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2000年の湖畔日記

2000/01/05西暦2000年のはじまり  皆さま, あけましておめでとうございます. 今年もよろしくお願いいたします. 二千年問題も大きな被害なく無事に年が明けたのは, その万全の対策に尽力された方々のおかげです. 年末年始に泊まり込みや待機の方々, お疲れさまでした. 私の家でも何も問題なく年が明けました. 機械はすべて順調に動いてます. 二千年問題の関係でなくても, 毎年ながら年末年始に休めない方々があります. 受験生や卒業論文を書いている大学四年生, 警察, 消防, 救急医療, 交通, 通信, 障害者の介護に携わる方, などとあげていればきりがありませんけれど, そんな方々のご苦労をお察しします. さて, 私も研究発表の準備に忙しく, 休日らしい気分を味わったのは元日の午前中だけでした. きょうは取りあえず日記を書きましたが, 計画している「水のほとり」の更新はいつになったらできるのかわかりません.

2000/01/06寒の入り  寒の入りにしては暖かい. 昼間は薄曇りでときどき日が射し, 晩になって霧雨. 草木には久しぶりの恵みの水. 乾ききっていた庭の土もよみがえる. 近所の桜の木を見ると, すでにしっかりと蕾ができている. きょうは大学事務局へ書類をFAXで提出. 昼はつれあいと外食. 研究会の発表のことで共同研究者とメールで連絡. 発表原稿を書いたり, そのために調べたり考えたり. 理論がほぼ完成してきたけれども, まだ細かいことをあれこれ考えなくてはならない.

2000/01/07七草の日  七草の日だけれど七草粥は省略. もっとも, 七草粥を食べる日はそもそも旧暦の正月なのだから, いまは季節がちがう. 野に出て七草を摘む時季ではない. さて, 一年の計は元旦にありとか, お正月にはこの一年間の計画を立てたり 何か決意したりするもの. 正月にしても世紀やミレニアムにしても, 連続的に進んでゆく時に対して何か区切りを入れたいのが人々に共通した気持ち. しかし, 私にはこの一年間の計画といったものは思い浮かばず, 去年のつづきの日々. 二十世紀の終わり, そしてミレニアムの終わりだから, この機会に百年後のこと, 千年後のことを思ってみるのも良いだろう. 百年後はある程度想像してみることができる. しかし, 千年後の西暦三千年となると想像すら難しい. 世の中の変化は次第に早くなっているから, 過去の千年を振り返ってみても千年後は推し量りがたい. 新聞の正月特集に西暦三千年をテーマにした短編小説が三つ載っていたけれども, おもしろかったのは一つだけ. 文学者にとっても千年後というのは難問なのだ.

2000/01/08なぜかわからないけれど  何となく暗い気分になっています. 大げさに言えば, 気が滅入ってます. なぜかわかりません. 疲れてるのかも知れません. 研究発表の準備は, 順調というほどではないにしても, 格別の障害もなく進んでいます. 風邪もひいてません. ときどきこういう気分になることがあります. 何かおもしろいことを書こうと思っても, 文章が浮かんできません.

2000/01/09ことば  ことばを連ねて文章を作る. その文章が私の口からあなたの耳へ, あるいは私の手からあなたの目へ, 伝わっていく. しかし, それによって何が伝わるのだろう. 無意味にことばを連ねる人もいる. ことばによって情報が伝わるだろうか. ことばによって心が通じるだろうか. 伝えたいものを伝えるのは難しい.
 学問についてもそういう問題がある. 自分一人, 何かがわかっていたとしても, 学問としての値打ちはない. 発見したことを人に伝えて, 多くの人にわかってもらい, 真理を共有しないと値打ちが生まれてこない. そして, 人に伝えるにはことばを操る力が欠かせない. 人々になじみのない新しい発見や難しい理論は, それを伝えるのがことさら難しい. ことばの力がますます求められる.

2000/01/13研究会  研究会があって, 10日から越後湯沢へ行っていました. 帰って来てしばらくぶりに日記を書きます. 群馬県から新潟県へ県境の長いトンネルを抜けるとそこは雪国のはずなのですが, この時季にしては珍しく雪が少なくて, 豪雪地帯という感じはありませんでした. 外国人を含む三十名近くの数理論理学者が集まりました. 場所は共済組合の施設で, 討論も宿泊も食事も入浴も同じ建物の中. 日ごろは会議やら何やらにわずらわされている人たちも, そういうことを忘れて学問に集中できたようです. 昼間は討論して, 晩は最上階にある展望浴場で夜景を眺めながら温泉に浸り, 充実した日々でした. 私の発表に対してもいろいろ意見や質問があり, 議論が盛り上がったと感じています. 研究会の終わったあとスキーを楽しむ人もいたようですけれど, 私はすぐ帰ってきてしまいました. 早速, 研究報告の手直しなどしています.

2000/01/14朝は濃霧  今朝は珍しく深い霧がかかっていましたが, 晴れてきました. 難しい話に集中していた疲れが遅れて出て来たのか, きょうは朝からぐったりしています. 風邪をひいてないのが幸い. 研究会の報告集の原稿を幹事に送らねばならないので, パソコンに向かっています. 今日中に仕上げて発送する予定. そのほかに近日中に処理しなければならない用事:

そのほか, いろいろあります. 水のほとりの更新も考慮中です.

2000/01/15更新しました  表紙をごらんになって驚かれたかも知れません. いままで表紙に目次をおいていましたが, 英語版を少しずつ充実させていく一つの過程として 日本語の目次, 英語の目次, それぞれを表紙から独立させました. いままで自己紹介のページからだけつながっていた履歴と業績のページへ 目次から直接に入れるようにしました. ダウンロードページの英語版を開きました. 英語版履歴書へ目次から直接に入れるようにしました. ICQページャーのページはやめて, それぞれ日本語版と英語版との目次の下にページャーをおきました. 日本語版はいまのところ変わりばえしませんが, これから考えていきます.

2000/01/17今学期の講義終了, 阪神淡路大震災五周年  朝は雪がちらほら降ってましたけれどまもなくやみました. 今日は東京女子大学へ講義に行きました. 今年初の講義で, しかも今学期最後の講義. 平日と思っていた10日が祝日で, 年が明けたら一回だけしか講義できない. そういうことに気がついたのは昨年暮れのことで, ちょっとあせりました. ともあれ今学期の講義はどの科目も終わり. つぎはレポートの採点というつらい仕事が待ってます. 今日はまた阪神淡路大震災からちょうど五年目. 追悼式のようすをラジオで中継してました. 某議長の舌足らずな追悼の辞など聞きながら, 亡くなった方や遺族の方の無念を慰めようもない無力さを感じました. 復興はまだ途上, 苦難の道であろうことを想像しました. 兵庫県西宮市に暮らしていたこともあり, 人ごとでなく感じます. 新幹線の高架橋が落ちて阪急電車の線路をふさいでしまった あの場所のすぐ近くに住んでいました.

2000/01/21また研究会  昨日まで研究会がありました. 会場は目黒区駒場の東京大学大学院数理科学研究科. 証明論の研究会です. 先週の越後での数理論理学の研究会とテーマは似通っていて, 両方の研究会に参加した人は私を含めて少なからずいます. おもしろい話も聞けました. 「永島の問題」つまり私がある研究会で提示した未解決の問題を, 若手研究者が解決してくれました. 自分の問題の意義や解決を聴くのは, くすぐったくもあり, うれしくもある, そんな気持ちです. とにかく, その問題の解けたおかげで, 私の理論について いろいろなことがわかってきました.
 きょうは二十四節気の大寒. 暦どおり寒くなりました. 冷たい北風が吹いています. 雪国では大雪とのニュースです.

2000/01/24学期末レポートの山   きょうのニュース:
#きんさん, 百七歳の大往生.
#吉野川可動堰の賛否を問う住民投票で投票率が50%を超え, 反対票が圧倒的多数.
#エクアドルの政変. 前副大統領が大統領に. 先住民組織と軍によるクーデターらしいが, 先住民の人権の守られる政権になるのだろうか.

 さて, 暖冬といってもさすがに一年でいちばん寒い時季のいまは, やはり寒い. 昨日は頭痛で仕事もはかどらず, 日記も書かず, こたつに入ってぼんやりとしてるうちに一日が終わってしまった. きょうは回復して, 仕事. 学期末の採点, 共有知識の論理の研究, データの整理, そのほかいろいろ.
 採点はなかなか気が疲れる. レポートを書いてくれた学生たちの気持ちを思えば, 一言一句もおろそかには読めない. 厳正にしかも温情をもって臨まねばならない.

2000/01/27読めない   寒いですね. 西日本でも雪が降ったとか. あいかわらずレポート採点中です. 疲れます. 読めないのがあるのです. 二〜三回読み返してみても意味のとれない文章に悩んでます. 書いた当人はもしかしたら数学がわかっているのかも知れない. しかし, わかっているのかいないのか, それが伝わってこない. わかっているなら, 何をどう理解しているのか, しっかりと伝えてほしい. わかっていることが人に伝わり認められてはじめて, 学んだことに価値が生まれるのではないでしょうか. 日本語の文章を書く力の足りない人が多いのは困ります. 客観的な事実や自分の考えがはっきりと伝わる文章を書くこと, それはどんな分野でも大切なことでしょう. いま, 若い人たちは, 文章を書くことについてどう教えられどう学んでいるのでしょうか.

2000/01/28文章を書くこと  文章を書いて人に何かを伝えることは大切だけれど難しい. 書くことにはそれなりの訓練が欠かせない. 遠い遠い昔, 人類はことばを発明した. それはもちろん話し言葉であった. 文字が発明されたのは, ことばの発生とくらべたらはるかに新しいことで, わずか数千年前のことに過ぎない. しかも, 文章を書くというのはごく一部の専門家の仕事であった. やがて印刷術の発明があったり教育の普及で識字率が高まったりして, 誰でも読み書きするようになってきた. 読み書きは文化であるから, 本能でできるものではなく, 訓練が必要である.
 さて, かつては大勢の人に読まれるのはおもにプロの書いたものであったが, インターネットのおかげで, 素人の書いた文章を多数の人に読んでもらえるようになってきた. この変化の影響は計り知れない. 書く能力がますます問われるであろう.
 書く力をつけるために何が望ましいだろうか. 私は国語教育や作文指導について特別の知識を持ち合わせない素人だが, 書くことの訓練の大切さは痛感している. 初等教育で, 感想文のような主観的なものよりも, 客観的なものを書かせるのがよいのではないか. 心の内面を人に見られたくない恥ずかしさで書けないとか, 自分の心で感じていることをことばでうまく表せないとか, そういうことが妨げになって作文の書けないことがある. 客観的な物事を論理的に伝えるのは, 必要なことでもあり, 書く訓練の題材として好ましいものでもあると思う. たとえば, 駅から自宅までの道順を地図なしで説明するなどというのは, 物事を簡潔に正確に伝える練習にふさわしいのではないか. 住んでるところは地図も写真もなく文章だけで私の住んでる地域のことを伝えようとする試み.

2000/02/01二月  月日の巡るのは早いもの, 二月になりました. 月半ばには水のほとり開設2周年になります. 長らく準備中のままになっているページを何とか開きたいと思ってはいますが, なかなか時間にゆとりがなくてまとめかねています. 数理論理学のページについては, HTMLで数式の書けないという問題もあります. 画像ファイルにすると手間がかかりますし, 場所をとります. 水のほとり全体のファイルサイズはすでに基本料金で借りられる5MBを超えていて, 写真などはどこか無料プロバイダのサーバに移そうかと考えています. リンク集のリンク切れもかなりあり, 更新しなければいけない状況です. 仕事が一段落したら少しずつ改訂作業をおこないます. どうぞ気長に待ってやって下さいませ.

2000/02/02春近し  朝の風は冷たいながらも, なぜかほのかに春を感じさせます. 寒さの中でも桜のつぼみがふくらんでいます. 小鳥のさえずりも春の近づくのを告げているかのようです. 忙しい中でも季節を感じられるのはうれしいことです. 勤めていたころとくらべて心にゆとりがいくらかできた気がします.

2000/02/06日曜日  今学期の講義が終わって採点期間に入り, 曜日とかかわりない日々です. 日曜日といっても休む日という気分になりません. あいかわらず机に向かって, 共有知識の論理の仕組みをあれこれ考えたり, レポートを採点したり, 本を読んだりしてすごしています. 採点を終えたいけれど, はかどっていません.

2000/02/08妙な日本語  どうも気になってしょうがない.
# 商品を取り寄せてもらった電気屋さんから入っていた留守電 「ご注文をいただいた××のが入荷のを いたしましたので・・・」. ついでながら「を」もよけいですね. 「ご注文いただいた××が入荷いたしましたので・・・」と 言えばいいんじゃないだろうか.
# ファミレスで, 「こちら日替わりランチになります」. 会計のとき「二千円からお預かりします」. コンビニやスーパーでも言いますね, 近ごろ.
# 朝×新聞, 写真に添えた短い説明の記事, 文章が舌足らずで, 何がどうなってるのかさっぱりわからない.
こういうことがいちいち気になるのは年をとったせいだろうか?

2000/02/10日記の題  いままでただ「日記」としていましたけれど, 「湖畔日記」と名づけることにしました. あちこちのサイトの日記を見て回っていると, 気の利いた題のあるのをよく見かけます. 去年, あるオフ会のときの自己紹介で, ウェブ日記を書いてる人はその題名をいうことになりました. そのときも, 題のある方がいいなあと感じました. 「題があるからダイアリ. しかし私のはダイナシ」と自己紹介しました. さて, 題を選ぶのに迷いましたが, 日記の内容を特徴づける題にせず, 湖のほとりで育ちいまも湖の近くに暮らしてることにちなんで, 「湖畔日記」と決めました. 湖畔日記を末永くどうぞよろしく, ご愛読下さい.

2000/02/12討論に出かけました  書こうと思っていたことはあれこれあるのですが, きょうは疲れてしまって文章がまとまりません. 異分野の人と討論してきました. その成果はあったと 思いますけれど, 大塚まで出かけて, 討論して, なんだかぐったり疲れてます. 通勤ラッシュでもないと 思いますけれど, 帰りは駅も電車も人でいっぱい. 風邪をひかぬように願いながら, 寝ます.

2000/02/13伝統文化としての数学  晴のち曇. 昨日の疲れを持ち越してます. しかし幸いに風邪はひいてません. さて, 学生のレポートを採点していて感じたこと. 数学というとあたかもできあがったもののようにただ 公式や定理を記憶し計算や解法に習熟するという教育を受けてきていて, 人間が数学を作り上げてきた歴史がその背景にあることに気づかずにいる, そういう学生が多いようです. しかも, 数学はすべて西洋で生まれて日本人はそれを受け入れているだけと 思いこんでいたりして, 江戸時代に日本独自の数学が発展していたことを 私の講義ではじめて知って, 感動したという感想がかなりあります. 江戸時代の数学というとそろばんだけしか思い浮かべられない人が多いのでしょう. 独自に無限級数や定積分などの概念を創り出して駆使し, 行列式の理論などは 西洋に先んじて発見していた江戸時代の数学者たちの努力の成果が, いまはほとんど教えられていないようです. 誇るべき伝統文化を大切にしたいと思います.

2000/02/15春のきざし  庭にふきのとうが二つ出ました. 春のきざしを感じます. 強い風が吹いていて, 麓の平地は土ぼこりが舞い上がり, 茶色の煙のようです. しかし, 坂を上がって来ると, 雑木林に遮られて土ぼこりが飛んできません. ありがたいものです.

 オホーツクは流氷, そして日本海側の各地は雪だそうです. こちらにもまた寒気が流れてくるのでしょう. 雲が強風に流されて晴れたり曇ったりの一日. 山々の稜線がくっきりと見えていました.

 相変わらず採点の傍ら「共有知識の論理」についてあれこれ 調べたり考えたりしています.

 江戸時代の数学のことがほとんど教えられてないようだと前回書いたのですが, 高等学校の日本史の教科書に「関孝和」もその著書「発微算法」も ゴチック体で書いてあったとのご指摘がありました. なるほど, 学生のレポートを見ても, 関孝和の名前だけは知ってる人が多いようです. 高等学校の教科書のことは調べなかったのですが, 日本史で教えられているとしても, もしセキタカカズ, ハツビサンポウと暗記してるだけとしたら, 悲しいことです. しかし, 発微算法の内容は程度が高すぎて, 日本史の授業の中で説明するのは無理でしょう. 和算のことをどう教えるか難しい問題ですけれど, 関孝和たちがどんな努力をして何を成し遂げたのか, 少しだけでも知っていてほしいと願っています.

2000/02/18採点がすんだ  採点と集計を終えて, 今学期の成績を大学へ提出してきました. 集中してきた仕事が一つ片づいて, ほっと一息.

 いつもちょっと不思議に思うのは, パソコンで点数を集計し整理してプリントし, それを成績記入用紙に手書きで書き込むこと. 大学の事務局ではそれをまたキーボードを打ってコンピューターに入れているはず. 履修してる学生の名簿も, 紙で渡されて自分でパソコンに入れ直してます. ネットインターネットで成績を送信するには暗号システムを整えるなどの 準備が必要ですぐには実現できないでしょうけれど, せめてフロッピーでやりとりできるようになると便利です.

