ボリショイ劇場 ファラオの娘


2000年5月19日(金)

配役

アスピッチヤ(ファラオの娘)スヴェトラーナ・ルニキナ
ウィルソン=タオールドミトリー・ベロゴロフツェフ
ジョン ブル(ウィルソンの付け人):デニス・メドヴェージェフ、
ラムゼヤ(アスピッチヤの家来)マリヤ・アレクサンドロヴァ
漁師:イリヤ・ルイジャコフ、
漁師の妻エカテリーナ・シプーリナ
ガダルキヴィール:アナスタシーア・ヤツェンコ
コンゴ:エカテリーナ・シプリーナ
ネヴァ:エリナ・パリシナ、

さる:岩田守弘
ファラオン:アンドレイ・シトニコフ、
ヌビアの王:アンドレイ・メラーニン、
ナイルの王:ヴラジーミル・モイセーエフ
ナイルの王の家来:R.R.アリフリン、A.V.バルセギャン、K.V.ニキーチン、D.G.ルィフロフ、
カリアティード(女像柱):ダリア・グレーヴィチ、イリーナ・ズィブロヴァ、A.M.イヴァノヴァ、オクサーナ・ツヴェトニツカヤ、
神官:アレクセイ・ロパレーヴィチ、
触れ役:R.R.アリフリン、
黒い奴隷:アレクサンドル・ペトゥホーフ
パ・ダクシオン:
アリョーシャ・ボイコ、オリガ・ジュルバ、アンナ・ツィガンコヴァ、アナスタシーア・ヤツェンコ
ヤン・ゴドフスキー、ゲンナジー・ヤーニン、

二人の騎士:A.B.バフチン、D.G.ルィフロフ

音楽:ツェザール・プニー

台本:サンジョルジュ、プティパ

原作:ゴティエ「ミイラ物語」

指揮:アレクサンドル・ソートニコフ

振付け:ピエール・ラコット(1862年のプティパのモチーフによる)

美術と衣装:ピエール・ラコット


ゲネプロとは違って、やはり本番は締まっている。
音楽と舞台とのコンビネーションが完成されていて、舞台上のバレリーナも100% の力を注いでいた。

ただ主役の二人がもの足りなかった。特にルニキナがやはり能面で、それはミイラとしての登場場面ではいいとしても、
夢の世界の王女様なんだからもっとなんとかしてほしい。フェッテでも足元がぐらぐらだし。パントマイムでの「会話」もい
かにも習いました、というレヴェルを越えず、「演技」の域には達していない。思い切り行くのではなく、失敗しないように
小さく固まっちゃっていた。

他方で、アレクサンドロヴァの大家ぶりは見事。
主役の召し使いで、アンドリエンコでみたときにはどうもアスピッチヤを引き立てるためのみじめな役所だなぁ、と思えた役が
生き生きときびきびとして、黒髪のおかっぱ、オリエンタルなエクゾチズムぶんぶんの衣装がぴったり似合うこともあって、華
やかでさえあった。いや、でしゃばって主役を食ってしまうのではなく、「わたしはわたしのバレエ」でそれがきらきら輝いていた。
この役はアレクサンドロヴァのおはこの一つになるのでは、と思わしめる。

このバレエ、音楽の平易さ(プニーはマリインスキー劇場付けの作曲家で数週間でこの大曲を作曲したらしい)、舞台の明るい豪華
さなど、ドンキホーテタイプ(夢をみて王女との恋に落ちるというロマンティックな筋書きはともかくとして)。

部族によるライオン狩りに、緑、赤のチュチュをきたコールドが弓矢をもってたくさん登場するなど、「無理矢理のバレエ化」という
面もないではないが、ボリショイの醍醐味を味わえるという意味で後味のよい舞台でした。


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