので柳ヶ瀬です)、皆すごい・素晴らしい位しか言葉はないのに、いつになく嬉しそうでしかもハイテンションで、とってもおいしいお酒になったのは言うまでもありません。

素敵な冬の一日をどうもありがとうという感じいっぱいです。(後略)

(亀山俊樹様) (99/01/12)
 亀山さん、お便りありがとうございました。 そうです。行ってきたのです、岐阜へ。
 証拠の(?)写真をお見せしましょう。やはり東京から聴きに来られた賛助会員の南部さんに撮っていただいたものです。
サラマンカホールのある
岐阜県県民ふれあい会館
(雪が見えます!)
ホール入口にて
(私です)
終演後、楽屋に鈴木雅明さんを
訪ね、20000番GETの山里さん
へのサインをいただきました。

 亀山さんもお書きくださったように、本当に素晴らしいコンサートでした。行ってよかったなぁ。
 私は12/19、12/22、1/10と、今回の「メサイア」ツアーは3回うかがったのですが、レーヌとの出会いが鮮烈だった“衝撃の相模大野”、クリスマスの雰囲気の中での“華麗なオペラシティ”、素晴らしいホールでの“味わいのサラマンカ”、という感じでした。「演奏のたびに違う世界を見せてくれるBCJ」を私も堪能させていただいた次第です。
 亀山さんの“「サラマンカ」か「しらかわ」でカンタータを!”という夢もまんざら不可能ではなさそうですよ。雅明さんもホールの素晴らしさを讃えていらっしゃいました。事務局長の武田さんも今後のこのホールでの公演について考えてくださっているようです。あとは地元のみなさんの後押しです! 今回の主催者であった岐阜県県民ふれあい会館に、コンサートの感想と今後の希望などをどんどん伝えましょう!
 親密な空間でBCJを体験できる醍醐味は代え難い喜びです。サラマンカホールはキャパシティ約700席と、彩の国さいたま芸術劇場音楽ホール(キャパ約600席)とほぼ同じ規模のホールでした。今回私はS列10番という1階の一番後ろの列でうかがったのですが、まったく問題なしですね。最高のバランスでした。(ちなみに当日券売場の方がこの席を勧めてくださいました) 熱心なファンでほぼ満員の場内でしたが残響は程良く豊か。言葉も聞き取りやすく、最高でした。同規模の空間で行われる彩の国さいたま芸術劇場音楽ホールでの「マタイ」への期待もふくらみます!
うれしかった話、その1:
ロビーでBCJのCDを販売していたのですが、そこに「第6巻をください」と係の方に話していらっしゃる方がいました。残念なことに第6巻はそこにはなく、「今日は第6巻を買おうと思っていたのに・・・」と肩を落としていらっしゃったので、私がさしでがましくも「これはお持ちですか?」と、そこにあったブクステフーデのCDを指さして紹介してみたのです。するとその方は、「もちろん! もう500回は聴いていますよ。輸入盤で買ってしまったので歌詞がわからなかったのですが、最近訳を手に入れて楽しんでいます」と答えてくださいました。何とうれしかったことでしょう。
うれしかった話、その2:
ならびの座席に座っていたおばさま(失礼!)が終演後声をかけてくださいました。「うーん、素晴らしい。特にアルトのソリスト(波多野さん)が気に入りました。」と。 そこで東京から聴きにうかがっていることをお話しすると、「それでは3月28日もこちらへ?」と聞かれました。みなさんBCJのスケジュールをチェックしてくださっているのですね。とてもうれしく思いました。

 ・・・というわけで、収穫の多い旅でした。またサラマンカにお邪魔することもあるかもしれません。その時は亀山さんにもお会いしてお話ししたいものですね。でも、その前に神戸:松蔭でご一緒するなんていうのはいかがですか・・・! 私もあとは、まず松蔭でBCJを聴かねば、と改めて思った次第です。さて、2月20日、いよいよ神戸にうかがいますか。楽しみです。 (矢口) (99/01/14)