 これから所得税の申告の計算など始めます. 申告の受付がすでに始まっていますけれど, 源泉徴収票がようやくそろったところ. 税金の計算は苦手ですけれど, 仕方ありません. 「数学者だから税金の計算が得意だろう」 などととんでもない誤解をしてる人がまれにいますけれど, 数学者は計算屋ではありません. 数値を扱うのに慣れてるわけでもなく, 税金の制度に詳しいわけでもありません.

2000/02/20小雪の降る週末  関東に雪が積もるかも知れないという予報に用心してましたけれど, 小雪がちらついて, 積もることもなく, いいお湿りでした. 乾きすぎていた空気が湿り気を帯びて, 杉花粉の飛ぶのも インフルエンザウィルスのはびこるのもおさえてくれることでしょう.

 疲れがたまってしまったようです. 朝起きたときからぐったりとした疲労感. 仕事のはかどらない一日でした.

2000/02/21原人の遺跡  五十万年ほど昔の原人の遺跡が見つかったという大ニュース. 埼玉県秩父市の小鹿坂遺跡で出土. 小屋を建てた柱穴と見られる五つの穴が二組. そして石器. 石器の素材は関東地方では産出しない石ということで, どこからどのようにもたらされたものか興味を感じます. 五十万年前というと家を建てていた例はほとんど知られてないらしく, 小屋が住居かどうか問題で, 倉庫などの可能性もあるとか. 私には住居に思えます. 定住でなく一時的なものであるにせよ, 人々がその中で休んだりしていたのではないでしょうか. 建物の向きのことを新聞でもテレビでも取りあげてませんけれど, 新聞に出ている図を見たところ, 柱の配置は正五角形でなく南の二本の間隔が大きくなってます. つまり二戸とも南向きに建ててあったと思われるのです. いずれ専門家が解明してくれるでしょうが, 夢のある研究ですね. 日本文化は過去五十万年にさかのぼれるかも知れないという楽しみ.

2000/02/22猫の日とかY2Kとか  2000年2月22日と, 2が四つの日. 222年後は2が七つ並ぶのですが待てません. ところで毎年2月22日は猫の日だそうです. にゃーにゃーにゃーというしゃれで決めたらしいです. また話題は変わりますがY2Kで用心しなければならない2月29日まで あと一週間. 日付が一日ずれてしまうとか, 29日の分の予約が取れないとか, そういう問題の起きないことを願っています. 四百年に一度の閏日を経験できることを祝う余裕がありますように.

2000/02/23ちょっと更新  昨日は股関節がかなり痛みましたけれど今日は和らいでいます. 少々頭痛もあります. 今日は古紙リサイクル日. 段ボールや広告ちらしなどを縛って集積所に出してきました. 毎度ながらつぎつぎたまるものです. 税金の申告のために領収書などを整理して集計したりしています.

 「水のほとり」も先週は開設2周年を迎え三年目に入りました. 相変わらず工事中や準備中のページがあってすみません. リンク集を少しばかり手直ししました.

2000/02/25申告書書いてます  昨日は夕方に少し雪が舞いました. 夜は強い風が吹いていました. 今日は風がいくらか弱まったものの, 寒いです. 所得税の面倒くさい計算をほぼ終えて, 申告書用紙に書き込んでいます. おもしろくないです. わかりにくいです. わずらわしいです.

2000/02/26二二六事件の日  寒いです. 雪が降るという予報だったと思うのですけれど, まだ降っていません. あの二二六事件の時は雪だったそうです. 二二六事件が起きて母は恐ろしかったといってますが, 私にはもちろん記憶がありません. 第二次世界大戦についても, 経験してきた私たちまでの世代と, 話に聞いたり本で読んだりしただけの若い世代と, 認識に何らかの違いがあり得ることでしょう.

 所得税の申告書を書き上げました. 去年から表計算ソフトで計算してるので, 電卓で計算していたときとくらべるといくらか楽になりました. 確定申告の用紙や説明書をもっとわかりやすくしてほしいといつも思います. しかし, とにかく税金の計算から解放されてほっとしています.

2000/02/29閏日  元日についで二千年問題の起きることの懸念されていた閏日. やはりありましたね. 郵貯のATMや気象観測のアメダスの障害. 対策に当たった方, 万一に備えて待機した方, お疲れさまでした. 今年を1900年と誤認した場合, 2000年と認識していても閏年の規則が正しく処理されてない場合, いずれの場合にも問題は起き得るわけです. グレゴリオ暦の置閏法は,

西暦年が4で割り切れるときは閏年で割り切れないときは平年, ただし例外として西暦年が100で割り切れるときは100で割った商について 4で割り切れれば閏年で割り切れなければ平年
という決まりになってます. 「西暦年が4で割り切れるときは閏年で割り切れないときは平年, ただし例外として100で割り切れる年は平年, さらに例外の例外として400で割り切れる年は閏年」と 説明されていることがあります. 同じことでも, 例外の例外などといわれるとわかりにくくて混乱のもとと思います. もっとも, グレゴリオ暦が最初に制定されたときには 置閏法がどんな説明になっていたのか, 確かめていません. 上に書いたのは小学生のころに何かで読んだ記憶に基いてます.

2000/03/01三月  我が家のパソコンなどは問題なく昨日は2月29日, 今日は3月1日になってます. まだ寒いですけれど, さすが春三月ですね. 木々の梢のかすかに淡い緑を帯びてきているのはうれしいものです. 風邪気味ですけれど熱がないから流感ではないと思います. 「水のほとり」の表紙が見苦しい暫定版のままですみません. 日本語版と英語版との振り分けをどうしようか迷ってます. HTML4ではフレームが正式に採用されたらしいので, いままで避けてきたフレームを取りいれようかとも思ってます. それでもフレーム非対応のブラウザへの対応など, 問題はあります. もうしばらく考えさせて下さい.

2000/03/02警察のあり方  拉致されて九年間も監禁されていた女性が救い出されたときと たまたま同時だったのがきっかけで, 警察の監察というのがどういうものなのかあきらかになってしまいました. 温泉旅館に招いて酒でもてなした上に賭け事までしていたとは許せないと, 厳しい処分を求める声が高まっていると伝えられてます. 退職金を辞退するとかいう話もでてますけれど, そういう問題じゃないでしょう. 新潟県警の場合は偶然にも女性救出と同じ時だったことから, 監察の実態があらわになってしまいました. 厳しい処分をおこなえば, 関係者は「不運だった」と感じることでしょう. そして新潟以外の監察については闇の中です.

 大切なのはむしろ警察のあり方, 警察に対する監察のあり方を 根本的にあらためることでしょう. 新潟県警のこともあの偶然がなかったら知られることはなかったわけです. 監察の行われている状況について民間に情報を公開するのが民主主義の基本. それには, 監察するときに民間人の立ち会いなどあってもいいのではないか, オンブズマンのような制度はできないものか, 検討することが求められます. 処罰より再発防止の方が大切だと思います. 制度を改めることにも困難はあろうと思います. 役人でない民間人の立ち会いが望ましいとはいえ, 警察の仕事に理解のない素人が, 警察の仕事ぶりをどこまで見張ることができるでしょう. 企業のモニターでさえ, 会社の業務を理解せずに見当違いな意見を言ったりすることがあるようです. 難しい問題であることはよくわかります. それでも, 民主主義のためには行政を主権者たる人民が見張る必要があるのです.

2000/03/05介護保険  四月から介護保険の制度が実施になります. 様々な問題が指摘されていても, とにかく始めるということです. 細かいことが具体的に決まってなくても, 取りあえず強行する, それが内閣の方針なのでしょう. 母の入所してる特別養護老人ホームでも, いままでは行政措置で入所していたのが, 介護保険による契約に変わります. 特別養護老人ホームへ行って母を見舞い, そのあと施設の方から説明を受け契約の手続きをしてきました. 母はこの前訪ねたときとくらべて気分が良さそうで幻覚もなく, 話を交わすことのできる状態でした. 会いに行った甲斐があり, 幸いです.

2000/03/06気になること
#警察の信頼回復をなどと言ってるけれど, 不祥事の明るみに出る前は信頼されていたと思ってるのだろうか.
#電話を掛けてきて, 留守電の応答が始まると 何もいわずに切ってしまうのが多い (うちはいつでも留守電).
#才能って何だろう. 頭がいいってどういうことだろう.
#モザンビークの大水害, ティサ川 (ハンガリー第二の河川) の汚染.
#今日は箇条書き. 疲れてるときはこの方が書きやすい.

2000/03/07春休み?  期末レポートの採点も所得税の確定申告も介護保険の契約も終えて, 春休みに入った気分. 大学に常勤で勤めていたときは, この時期は入学試験の採点などに追われて春を感じたことがありません. 会議と入学試験とのない三月, 梅の花や草の芽吹きや小鳥のさえずりに春を感じています. ほっと一息ついて, さて, 今月中にやらなければいけないことを書き出してみたら, あるある. 年度末だからやらなければならないこと, たまたまこの時期になってしまったこと, それに, 以前から気に掛けながら忙しくてつい延び延びになってきている雑務, これから一つずつ片づけていきます.

2000/03/08学歴と才能と努力と  頭のいい人が好きということをくりすさんが日記に書いていた (2000/03/03 学歴と恋愛). その日記でくりすさんは, 頭のいいのは学歴とは必ずしも一致しない, しかし高学歴の人を努力家なのだとは思う, という趣旨のことを書いている. ところが 学歴の高い人は努力家だというのは偏見だ という意外な反駁が出た. このほかにも同じような反論があったらしい. 私にはどうも納得できない. くりすさんの文章を読んでその全体を理解した上での批判なのだろうか. いずれにしても, くりすさんに対する批判の論理が私には理解できなかった. どういうことを偏見というのか, 彼らなりの思想があるのだろうけれど, 私にはその辺のことが把握できない. とにかく意外だったのは努力家だと言われることを好まない人たちが かなり居るらしいという事実. 私は努力家と言われたら喜んじゃいます.

 研究者に限ってみても, 類型的には, 才能の人と努力の人とがいる. 才能のある人が努力してないという意味ではない. 才能のある人も学者になるには努力が必要なはずだが, 才能のない人でも努力して研究の成果を上げることができる. 江戸時代の数学者関孝和は驚くべき独創性を発揮した才能の人だが, その弟子の建部賢弘 (たけべかたひろ) は努力の人で, 自分の才能は師の十分の一もないけれど努力によって師を超えることができた と述べている. 円の直径と弦の長さから弧の長さを求める問題, 現代的にいえば逆三角函数の値を正しくあらわす式を作る問題だが, 関が近似式しか作れなかったこの問題に対して, 建部は努力を重ねて正確な無限級数展開を発見している. なお, 後にヨーロッパでもオイラーが同じ式を発見している. 私は努力家の建部が好きで, 努力で数学をやってます.

2000/03/09鉄道事故の報道  営団地下鉄日比谷線で脱線衝突の大事故があった. 事故の原因は究明中でまだあきらかになっていない. 報道で, 鉄道に関する知識のないままに, 見当違いなことや間違ったことを伝えているのが気になる. はじめから何でもかんでも知っているなどということはあり得ない. 知らないのは罪ではない. 専門的な知識が必要になったとき, どこで調べるか, 誰に聞くか, そういうことがわかっていればいい. しかし, 新聞もテレビも, 鉄道のことを調べようとつとめたのだろうか?
ブレーキ 某テレビでブレーキを「踏む」といっていたけれども, 電車のブレーキは手で操作するものである. 調べもせずに自動車から類推してはいけない.
過密ダイヤ 漠然と過密ダイヤだといってるのではないか. 過密というのは, 線路容量つまり時間あたり何本の列車を通せるかの限界に対して 実際の列車本数がそれを超えてることを言う. 線路容量は信号機の種類や間隔などさまざまな要素によって決まる. ダイヤと線路容量とを比較してみたのだろうか. さらに, 過密ダイヤが事故原因に関連して問題になるのは追突などの場合であって, 今回の事故はダイヤが過密かどうかには関係ない.
軸箱 台車の重要な要素の一つだが, 某新聞の説明は全く間違っていた.
アルミ車体 脱線した車両は, 車体がアルミ合金製だった. 衝突した相手の車両はステンレス製の車体. 強度が違うからアルミ車体の方が損傷が大きかったけれども, アルミ合金製が危険であるかのように論ずるのは適当でないと思う.
脱線後も暴走 脱線したまま数十メートルも暴走したと, そのことが問題であるかのような書き方を見た. しかし, 脱線した瞬間にすぐ止まるのは正面衝突とか転覆とか よほどひどい事故の場合だろう. 脱線してすぐに非常ブレーキをかけても, 停止するまでに惰力で数十メートル〜数百メートルは走ってしまうものだ.
運転士が気づかなかったか 運転士が脱線に気づかなかったのかを 問題にしていたテレビ報道もあった. しかし, 今回の事故に関しては運転士が脱線にすぐ気づいたとしても, 状況は変わらなかったであろう.
ほかにも気になることはあるけれども, あまり技術的なことに立ち入らずに切り上げよう.

2000/03/12久しぶりの雨  三月にしては珍しく雨が少なく, 空気も土も乾ききっていたところへ, 昨夜から今朝にかけて雨が降り, しっとりとしました. 恵みの雨です. 吸い込んで気持ちのいい空気でした. 減っている多摩湖の水もまたふえるでしょう. 草木の芽吹きも進むことと思います. 杉花粉や流感ウィルスはおさまると期待してます.

2000/03/20春分  木々の芽吹きなど春の感じられる時季になりました. 朝から強い風が吹いてましたけれど, 春一番ではないそうです. 北国からは雪の便り, 南からは花の便り, 狭くてひろい日本です. 天文現象に応じて決まってる祝日は, 日本では春分と秋分だけですね. 土曜日からの三連休だった方も多いことでしょう. 休み返上で年度末の仕事に追われていた方も少なくないと思います. 私も何となく忙しかった上に18日には頭痛がひどくて, 湖畔日記の更新が滞ってしまいました. ネタはいろいろあるのですが, 書く気力がありません. 新学期になる前にATOKやTeXを新しいのに入れ替えておきたいのですが, 作業がはかどっていません.

2000/03/30春の学会  日本数学会の年会が開かれていました. 最終日の今日, 私の研究発表も無事に終えました. おもしろい話がいろいろ聴けて楽しい学会でした. 今世紀の数学思想を振り返りつぎの世紀への展望を語るなど, 歴史的な観点からの話がありました. 久しぶりに会う人たちとの討論や雑談も楽しいものです.

 日記を長く休んでしまってすみません. これからは少しずつでも毎日何か書こうと思います.

2000/03/31鉄道事故の報道についてふたたび  地下鉄の脱線衝突事故から三週間が過ぎて, あの事故も話題にならなくなった. 脱線の状況は車輪がレールにせり上がって乗り越えていること, いくつかの原因の重なった「競合脱線」と考えられ, 解明に時間がかかるだろう, などということまでは報道されていたけれども, そのあとこの事故の話はほかのニュースのかげに消えていってしまった.

 カーブを通過するときに車輪がレールにせり上がった状況については 各新聞やテレビとも模型や図解を使って説明していて, わかりやすく伝えようとする努力は認めるけれども, 何かが欠けてる. あの説明で理解できた人がどのくらいいるだろうか. 電車が線路のカーブを通るとき, 正常にはどういうふうに通るのか, そのこととの対比が必要なのではないか. 自動車とちがって舵を取るわけではないのに, 電車はなぜ線路のカーブに沿って曲がっていくのか, その説明がほしかったと思う. その仕組みを知っている人にだけわかる報道ではなかっただろうか.

2000/04/02新年度  退職して二年になりました. 入学したとき, 就職したとき, 職場が変わったとき, 結婚して引っ越したときのことなど思い出します.

この春もまた, めでたく卒業した人, めでたく就職した人もあれば, 志望の学校に入れなかった人, 仕事が無くて困ってる人もあります. 仕事はあるけれどもむやみに忙しい人もいます. 困難の多い新年度ですけれど, 皆さまが幸せに過ごせますように.

今年度はいろいろな制度が変わったりします. まず, 介護保険. 問題を残したまま見切り発車です. それから, 年金の改悪. 道路交通法では自動車のチャイルドシートの義務づけ. なぜ乗用車には必要でバスには不要なのでしょう. リサイクル法, これは建前としては環境に好ましいことのはずですけれど, 具体的にどういうことになるのでしょう. さまざまな不安を抱えて新しい年度が動き出しました.

2000/04/04雨と三月  何となく忙しく, 何となく疲れてます. 何となく元気がありません. 天気が下り坂ということと連動してもいると思います. 夜になって雨が降り出しました. 菜種梅雨とよばれる春の雨が始まったのでしょうか. 草木には恵みなのだから喜ばなくてはいけないですね. 先月は雨が意外に少なかったと思います. 東京の三月という季節はとかく雨の日ばかりで暗くて陰鬱で, 私は好きでないのですが, 今年の三月は雨が降らず乾燥していましたし, 日射しも信州の三月を思わせる明るさでした. 多摩湖の水位が日に日に下がって行くのはちょっと心配でしたけれど, 私には三月とは思えない心地よい一月 (ひとつき) でした.

