モンゴル紀行その3

その3の1 モンゴルの人々と家畜
大雑把過ぎるかもしれませんが、日本を含めたアジアの民族の多くは米、欧米は小麦が主食となっていると思います。ところが、モンゴルの主食は家畜です。ウランバートルなどの都市部では最近、変わってきているようですが、それでも肉や乳などの製品が主力だと思います。
  
私たちが小さいころから言い慣れてきた食べ物に五穀という言葉があります。米、麦、粟(あわ)、黍(きび)または稗(ひえ)、豆です。特に東北の人々が好きなソバは残念ながら五穀に入っていません。 
  ところでモンゴルには、五畜という言葉があります。モンゴル語では「マル」と言うんだそうですが、財産という意味も含んでいるとか。その五畜とは、馬、山羊、羊、牛、ラクダのことです。ゲルを訪ねると、五畜全部でなくとも三畜か四畜は飼っています。あちらでは五穀は、五畜なのです。

草原に群れる羊や山羊。1500万頭の羊と500万頭の山羊(大寒波で数が少なくなったらしい)が、モンゴルの人々にミルク、乳製品、肉を供給する。加えて羊毛、皮、燃料(糞)なども。とりわけ羊は、日用品を買うお金ともいえる
ゲルの建築に使うフェルトの毛布作
りの作業。羊の毛で作られる。とり
わけ、羊の毛製品は重要な役割を
持っている。
売ったりして重要な生計のカテとす
ほか自分たちの生活にも使う
 牛は、羊、山羊の次に多く飼われているようです。乳製品とか生肉、乾燥肉などの食料品のほか、皮製品の材料となリます。五畜には入っていないが、牛と同属でヤクも飼われています。牛と違ってヤクは、頑丈で寒さにも強く重宝がられているようです。日本のソバというところですかネ。
 モンゴルのラクダは、フタコブラクダです。これはインド、パキスタンに次いで世界3番目に多く50万頭とも言われています。ヒトコブラクダと違って、乳製品や肉が取れ、革製品として使われるそうです。授乳中のメスのコブは脂肪を蓄えられないので垂れ下がっているそうですが、モンゴロイドが乗ったラクダの前のコブが垂れていました。
草を食む牛の傍らで搾乳。牛は300万頭飼われていると言われているが、モンゴルの人々に基本的な食料を与えてくれる。牛乳、ヨーグルト、乾燥クリーム、チーズ類のほか、肉、皮、貴重な燃料も
ゲルを移動するときは、2、3頭のラクダの背に乗せて 次のキャンプ地に移動する。最近は小型トラックで手軽に移動するという。私たちが訪れたゲルでは、あいにく主人は不在だった。「ラクダと8キロほど離れた所に水をくみに行った」と家族は話していたが、ラクダは今も”トラック”として活躍している

ゆうゆうとラクダに乗り、草原の大自然を胸いっぱい吸い込む仙人。「月の砂漠を、は〜る〜ばると、旅のラクダが行〜きましたー」の歌が聞こえそう
1/2