95 《メサイア感想及びクリオラ録音私的印象》
 
 12月19日、相模大野まではるばるやってきました。2年前、横浜で、BCJのメサイアを初めて聴いて、メサイアを再認識し、またすっかりBCJのメサイアにはまってしまいました。(そのあと松蔭で録音と前後してチャペルでのライブがあったそうで、あの残響が素晴らしいチャペルでのメサイアを聴かなかったことを今でも悔しく思っています)
 さて今回の事前注目事項はやはりレーヌでした。彼の声はペルゴレージのスタバトマーテルやヘレヴェッヘのバッハカンタータでしか聴いたことがありませんでした。ところがいざ彼のアリアを初めてきく段になった時、私の期待は苦痛に、そうです、苦痛に変化したのです。
 なんと言ったらいいのでしょう、彼の音楽世界は。いや彼の音楽世界は素晴らしいのです。CDで聴くルネッサンス音楽や、バロックのアリアは素晴らしいのです。しかし、いま演奏が進行しているヘンデルのメサイア、いやBCJが作り出しているメサイアとは全く異次元の彼独自の世界でアルトアリアが歌われているのです。伸びない高音は年齢を考慮すると仕方がないでしょう。しかし無茶苦茶多いヴィヴラート、度を超えた強弱の多さ、いやこんな技術的なことはどうでもいいのです。音楽そのものがBCJの音楽とは全く同居しないのですね。私はそのうまい国語的表現を見つけることができません。もうあっけにとられてしまいました。アルトアリアがもうすぐ始まると思うと、何度も頭痛がしましたよ。アルトアリアが終わると、どっと疲労感を感じました。
 でもそんな中、とてもさわやかで、嬉しくなり、元気が出たのは、浦野さんのアリアでした。実はヨハネのイエス役を歌った時、硬いバスだなあと思ったのですが、意外や意外、柔らかい歌い方をする人だなあと認識したのです。特にトランペットオブリガート付きの例のThe trumpet shall soundのアリア、ともすれば力だけで押してしまうバスが多い中、浦野さんのこのアリアはなんと人間の話し方に近く、軟らかく自然で、心地よく、ほんとにうまいアリアでした。今までCDで聴いた、いかなるこのアリアの中で、最高のアリアだったと思います。
 トランペットと言えば島田さん、いやー最近ほんとに一段とうまくなりましたねえ。演奏に余裕がありますね。自信に溢れているのがよくわかります。トリルが特にうまくなりました。島田さんのトランペットは高音が美しくまた低音はちょっとすごみがありますね。当日の演奏は2、3音程が不安定になることがありましたが、それは仕方ないこと。ナチュラルトランペットをああまで自由自在に操り、かるーく自然に歌わせるのは日本には彼しかいません。以前私がフォーラムにて、日本のクリスピアンスティールパーキンスだと表現しましたが、もう彼の名を引き合いに出す必要はありません。島田さんは世界トップクラスのナチュラルトランペッターです。膨大なライプツイッヒのカンタータにこれから頻繁に必要とされるトランペットが本当に楽しみですね。
 合唱ではバスパートが素晴らしかったように思います。声がまとまっていて3声を絶妙に支えていました。桜田さんがいないテノールパート(桜田さんは今回ソリスト)もまずます。新しい顔が見られました。
 ヒデミさんのいないチェロが寂しく思いましたが、始まってみると諸岡先輩の隣でチェロにつかまって弾いている山廣さん、このお二方の音が聴こえた時、安心しました。
 クリオラや2年前のメサイアでは行われたアンコールもなく淡々としたいい演奏でした。(一部を除いて) ただ、会場の残響が乏しかったようです。

 さて、ついでといっては失礼ですが、クリスマスオラトリオの録音の私的感想を申し上げておきます。
 どうも日本人というのは西洋音楽に関して、旧態依然というか未だに西洋礼賛の感があるように思えてなりません。某大手音楽雑誌のレコード批評欄で、BCJと海外演奏団体のCDを比較される場合が多々あるのですが、某批評家の先生はその最たる例です。今回奇しくも、もう一枚のクリオラがリリースされていますが、いつものように海外盤の方がお気に入りのようです。
 さて、西洋礼賛の念を払拭できると、意外にも日本人演奏家達もなかなかというか、ここまで来たかという感を抱くことができるのです。世界レベルです。今回クリスマスオラトリオでは器楽陣の技術的音楽的に飛躍的なヴァージョンアップがはかられています。特にヴァイオリンの音に注目してご覧なさい。肩の力が抜けて自由自在に歌っているでしょ。それも全員がそろっていますよ。もうアムステルダム・バロックもシャペルロワイヤルも真っ青。そのヴァイオリンでも特に第4部第41曲のテノールアリアでの2つのヴァイオリンコンチェルトを彷彿させる高田さんと若松さんのオブリガート。もうこれは絶品です。名古屋のライブでは二人の音質のあまりの違いに戸惑いましたが今回の録音ではぴったりとそろい、テュルクもかすみがちです。島田さんのトランペット職人芸を惜しげもなく提供し、通奏低音などはおらが春といった調子。ポンセールは言わずもがなですが邦人オーボエ奏者も全く遜色無く頑張っています
 合唱では、テノールがいいですね。やはり桜田さんがいるテノールパートは素晴らしい。逆に言えば、桜田さんのいないテノールパートは薄いです。桜田さんがパート参加していないカンタータを聴いてご覧なさい。よくその違いがわかりますよ。
 しかしテュルクは本当にうまい。ライブで聴く彼の声よりも録音、特に今回のクリオラでの彼の声は若々しく(40前半という年齢を全く感じさせない)みずみずしく、同性であってもついうっとりしてしまいますね。コーイもうまい。バッハのオラトリオを歌わせたらこの二人は現在世界最高じゃないですか。それに比べフリンマーは残念でした。ライブでは感じなかったのですが(聴いた位置が遠かったせいかもしれない)、高音域が伸びず、苦しそうで、何というのだろう、声質がしわがれていますね。カンタータ6集でもそのような傾向があり、カンタータ6集の録音時に調子が悪かったのだろうと思っていましたが、調子ではなく、あの声は彼女の現在の実力なのでしょう。  
 色々と言いたい放題いわせてもらいましたが、全体的には非常に水準の高いクリスマスオラトリオに違いありません。日本国内の批評は興味ありません。早く海外の批評が聞きたいものですね。
 クリオラといえばいままで正直言って全曲通して聞いたことがありませんでした。クリオラのCDはいろんな演奏家のものを6セットも持っていたにも拘わらずです。しかし、これはやはりファン心理なのでしょうか、BCJのライブは勿論全曲聴いたのですが、録音はBCJのものを通して20回以上は聴いたことになりました。