2000/04/05いろいろたいへん  有珠山の噴火でたいへんなときに総理大臣が入院して執務できず, 内閣総辞職. つぎの組閣までは官房長官が臨時首相代理. 危機管理に問題はないのだろうか.

話変わってアメリカでは某ソフト会社が敗訴. ブラウザもOSの一部分だという言い分は独禁法にふれるらしい. 何もかも窓に飲み込まれてしまう状況から解放されるのだろうか.

2000/04/06配偶者を何とよびますか  人と話してるとき自分の配偶者のことを何と言いますか? 夫が妻を「家内」とよんだり妻が夫を「主人」とよんだりするのが 主流でしょうか, かなり多いように思います. ごく親しい人に話してるときなら名前をいうことも考えられますけれど, そうでない場合は名前だと「奥さんですかお嬢さんですか」などと 問い返されるかも知れません. やはり一般的な呼び方が必要です. 「家内」は昔から使われていたのでしょう. 「愚妻」も昔からあったのでしょうけれど耳にしなくなりました. 「主人」は意外に新しいようです. 敗戦後にひろく使われるようになったと 聞いたことがあります. 戦時中から敗戦直後までは, 商店などのおかみさんだけが「主人」とよんでいたと 思います. つまり妻に対する主人でなく店の主人という意味だったのでしょう. 勤め人の家などでは妻が夫をさして「主人」とは言わず, 姓を言っていました. 子ども心にも, 妙な言い方だなあと思ってました. 自分も夫と同じ姓なのですから. いつの時代からの習慣か知りませんが, 家の概念が感じられます. その姓を名乗る家を代表してるのは夫で, 妻は付随してるに過ぎないというような感じがします. 婿取りした家でもこんな言い方をしたものでしょうか.

私はなるべく男女の区別なく使える言葉がいいと思ってます. また, 夫婦の関係を封建的な家の概念に結びつけたくないと思います. 万葉の時代には「つま」が男女どちらにも使えたのですから, 復活させたいと思いますけれど, 漢字の「妻」を当てるようになった結果か, 現代語では「つま」というと女性の方だけを意味してしまいます. 女性の配偶者は「つま」, 男性の配偶者は「おっと」というのも 悪くはないでしょうけれど, 何となくなじめません. あれこれ考えたあげく, 私は「つれあい」をおもに使ってます. 相手がそれに違和感をもちそうなときは妥協して「家内」とよんだりもします. つれあいはこういうことを気にしないたちで, 友人などに対して私のことを「主人」とよんでいます.

2000/04/07入学式の季節  花曇りです. 満開に近い桜. 小中学校の入学式と新学期. 春の交通安全運動. いつもながらの四月初め. 私の仕事も新学期の授業の準備. その合間に, 「水のほとり iモード版」を作ってみました.

さて, 日本では四月から学年が始まるけれども, 外国では九月に始めるのが多いはず. 海外との人の行き来の多くなったいま, 九月のほうが便利という意見も多いらしい. 学年初めを九月にすることに対する反対意見として, 入学式は桜の咲く時季に行うのが伝統だという主張がある. そういうセンチメンタルな思いが 学年度の始まりを決める根拠になるのかという疑問はひとまずおいて, 四月の入学式のころに桜の咲いてる地域というのはどのくらいあるのだろう. 私が北信濃の小学校に入学したときは, 根雪の消えたばかり. まだ草の芽吹きもなく, 桜などもちろんほころびてもいなかった. 雪の残る妙高山から吹き下ろす冷たい風に凍えていたのを思い出す. 入学式の時期と桜の時季とが土地によってはちがっている. 方言のちがいのようなものだろうか. 日本はひろい.

2000/04/09キャベツ  キャベツの花をご存じですか?近所で咲いてます. 去年から植えてあったキャベツが, 冬になっても巻かないなあと思って見てました. 春になったら薹 (とう) が立って, つぼみが出て来て, いま花盛りです. 花だけ見れば黄色のふつうの菜の花です. アブラナの花と見分けがつきません.

2000/04/10花に嵐  満開の桜が雨に打たれてます. 今夜は荒れ模様になるとの天気予報なので, 散ってしまわないか気がかりです. 今週から新学期の授業を始めなければならず, 毎度のことながら何をどう教えようか迷って悩んでます. 春休みの間に家の中を整理したりパソコンのソフトを更新したり 水のほとりを模様替えしたりしたい, などと正月ごろには考えていたのですけれど, ほとんど果たせぬまま新学期を迎えることになりました.

2000/04/12春の一日  桜があまり散らず雨風に耐えていました. 夜桜と月との美しい晩でした. 今日は汗ばむほどの暖かさ. 雑木林の新緑の色が心を和ませてくれます. パソコンの中を整理したり, 棚に積んである資料や書物を整理したり, 何となく忙しいのに, 何もしないうちに一日が終わっていく, そんな感じです.

2000/04/14ゼミ開始  一橋大学大学院のゼミナールが始まりました. 多摩モノレールとJR中央線とを乗り継いで国立 (くにたち) まで行って来ました. いろいろな専攻分野の若い人たちが, 私たちの創った理論を学ぶために集まってくれるのはうれしいことです. 国立駅から一橋大学へ向かう大学通りは桜並木があるのですが, 満開の時季をかなりすぎて, 散り残っている花はわずかです.

2000/04/15日記が書けない  雨です. 今ごろの雨を「花散らし」とか「菜種づゆ」とか言うそうです. 「菜の花くたし」と言う表現もあるとか. 菜の花が濡れています. 葉桜も濡れています. 電線にキジバトが二羽, 濡れて寄り添っていました. 雨は苦手です. 股関節が痛み, 腰が痛み, 肩が凝り, 不調です. 頭がさえず, 思うように書けません.

2000/04/16雨は上がったけれど  暑かったり寒かったり変わりようが激しくて体が追いつかない. 風邪気味. みなさんどうぞ風邪をひきませんように.

TeXを新しいバージョンにようやく入れ替え. 三月半ばに買ったままになっていたもの. とにかく無事に動くことを確認するところまで. 午後はつれ合いと二人で買い物. 市境を二つ越えてお出かけ.

だるい. 腰に力が入らない. 行儀悪いとは思いながら, いすの背中に寄りかかって食事. 集中力がなく, 本を読もうとしても持続できない.

2000/04/18風邪は回復中  TeXの新しいシステムLaTeX2eの試運転を少々. 異常なさそう. 順調に動いてくれれば教材作成に助かる. 使い慣れなくてはいけないですね. 旧LaTeXのソースが問題なく処理できることもひとまず確認. これで, 蓄えてある資料が無駄にならない.

昼はつれあいと外食し, ちょっと買い物. 晩は家で茶漬け.

2000/04/19千客万来  東京女子大学で月曜日に始めた講義には予想を超える多数の学生が来ていた. 履修登録手続きは20日と21日で, まだ正式に履修する人数は決まってない. ようすを見に来ただけの人もいるだろう. しかし, いままでの例から推測して, 最初に来ていた人のほとんどが履修登録するのだろう. 多くの学生に講義を聴いてもらえるのはうれしいけれども, 少人数教育の理念には反するわけで, 喜びと悩みと半々. 講義の一つか二つはマイクを使わねばならない状況だけれども, マイクは何となく苦手. 声が通っているかどうか不安. 数学の講義は黒板に式を書くことが多く, 左手にマイク, 右手に白墨を持って, 黒板の方を向いたり学生の方を向いたりしなくてはならない. とにかく, せっかく多数のお客様が来て下さったのだから, 講義を楽しんでもらうためにあれこれ考えなくてはなるまい.

2000/04/22新緑  雑木林の新緑が美しい. 丘が明るい緑におおわれている. そして, 木の種類ごとに緑が微妙に違う. 毎年のことながらさまざまな緑のあるのに感動する. 色盲の私にもそれが楽しめるのだから, 目の健全な人にはなおさら美しいのだろう.

2000/04/23憂い日曜日  何となく気が滅入ってます. 原因不明. 雨もやみ, 景色も美しいのに. まあとにかく明日は講義を三つやらなくてはならないので, 何をどう話すか構想を考えてます. 去年の講義資料を見直してます.

つれあいと二人で買い物に行ってきました. 桜餅の季節から柏餅の季節にかわったようです.

2000/04/24にわか雨  東京女子大学で2時限目から4時限目まで続けて講義を三つ. 4時限目の講義のときに外が妙に暗くなってきたと思ったら 終わったときには小雨になってました. やがて雨が激しくなり, 黒雲を切り裂くような稲妻を幾つも見ながら帰って来ました. 傘を用意してなかった学生が多かったようで, 濡れて帰ったのではないか心配. 人間にはつらい雷雨も, 草木を育てる恵みの雨でもあります. 日に日に濃くなってゆく若葉の緑もこういう雨のおかげです.

2000/04/25何もしたくない  何となく気が滅入って何もする気にならない, そういうときはどうしたらいいのだろう. 原因のわかってることならその原因を取り除く手だても考えられるだろう. しかしわからない. 気晴らしをする気にさえならない. 酒で紛らすこともできない. 鬱病でもないと思う. 私は鬱病になる質じゃない. 仕方ないから時を待とう. いつか自然に回復するはず.

2000/04/26事件あれこれ  誘拐された子が無事に帰ったニュース. 無事で何より. ところで誘拐犯が使ったということで プリペイド方式の携帯電話が問題視されてるようだけれど, 便利なものというのは悪用されることもあり得るもの. プリペイド携帯電話が悪いわけじゃないと思うんですが, どうでしょう. ほかにも近ごろ気になるニュース.
#五千万円恐喝事件. 親が中学生に五千万円与えていたというのが不可解. そこまで行ってしまう前に相談に乗ってくれる人はいなかったのだろうか.
#無実の罪で一年以上も拘束されていた人. 冤罪が晴れてもそれだけでは償われたことにならない. 彼の失ったものを検察はどう償うつもりなのだろう.
#また神奈川県警の不祥事. 腐ってる.
#中目黒の地下鉄脱線事故の原因究明のため事故調査委員会が実験. 同じ型の電車を現場で走らせて車輪にかかる荷重の偏りなどを調べる. しかしレールはすでに直してしまってあるのに再現実験が出来るのか.

2000/04/27原子力平和利用の犠牲者  ウランの核分裂反応で被曝したJCOの篠原さんが死去. ご冥福を祈ります. 核兵器でなくても放射線はまことに恐ろしいものです. 治療には手が尽くされていたと思いますが, 大量の放射線に蝕まれてしまった体を快復させるのは難しいのでしょう. ウラン化合物溶液をバケツで扱う裏マニュアルで作業させていた会社は, 人命の失われたことについてきびしく責任を問われるべきでしょう.

2000/04/28大学院ゼミ  今日は大学院のゼミナール. 難しい論文を読んでいる大学院生たちを指導して, 充実感と疲労とを感じてます. 公式には一時限90分ですけれども, それでは時間が足りなくて, 休憩をはさんでつぎの時限まで二時限のゼミです. 日が長くなったとはいえモノレールの駅を降りたときには薄暗くなってました. 今日はftpするのもめんどうなので後日.

2000/04/29みどりの日  何か意味はよくわからないけれどとにかく祝日. たしかに今ごろの季節は若葉の緑が目を楽しませてくれる. しかし, 緑だから休み?何を祝うのだろう? まあ何はともあれ休めるのはありがたい. 風邪を治そう.

2000/04/30めまぐるしい  2000年度の最初の月がもう終わる. あっという間に一ヶ月が飛び去っていった. パートの仕事だけの暮らしなのに, なぜこんなに時間の過ぎ去る早さを感じるのだろう. 明日の講義の準備にちょっと焦ってる.

2000/05/01五月  今日から五月. メーデーがなぜか祝日でない. 祝日を決める人たちは 働く人たちが日本の繁栄を支えてきたと認めたくないのだろう.

いつもの月曜日と同じに仕事に出かけた. 道路がややすいてる. 講義を聴きに来てる学生の数はちょっと少ないけれど, 連休の谷間にせっかく来てくれた人たちをおろそかには出来ない. あたたかく晴れた一日だったけれど, 疲れた.

2000/05/02勉強  TeXのシステムをLaTeX2.09からLaTeX2eに更新 したので, LaTeX2eの機能を使いこなすために勉強を始めました. 四月からLaTeX2eの授業を受けてる学生たちと, 独学の私と, 競争です. 説明書など読みながらあれこれ実験しています.

2000/05/03茶摘みの時季が近い  新しい憲法が11月3日に発布され半年後の5月3日に施行されて, この日が憲法記念日になった.

燕が渡ってきて, 狭山茶で知られるこの地域の茶畑は若葉が萌え, 季節は春から初夏へ向かっている. 買い物に出かける途中, 雷が鳴り稲妻が光り雹のまじったはげしい俄雨にあった.

2000/05/04道路も鉄道も混雑  国民の休日という, 祝日でない休日. 「国民の」と限定してるけれど, 日本に来ている外国人には休ませないという意図でないことを願う. ちょっとめんどうな用事があって, 日帰りで出かけた. 道路は渋滞してるはずだから, 電車を乗り継いで行った. 乗り換え三回. 片道二時間あまりのはずが, 電車の故障によるダイヤの乱れや混雑で往路は三時間を超えてしまった. 観光客でごった返してる駅では切符を買うにも思いのほか時間がかかる. 所要時間の見積もりにはそういうことも考慮に入れなくてはならないと実感.

2000/05/05こどもの日  こどもの日, そして立夏. 暦どおり汗ばむ暖かさ. 五月五日は祝日で三月三日が祝日でないのはなぜなのだろう. こどもの日には鯉のぼりということで女の子たちはどう思うのだろう. もっとも, 三月三日とか五月五日とかが節句として意味のあるのは旧暦. それをグレゴリオ暦の同じ月日に当てるのはこじつけに過ぎない. それを思えば「なぜ男の子の節句だけが?」と気にすることもないのかも知れない.

2000/05/06ハイジャック  佐賀から福岡へ向かうバスが乗っ取られ, 乗客の一人が亡くなるという事件. 犯人は逮捕されたが, 十七歳ということで氏名などは公表されてない. 動機も背後関係もまだ不明. 詳細がわかるまでにはまだ時間がかかるのだろう. そして, 東北自動車道で東京から釜石へ向かうバスがまた乗っ取られた. 酒に酔った犯人が前の事件をまねたもので背後関係はないらしい. こちらは死傷者もなく簡単に解決し, 犯人の氏名, 性別, 年齢が公表された.

バスの乗っ取りを未然に防ぐにはどうしたらいいのだろう. 飛行機並に持ち物の検査を行うのは現実的に無理だろう. 武装警官がいつも同乗して警戒するのはなおさら無理だろう. 刑法を改正して乗っ取りに対する刑罰を重くしても, 抑止の効果は期待できないのではなかろうか. いま私にはどんな対策も思い浮かばない. しかし, 命の危険なく旅のできるように対策を講ずることは, 犯人を罰すること以上に大切だと思う.

2000/05/07連休が終わる  ゴールデンウイークとか言う大型連休が今日で終わり. 講義の準備をしたり研究したり, 日記には書けないごちゃごちゃした用事を片づけたり, 日々忙しく過ごしてるうちに終わってしまい, 休みを楽しむことは出来なかった. それでも, 大学院ゼミナールの日が休日にあたって一回休めたので, いくらか楽をした. 忙しくても, 休めなくても, とにかく仕事の出来るのが幸せ. 明日は講義三つ. 俄雨や雷がありそう.

2000/05/08連休明け  月曜日は講義を三つ. 休みが終わったのだからこれから大いに勉強してほしい, そう思ったものの, 教室に何となく活気がない. お休み気分が抜けきらないのか, 連休に遊び疲れてしまったのか, あるいはいわゆる五月病だろうか.

2000/05/10紙の裏表  人の心の裏表, などというむずかしい話ではありません. コピー用紙やプリンタ用紙の裏と表, どうやって見分けたらいいのでしょう. 昔の紙は裏がもっとざらざらでした. なめらかな方が表で, 見てもさわっても わかったものです. このごろの紙はどちらの面も同じくらいになめらかです. 見分けられないのは目が衰えたせいか, 指先の感覚が鈍ったせいか, などと思いましたけれど, つれあいにも見分けがむずかしいのです. 裏表の区別がないのなら, どちらの面を使ってもいいはずですけれど, プリントしてみるとちがうような気がします. 両面に刷ってみてきれいに出来た方が表, というのでは時間もインキも惜しいですから, やはり見分けたいのです. 複写機メーカーのコピー用紙の包装には「こちらの面を上にして装填して下さい」 などと書いてあったりしますけれど, それではどちらが表かわかりません. 見分け方がありましたらお教え下さい.

2000/05/12不調だ  体の調子が思わしくない. 頭痛と肩こりと腰痛と軽い吐き気と激しいだるさとを 必死にこらえて大学まで行ってゼミナールを指導して来た. つらいけれども楽しいゼミ. 帰るころまでには体もいくらか回復.

2000/05/13二万カウント  掲示板のカウントが20000に達しました. カウンタを設けたのが1998年11月なので, 一年半の間に延べ二万人のお客様が来て下さったわけです. ありがたいことです. 水のほとりをさらに楽しんでいただけるように, 更新を考えてます.

2000/05/14講義資料  体調不良でご心配おかけいたしましたが, 何とか回復しました. だるいけれども頭痛や吐き気はまったくなく, 腰痛もかなり軽くなりました. 自然に回復する力のあるのは幸いで, こういう回復力を保ちたいものです. 股関節亜脱臼の後遺症が体のあちこちに出没するので, これからも気をつけていかなければなりません.

さて, 大学の講義にちょうどいい教科書がなくて, 教科書なしで講義していますが, 講義のときに取ったノートだけでは学生が 予習・復習に不自由するのではないか心配で, 教科書のかわりにプリントを作って渡しています. それを書くのにも苦労しますけれど, 履修者名簿の人数だけ印刷すると余ってしまうとか, 配布した日に欠席した人への配慮で次の週にも同じプリントを運んでいくとか, 全員に渡すための苦労もあれこれあります. 講義資料がある程度まとまってきたら, 出版社に相談して書物にしてしまおうかとも思っています. 売れるかな?

2000/05/15講義三つ  午前中に講義を一つ, 午後に二つ. その間に図書館でちょっと調べもの. 講義は楽しんでもらえたように思いますけれど, 疲れました. 湿度が高くて私にはつらいのです. 冷房しなくていいけれど除湿はしてほしいと感じます. 昼ごろはまだ天気がよくて, 校庭の芝生のあたりで食事してる学生たちを見かけましたが, 先々週と同じように, 講義を終えるとまもなく雷雨になりました.

2000/05/16遠くへ行きたい  明日はまた雨になるらしいけれど, 天気に恵まれた一日でした. 郵便局へ行ったり, バイクの修理をしてもらったり, 買い物をしたり, 近所のあちこちへ出かけてきました. 暑からず寒からず木々の緑は濃くなり, 風を切って二輪で走るのにいい陽気です. ゆとりがあったら遠乗りしてみたいところですけれど, あいにくひまがありません. 雑用がいっぱいたまってます.

2000/05/18誤解があったのか  「日本は天皇を中心とする神の国」という発言について森首相は 撤回はしないけれど, 誤解を招いたことをわびたと伝えられている. しかし, 首相の発言を誤解した人がいるのだろうか. 多くの人は首相の発言の真意を正しく理解していると思う.

2000/05/19乗物  電車に乗るとき, 空席が多くない限り, なるべく立っています. 股関節が悪いといっても障害者手帖を持ってるわけでもなく, 杖をついてるわけでもなく, しかも年齢も若く見られがちですから, 優先席に座るのは気が引けます. 一般席でも, 人が乗ってくるたびに席を譲るべきかどうか悩むよりは, はじめから立っている方が気が楽です. どこかつかまるところさえあれば, 立っているのはさほど苦になりません. ただ, 混雑していて把手にも吊革にもつかまれず, 腰と膝の力だけでつり合いを保つのは疲れます.

バスの場合は電車より揺れるので立つのがつらく, 一般席の空席があればなるべく座ります. 腰の痛いときなどバスで立って行くよりは歩く方が楽で, バス停四つや五つ分の距離は歩いて行くことがあります.

自動車とバイクでは, 自動車は腕だけで舵を取るのに対して バイクは全身で舵を取りますから体のあちこちが疲れますけれど, それにもかかわらず, 長距離では自動車の方が腰の痛くなることがあります.

2000/05/20モノレール  また乗物の話です. 近ごろ 多摩モノレールをよく利用します. 鉄道が東西方向にばかり走り南北をつなぐ交通機関のなかった多摩地区に, 北は東大和市の上北台から南は多摩市の多摩センターまで 南北を結ぶ鉄道ができたのです. 西武, JR, 京王, 小田急の各鉄道と交わってます. 車椅子で乗る人への配慮などの見られるのはさすがに新しい鉄道です. 西武と接続する玉川上水駅を除いては他の鉄道との乗替が不便であること, 運賃が高いこと, 速度が遅いことなど不満もありますけれど, バスよりよほど速くて信頼できて, 日中でも10分ごとに出ているなど, 便利な交通機関です.

2000/05/21少しばかり更新  気になっていたところを少し直しました. 準備中のページも早く作りたいのですけれど, 近ごろ体調がすぐれず, 仕事だけで精一杯の状況です. 元気になりたいです.

2000/05/22講義して疲れた  体調不良. 講義を三つというのは疲れる. しかも講義前にプリント作成. それでも何とか予定どおりに講義して帰って来た. 質問に来る学生の多くが, 授業の内容についての質問でなくて 試験やレポートに関する質問. この傾向は最近十数年のことのようだ. センター試験と相関はあるのだろうか. 「どんな試験するんですか」とか 「レポートは何を書いたらいいんですか」という質問には なんだかがっかりして力が抜けてしまう.

2000/05/24雀の子  蒸し暑いけれども体調は回復してきた. ピラカンサの白い小さい花が今年はとくに多い. 巣立ったばかりの雀のひなが二羽, 大きな声で餌をねだっている. 少しは飛べるけれども, 自分で虫を捕るのはまだできないらしい. 親雀が忙しそうだ. 自立させるまでは必死の子育て.

2000/05/26ご注意下さい  電車で出かけるたびに感ずること. プラットホームで 「電車が参りますご注意下さい」 「お忘れ物落とし物のないようご注意下さい」 「××行ですお乗り間違いのないようご注意下さい」 「閉まる扉にご注意下さい」「発車をしますご注意下さい」 そしてエスカレーターに乗るとまた 「お足元にご注意下さい」を執拗に繰り返してる. 絶えず「ご注意」を求められる. 注意せよと言った以上は不注意の事故はわれわれの責任ではないというのが 鉄道会社側の本音だろう. それにしてもうるさい.

2000/05/27かいてる  教材を書いて, 手紙を書いて, 締め切りの迫った原稿を書いて, 書類を書いて, 汗をかいて, 恥をかいてます. 書いてないのは, 読んでいただくに値する日記. 蒸し暑くなってきて仕事がはかどりません.

2000/05/29五月もまもなく終わる  暑くなってきたけれど湿度の低いのがありがたい. 今年の前半がまもなく終わる. 光陰矢の如し.

2000/05/30締め切り迫る  昨日に続いて今日も暑いけれど空気が乾燥してきもちいい. 締め切り迫った原稿がまだ完成せず, 推敲中.

2000/05/31原稿発送  昨日とちがって湿度の高い日, 例によって体調は天気に連動し, 不調です. 原稿の締め切り日. どうにかまとめ上げて, インターネットで送りました. プリントして郵送していたころとくらべたら便利になったものです. 下書きにも清書にも紙を全く使わず, メールの添付ファイルとして送ってます. はじめに考えていたテーマで書くには 調べなければならないことがかなりあるのですが, 時間的にも体力的にもそのゆとりがなくなってきて, 調べずに書けるテーマに急遽変更しました. それで, 構想から書き上げるまでの時間が著しく短くなって, 駆け足の執筆でした.

2000/06/02if文  原稿書きなどの疲れを持ち越したまま大学院ゼミナールの指導に行って来ました. ふと, 気になったのですが, if-then-else のような場合分けの制御構造は どのプログラム言語でもたいてい備わってます. そして, どの言語の文法でも, if文の終わりをendとかendifとかfiとかセミコロンとかで明示するように なってます. ところが, 自然言語・・・日本語とか英語とか・・・には 場合分けの終わりを明示する仕組みがありません. 数学の証明を書いていて, 場合分けがここで終わったとはっきりわかるような文章表現の難しさを感じます. とくに場合分けの一つの場合の中でさらに場合を細かくわけるときの書き方など, 場合ごとに箇条書きなどにするという手もありますけれど, 何かもっとうまい表現はないものかと悩みます. 法律関係の文章などにも同じ問題があるのではないでしょうか.

2000/06/05疲れたけれど気分はいい  昨日に続いて空気が乾燥して気分がいいけれど, それでも股関節が少し痛む. 講義の資料を大学で印刷するために早めに出かけたけれども, 都区内に入ったあたりから道路は渋滞. 講義の時刻には間に合ったもののプリントするには時間が足りない. 取りあえず途中まで作成. 三つ目の講義のときにはついに立ってるのがつらくなり, 腰掛けて話したりした. しかし, 黒板に書くためには立ち上がらねばならない. 数学は式を書いて見せないと説明できないところが多くて, 腰掛けたままの話はあまりできないし, 教壇の上で学生の方を向いたり黒板の方を向いたり, 書いたり消したり忙しい. いつもながら, 白墨の粉が肌にしみこんだ感じ. 帰り際には, 構内を歩いていて座り込みたくなるほど疲れていたけれど, それでも気分の悪くないのが幸い. 湿度の低いせいだろうか. 家に帰ると今日の講義を聴いた学生からメールが来てる. こういうのがうれしい.

2000/06/06ハイティーン  十代後半の人たちの犯罪のニュースが続きましたが, その年ごろの子がみんな粗暴で凶悪であるかのような間違った印象の 広まるのを恐れます. 年令や世代でなく一人一人の人柄を認めてやるのが大人のつとめ.

外国の大学へ留学したいと, 親に頼らず一人で海の向こうへ飛んで 手続きをして無事に帰ってきた頼もしい子がいます. 高校を卒業したばかりの女の子です.

2000/06/07夜道  ちょっと用事があって近所まで歩いて行った夜道で感じたこと.

こども二人を自転車の前後に乗せて無灯火で逆行するお母さん, 方向指示器を出さずに右折して横断中の自転車に接触しそうになって 急ブレーキをかける自動車, どちらも危ないですよ.

「気をつけよう, 甘い言葉と暗い道」と書いた痴漢防止の立て看板. 気をつけなくちゃいけないんだと, あれを見て初めて気づく人がいるのでしょうか. 知らぬ人の甘い言葉に不用心に誘われる甘い女性がいるのでしょうか. あの看板はほんとうに役に立ってるのでしょうか.

2000/06/08改段と字下げ  改段したところつまり新たな段落のはじまりのところは一字字下げするのが 常識のようです. 印刷物はほとんどすべてそのようになっていますし, 原稿用紙の使い方でもそのように教えられました. それを承知の上で, 最近の湖畔日記はごらんのとおり段落のはじめで字下げしていません.

字下げをやめたのは, めんどうだという理由もありますけど, 江戸時代の活字印刷物を見たら段落のはじめで字下げしてないのがあり, 江戸時代にはそれがふつうだったらしいと知ったのも理由の一つです. 西洋の印刷物はパラグラフのはじめのところがインデントしてあり, 日本の習慣も明治になってそれをまねたものなのではないかと思ってます. どなたかこういうことについてご存じでしたら, 教えて下さい.

2000/06/09梅雨入り  雨が強く降り風が吹き荒れ, 関東は気象庁の梅雨入り宣言が出ました. しかし, ゼミナールを終えて帰るころには雨風もやんで, 涼しくなっていました. 暑くないのはありがたいのに, 梅雨寒の中で稲の育ちはどうなるだろうと気になるのは, 農村で育ったからでしょう.

2000/06/10梅雨寒の土曜日  湿度は高いけれど涼しい日. 雨が降ったりやんだり. ときどき雲が切れて明るくなると, 草の葉についた水滴がきらきら. 今日も相変わらず文献を調べたり講義資料を作ったり. 週末といっても休みの気分ではありません.

2000/06/12雨の日の講義  講義に行って来ました. 前期半年だけで終わる科目はあと一ヶ月. そろそろ話のまとめ方を考えに入れて時間をよく見つもりながら 進めていかなければなりません. 半年というのは難しいものです. 数えたわけではないけれど出席がやや多かった気がします. 雨降って遊べないから講義でも聴こうか, などと思う学生もいるのでしょうか.

東京女子大学は建物から建物への通路に屋根があり, 傘を持たずに行けるようになっています. やや遠回りになることがあっても 渡り廊下のような通路を伝ってどの建物にも行けるのはありがたいものです. 今日は昼食も大学の食堂で食べて, 大学に着いてから帰るまで傘をささずにすませました.

2000/06/13梅雨寒が続く  相変わらず梅雨寒の日が続きます. エアコンでなく除湿器で除湿してます. うちのエアコンは除湿モードでも冷えすぎるし, 気温の低いときは除湿があまり効かないのですが, 除湿器なら冷えずに湿気が取れます. 一日中家にいたのですが, 研究も講義の準備もはかどりません. 休んでるのか考えてるのかわからぬような一日でした.

2000/06/15南北首脳会談  久々の明るいニュース. 南北分断以来55年で, ようやく南北の首脳が握手し平和への一歩を踏み出した. 握手し語り合う姿がそのまま世界に伝えられた. 日本の植民地にされて南北に分けて支配され, 1945年の解放後も南北に分けられていた民族. 東西ドイツとはいろいろちがった事情もあることだから 統一がすぐに実現すると楽観はしないけれども, 人や物や文化の南北交流が盛んになることを期待する. 人々がふるさとを訪れたり親類と会ったりすることのできるのは すばらしいことにちがいない.

2000/06/16帰り道は月夜  いつもの金曜日とおなじく大学院ゼミ. そのあと, 学会で発表する人に個人指導. 今日は妻が夕食を作れないので, 買って帰る.

2000/06/18学会  日曜日, 科学基礎論学会の二日目. 興味ある話が聴けました. 偶然かも知れませんけれど, 女性の方がおもしろい研究をしてると感じました. 雨の降らなかったのは幸いですが, 三田まで行って疲れました.

2000/06/19講義中の私語  東京女子大学で講義を三つ. まず教養科目で, 行列式の話などしてきたのだけれども, 今日は初期の和算の話. つぎが 数理学科の専門科目. そして最後が専門ではないけれど専門に準ずるような科目. 昔の計算機の写真など見せたあと計算可能性の話. なぜか, 今日に限って話し始めてもなかなか私語が止まない. たまりかねて別の学生が注意してくれたのを, 帰宅してからメールで知った. こちらも学生を静かにさせる努力が足りなかったが, 学生が聴く権利の侵害に対して苦情を言い, それを知らせてくれるのはありがたいことだ.

2000/06/21夏至  早いものですでに夏至. 明日から少しずつ日が短くなるとは言っても, まだ実感がありません. 梅雨のさなか, 多摩湖はなみなみと水をたたえています. 蒸し暑い一日でした. ちょっと食欲減退気味.

2000/06/22だるい  なぜか異様にだるい. 夕方になって体温測ってみたら微熱.

2000/06/23火星に水  火星に氷はあっても液体の水はないと思われていたのに, 水が地下からわき出して流れたらしい地形が見つかったとの意外なニュース. 大昔の川のあとなどは前から知られていたけれども, 今度見つかったのは あまり古いものでなく, 現在も水がわいている可能性があるらしい. 気温が-50゚と言われる極寒の地に水がわいて流れるのは不思議. 火星では1mの高さと地表すれすれとで気温がかなりちがうそうだから, 零下50度でも昼間の地表はさほど寒くないのかも知れない. 新聞やテレビのニュースではそれ以上詳しいことはわからないけれど, もしや温泉ではないのだろうかと私は想像している. 温泉と思っても不思議. オリュンポスと言う25,000mの火山があるけれども 何億年か前に活動を停止した死火山で, 活火山は一つも見つかってない. 火星で露天風呂に浸って地球を眺める, などということは実現するだろうか.

2000/06/24投票日前日  梅雨らしい一日. 夜中に豪雨だったけれど 昼間はさほど激しく降らず, ときどき小やみ. 雨雲におおわれて日が射さない. 明日はいよいよ投票日. 街は「最後のお願い」でにぎわっていたのだろう. 明日はどんな天気になり, それが選挙結果にどんな影響をもたらすのだろう.

2000/06/25投票日  こぬか雨の中, 投票所まで歩いて行って来ました. まわりの国々に時代の動きのあるときなのに, 外交問題が争点になってないのは 奇妙ですね.

2000/06/26板書  数学は数式や図を書いて見せないと説明できないので, 授業のときたくさん板書しなければなりません. 考えてみると「板書」というのは教育界だけの用語かも知れません. 黒板に書くことをいうのですが, 意味を取り違えてる人がいて, 板書という言葉を誰でも知ってるとは限らないと気づきました. 黒板に書いてあるのをノートに取ることだと誤解してる人がいました. ついでですが, 発音はイタガキでなくてバンショです. さて, 数学の板書の苦労はほかの科目の先生にはなかなかわかってもらえません. 何度も書いたり消したり, 腕が疲れます. 白墨の粉にまみれます. 腰掛けて講義できず, 教壇に立って黒板の方を向いたり学生の方を向いたり ぐるぐる回ります. マイクを使ってるとコードが体に巻き付いたりします. 暴行された後遺症のある私は左股関節が外れやすいので, 向きを変えるときに左足を軸足に右回りしないように 気をつけなければなりません. 今日も90分の講義を三つ終えたときには 教室から控室まで歩くのもつらいほど足が痛くなっていました.