 カンタータ9集も出たようです。ヨハネも来月リリースされる予定ですね。なにか、最近録音からリリースまでのインターバルが短くなったように思いませんか。ファンとしては非常にいい傾向ですね。この調子で私が生きているうちにカンタータ全曲録音を完成させていただきたいものです。
 最後に一言。日本のバッハ演奏でイスラエルの人達を唸らせて来て下さい。武田マネージャーのおみやげ話を待っています。是非ホームページで披露してください。

(湯舟清隆様) (99/01/05)
 湯舟さん、久々の大作レポート、ありがとうございました! また、はるばる相模大野までお出でいただきまして、感激しております。(ちなみに私は地元ですので家から20分ほどです・・・!) ホールで短時間ですがお話しでき、楽しかったです。
 レーヌはやはり色々な受け止め方がありますね。友人が「タテのりのBCJにヨコのりのレーヌでしたね」と言っていましたが、なかなか言い得て妙だと思いました。確かそのような違和感もあったのですが、私は音楽を深いところから汲み出そうとするような表情豊かなパフォーマンスに今回初めて触れ、感動したクチです。BCJのメンバーも、きっと何か得るところのあった共演だったのではないかと思います。浦野さんのソロは、相模大野のあとのオペラシティ公演で、ますます磨きがかかったように思います。残響の少ない厳しい状況の相模大野であれだけ聴かせてくれたのですから、きっと岐阜のサラマンカではさらに柔らかい表情にも挑戦されるのではないか、と思います。「マタイ」のひとつの鍵を握るバス・アリアも本当に楽しみです。
 「クリスマス・オラトリオ」、本当に生き生きとした演奏ですね。私も結構聴いていますよ。そういえば今日は第6部の日ですね。「サイトマップ」のトップでもAHさんがインフォメーションしてくださっていました。
 第9巻のカンタータCDも、もう間もなくショップに並ぶと思われます。その頃にはBCJはイスラエルでしょうか。現時点では予定通りツアーに出かけられるそうです。是非「地に平和」を広げてきて欲しいものですおみやげ話、私も待っています。武田さん、よろしく?! 湯舟さん、またCDのご感想等お寄せください。楽しみにしています! (矢口) (99/01/06)

94 《1月10日が待ち遠しいです》
  
 矢口さんこんにちは。いつも楽しく拝見させていただいております。
 ここ数日フォーラムによせられております東京公演・仙台公演の感想を読んでおりましたら、次の日曜日が本当に待ち遠しくなってきてしまいました。会場のサラマンカホールは少々不便な田舎にある(失礼!)ホールなのですが、その響きは素晴らしく、何といいますか音が優しく暖かく響く感じがし、前からこのホールでBCJの演奏を聴きたいと思っていましたので、想像しただけで嬉しくなってきてしまいます。
 ホールもオペラシティや愛知県芸術劇場と比べると小さいので何だかより身近にBCJの演奏に触れられそうでそれもまた楽しみの一つなんです。(中略) 
 これからもよろしくお願いいたします。

(愛知・豊明、亀山俊樹様) (99/01/04)
 亀山さん、お便りありがとうございました。1月10日も、もうすぐですね。岐阜・サラマンカホールに私はうかがったことがないのですが、とてもいい雰囲気の会場のようですね。キャパシティ約700人と伺っておりますので、今回の《メサイア・ツアー》ではもっとも親密な空間での演奏になるのかも知れません。なんだか私もうかがってみたくなりましたが、はたしてチケットはまだあるのでしょうか? コンサートの様子などもまた是非お知らせください! (矢口) (99/01/04)
 亀山さんから、さっそくBCJ岐阜公演(1/10)のチケット情報をいただきました!
 現在、まだ若干残券があるそうですが、当日券は厳しいのではないか、とのことです。お出かけになるご予定の方は、予約をなされるようお勧めします。(問い合わせ:(財)岐阜県県民ふれあい会館 ホール事業課 058-277-1110) 私は、残念ながら3学期が始まってみないとわかりません。出来ればお伺いしたいものと思うのですが・・・。亀山さん、ありがとうございました。 (矢口) (99/01/06)

93 《鈴木雅明=BCJ メサイア(12/22 東京オペラシティ) 》
 
 ここでは12月22日(火)東京オペラシティ コンサートホールでおこなわれた鈴木雅明指揮バッハ・コレギウム・ジャパンの演奏会の報告をいたします。

プログラム
ヘンデル:オラトリオ「メサイア」(全曲) 1753年コヴェントガーデン版
ソリスト
モナ・シュペーゲレ(ソプラノ)
ジェラール・レーヌ(カウンターテナー)
桜田亮(テノール)
浦野智行(バス)

 今回の演奏、新聞の記事の見出しでいうなら「鈴木雅明率いるバッハコレギウムジャパンの勝利」とでもいいましょうか。
終演後の聴衆の拍手も最近の彼等の演奏会の中でも最も盛り上がったものでした。それはそのままこの日の演奏が聴衆にあたえた感動の大きさを表すものです。

 この日の聴衆の何人かは彼等の演奏よりもレーヌを聞きたくて来たひともいたはず。彼がメサイアを歌うということは欧米でもほとんどないそうです。確かにこの日は普段より外国人が多かったのもそのせいかもしれません。

しかし彼等もおそらくこのBCJの演奏に満足したことと思います。
彼等のメサイアの演奏を聞くのは今回が二回目ですが、前回は男性のソリストにジョン・エルヴィス等をむかえ、この時も感動的だったことを記憶しています。この時の演奏はCDにもなって世界中で発売されています。