2000/06/27ゲノム解読  人間の遺伝情報を載せたゲノムがほぼ全文 解読されたというニュース. DNAの約30億塩基をだいたい読み終えたらしい. 一塩基を2ビットとして750メガバイト, MOにもおさまらない情報量. 解読したといっても, 塩基C, G, A, Tの連なりとして書き取っただけで, おのおのの部分の意味を読み解くのはこれからの仕事だろう. 個人差のことなどもどこまでわかっているのだろうか. 何がどこまで解明されたのか素人にはよくわからないけれど, とにかく科学的に大きな成果であることは間違いない.

2000/06/28下書きしますか  パソコンやワープロで文章を書くときに 皆さんは下書きしますか?私はほとんど下書きしません. パソコンは推敲の 道具と考えています. いきなりディスプレーに向かってキーを打ち始めます. しかし, 清書の道具と考えてる人も世の中には少なくないようです. 紙の上に 下書きして文章を練って, 完成したらキーボードに向かう, そういう使い方も あるでしょう. どちらがよいとか悪いとか, くらべるつもりはありません. ただ, 私にとっては文章を作る道具としてパソコンはまことにありがたい物なのです. 書き下した文章がそのままでは満足できず, 何度も読み返しては手を加えます. エディターのカットアンドペーストなどの編集機能が役立ちます. 紙の上でやっていたら消しゴムですり切れてしまったり, 赤インキであちこち線を引き回してごちゃごちゃになって読めなくなったりします. パソコン上では書いたり消したり単語の位置を入れ替えたりいくらでも できます. 前にも似たようなことを書いたはずだから参照しようと, 文書フォルダー全体をgrepしたりできます. 便利になったものです. 文章は下書きしませんけれど, 数式の計算など複雑な場合は あらかじめ紙の上でやっておきます. いずれはそれもパソコン上でできるようになることでしょう.

2000/06/30ゼミ  大学院ゼミナールは時間割に載っている表向きの時間の 二倍の時間, 履修してる大学院生たちと合意の上で, おこなっています. 給料の二倍の仕事をするのは, 単純に計算したら, 損なことになるでしょう. しかし, 私たちの創った理論を若い人たちに伝え, 後継者を育てるのは 金銭に代えられない大切なことと思います. 「たとい無給でも」などと 言えれば格好いいのですけどこちらも霞を食ってるわけではなく, やはりお金はほしいです. 帰りのモノレールの窓から夕空を見上げたら, 美しい飛行機雲をあとに残しながら西へ飛んで行くB747らしい飛行機が 見えました.

2000/07/01あっという間に過ぎた半年  今世紀最後の年も後半に入りました. 月日のたつのはめまぐるしい早さです. あさっての講義に備えて資料を作ってます.

2000/07/03半期は短い  今日は東京女子大学の講義三科目. 前期の講義は来週まで. 半年で終わる方の科目はあと一回だけで終えなければならず, どうしても話をまとめるようにペースを調節しなくてはなりません. 終わり近くなったので様子を探りに来たのか, いつもは見かけない学生が来ていたりします. 三つ終えて疲れて出て来たらわき上がる入道雲から雷鳴が遠く聞こえてました. 雨に降られずに帰り着きましたけれど, 都心の方は豪雨で洪水になったりしたということです.

2000/07/04アメリカは祝日  昨日の疲れと腰痛を今日に繰り越してしまいました. 五月ころから胃腸の調子が悪かったり股関節や腰や背中が痛かったり, 何となく体の不調が続きます. 診察してもらった方がいいか迷ってます. 母の94歳の誕生日なのですが田舎を訪れる余力もなくお祝いの手紙を書いただけです. 激しい夕立がありました.

2000/07/05水のほとりの模様替え  表紙の組み方をちょっと変えてみました. どのブラウザにも対応してしかも美しくて軽くて簡素なのがいいと思うのですが, 技術力が伴いません. 取りあえず, 変更したところはつぎのとおり.
(1) カウンタを全体の表紙から日本語版表紙へ移した.
(2) 日記の更新日付を表紙に載せるのをやめた (これでftpが楽になる).
(3) 自己紹介のページなどを経由して入るようにしてあった「住んでるところ」を 目次に載せ, 表紙から直接に入れるようにした.

2000/07/06抑止力  自衛艦が三宅島へ行ったことが抑止力になったという 認識にはあきれる. 大地震が起きると外国人などが暴動を起こすとか, 武力による威嚇でそれを抑止できるとか, そういう発想は何に由来するのだろう. 暴動の起きるのを実はひそかに期待してるのではないか, それを恐れる. そのどさくさに便乗して在日外国人を弾圧したり追放したりできたらいいとでも 妄想してるのではなかろうか.

2000/07/10前期の終わり  東京女子大学の前期の講義の最終回. 半年で終わる2単位科目というのは短いもので, なんとなく話したりない気持ちを残して終わってしまう. 聴いてくれた学生と別れるのも名残惜しい. さあ, これから採点.

2000/07/11痛い  昨日の講義の疲れが残っている. 股関節の痛みがかなりあって, 階段を下りるのがつらい. 夕方になっていくらか和らいできた.

2000/07/13八歳の子が操船  先日のニュース. 船から海に落ちた子を助けようと 飛び込んだ父親がおぼれ, さらに母親も飛び込んだまま上がって来ない. 船に残ったのが八歳の女の子と幼い弟. 女の子が自分で船を操縦して港まで行き, 助けを求めたという. 接岸はさすがにうまくできなくて, 岸にいた人に手助けしてもらったらしい. 船の操縦は見たり父親から聞いたりしておぼえたそうだ. 現場から港まで30分の航海をよくぞ無事になし遂げたものだ.

母親は「ここで待っていなさい」といって海に飛び込んだそうだが, 港へ行って人の助けを求めようと主体的に判断したのはたたえてやりたい. 衝突もせず港に無事にたどり着いたのは偶然の幸運もあるかも知れない. それでも, ただ漂流しているよりはよかった. 船を操れることと, 港へ帰ろうと判断したことが, 身を救う結果になった.

さて, 問題は五人の誰もが救命胴衣を着けていなかったことだ. 救命胴衣を着用していれば, 最初に落ちた子も助けに飛び込んだ両親も, おぼれることはなかっただろう. 落ちた三人はいまだに行方不明. 自動車に乗るときは安全ベルトを締める, 船に乗るときは救命胴衣を着ける, そういうことは幼いときから習慣として身につけさせるべきことであろう. 親はまず自分が救命胴衣を着け, 三人の子供たちにも着けさせるべきであった.

2000/07/14革命記念日  フランス革命記念日とは何の関係もないゼミナール. 難しい論文を読んでいるので予想外に時間がかかり, 帰りが遅くなった. 雨がかなり降るという予報で, 折り畳みでない傘をもっていったけれども 降らなかった. 昨日から目が疲れてる.

2000/07/16TeX  この間からかなり手こずっていたTeXのバージョンアップが どうにか成功したようで, おおむね無事に動くようになった. LaTeX2.09から LaTeX2εになってかなり使いやすくなったはず. 何度もインストールし直したり 説明書を読み直したり, 目が疲れた.

2000/07/17梅雨明け  関東地方の梅雨が明けたと発表がありました. 昨夜は皆既月食を少しだけ見ました. 38万キロ彼方へ伸びている地球の影. その中に暗く浮かぶ満月. 不思議な眺めです.

2000/07/18暑い  さすがに夏. 暑いです. ビールがうまいです. 研究も採点も少しずつやってますけれど, あまりはかどりません. 日記に書きたいこともあれこれあるのですが, 目が疲れてますのでこれでおしまい.

2000/07/20海の日  昨年の今日の日記に この日が海軍記念日だと書いてしまいましたが, 間違いでした. 戦時中には「海の記念日」と言って, 何か海軍に関係のある日だったという 記憶だけで書いてしまいました. 海軍記念日というのは別の日です. 7月20日は, 明治天皇が初めて大日本帝国海軍の軍艦に乗った日を記念して 海の記念日になったそうです. そういうわけで昨年書いたのは訂正いたします. しかし, この日を祝わなければならない理由はやはりわかりません.

2000/07/25久しぶりの日記  きびしい暑さに負けて日記を怠っていました. 採点に追われています. 「水のほとり」の全体にわたってHTML文法違反などについて点検し, 修正中です. 八月の共同研究集会に備えて勉強も少々しています. 仕事ののろいのは生まれつきの短所で, いまだになおりません. どれもこれもはかどらず, 忙しくしています. 晴れの日が続きましたけれど, 久しぶりの雨で草木が生き返ったようです.

2000/07/26まだ採点中  昨日から雨がときに激しく降っていましたが, 弱まってきました. 多摩湖は満水です. あいかわらずレポートの採点中. 楽しいのもあり, 退屈なのもあり, 独創的なのもあり, 見当違いなのもあります.

超音速旅客機コンコルドの墜落という悲惨なニュースが伝えられています. 離陸時に左エンジンが火を噴いたということですが, まだ詳しいことはわかりません.

2000/07/31七月が終わる  時のたつのは速いもので・・・と, いつも同じことを言ってるような気もしますが・・・七月が終わります. 日記がとぎれがちなのは, 暑さに負けているだけではなく, 股関節亜脱臼の後遺症が悪化したような感じで 体調のすぐれない日が続いているのです. 土用の丑の日にも, 胃腸の調子が悪くてウナギを食べる気になりませんでした. いずれ診療してもらうつもりです. 学生たちは夏休みでしょうけれど私は相変わらず採点中. 拙速にできないのが私の一番の短所, それは自覚してます. 書いてくれた気持ちを思えば レポートを一つ一つていねいに読まなければいけないと思っています. ていねいに書いてくれてるとは限りませんが, それでも暑さや睡魔と闘いながら読んでいます. 八月まで採点の作業が続いてしまいます.

2000/08/11久々の日記  みなさま, 残暑お見舞い申し上げます. 湖畔日記を一週間以上休んでしまいました. すみません. 世の中ではいろいろなことがありました. 私もいろいろなことがありました. 取りあえず無事です. 採点はほぼ終わりました. 共有知識の論理に関する金子守さんの研究プロジェクトに以前から参加してますが, 今月はこれについての研究集会があります. 夏休みという気分ではありません.

2000/08/13台風  北上していた台風が停滞し迷走し東へ動き始めました. 伊豆諸島では噴火や地震の続いてるところへ台風が来てさぞたいへんだろうと 想像してます. しかし, ここ狭山丘陵では, 嵐になっていません. 風は弱く, 雨がしとしと降っています. 気温が急に下がりましたが, 湿っぽいので快適とは言えません. 晴れの日は日射しが暑いので外出したくない, しかし こんな雨に日はやはり外出は気が進まない, そんなわけでパソコンに向かって一日を過ごしてしまいました.

2000/08/17前期の採点を終えた  毎日蒸し暑い. 暑さに負けた. しかし, 前期の採点を終えて教務課に提出して一安心. 採点を集計していて気になったこと: 紙にプリントした採点表を渡され, OCRでパソコンに入れ, パソコンの中に作った採点表に点数を打ち込み, 集計したり調整したり点検したりして, 結果をまた 手書きで採点表に書き込み, 署名捺印して完了. メールで送るのは問題あるとしても, FDで受け取ってFDで提出するなどの方法は採れないものだろうか. いつか教務課と相談してみようと思う.

2000/08/18無題  研究会の始まる前にすませておきたい雑事を あれこれやっているうちに一日の大半が過ぎてしまう. 暑さは和らいだけれど湿っぽいのがつらい. 日記に何を書こうかと考えても何もまとまらない. ふと, 五十五年前のことを思い出す. 戦争に負けて, 世の中がこれからどうなるのかわからない不安の中, 窓に暗幕を張ることもなく電灯に防空笠という黒い深い笠を掛けることもなく 明かりが外にもれるのを気にせずに電灯をともせるのがうれしかった.

2000/08/20ネットの恩恵  インターネットのおかげで便利になったものです. 研究会に先立って, どんな討論をやりたいかメールでメモが来ていて, 予習できます. 郵便とくらべて一日以上早いので時間の得になります. 共同執筆の論文も, 執筆者が北関東から九州まであちこちに離れてるのですが, インターネットで草稿を送ったり意見を取り交わしたりできます.

今度の研究会にはホテルもインターネットで予約して, ネット割引のおかげで安く泊まれます. さて, 日記というのはその日一日のことを書くのが原則かも知れませんけれど, それにこだわらずに午前中に日記を書いて, これから出発します.

2000/08/26帰宅報告  研究会を二つ終えて, 猛暑の京都から無事に帰ってきました. 毎日晴れ. 盆地にこもった熱気は蒸し暑さに悪臭を伴い, 冷房の利きすぎた建物の中との温度差もつらいものでした. しかし討論は盛り上がり研究成果はありましたので, 肉体的苦痛を補って余りあるものを精神的には得ました. 取りあえず無事に帰ったお知らせだけ. その他のもろもろのことは追々書きます. 京都に行ってる間も「水のほとり」の掲示板を訪れて下さった方々, メールを下さった方々, ありがとう存じます. 京都ではインターネットにつなぐのはiモード携帯だけでしたが, みなさまのお便りを目にする幸せを感じました.

2000/08/28京都の街  なぜこんなに暑いところを都に選んだのだろうかと思ってしまう. しかし1200年前には冷房の排熱も自動車の排気もなく, 土がアスファルトにおおわれて気温の上がる問題もなかった. 現代ほどには暑さは問題にならなかったのだろう. 今回の滞在中は晴れて風の吹かない日が続き, 川辺に立っても川風さえなくただ熱気がよどんでいるだけだった.

京都の街の特徴の一つは長安にならったという都市計画で, 道路が東西と南北とに整然と出来ているのは自動車の時代になっても便利. 場所を指定するには, 町名をいうよりも東西と南北との通りの名を言うのがよい. これは座標の考えだ. 京都に行ったら座標をおぼえておくのが都合いい. たとえばこんなことがあった. 百万遍知恩寺に近い交差点は「百万遍」として知られていて, 信号機の地名表示もバス停の名も「百万遍」なのだが, タクシーに乗って「百万遍」と言ったら, わからないという. 座標で「東大路・今出川」と言ってみたら, ちゃんと百万遍へ行ってくれた. 不思議なのは南北の通りと東西の通りとどちらを先に言うか, 一定していないことだ. 「河原町三条」というのに「四条河原町」という. 何か京都人にだけわかる原則でもあるのだろうか. しかし, 私の乏しい経験に基く限り, タクシーでxとyとを逆に言っても通じる.

京都の街のもう一つの特徴は, 街全体が遺跡みたいなものだということ. 京都を訪れても観光のゆとりもなく, いつも仕事だけ済ませて帰って来てしまうのだが, それでもいろいろなものに遭遇する. 今回泊まったところはあの本能寺のすぐそばだった. ぶらぶら歩いてるだけで「何々跡」などの石碑を見かける. いつか泊まったところは業平邸跡のあたりだったけれど, あやかるのは難しいものだ. 和歌が詠めるようにはならなかった.

2000/08/29蒟蒻  むずかしい漢字ですね, コンニャクというのは. 蒟も蒻もほかで見かけることのない字です. さて, 昔は栄養価の低い食べ物といわれていたコンニャクも, いまは健康によいことが知られています. コンニャクは好きですけれど, 食べるならコンニャクらしく食べたいものです. コンニャクゼリーというのは好きではありません. コンニャクといえば「蒟蒻問答」という古典落語があるのですがご存じですか. 蒟蒻屋が坊さんになりすましていると, そこへ旅の修行僧がやってきて, 仏教の教義についての問答を申し込む. 蒟蒻屋は断ろうとするけれど断りきれず問答を受ける. その先は略しますけど, なかなかおもしろい話です. 落語としておもしろいだけでなく, たがいに話が通じるかどうか, 共通の理解が得られるかどうか, 認識の論理の問題としてもおもしろいものです. 共有知識のことを考える題材としてすぐれています. 京都でおこなわれた研究集会でも, 「蒟蒻問答」が討論の材料の一つになりました. この落語を数学の立場から検討したのは私たちが初めてかも知れません.

2000/08/30研究会二つ  先週の研究会は二つとも 京都大学数理解析研究所を 会場に開かれました. 数理解析という名にもかかわらず, 解析系だけでなく数学全般にわたり純粋数学から応用数学まで研究している組織です. 数学関係の研究所は, 東京麻布の統計数理研究所を別として, この数理解析研究所だけしかありません. 全国の数学者がしばしば利用する研究所です.

今回は21日と22日に"第4回数学史研究集会", 23日から25日まで"認識論理とゲーム理論II"が いずれも数理解析研究所の短期共同研究事業としておこなわれました. 両方に参加したのは私一人だけでした.