基本的には今回の演奏は前回と変わらないのではないでしょうか。ちょっとエディションが同じかどうかは確認していませんが、オーケストラを最小の編成でおこない、冒頭にバスにより聖書(テモテへの手紙)の朗読からはじめるのは少なくとも共通していたと思います。

 しかし今回の演奏は明らかにこの間の彼等の充実ぶりを示した点において、前回よりはるかに音楽的に充実していたと思います。先月の定期で私が指摘した点についてもかなり改善されていたと思います。

合唱に関してはようやく彼等の進むべき方向性が見えてきたのではないでしょうか、それは先月私達が感動をもって聞いたコレギウムヴォカーレの作られた声とは違う、より人間のもっている自然な声の響きを彼等に聞くことができます。そこに今回小編成(パート6〜7人)によっていても声に厚みを感じたことはとても感動的でした。これでもう少し装飾音の付け方に洗練さが加われば言うことはありません。

オーケストラに関しては以前から充実していましたが、今回さらに磨きがかかっていました、これは恐らく今回の演奏が既に他の場所で何回か行われていることと関係しているかもしれませんが。
それにしても前回と同様島田さんのトランペットはうまい。今回はハレルヤをはじめどうしても華やかに鳴らしたくなるこのトランペットを、むしろ控えめにすることによって逆に響きがホールにみたされるようになり音楽的な表現の掘りの深さを獲得していたことは特筆されねばなりません。このことはおそらく鈴木さんの音楽家としての自信からくるものでしょう。前半トランペットを3階のバルコニーに配置したこともとても効果的でした。

この曲 トランペットの出番が意外に少ないのですが、出番を待つあいだトランペットの二人はステージの上で居眠りしていた(ように見えましたが)これもすごいことです。

 私は数ある古楽演奏団体がやみくもにレパートリーの拡大だけに走り音楽的に未消化な演奏が多いことに危惧を覚えている者ですが、今回のような演奏を聞くとやはりその事を改めて感じます、せめて彼等にはそうあってほしくない、このことはピリオド楽器でもモダン楽器でもかわりません。

 最後にレーヌについてですが、この間のリサイタルも含めてもう脱帽です。あまりに自然にうたうので一見何もおこっていないように聞こえますが、声のコントロールの仕方、装飾音の付け方全てに関して明確に音楽のスタイルに合致していて、どの音域においても響きも含め密度が均一に保たれている。あまりの格の違いに他のソリストはちょっとかわいそうでした。

(けいいち様) (98/12/23) 
 この一文も、先の92と同じく、けいいちさんが「クラシック井戸端会議」の中の掲示板(BBS)「コンサート見聞録」に、上記の日付で投稿されたものです。(ちなみに掲示板上には、12/4のシュタイアーや12/11のアブルゼル&レーヌのコンサートの報告も載っていました!)
 この投稿を初めてBBS上で拝見した時、私の抱いた感想と驚くほど一致していることに驚きました。
 いくつか確認を。まず版の問題ですが、基本的には前回('96)の演奏と同じだそうです。ただ、アリアの一部に若干の差があったそうですが、私にはわかりませんでした。(お気づきになった方がいらっしゃいましたら教えてください!)
次に合唱の人数ですが、メンバー表に掲載いたしました通り、各パート5人の編成であったようです。これは前回よりやや絞り込まれていますね。
 この日の演奏は、今回のツアーでは2回目の演奏です。12/19に相模大野で演奏され、その次の演奏会ですね。ちなみに、相模大野では第1部のトランペットは舞台袖からだったのですが、オペラシティでの3階バルコニー席からの演奏本当に効果的でした。相模大野でAHさんがBCJ事務局長の武田さんに盛んに、「オペラシティでは3階からしかないですよ!」と話していたことも参考にしていただいたのではないかと思います。(ちなみに前回の三鷹公演でも2階のバルコニー席からの演奏でした!) まさしく「天上から鳴り響くラッパ」でした。
 けいいちさん、機会がありましたらこちらの「フォーラム」にも是非お便りをお寄せください。今回は本当にありがとうございました。 (矢口) (99/01/03)

92 《鈴木雅明&BCJ 11月東京定期 》
 
 ここでは11月29日(日)東京オペラシティ コンサートホールで行われた鈴木雅明率いるバッハ・コレギウム・ジャパンのコンサートを報告したいと思います。

プログラム
ヨハン・クーナウ:マニフィカト ハ長調
ヤン・ディスマス・ゼレンカ:マニフィカト ハ長調
ヤン・ディスマス・ゼレンカ:マニフィカト ニ長調
ヨハン・セバスティアン・バッハ:マニフィカト ニ長調
ソリスト
ミア・パーション(ソプラノ)
野々下 由香里(ソプラノ)
太刀川 昭(カウンターテナー)
ゲルト・テュルク(テノール)
浦野 智行(バス)

 私は彼等がカザルスホールで定期的に演奏会をしている頃から聞き続けている一ファンとして、今回発売された「クリスマス・オラトリオ」のディスクの素晴らしい演奏を聞くにつけ とても嬉しく思います。

 鈴木雅明さんの演奏はとてもあたたかく、喜びに満ちあふれ、時に激しさも宿しています。こういった演奏は、先日聞いた小林研一郎さんの指揮に通じるものかもしれません。

 小林さんのマーラー演奏に対してどちらかというと否定的(彼の他の作曲家に対するアプローチまで否定するものではありません)に書いたのに対して、バッハに対するこうした鈴木さんのアプローチには大賛成です(これまた全ての作曲家に対して賛成するものではありませんが)。

 こうした彼のアプローチは、おそらく1950年代のカール・リヒターの厳しさと悲しさのなかに人間の本性を見い出そうとする姿勢の対極をなすものではないでしょうか。
 2000年前のキリストの十字架を信じることによって、今生きている自分自身の救いをえることがキリスト教の本質であるならば、信仰をもつ者が神によって生かされているという謙虚さと大いなる喜び。この謙虚さと喜びを、どちらかというと荘厳さと威厳を求めるヨーロッパのバッハ演奏より、より人間的な温もりを求める彼等の演奏が信仰の本質をついていると言えなくもありません。

 それは彼等の演奏した幾つもの録音が日本の次に聖地イスラエルで売れている事が端的に示していると言えましょう。
ですから彼等が来年早々に行うイスラエルへの演奏旅行が成功することを願わずにはいられません。

 こういった彼等のアプローチがバッハの作品の中で最も成功するであろう曲目で代表的なものは、おそらく前述のクリスマスオラトリオと今日演奏されたマニフィカトではないでしょうか。
それは結果的に予想した通りとても感動的なものでした。

 ですからここで私見で思われたいくつかの点を指摘したとしても、この感動的な演奏の価値を下げるものではありません。

 ひとつはドイツ国内でもその正確な独語の発音がいつも賞賛されている合唱が、最近聞いたヘレヴェッヘ率いるコレギウム・ヴォカーレや以前聞いたガーディナー率いるモンテヴェルディ合唱団と比較すると、特に画一的な響きになりがちな母音の発音に象徴されるように、音楽的に平面的に聞こえてしまう点。
身体的な格差からくる面もあると思いますが、表現のダイナミズムにどうしても欠けてしまう点。
こういった点が時に音楽的な集中力を欠いてしまうところが幾度か見られる事。

しかしあくまでもここに指摘した点は、この分野での最高の団体と比較してのものであり これが彼等の技術が決して劣るということではありません。

 ソリストについては 常連ででているテュルクやコーイといった人たちは大分慣れてきたようですが、今回のように初めて客演する歌手がでてくる場合、どうしても歌唱法の不統一からくるチグハグさがバッハのカンタータ演奏で必要とされるアンサンブルの傷となってしまう点。
これも先日のヘレヴェッヘのフォーレのレクイエムの素晴らしい演奏での、ソリストと合唱の関係などと比較した場合に言えることです。

しかしここでは日本に於てカウンターテナーと言えばイコール米良さんになってしまっている現在、今日の太刀川さんの演奏が決して彼だけではないということを証明してくれたことは特筆しなければなりません。

彼の歌は抑制された表現ながらヨーロッパの伝統を受け継ぐ歌唱は音楽に奥行きと深みを与えるもので、今日のようなドレスデンやライプツィヒを中心に活躍した作曲家の演奏にこれほど適したものはないと思われます。彼が歌いだすと、会場の空気の密度が変わるといった思いを今日はすることができました。

それは絶好調のトランペット(彼等の輝かしくもよく歌うそれは、おそらくヨーロッパにおいてもどこにでもあるといった物ではないでしょう)や充実の通奏低音とあわせて今日の演奏会で最も感動的なものでした。

 私がここで指摘した点はあるいは私の思い違いかもしれません。しかしそれがもし当たっていたとしても、おそらく鈴木さんのような素晴らしい音楽家ならすでにわかっておられることだと思います。
ですから私の言ったことは一ファンのたわごとと思い頂きたいと思います。