2000/08/31私の専門  「数理論理学」というのが私の専門です. これをわかってもらうのはなかなかむずかしいことです. 数学の分野の一つなのですが, 高校ではもちろんのこと, 大学でさえたいてい教わらないですから, 数学の中にそういう分野のあることは知られていません. 幾何や代数は二千年を超える歴史があり, 解析でも数百年の歴史があります. それにくらべて百数十年の歴史しかないあたらしい学問分野の数理論理学は, 知られてなくても無理はないのかも知れません.

「ご専門は数理論ですか?」というマスコミからの電話に, 問われてる意味が一瞬わからなくてとまどったことがあります. 区切り間違いだったのです. ほんとうは「数理論・理学」ではなくて「数理・論理学」です. 論理学というのは長い歴史のある学問ですけれど, 論理学を数学的に研究する数理論理学は若い学問です. 数学ではあっても数や図形を対象にするのではなくて, 証明や計算を対象にします.

ふつうの数学には「証明する」とか「計算する」とかいう行為はあっても, 証明や計算を研究の対象にはしません. 証明というもの, 計算というもの, それらを対象にする数学的研究が, 他の分野にない数理論理学の特徴です. たとえば証明の構造を数学的に分析するわけです. 数理論理学とほぼ同義に言葉に「数学基礎論」というのもあって, 日本数学会の分科会の名称にも岩波数学辞典の項目の分類にも, この「数学基礎論」が使われています. 専門家を相手にするときはそれでもいいのですが, 一般の人たちに対しては「数学基礎論」は「数理論理学」以上に 誤解を招く言葉です. 基礎数学と間違えられるなど困ったことになります. 建物の基礎のように全体を支えてる意味での基礎なのですけれど, 基礎には入門というような意味もあるので数学の初歩だと思われたりします.

さて, 私たちがいま共同研究しているテーマはこんなものです. そもそも数理論理学では論証の数学的に分析するわけですが, ふつうは論証を一般的に考えていて, 誰が論証してるいるか問いません. しかし, 私たちの研究では二人 (または二人以上) の人を考え, おのおのの人が理性を働かせて他人は何を考えてるのだろうかと考える, そんな状況のもとでどんな共通の理解が得られるのか, それを数学的に分析しています. こういうむずかしい話を専門家でない人々にわかってもらおうとすると 説明に正確でないところのあるのもやむを得ませんが, おおむね上に説明してきたようなこととご理解下さい. とにかく, むずかしいけれどおもしろいです.

2000/09/01九月になった  さすが九月, 昨夜からいくらか涼しくなりました. 防災の日とか, しかし噴火と地震で防災訓練どころでない伊豆諸島は心配です. さて, これからやらなければならないあれこれ:

まだありますけれど, あとはお察し下さい.

2000/09/02不調  何となく体の調子が悪い. ふらふらして頭痛くて. あまりの暑さにあたったのかも知れない. 仕事がはかどらない.

2000/09/03秋の気配  昨日は今年になって最高の気温とか, 明け方だけは涼しかったものの昼間はひどい暑さでした. それに引き替え今日は心地よい日です. 日射しは強いけれど, 乾いてちょっと涼しい風が吹いています. ちょっと遠くまで買い物にでたのは久しぶりです. 防災の日のあとの最初の日曜日, 今日は防災訓練ということで 朝から防災無線やサイレンや消防車の音が聞こえ不気味でした.

2000/09/04女性の時代か  研究会で京都へ行ったとき, パソコンは持って行きませんでした. そもそもノートパソコンがないのです. 研究会で聴いた話などその場ですぐ打ち込んでしまうと便利かも知れませんけど, そのために荷物がふえたり電池の心配したりするほどの必要性は感じません. しかし向こうにいる間もメールのやりとりはしたい, 出来ることなら水のほとりの掲示板も見たい, と思いました. そこでiモード携帯電話が予想以上に役立ちました. ポケットに入るケータイがインターネットにつながるなど 十年前には想像もつかなかったことです. 世の中はSFを超えて進んでいるのではないかと感じます. ところで携帯電話でインターネットにアクセスできるようにしようという iモードを企画したのは女性だそうですから, やはり女性が世の中を変えていく時代になったのでしょうか.

2000/09/05秋のきざし  急に涼しくなりました. みなさまお元気でしょうか. 風邪などひかぬよう心がけましょう. 秋のきざし. 富士山には雪が積もったそうです. 食欲の方はともかく, 読書したいと思います. 仕事のために読みたい本はあれこれありますけれど, それだけではありません. 仕事と関係のない本をゆっくり味わいながら読みたい, そういう読書のできる心のゆとりがほしいと思ってます.

2000/09/07何となく忙しい  とくに大きなことがあったわけでなく, こまごまとしたことで忙しい一日でした. 自動車は車検に出してあって, 今日はバイクで出かけましたけど, 風を浴びて走っても心地よくなく, 湿った空気がまとわりつくばかりでした.
# ○○の契約のことで手違いがあると連絡を受け, あっちに電話したりこっちに電話したり.
# 狭い庭ですけれど, 放っておくと木々が伸び放題. 越境しそうなものや上に伸びすぎたものだけ取りあえず枝を切りました. 高枝切りを使ったり鋸を使ったり, 汗をかきました. 木に登るときは股関節に無理な力をかけぬよう用心しなければなりません.
# 「同封のコピーの○○を××…」と依頼する手紙が来たけれど 肝心のコピーが同封してなくて, 何を頼まれたのか不明. こういうのがなかなか煩わしいものです.
# 二学期の教材を作ってるのですが, はかどっていません.
# ほかにも気がかりなことがあれこれありますけれど, 見切りを付けて寝ます.

2000/09/08自力でウェブサイトを開こう  気の滅入る雑用をしてたので 気分転換に日記を書こうと思い立って書いてます. ホームページを開きたいと思うけれど出来るだろうかという メールをもらいました. 私が六十の手習いで実行したのだから, 自力で出来るでしょうというのが私の答. 定年退職の前の年になって, 勤務先のサイトの中に一人一人のページを作るということでHTMLをおぼえ, 退職直前に「水のほとり」を自力で開きました. テキストエディターでタグを書いてHTMLファイルを作ってます. 「水のほとり」も初めは文字ばかりのささやかなものでした. それが皆さんのおかげでここまで成長してきたのです. ありがたいものです. 会ったこともない人たちから助けられました. 掲示板をおいてほしいと要望されて, cgiを知らないからどうやって作るのかわからないと言ったら, 自分で作らなくても借りられるとteacupをある人が紹介して下さいました. 色の使い方について助言して下さった人, ここの美しいグラデーションの背景を提供して下さった人, そのほか多くの人々の善意に支えられて, 「水のほとり」があるのです. これからサイトを開く人にも自力で開いてほしいと願いますけれど, それは自分が主体になって作るということで, 一人だけでという意味ではありません. ネット上の多くの人たちから支援を得て作っていくことを期待しているのです.

2000/09/09外でも家でも  昼間は, 車検を終えた自動車を 受け取りに行って来ました. 夕方は, 二人でその車でさっそく買い物に行きました. スーパーの駐車場で思いがけない人と出会いました. 土曜日ですけど, 仕事のメール, 友だちからのメール, 教え子からのメール. 出かけても家にいても人と接するうれしさ.

2000/09/10話題二つ  郵便番号. 番号枠の印刷してない封筒 (B5判三つ折りの入る大きさ, 定形郵便に該当するはず) の上の方に七桁の郵便番号を書くと, 正しい番号であるにもかかわらず「番号ちがい」と 印を押されるのはなぜなのでしょう? 機械で読みとれないのはすべて番号違いとして扱うのでしょうか.

雑学: きのこの部分の名称. 傘のような形のてっぺんの笠のような部分 (紛らわしい表現かも知れませんね), 平たかったり円錐だったり丸みを帯びていたり反り返っていたりいろいろですが, あの部分を "傘" (かさ) といいます. それを支えている柱のような部分つまり傘の柄にあたる部分を "軸" (じく) または "柄" (え) といいます. 軸の根元の硬い部分を "石突き" (いしづき) といいます.

2000/09/11かさ  昨日の日記にキノコの部分の名前について書いたのは, あるサイトで石づきと軸とを混同しているらしい記事を見かけたからです. さて, キノコの "傘" (かさ) と書きましたけれど, "笠"とも書くようです. むしろ笠の方が本来の書き方かも知れません. キノコのカサというのは学術用語ではないでしょうから, 厳密なことが決まってるわけではないと思います.

そんなわけで今日はカサの話. 体積の意味の嵩 (かさ) ではありません. アクセントがちがいます. 関東方言では傘や笠は1拍目に, 嵩は2拍目にアクセントがあります. 笠 (かさ) も傘 (かさ) も雨を防ぐものですが, 笠は "かぶりがさ" で傘は"さしがさ"です. キノコは全体としては傘に似た形ですけれども, 軸を除いた部分を言うなら笠の字がふさわしく思えます. しかし傘と書いてあるのを多く見てきた気がするので昨日はこちらを採りました. あらためて辞書を見てみると, 笠の字であったり, 傘でも笠でもよかったり, 記述がなかったり, 一定していないようです. ともかく, 辞書を索いて気がついたのは "傘" は常用漢字であり, "笠"は常用漢字でないということです.

形の難しい方の傘の字だけが常用漢字に入っているのは, かぶりがさが使われなくなったことによるのでしょう. 田舎道を歩いたり野良仕事したりするとき, 笠は便利なものです. 両手が自由です. しかし現代の都会には向かないですね. バスや電車に乗るときにどうしたらいいかわかりません. 折りたたみ式のかぶり笠でも作ったら普及するでしょうか. 蓑 (みの) や笠が使われなくなっていくのはさびしいことですけれど, そういう時代の変化はとどめようがないのでしょう.

地名には笠ヶ岳, 笠取峠, 井笠, 笠島など笠の字が多く, 傘の字を見たことがありません. かぶりがさが忘れられていくと笠取峠の意味も伝わらなくなります. あまりの眺めの良さに旅人が立ち止まって笠を脱いで景色を堪能した峠.

傘の字は不思議な字ですね. 傘の象形文字のようでもありますが, 四人で相合い傘するのだろうか, その四人を支えてる横棒は何だろうか, などと考えるとなぞめいてます. ところでカサをもう一つ. お日様がかさをさすという現象があります. 太陽のまわりに虹の輪のようなものが見えるのですが, あれは "暈"と書くのだそうです.

2000/09/12大雨の日  夜中に雨音の激しさに驚きました. 起きたときも激しく降ってました. 予報のとおり, 小降りになってきて, 午後には止みました. ここは無事ですけれども, 台風や洪水の被害の出ているのが気がかりです. 午前中に自動車で埼玉県所沢市まで行って来ました. どこかで道路が水をかぶってるのか, ひどく渋滞してる道路がありました. 疲れてるので今日はこれだけ.

2000/09/15休みます  股関節亜脱臼のことが「水のほとり」のあちこちに 断片的に書いてあるのを少しばかりまとめようとしたら, 意外に手間取ってしまいました. そのあと, 日記を書こうと思ったところへ突発的な事情があり, 休みます (日記を休みますというのも日記なのか?).

2000/09/16父母に会いに  茨城県へ父母を訪ねました. 同じ老人ホームの, ケアハウス (軽費ホーム) に父が, 特別養護に母が, それぞれ入っています. 父から昨日電話があったのですが, 話がさっぱり要領を得ず, とにかく何か困ってるらしいということ以上はわかりません. 激しい雷雨の中を自動車で出発しました. ラジオで交通情報を聴きながらなるべく渋滞してない道を選んで行きました. 交通信号が消えてしまってパトカーが駆けつけて警官が交通整理を始めるなど, いろいろありました. 私の住んでる市内でも道路冠水で通行止めのところがあると, ラジオで知りました. あちこちで渋滞があり, 高速道の入口までいつもは1時間か1時間半でたどり着けるのを 2時間半もかかりました. 高速に入ってからは雨もほとんどなく順調に走り, インターを出てからの田舎道も楽に走れて, 5時間かかって到着. 父と母とを見舞い, 施設の責任者の方とも会って話をして, ひとまず安心. べつに困った緊急事態が起きたわけでもなく, かと言ってたださびしくて呼んだわけでもなく, 事情がわかればどうということのないことでした. そんなわけで, 急いで処理すべき問題はなく, あとは父と雑談して来ました. 母はあいかわらず薬の副作用か幻覚があって, 訪ねて行ったのが息子だとわかってくれたのかどうか定かでありません. 父も母も年々老いて行きます. だれにもとどめることができません. 悲しいことです. どうにもならないことなのです. 親が老いると言うことは長男の罪なのでしょうか.

帰り道の常磐高速から多摩地方を見ると白い入道雲や黒いのが盛り上がってます. 壮大な稲妻を幾つも見ました. 高速道を降りるあたりから雨がときどき激しく降り, それでも渋滞はあまりなくて, 疲れと股関節の痛みとを感じながらも無事に帰り着きました.

2000/09/17素直な現代っ子  日本新記録で銀メダル取って "めっちゃ悔しーい!" ・・・田島寧子選手は素直でいいですね. 東京オリンピックのころには, 感じたとおりをこんなに素直に表現できる選手はいなかったと思う.

さて, 私は昨日の疲れを持ち越して一日中ぐうたらぐうたら. 一晩寝ても疲れが取りきれなくなったのは悲しい. やらなければならないことはあれこれあるのだけれど手につかず, 何となく一日が過ぎ去ってしまいました. 午前中は雨がときどき激しく降ったり雷が鳴ったりしてましたけれど, 午後になってしだいに晴れてきました.

2000/09/18頭痛いよー  朝方は曇りときどき晴れ, 何となく不安定な天気でしたが, 昼間は晴れて暑いけれど湿度はやや低く, いくらか過ごしやすい季節になってきたのを感じます. せっかくの日和なのに午後は頭痛になり, 仕事がはかどりません. 本をちょっと読んだりテレビを少し見たり, 何をやっても集中できずにいます. 時間だけが流れて行きます. オリンピックもいいけれど, どこの放送も日本がメダルとるかどうかにばかりこだわりすぎ. 参加することに意義があるという標語は忘れられたのでしょうか.

2000/09/19びっくりした  今日も股関節の治療に行って来ました. しばらく通院することになります. 帰り道にびっくりしました. 広い道路へ右折で出ようとしたときのことです. 信号機のある交差点です. 片側一車線の道路から出て来ました. 何度か通っている四つ辻です. 広い方の道は低木の植え込みのある立派な中央分離帯があります. 信号が青になり, 分離帯のあたりまで進んで, 対向する直進車をやり過ごし, 右に曲がって第二車線に入ろうとしました. なぜかというとその少し先でまた右折するつもりだからです. 何と, そこにこっちを向いて停車してる自動車がいるのです. 分離帯を越えた側ですから, 先行してる車の後につくはずなのに, 正面が見えるのです. 一瞬, 何がなんだかわからなくなりました. 悪夢を見ているような, 外国映画の場面に落ち込んだような, 変な気分. 交差点内でためらっていては危険です. 急いでまわりを見回し, 標識を見て一方通行出口などに変更されてないのを確認. 先の方を見て, 多くの車が正常な方向に走ってるのも確認. 一瞬の間のことです. 後から来ている右折車の動きも見て, 進路妨害にならないのを確かめ, 第一車線へ右折しました. 第二車線に逆向きに止まってる車とすれ違う一瞬, 右の方向指示器の出てるのに気づきました. そのまま進んだので, そのあと信号が変わるとき何が起きたか知りません. 右折するつもりで手前から対向車線に入っていた, それが一つの可能性でしょうか. 分離帯があるから, 対向車線に入れるのは恐らく一つ手前の信号です. そこを斜めに右へ行って, 対向車がたまたま来てなかったのを幸い, 逆行したのでしょうか. 高速道路で逆行した車のニュースは聞いたことがありますけれど, こんなところで逆行車に出会ったのは初めてのことです. 接触や衝突にいたらなかったのは幸いです. その瞬間には恐怖感より驚きと違和感だったのですが, あとになって恐ろしさを感じます.

2000/09/20日が短くなる  彼岸の入りだそうです. 日が短くなっていきますが, その速さのいちばん速い時期です. 日照りで水の減っていた多摩湖も, 先日の大雨のおかげでなみなみと水をたたえています. 湖のまわりの木々の葉の色がわずかながら秋の色を帯びてきたように感じます. 信州とくらべたら季節感に乏しいのですが, それでも夏から秋への移り変わりが見えます. まもなく後期の授業なので, 準備に追われてます. 目がちょっと疲れてます.

2000/09/21夏休みが終わる  昨日の日記の日付をまちがえて09/19と してしまいました. すみません. 正しくは09/20です. 直しておきました. さて, 東京女子大学は今日から後期の授業が始まります. 私の講義は月曜日なので25日が最初ですが, 予習を急がねばなりません. しかし, 親族からの頼まれごとで, 気の滅入るようなことをやったあと, なんだか頭がさえなくて本を読んでも頭に入りません. 助けて下さい.

2000/09/22耐えることについて  幼いときから何ごとにも だまって耐える習慣がついてます. 耐えるようにきびしくしつけられました. また, 戦時体制で食べ物が乏しく, 家も貧しく, わがままの言える状況でも ありませんでした. "欲しがりません勝つまでは"とか "ぜいたくは敵だ"とかいう標語のあった時代です. 米あまりのいまとちがい, 米不足の時代です. 米は配給制で, その量も少なくて, 代用食が勧められていた時代です. 空腹でも, 食べ物が美味しくなくても, 耐えるしかないのです.