(けいいち様) (98/11/30)
 この、けいいちさんの昨年11月のBCJ第36回東京定期についてのレポートは、私がよくお邪魔させていただいているHP「クラシック井戸端会議」の中の掲示板(BBS)「コンサート見聞録」に、上記の日付で投稿されたものです。
 昨年の秋、そのHP、通称「井戸端」の管理をなさっている甲斐さんとお話する機会に恵まれ、BBSに投稿された文章は管理者側では保存していないので、HPを見に来てくださった方がそれぞれセーブされるものしか残らないとのお話をうかがいました。その掲示板には、BCJの演奏会に関する投稿も多く、かねがね注目しておったのですが、そのお話をうかがって、BCJ関係の投稿をこの「フォーラム」に転載させていただけないものかと考えはじめました。そこで、まず現在掲示板に掲載されているBCJ関係の記事について、2つあった該当記事の両方の元原稿がけいいちさんがお書きになったものであったので転載をお願いしてみましたところ、お許しをいただきここに掲載させていただいた次第です。快く転載をお許しくださったけいいちさんに深い感謝を捧げたいと思います。なお、この投稿は掲示板にUPされたものですのでレスポンスもついていたのですが、転載は元原稿のみにさせていただきました。転載ということで、私の判断での太字表記もいたしませんでした。
 文中に出てくるコバケン(小林研一郎)さんに関する部分は、98/11/27にサントリーホールで行われたハンガリー国立交響楽団のマーラー/復活の演奏について、けいいちさんがこの投稿の直前にUPされたレポートを受けてのものです。本日(1/3)、WOWOWでたまたまこの演奏がオンエアされていましたのでご覧になった方もいらっしゃるのでは、と思います。こちらについてもBBSを直接参照していただけましたら幸いです。ちなみに私はコバケンさんの指揮のもとで2度演奏させていただきました(R・シュトラウスの「ツァラトゥストラ」のシンバル@ジュネス、同じくシュトラウスの「ティル・・」とチャイコフスキーの4番のティンパニ@ワセオケ)。とても充実した経験でした。また、マーラーも2,3,5,6,8,9番の交響曲の演奏に参加させていただきました(@ワセオケ、東京マーラーユーゲント、シンフォニカ)。 マーラーについては、けいいちさんのご意見(快い響きを犠牲にしてでも、曲の背後にあるものに迫ろうとするアプローチを評価)に賛成です。私の参加した演奏のうち、5,6,9番で指揮をとってくださった井上道義さんは、まさにそのような アプローチをめざしていらっしゃいました。また、昨年私がもっとも感銘を受けた、ゲルギエフ/キーロフ管のマーラー6番の演奏も、スタイリッシュでありながらマーラーの心象風景を見事にえぐり出したという、希有な演奏でした。
 ふりかえってBCJのバッハ(鈴木雅明さんのバッハと言い換えてもいいと思いますが)も、やはりバッハその人の思いに迫ろうとしているものでしょう。そこでは、雅明さんとバッハに共通する”信仰”が大きな力になっていると思います(カンタータCD第1巻の雅明さんの言葉にそのことがよく表れています)。
 ただ、けいいちさんのおっしゃる「とてもあたたかく、喜びに満ちあふれ、時に激しさも宿している」BCJのバッハが、もしかしたら合わない部分がある曲が、何を隠そう「マタイ」であるのではないかとも思っています。あるいはこれは私の「マタイ」という曲に対する思いこみからかも知れませんが。私の「マタイ」の原体験はやはりリヒターの旧盤(1958年)です。
 BCJの「マタイ」は'91年、'94年と2度聴いていて、いずれも素晴らしいと思ったのですが、最後の最後で心に落ちていかない部分も感じました。あの「マタイ」の終曲を、「ヨハネ」の最後のコラールを聴きながら感じたような共感(これは'95年、'98年ともに感じました)を持って聴けなかったと思うのです。(この両曲が持つ意味はもちろん大いに違っているわけですが・・・。)
 しかし、昨年暮れのNHK-FMの放送で、雅明さんがリヒターの「ロ短調」の1曲目をお聴きになって「いやぁ、やっぱりすごい」とおっしゃって、この演奏を夜が明けるまで何度も聴いたことがあり、芸大の試験でその演奏について問われた時、レコード番号まで答えた、というエピソードを披露された時、何かそこに今回の「マタイ」は何かが違ってくるのかな、という期待を感じました。昨年の「ヨハネ」がそうであったように、さらに一歩踏み込んだ一皮むけた「マタイ」を待ちたいと思います。 (矢口) (99/01/03)

91 《あけましておめでとうございます》
 
 矢口さん、AHさん、鈴木さんはじめBCJメンバーの皆さん、そして全国BCJファンの皆さん、あけましておめでとうございます。今年もまた札幌での公演を夢見つつBCJ三昧で明けました。

 昨年暮に、今まで発売済みの教会カンタータ全てのCDを購入するつもりでいましたが、在庫の関係でVol.4、5、6、7の4枚しか入手出来ませんでした。残り半分は半月後の楽しみになります。その頃には日本語ライナーノーツの付いたVol.8も発売されているでしょう。

 とにかくかのコルノ・ダ・カッチャの音色を真っ先に聴いてみたかったので、早速取るものもとりあえずBWV143から聴いてみました。(以前は針を落とした…と言ったものです)
 疑問が一発で解けました。確かにホルンとは違う、そしてトランペットとは響きの鋭さがもっと違う、どう表現すればいいのか、非常に新鮮な全く新しい音色に接することが出来て大感激でした。ナチュラル・ホルンと違って音階で音色が変わらないのも印象的です。胸につかえていたものが一つすっと解決出来ました。 あとは公演で実際の音を聴くのを待つだけです。 それと是非F管を作って頂いてクリスマス・オラトリオでもご披露願いたいですね。更にロ短調ミサ〜きりがないですね。 …もっと早くにこのCDを手に入れるんだった…。

 島田氏のホームページは、このサイトに投稿を始める随分以前に拝見していましたし、実際の音もダウンロードしていたのですが、小生のただ音が出るだけのノートパソコンでは感動には程遠く、暫く記憶から遠のいていたのです。今になってまたアクセスしてみたところ、確かにBWV143の冒頭のごくわずかなフレーズがアップロードされています。改めて感動したと同時に、インターネットの凄さを見た様な気がします。
 ところで島田氏のホームページの写真にある、朝顔がゆがんでいるとても古めかしい色形の楽器はどんないわれのものなのでしょうか?(試作品?) 島田氏はじめ3名の方が悠然とお揃いで手にされているものは見るからに新品で光っていますが。

 トランペットの魅力に取り憑かれたのは、30年以上も前に聴いた一連のモーリス・アンドレ氏の演奏が発端でした。中でも組曲第2番をフルートの代わりにD管のクラリーノ・トランペットで演奏したものを聴いてからというもの、その音色と氏のテクニックは一発で小生を虜にしてしまったのです。その後、コレギウム・アウレウムのブランデンブルク協奏曲などを聴いて、これはまた全然違うなという印象を大にしてハマり、そして今、島田氏のトランペットにハマっています。(皆川達夫先生のワインにハマり、ホルンにハマり、トランペットにハマり、次々に何にでもハマっていく、なんと節操のないことでしょう。次回はクイケンのフラウテ・トラベルソにハマった体験談でも…Hi)
 現存しない楽器を文献を元に自作してしまうなんてとても素晴らしいことだと思います。こんな男気のあることって最近本当に少なくなって来ましたね。これからも精力的に活躍されることを祈念致します

 バッハの規模の大きい合唱曲に魅せられたのは、かのアンドレ氏が吹いているところの、カール・ミュンヒンガー指揮の「ロ短調ミサ」を聴いて以来です。このレコードはそれこそ完全に擦り切れるまで聴いたのでCDに更新しました。鈴木氏が放送でおっしゃっていたのと同じ様に1日に数回聴くこともありましたので…。(音質は勿論アナログレコードの方が格段にいい) 違うのは鈴木氏のはリヒター盤だったこと。(放送で聴きましたら随分ゆったりした演奏なんですね。)
 それまでは小規模の曲をたまに歌う程度でしたし、レコードも古きアルヒーヴ盤のクルト・トーマス指揮のモテットを手に入れるくらいしか術(すべ)はなかったと思います。
 礒山氏によると、ミュンヒンガーは楽譜(音符)主義の平面的な演奏と言うことになります。確かに世界中から凄腕の演奏家をかき集めた超ド派手でキンキラキンなだけの演奏については今では小生も全く同感ですが、バッハの魅力に取り憑かれたきっかけとしての価値は忘れることの出来ないものです。ただ、晩年に近くなってからのブランデングルク協奏曲全曲を演奏したLDを持っていますが、そこで見るミュンヒンガー氏は、演奏もさることながら、ご自身の風貌、指揮ぶりもすっかり様変わりしていて、若き頃の白獅子のような風貌で「どうだ!これがバッハだ!参ったか!」と言わんばかりの勢いで迫って来ていたのとは随分違った印象を受けました。J=P・ランパル氏も若き頃の洒落た優雅さが抜けてしっとりした老人という印象です。尤も、若き頃の両氏にお会いしたことは勿論ありませんので、あくまでもレコードで聴く演奏と写真からの比較ですが…。

 カンタータ15曲プラス1曲、とても深いところまで聞き込む時間はありません。
 ざっと通した印象ですが、一人一人のメンバーの技量が超一流であるにもかかわらず、アンサンブルの中で飛び抜けて目立つことがない、これはメンバー一人一人の方々が同じ目的に対して同じ方向を見ていることによること、それと全てのアンサンブルをしっかり支え続ける鈴木氏ご兄弟をはじめとする通奏低音、また曲によっては松倉氏の絶妙な素晴らしいリズムと音質のティンパニなどの確かさから来るものだと思います。
 声部に関しては更にその印象がひとしおです。とにかく響きが抜群に綺麗で、発音も流麗。特にドイツ語の詞は韻を踏んでいるので、確かな発音、アーティキュレーションは非常に重要な要素になります。今一度「クリスマス・オラトリオ」をはじめとする一連の詞に目を通してみて下さい。一節一節実に見事な韻を踏んでいることがよく判ります。訳詞で歌ったら音楽そのものに意味がなくなってしまうというのはこのためなのですね。(最近の歌がつまらない、うるさいだけというのは歌詞の構成を無視してリズムのないでたらめな散文にしているからとも言えます。ポップスでもドリス・ディの歌〜センチメンタル・ジャーニーなど〜は英語ですが非常に綺麗な韻を踏んでいますよ)
 更にソリストの確かさコーイ氏、テュルク氏、米良氏(BWV161の出来はどうだろう。とてもこの世のものとは思えない…)、フリンマーさんに関しては今更もう何も言うことはありませんが、鈴木美登里さん、合唱団の一声部からそのまま抜け出してきた様な飾り気のない、それでいて(失礼を承知で言わせて頂ければ)実に可愛らしく、きらきら輝いている声の魅力はたまりませんね(BWV199など)。バッハ歌いはこうでなきゃ!……フォーレのレクイエム第4曲“Pie Jesu”(僕は11種類のCDを持っているが、ここだけはボーイ・ソプラノ以外聴きたくない)を美登里さんのソロで是非聴いてみたい。清楚でとても合いそうな気がするのですが……。そしてシュミットヒューゼンさんもいい
 スコラーズ・バロック・アンサンブルというグループのバッハのモテット全曲を持っています(NAXOS盤)。合唱と言うより、一パート一人のカルテットで歌われています。初めて聴くと小規模な合唱に聞こえます。(2回聴くとやはりカルテットに聞こえますが) BCJも人数的には決して多くありませんが、出来上った音楽の崇高さは、決して人数の少なさを思わせないところで似通ったところがあるかな…などと思ったりしています。

 昨年はあちこちからBCJの演奏会の話題が寄せられていて、見る度に溜息が出てたまりませんでした。札幌では明けて一昨年の「クリスマス・オラトリオ」以来ずっと御無沙汰ですから。
 特に年末の「メサイヤ」についての一連の記事は垂涎の思いで見ていました。神戸、東京はおろか、近いとはいえ仙台までも出向く時間も資金もない、まして“しょっぱい川”(北海道では津軽海峡のことをこう呼びます)を越えると言うことは非常に勇気のいることですので、おいそれと参上するわけには行きません。(中略)
 あきこさん、堀川さんからのお便りを拝見すると、ファン同志の交流もあった様で本当に羨ましい限りです。