学校ではよくいじめられました. 農村の小学校に都市近郊から引っ越してきた "よそもの"で疎外される上に, やがて外人だとかスパイだとか言う風評に伴って いじめはますます激しくなりました. 体格のいい田舎の子を相手に, しかも多勢に無勢で, かなうわけもありません. いじめられてもだまって耐えるしかないのです.

人生の中で耐えなければならないことはたしかにあります. しかし, 何ごとも耐えるばかりでいいのかどうか, 少し疑問です. 痛みに耐えて耐えて耐えて, 耐えきれなくなって病院へ行くと, なぜこんなにひどくなるまで来なかったのかと聞かれます. 我慢したことをほめてはくれません. 治療は手遅れにならない方がいいのだそうです. 耐えるくせがつきすぎているかも知れません. 反省してます.

耐える意義のあることももちろんあります. 深い思索を要する数学という学問に頭痛は大敵です. 頭の痛みに耐えて難しいことを考え続けてきて, 数学の研究をなし遂げてきました. 頭痛の原因がもっと早くわかって治療ができていたら, 研究はもっとはかどったでしょう. しかし, 頭痛をこらえながらでもいくらかの業績は得られたのです. 痛みに負けて数学を投げ出していたら, 得られなかったものです.

なぜ耐えることができたのだろうと振り返ってみると, 数学の魅力です. おもしろいからこそ, 痛みをこらえながらでも考え続けてきたのです. 数学を深めれば深めるほどおもしろい, 数学は私を裏切らない, その魅力に取り憑かれて努力を続けてきました.

おもしろくも楽しくもないことに努力しようと思っても, 長くは続かないでしょう. 希望がなければ苦難に耐え続けられないでしょう. 耐えるためには, 耐えるに値する何かを見つけるのが必要です. 私にとってはそれが数学だったのです.

2000/09/23秋分の日  季節の変わり目. 雨がときどき激しく降ってます. ご先祖様には済まないことですが, お彼岸の墓参りは何年も欠かせてます. あさってから始める講義の教材をいまになって一部書き替えたくなり, 急ぎの作業中です. 目が疲れてます. 目に優しいディスプレー装置はできないものでしょうか.

2000/09/24つくつくぼうし  秋分を過ぎて朝は薄ら寒いほどなのに, 昼間の暑さは相変わらずで, 何といまだにつくつく法師が鳴いています. いろいろなセミの中で, ツクツクボウシの引きつったような鳴き声だけは苦手です. アブラゼミのジーと鳴くのはいかにも暑そうだけれど 暑い盛りにあの鳴き声は似合ってます. 夕暮れになって鳴くヒグラシのカナカナも涼しげでいいものです. 私の育った信州北部にはツクツクボウシはいませんでした. 信州に移り住む前に暮らしていた関西の記憶はおぼろげですけど, アブラゼミやクマゼミはいてもツクツクボウシはいなかったような気がします. 大学に入って神奈川県の伯母の家に居候して初めてツクツクボウシを耳にしました. 聞き慣れないのが好きになれない理由の一つですけど, それだけではなくて伯母の世話になっていたころの記憶と結びついて, あの鳴き方はどうしてもなじめないのです.

2000/09/25鳴くのか泣くのか  昨日の日記にセミが"鳴く"と書いたら, 虫でも"鳴"の字を使うのだろうかという疑問が出ました. なるほど字の形をあらためて眺めてみると旁に鳥の字があって気になります. 人は泣き, 獣や鳥や虫は鳴くと教わっていたように思います. そう思って使い分けてきました. 字の書き分けの問題が起きたのは中国から漢字の伝わってきたころのこと, それまでは動詞"なく"の書き方の問題はなかったわけです. まず動詞"なく"を岩波古語辞典で調べてみると"な"は "ね (音)"の古い形. 人も鶯も蛙も"なく"のです. つぎに岩波国語辞典を見ると動詞"なく"は動詞"鳴る"と 同語源で, 漢字の使い分けについては人は"泣く", 獣や鳥や虫は"鳴く"または"啼く"をもちいるとあります. 漢和辞典も引いてみようかと音訓索引で"なく"を探すと 泣く, 鳴く, 啼くのほかにもいっぱい並んでます. "哭く", "涕く"は見覚えがあって, なるほどそういう書き方もあったなあと思い出すのですが "号く", "吟く", "牟く"などは 知ってる漢字とはいえ"なく"と読むとは気づかなかったものです. さらに, 見たこともない漢字さえ幾つも並んでいて, 泣きたくなってきたのでこれ以上調べるのは止めます.

2000/09/26臨界事故から一年  茨城県にある原子核燃料の工場で臨界事故が起きてから一年経ちました. 近ごろあまり話題にもなっていませんけれど, 現地の人々にとっては一年で忘れられることではありますまい. もろもろの被害や今後への不安に対して万全の対策がとれるのか気がかりです. 屋内にとどまれという避難方法が, 結果的にはまちがいでした. 放射性物質が飛散してると誤認したか, 飛散する恐れがあると判断したか, どちらかなのでしょう. 実際には放射性物質は工場外にほとんど出てなくて, 臨界に達した核分裂反応によって中性子線などの放射線の出ていたことが 問題なのですから, 工場から遠くへ離れることを急がなければいけなかったでしょう. 細かいことは私も記憶してませんけれど, 避難したのは半径数キロメートルの範囲の住民だったでしょう. 当時, "青い光を見た"という報道に, はらはらしていました. 青い光とはチェレンコフ効果ではないのか, それは臨界に達したことを意味するだろうから, 半径30kmとか50kmとかあるいはもっと広い範囲に避難命令が出るのではないか, それに対処できる態勢は整っているのだろうか, 心配でした. 案じたとおり臨界に達していたというニュースが入りました. 爆発に至らなかったのは不幸中の幸いと思いました. これから, 不幸にして放射線を浴びてしまった人たちへの長期にわたる健康管理など, 現地の行政当局は難しい問題を処理していかなければなりますまい.

2000/09/29研究集会  "記号論理学と情報科学" 研究集会に参加してました. 27日の水曜日の午後から今日までです. 場所は京都大学理学部数学科です. 最終日の今日は午前中だけで終わりになり, 新幹線ですぐ帰ってきました. そういうわけで27日と28日の湖畔日記は休みました. 毎日書いておいて帰って来てから三日分まとめてftpすることも考えてみたのですが, 結局, 書く余力はありませんでした. 体の調子があまりよくないときに勉強に集中して, 疲れましたけれど, それに見合うものを得ました. これからの研究に参考になること, 授業に役立ちそうなこと, いろいろ学んできました. もっといろいろ書くつもりでしたけれど, 取りあえず無事帰宅の報告.

家に帰ってみたらいやーな手紙が来てて気が滅入ってます. 兄弟や親類というのはどうして不快なことばかり持ち込むのでしょう. 人間はなぜ血縁関係に縛られて暮らさなければならないのでしょう. 他人同士のように常識的につきあうことのできる人ばかりの世の中だったら よほどストレスが少なくてすむと思うのですが, 如何でしょう.

2000/09/30川のほとり  京都の研究集会へ行ってきた話の続きです. 京都の都市計画は道路が東西と南北とに整然と並んで碁盤目になってます. 町名をおぼえるよりも通りの名をおぼえる方が便利です. それがなかなかおぼえられないのですけれど, それでも道路の名前をもとにした座標の考えで場所を示すのは便利なものです. 今度の出張で泊まったホテルは "河原町三条上ル" にあります. 河原町通というのは鴨川に平行して南北に走り, 三条通は東西に走り, その交わるところが河原町三条で, そこから "上ル" つまり少し北へ行くのです. さて, 早起きして宿を出て研究会場まで歩いてみました. まず河原町通を北へ行き, 御池通との交差点へ出ます. 市役所のあるところです. ここから御池通という幅広い道路を東へ百数十メートルほど行くと 鴨川にかかる御池大橋. わたらずに河川敷に降りてしまいます. 朝の涼しい川風を楽しみながら, 鴨川のほとりを北へ北へさかのぼって行きます. 川にカモがほんとにいました. サギなどもいます. 水を眺めながら歩くのは気分のいいものです. 二条大橋, 丸太町橋をくぐり, さらに上流へ歩きます. 釣りをしてる人, 犬の散歩の人, 写真を撮ってる人, ジョギングする人など さまざま. みんな川のほとりが好きなのでしょう. 荒神橋をくぐるあたりは京都御苑の東方に当たるはずです. 東の対岸に京都大学付属病院が見えます. 賀茂大橋まで歩きます. ここは賀茂川と高野川との合流点. おなじ "かもがわ" という発音でも, ここから上流を賀茂川, 下流を鴨川と書くらしいのですが, よくわかりません. とにかくここで橋にあがります. ここは今出川通です. 橋を東へ渡って今出川通をさらに行きます. 東大路と交わるところが百万遍交差点で, 近くに百万遍知恩寺があります. 東へ行くとやがて銀閣寺に達する道ですがそこまでは行きません. 百万遍から二〜三百メートルでしょう, 京都大学理学部があります. ここが研究会場です. 宿から約四キロメートル, 股関節が痛めば休み, 治まればまた歩き, ぶらぶらと行ったので一時間半もかかりましたけれど, バスで行くより楽しかったので満足してます. 次の日の朝は高瀬川を眺めながら木屋町通を行き止まりまで歩いてから 鴨川河川敷に出てみました.

2000/10/02十月  早くも十月, あと三ヶ月で今世紀の終わりですね. 実は, 世紀の変わり目という感慨はあまりありません. 昨日は気分が憂鬱で文章がまとまらず日記を休んでしまいました. 今日は昨日とくらべたら気分がよくなりました. 秋晴れのさわやかな日々にはまだならず, 秋の長雨の続きです. しかし, 晩には急に寒くなってきました. 講義してきたのだけれども, 何となく手応えがないのは気のせいでしょうか. オリンピックに気を取られてるわけでもないと思うのですが.

リンクのページ, 和算のページなど少しばかり更新するつもりで準備中です.

2000/10/03今日も疲れて…  朝は雨, それがまもなく止んで晴れてきて, 心地よい秋晴れになり, 夕方にはまた曇ってきました. 股関節の治療に行って来たあと, 教材を少しばかり作ったりしている間に, 夕方になってしまいました.

金子-永島の共有知識の論理を学びたいと望む人たちのいるのはうれしいことです. 私たちの創った理論を受け継いで, さまざまな応用を見いだしたり, さらに発展させたり, わかりやすくしたりしてくれるのを期待してます.

いろいろ書くことはあるのですが, 疲れていて文章がまとまりません. 今日の日記はこれだけにします.

2000/10/04げすの勘ぐり  げすの勘ぐりする人は世の中にいくらでもいます. そういう例を並べてみてもつまらないかも知れません. 世の中のどこかにいるというだけならどうでもいいのですが, げすな人が身近なところにいていくらかでも関わりをもたなくてはならないとなると 悩みの種になります.

(1) 女性が高い地位について責任ある仕事を受け持つ例が多くなりました. 喜ばしいことだと思っているのですが, 快く思わない人もいます. あの女は上司と性的関係を持って地位を得たにちがいないとか, あの女は指導教官に体を提供して就職させてもらったのだとか, すべて嫌らしい憶測をする人がいます.

(2) 一人暮らしの老人Aが, 貸金庫の管理を親類のBに委任しました. Aの妹もBに対してAの財産の管理を引き受けてほしいと依頼してました. Bは若いときにAに世話になっていた恩もあり, 引き受けていました. やがてAがぼけ始めると, Aの親類Cが突然Bに言いがかりをつけ始めました. Bが金庫からAのものを抜き取っただろうというのがCの疑いです. CはAに対してB以上に深い関係ではなく, またBがAの金庫を管理することに対して 助力することもなければ異議を申し立てることもなかったのです.

(3) 老いたD夫妻が身の回りの世話などしてもらうヘルパーとして 女性Eに自宅へ来てもらっていました. ところがEをD夫の愛人だと疑い, ついには性的関係が絶対にあると言い張る人がいます. 困ったものだとD妻が言ってました.

(4) "FがGの悪口を言っている" と事実無根の主張をする人, こういうのは会社や学校にもよくある例だと思いますけど, こういう うそをついておもしろいんでしょうか. 自分の幸福よりも他人の不幸の方が値打ちがあるんでしょうか.

2000/10/05無題  寝覚めがすっきりせず何となく息苦しい一日でした. 読むことにも書くことにも集中できない日ですが, 水のほとりを少しだけ更新しました. あとは書類をあれこれ書いたり郵送したりと, 細々したこと. 少し予習して, 早く寝ます. 明日から大学院ゼミナールが始まります.

2000/10/08研究という仕事  世の中は三連休, しかし相変わらずの日々です. 研究という仕事は五時の鐘が鳴ったら終わりというけじめがつけにくいものです. 数学というのは実験系の学問とちがっていわゆる紙と鉛筆だけの学問です. 何か問題を考え始めたら, 解決するまでは気がかりですから, 夜であろうと休日であろうと思い立ったらいつでも研究に取り組みます. 残業して研究せよという業務命令がなくても, 定められた勤務時間以上を研究にあてているかも知れません. もちろん, 難しいことを集中して考えているばかりでは頭が疲れますから, ときどき休みたくなります. ただ, 休むのもまた夜でも昼でも平日でも休日でもいいのです. 散歩するとか昼寝するとか専門書でない本を読むとかパソコンで遊ぶとか, 休み方もいろいろです. もっと集中して休むなら旅行なども考えられます. 映画を見にいくとか音楽を聴きに行くとかそういうことも考えられます. "休むぞ" と決心するかどうかの問題なのでしょう. 連休のときはどこへ出かけても混雑していて休まらないので, 買い物とか旅行とかは平日の方がいいです. 非常勤の仕事で暮らしてるいまは勤務先に拘束されるのは授業のときだけで, 平日に遊びに出かけるにも休暇願が要りません.

2000/10/09研究という仕事, その二  休日だろうと夜だろうと 思い立ったときにいつでも研究すると, 昨日の日記に書いたところ, そういうのは素敵だという感想をいただきました. うれしいです. 思い立ったときにいつでも仕事できるようでないと学者というのは 務まらないのだろうかとの疑問に, ちょっと考えてみました. 務まらないとは言い切れないにしても, 学者の適性の一つだと思います. 芸術家なども同じなのでしょう. 創造性と関わりがあるのか, 興味あります. 17時にはぴったり終わるという働き方は私たちの学問にはなじみません. 風呂に入っても頭の中には数学の問題がぐるぐる回っていたりします. 気が乗れば何時間も集中して考え続けることがあります. 気の向かないときはいくら頭をひねっても何も浮かんできません. 猫みたいに気ままにやってます. 思えば子どものころ「毎日何時から何時までは何々の勉強」と 時間を決めてやるのでなければ勉強ではないと母親からよく言われました. 規則正しいやり方を重んずるそういう立場からみたら, いまも勉強してないことになるのでしょう. 時間に縛られずに気ままに仕事する性格と, 毎日決まった時間に規則正しく仕事する性格, 別にどちらがすぐれてるとか劣ってるとかいうことはありませんけれど, 創造性や深い洞察を要する数学という学問には, 思い立ったときにいつでも仕事できる性格の方が向いてるだろうと思います.

2000/10/10十月十日  十三夜です. 去年までは体育の日だった十月十日です. この日が体育の日に決まった理由の一つは, 晴の特異日ということだったと思います. 天気の特異日というのがあって, 長年にわたって統計を取ってみると何月何日は晴が多いなど, 日付と天気との間に関係があるそうです. 統計的に有意, つまり偶然の出来事である確率がきわめて小さいと知られているのに, なぜ晴れやすい日や雨の降りやすい日が何月何日という日付とかかわるのか, いまの気象学的には説明がつかないそうです. 学問的な理由はわからなくてもとにかく十月十日や十一月三日は 全国的に晴れる可能性が高いといわれてます. 十月第二月曜日とかにしてしまうと晴れる確率は下がるでしょう. 十月九日に変わった今年の体育の日は雨でしたが, 今日は晴れました.

2000/10/11ノーベル賞  白川英樹氏にノーベル賞というニュースが入りました. プラスチックスは電気を通さないというかつての常識を覆して 導電性プラスチックスを創り出し研究してきた業績が認められたそうです. 畑違いの私には有機高分子化合物の分子がどうなっていると電気を通すのか, その理論はわかりませんけれど, 不可能だとか難しくて実現の見込みがないとか 世間で思われている課題に取り組む学問的勇気がすばらしいと思います. ところで白川英樹さんという名前に記憶がありません. 初耳です. いままでマスコミにとりあげられることが少なかったのか, 私が忘れてるだけなのか, どちらなのでしょう. 導電性高分子化合物の研究で日本が先進的な業績を上げていることは何となく 聞き覚えがあるのですけれど, 白川さんのことをマスコミはいままでどれほど 伝えてきたのでしょうか.