 その様なわけで、当分CDでしか接することが出来ませんが、今年も感激の一端を頂戴出来れば…と思っております。(今、偶然バックでBWV143の第6曲が流れています。オルガンのリード管の音色とファゴットの、リード同士のコンビネーションがとてもいいですね。ここのオルガンの音運びを聴いていると、ポリフォニックではないが、通奏低音とはまずどのような役割のものなのかがよく判ります。おっと、終曲のコルノ・ダ・カッチャが聞こえてきました。)

追伸1
一昨年の札幌公演で、第4部、エコーのオーボエとソプラノが舞台下手袖で演奏していたという件については、その後PMFオーケストラの初公演で演奏された幻想交響曲第3楽章でのエコーの印象がだぶっているかも知れません。これは間違いなく舞台上手袖で演奏していました。余談ながらこの時のチョン・ミュンフンの演奏はとても素晴らしいものでした。オーケストラの性格上、とても荒削りではありますが、特に第4、5楽章は既にバーンスタインを超えていると思いますし、更にミュンシュ以上だとも思います。これもBSでの放送を録画して楽しんでいます。
追伸2
昨年末、矢口さんが神奈川で聴かれた翌日、札幌コンサートホール「キタラ」でブライアン・アサワを聴いて来ました。スラヴァの若干軽い歌い方に比べて断然声量はあるわ、(スラヴァはPAを使用=2回ハウリングを起こしたがアサワは生でした)コロラトゥーラ的な歌い回しのテクニックは凄いわで大変感激しました。
 あれはカウンター・テナーやアルトではない、思いっきりメッゾ・ソプラノですね。思わず大好きなテレサ・ベルガンサおばさまを頭の中でだぶらせてしまいました。ただ、聴衆の乗りがいま一つだったのが非常に残念です。
 しかしアサワ氏ご本人は小生のすぐ前、最前列のお嬢さんに出入りの度にウィンクしてご満悦の様でした。因みに彼女は彼氏連れで盛んに照れていましたよ。ウィンクの相手が小生の隣にいた家内でなくて残念。
 アサワはモーツァルトのアリア向き、譲ってモンテヴェルディ:オルフェオのミューズの女神向きといったところでしょうか。バッハには絶対合いません。バッハは断然米良氏か太刀川氏ですね。矢口さんご推奨のレーヌについては26日のBSでの放送を楽しみに待ちます。

 このレーヌの情報や、以前の「ヨハネ受難曲」の放送スケジュールや、昨年末に礒山氏、鈴木氏らがNHK-FMの特集番組にに出演されたなどの情報はとても有り難いですね。

今年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。  1999年元日 

(越野義貴様) (99/01/01)
 越野さん、あけましておめでとうございます。さっそくのBCJカンタータCDレポート(パート1?!)、ありがとうございました。
 やはり、まずはコルノ・ダ・カッチャですね。本文中からリンクした写真のことですが、あれが完成直後のものだと伺っています。3人で撮られた写真松蔭でのBWV143の本番の時のものとのことで、演奏会に向け磨きをかけられた(?)のではないかと思います。早く実際の音を耳にできるといいですね。いよいよ、BCJ北海道公演の署名運動(!)でもしましょうか?!
 ミュンヒンガーは実は私も好きなアーティストの一人で、「音楽の捧げもの」の弦楽合奏版が特にお気に入りです。なんと彼の「ブランデンブルグ協奏曲」のLDは私も持っています。確かにおっしゃるような“老い”の陰も見えますが、そのエネルギッシュな演奏ぶりに感服したクチです。
 ドイツ語の語感を生かしたアーティキュレーションは、まさにおっしゃるとおり。BCJの演奏の最大の美質のひとつだと思います。ソリストについても同感。本当にBWV161の米良さんは特に素晴らしいですね。ちなみに、私はこの第5巻が今のところ一番の“お気に入り”です。何度聴いても飽きません。(まだCDショップに出回っていない第9巻のロビン・ブレイズも早く聴いてみたいものです。)
 フォーレのレクィエムは私も大好きな曲です。生で聴いたコルボの演奏と、昨年秋のヘレヴェッヘ/コレギウム・ヴォカーレの演奏が特に印象に残っています。(ちなみにヘレヴェッヘの演奏のオケは、高田あずみさんがコンミスのレストロ・アルモニコ東京でした。) 今年、都響がフルネの指揮でこの曲を演奏するそうなので、機会があったらうかがいたいと思っています。BCJではさすがにやらないでしょうから、美登里さん、どこかに客演されないでしょうかね。いつか聴きたいものです。
 アサワはすごいテクニックでしたね。私もモーツァルトがもっとも印象に残りました。私は聴きながら、テノールのフランシスコ・アライサを思い浮かべていました。しかし、レーヌとはまったく違うキャラクターでしたね。(ちなみに私はレーヌ初心者ですョ)
 今年も、BCJファンの皆様に少しでもお役に立てるよう努力していく心づもりですので、どうかよろしくお願いいたします。越野さんのBCJカンタータCDレポート第2弾(?)も楽しみにしております! (矢口) (99/01/01)

BCJフォーラム(一覧表)に戻る

VIVA! BCJに戻る