2000/10/12パソコン更新計画  十月とは思えぬ暑い日でしたが, 夕方になってようやく涼しい風が吹いてきました. 十五夜の月がちょっと姿を見せたあと雲に隠れてしまいました. 寒暖の差の激しさに負けて, だるく息苦しい日でした. 股関節の痛みのほとんどないのが幸いです.

うちのパソコンのこれからの計画を考え始めてます. ネットにつなぎっ放しにするかどうか, 検討してみるつもりです. パソコンも買い替えないと, 133MHzではのろくてたまりません. OSはWindows95なのですが, Windows98にするかどうか決めかねている間に Windows MEとやらが現れて, とまどっています. エムイーじゃなくてミーと読むのだと聞いてびっくりしてます. Win95ではマルチタスクとしてのメモリ管理がうまくいってるのだろうかと 疑問を感じる状況になることがあるのですけど, そういうことは新しいOSでは解決されてるのでしょうか. 進歩に私の知識が追いつきません. とにかく教材を作ったりネットで資料を調べたり, "水のほとり" の管理したり, そういうことが滞りなくできる環境にしたいと思ってます.

2000/10/13長生きしよう  金子守さんと私が共同研究して創ってきた 共有知識 (共通認識) の理論があります. 二部作の論文にして, ポーランド科学アカデミーの雑誌Studia Logicaに掲載されたものです. 数理論理学をもちいて共有知識を解明した研究で, 経済学におけるゲーム理論への応用を意図したものですけれど, 経済学以外にも応用の可能性はいろいろあると考えられます.

うれしいことに, この理論を学びたいという若い人たちがいます. その人たちが私たちの理論を身につけて, その応用を切り開き, いつか経済学の大きな問題などを解決してくれるのを見届けたいものです. 長生きしなくてはなりません.

2000/10/14秋空  秋らしい青空になりました. おとといの暑さ, 昨日の寒さとくらべて, 今日は暑からず寒からず, 心地よい日です. 昨日今日のニュース:
☆スペースシャトルが宇宙ステーションと無事にドッキング. よかった.
☆金大中さんにノーベル平和賞. かつてイスラエルとパレスチナの両首脳に授与されたのに対し, 今度は韓国だけで朝鮮民主主義人民共和国には与えられなかったことが, どんな影響をもたらすのだろうか.
☆イスラエルとパレスチナとの紛争. ますます激しくなってます. 首脳会談が開かれるかどうか危ぶまれます. 血を流さぬ解決を願ってます.

2000/10/15さがしもの  早くも十月半ば, 時の流れは速いものです. いつも時間を惜しみながら暮らしてます. 近ごろ記憶力の衰えか, 失せものが多くて困ります. さがしものに費やす時間が多すぎるのです. 研究に必要な資料や何かが見つからなくて, 仕事にさしつかえます. デジタル化したものはMOに保存してあって, たかだか2〜3枚をgrep検索すれば必要なものはたいてい見つかります. 困るのは印刷物や手書きメモなど, 紙のものなのです. 整理整頓できてないのがいけない, それはよくわかっています. 少しずつ整理して, デジタル化できるものはパソコンに保存するように 心がけてはいますけど, なかなか追いつきません. いったんごちゃごちゃに交じりあってしまったのをあらためて分類整理するのは 悲しくなるほど手間と時間のかかる作業です. 大学に常勤で勤めていたときに, もとの研究室では資料は分類整理して置いてました. それが研究室の移転のときにまぜこぜになってしまい, さらに主任を務めていたときに忙しさのあまりますます乱雑になりました. その状況から回復しないまま定年を迎え, 取りあえず片端から段ボールに詰めて 持ち帰って積んであるのですが, 何がどこに入ってるのか, どこから片づけたらいいのか, 途方に暮れる状態です. そこにさらに新しい資料が入ってくると, どこに置くか決められず, 取りあえずそこらに置いておくと見つからなくなってしまいます.

2000/10/16二週間ぶりの授業  二週間ぶりの月曜日. 月曜日は先週もあったんですが, 平日の月曜としては二週間ぶりっつーこと. そういうわけで, 月曜日の講義も久しぶり. 前回の話を思い出してもらわないと続きの話ができないんですが, おぼえてるのかどうか, どうも反応が弱い. とにかく前回の話を簡単に復習したあと今日の本論. この前のおさらいなのにノート取ってる人がいるのは, 欠席だったのか, 前の話を忘れちゃってるのか, どちらなのでしょう. あるいはすべて書き取る主義なのでしょうか.

講義二つのほか, 非公式ながら四年生のゼミナール. さすがに参加者に意欲があり, 終了の鐘の鳴ったのも気づかずに楽しく過ごした一こまでした.

2000/10/18木枯らし  寒いです. 関東では木枯らし一号. 古紙回収日なのにうっかりしていて, 気づいたときには回収車の去ってしまった後. 少し風邪気味. そろそろ冬物の下着にしないと体が冷えるかも知れません. 勉強はひとまずはかどってますけど, それでも何か焦りを感じる日々です.

2000/10/20二億五千万年の眠り  二億五千万年の眠りからさめた生物. 地下深い岩塩の中に閉じこめられて冬眠状態にあった細菌が見つかり, 培養してふやすことができたという. 二億五千万年前といえば古生代の末ごろ, 恐竜のまだ現れていない時代. 気の遠くなるような時を越えて眠り続けてきた微生物が息を吹き返して 繁殖を始める. ジュラシックパークを越えてしまうような夢のある話.

2000/10/21HTMLで数式   "水のほとり" に数学の話, とくに私の専攻分野である数理論理学の話を, 書きたいと前から思ってます. その障害になることの一つは, HTMLで数式が書けないことです. 上つき, 下つきはできるので簡単な化学式や数式はある程度書けます. H2Oとか, ax2+bx+c=0などです. しかし, この程度のことで十分とは言えません. 式の中でローマン体とイタリック体の書体を使い分けることができません. 複雑な形の式も書けません. 記号も足りません. 現在のHTMLでは数式はあきらめるほかないのでしょう. 一つ一つ画像ファイルとして埋め込むのがただ一つの解決でしょうか.

2000/10/23Cool Runnings  常夏の国ジャマイカからオリンピック冬季大会の ボブスレー競技に参加するという快挙があり, Cool Runnings (邦題クールランニング) という映画にもなりました. "氷? アイスクリームしか知らない" などと言っていた 熱帯の国の男たちが, 氷上のF1ともよばれるボブスレー競技に参加しようという 途方もない夢を実現するまでを描いた楽しい映画でした.

さて, 何でこの映画を思い出したのかというと, こういうことです. 金子さんと私が"Game logic and its applications I, II"という 二部作の論文としてポーランド科学アカデミーの Studia Logica誌に発表した金子・永島の共有知識の理論は, 数理論理学の中でも難しいものなのですが, "数理論理学って何ですか?"と言いながら それでもこの理論を学びたいという人たちがいるのです. 予備知識はないけれども熱意に燃えて目が輝いてます. どこからどう教えていくか途方に暮れるような話ですが, 私たちの理論に興味を示してくれるのはうれしく, 指導しないわけにはいきません. 氷にさわったことのない人たちにそりの競技を教えた監督の苦労を偲びながら, とにかく目標に向かって何をどんな順序で教えていくか, 考えてます.

2000/10/24独創性  ノーベル賞を受賞した白川英樹さんが 「日本人に独創性がないというのは間違い。米国と日本が異なるとすれば、 日本には独創性をつぶしてしまう土壌があることだ」と, 三年前に語ってるそうです (日本経済新聞2000年10月12日). まったく同感です. 独創的な仕事をしても国内では正当に評価されないことが多いでしょう. 独創的なことをしようと思ってもさせてもらえない環境があるでしょう. ノーベル賞級の研究のことだけを言ってるのではありません. 例えば学校の勉強はどうでしょうか. 子どものときからみんな同じ型にはまった考え方をするように 教え込まれてはいないでしょうか. 他人とはちがう自分独自のものの考え方を許されるでしょうか. 日本の未来のために, 独創性を大切に育てましょう.

2000/10/27大学院ゼミ  地球全体の温暖化による異常気象の一つなのか, 正常な変動の範囲内のことなのか, ともかく十月にしては秋晴れの少ないまますでに月末が迫っている. 今日も晴れていたとはいえ雲が多く, 秋らしい澄んだ青空ではなかった. さて, 今日は大学院ゼミナール. 金子守さんと私との共著論文を読んでいて, 最もおもしろいところにさしかかってきたが, それだけに難しい. 履修しているのは数理論理学に特有の手法に慣れていない社会科学系の院生. 方法論としてなじみのないものに出会って難渋している. 証明の構造を微細に分析しながらそれを変換していくといった手法について, 慣れてくれるまでは細かい点までていねいに指導する必要があると思っている.

2000/10/28ヒヨドリ  今ごろの季節になるとヒヨドリがにぎやかになる. にぎやかというよりも騒々しいと言った方があたってるかも知れない. きーきーとけたたましく鳴いてる. 赤くなり始めたピラカンサの実を 熟れたかどうか偵察に来たりする. そもそも冬には南の方へ去っていくはずの渡り鳥が なぜ渡らずに越冬するようになったのか知らない. 渡りをやめたかわりに生存競争に勝ち抜くためだろうか, 秋から冬にかけてのヒヨドリは気が強くて攻撃的. ほかの小鳥を追い払ったりして騒がしい. 秋の象徴のようなモズをこの地域ではあまり見かけない気がする.

2000/10/30秋晴れ  朝は曇っていたのが授業を終えて出て来たときには きれいに澄んだ青空. 久しぶりの秋晴れになった. 機首を銀色に輝かせ四本の白い糸を引いて西へ飛んでいくのはB747だろうか. その飛んでいく先の西の方を眺めると, 秩父, 奥多摩, 丹沢の山々がにわかに大山脈に化けたかのような黒雲の連なり, その上を縁取る黄金色の夕焼け.

秋晴れにふさわしくうれしいことがあった. Cool Runningsに書いた, 数理論理学の初歩から始めて金子永島理論を学ぼうという人がまた一人. 仲間がふえたことで励まし合い切磋琢磨して学び取ってくれることと思う. 経済学の問題を考えるのに必要なのを若い人たちが感じてくれるのはうれしい. 数理論理学をもちいて共有知識を分析する私たちの理論が さまざまに応用されるその日を見届けたい.

2000/11/06原人の遺跡はでっち上げか  前期旧石器時代の 原人の使っていた石器が日本で発掘されたとかつて報道された. 考古学には素人の私にも, こういう話題は楽しかった. ところが, 発掘にあたった藤村氏が自分で埋めておいたのを掘り出して, 発見したかのように見せかけていた, そういうことが新聞に大きく出ている. 事実とすれば学問を裏切るとんでもない行為で, 犯罪的である. いままでに発掘してきたもののどれが本物でどれがにせ物なのか, 徹底的に調べ直すことが期待されるが, ほんの一部にせよ偽りの発掘が行われていたとすれば, "ピルトダウン原人"をでっち上げたドーソンとともに 汚名を歴史に長く残すことになるであろう.

2000/11/07原人の遺跡ふたたび  昨日の日記に書いた事件ですが, 藤村氏のかかわった発掘成果を全否定してはいけないと, 専門家が言ってます. そのとおりだと思います. いままでの発掘成果について, どれが信用できて どれが疑わしいのか, 早急に徹底的に調べておく必要があるでしょう. 時がたてばたつほど全否定の恐れは大きくなります. ドーソンとフジムラは信用できないという悪評だけが 時とともに定着するであろうから, その前に再検討が必要です. まともな出土品まで否定されたり, 考古学という学問が信頼を失ったり, そういうことにならないように急いでほしいのです.

2000/11/08  奴という漢字について "そもそもなんで女に又??" との疑問が, 掲示板の書き込みの中にあったので, 調べてみた. 手持ちの漢和辞典は一冊だけ. 角川漢和中辞典 (貝塚・藤野・小野 編, 1964年). "奴"をひいてみるとこんなことが書いてあった (抜粋).
[解字] 会意。女と又から成り、又は手と同じで仕事をする意味を示す。 労働に従事する女をいう。転じて、男女にかかわらず人に使われる 卑しい者をいうようになった。後生は主として男についていう。
[字義] (1)やっこ。 (2)やつ。 〈国訓〉やっこ。

(著作権法で辞書の引用の許されるのはどの程度なのかわからない. この程度の引用の許されるのを期待する. 将来もし問題が起きれば 上の引用は削除するかも知れない.)

日ごろ目にしている漢字もたいてい成り立ちを考えずに使ってるけれど, 調べると意外におもしろい. もとは女性だったとか, "又"が手を表すとか, 調べてみるまで気づかなかったことばかり.

2000/11/13特別ゼミ  月日のたつのは速いもので (こればかり言ってますが), 十一月ももう半ば. あと一月半で今世紀が終わるから・・・というわけでもないけれど, 何となく気ぜわしい日々. やらなければいけないことが多くてどれから処理するか迷って疲れて. 湖畔日記も, 今日こそ書こうと毎日思いながらしばらく休んでしまいました. それでも健康状態のよくなってきてるのが幸い.

今日は特別ゼミ. 寒々した曇り空でしたけど, 学生たちと数理論理学をゆっくり楽しんできました.

2000/11/14ケーブルカー火災  オーストリアのケーブルカーの火災で 死者多数という悲惨な事故. ほぼ満員の乗客のうち9名が窓を割って脱出し逃げ延びたけれども, 百数十名がほぼ絶望的と見られている. 何かから出火してくすぶっていた火がやがてはげしく燃え上がり, 車両は全焼したという. 急勾配のトンネルを駆け登る炎と煙で命を落としたのは事故車の 乗客だけでなく, 山上の駅にいて逃げ遅れた人, 乗客のいなかった対向列車の乗務員も. 日本のテレビや新聞ではトンネルが「煙突のように」なったと言ってるけれども 現地の新聞では「巨大な炉のように」なったと言う. トンネル内の火災の恐ろしさは急勾配でなくても鉄道では北陸トンネル, 道路では日本坂トンネル, この二つの惨事からわかるけれども, 急勾配の場合はさらに悲惨なことになる.

出火原因の解明までにはまだかなり時間がかかるであろうと言われている. 駆動用のモーターなど動力源のないケーブルカーでいったい なぜ火が出たのか, あれこれ推測されてはいるけれども, 真相はまだわからない. 電気系統のショートという説がある. 電気といっても照明や扉の開閉のためのものに過ぎないはず. 乗客の火遊びなどによる失火説や, 鋼索を案内する滑車の不良で 摩擦熱が発生し潤滑油か何かに引火した, などなどいろいろ推測されている.

ブレーキが完全にゆるんでなくて引きずっていたのではないかとの 可能性を私は疑っていたのだが, 今日になってテレビでもその可能性を指摘していた. ケーブルカーには強力なブレーキが備えてあって, 鋼索を引っ張らない限りブレーキはゆるまない仕組みになっている. これはフェイルセーフという考え方に基くもので, 鋼索が万一切れた場合には自動的に直ちに停止させることで 安全性を保つ仕組みである. 構造上, ブレーキがかからないということはほとんど起こり得ないけれども, ブレーキがゆるまないということはあり得る. 何らかの故障か調整不良でブレーキが十分にゆるまないまま 走ったとすれば摩擦で過熱して火災を招くこともあり得ると思う.

とにかく大勢の人命にかかわる問題なのだから, 根本的な対策が必要であって, 現行の安全基準をみたしていたから許されると言う問題ではない. 重量38t, 定員180名の大きな車両を36km/hの速度で 急勾配を引っ張り上げるという規模に無理はなかったのだろうか.

現地の新聞記事をご提供くださったkiyoko様, ありがとう存じます.

2000/11/18久しぶりに秋晴れ  青空, そして夕方にはきれいな夕焼け雲. 赤や黄に染まった木の葉もひときわ美しく見える一日でした. 晩秋になってこんなに秋晴れの少ないのは異常気象なのでしょうか, いままでになかったことと思います. 明日はまた曇るらしいです. こんな気候のせいか風邪をひいてる人が多いようですけれど, おかげさまで私たち家族は無事でいます. ゼミナールと講義, その準備, 研究, 来年度の計画, 家の片づけ, 親類の××などなどに忙しく, 疲れていて日記をしばらく休んでしまいました. 水のほとりの工事中のページも相変わらず工事中. それでも, 元気でいられるのが幸せと思ってます. 連れあいと二人で早めの夕食に出かける途中, 夕焼け雲を堪能してきました.

2000/11/19荒天になったら  きのうに続いて晴れてると喜んだのですけれど, 曇ってきました. 明日は曇りのち雨の予報. 仕事帰りには降られそう. こんなに晴の続かない晩秋ははじめてです. まるで日本海沿岸の気候です.

例えば登山していて天気が急に荒れてきたとします. 無理に行動するのは危険で, 晴れるのをじっと待つのが安全ということがあります. いつ晴れるかわからないもどかしさはあっても, 荒天が好天に好転するまで, こらえてじっと待っているのが遭難しない道なのでしょう.

2000/11/21雨の多い晩秋  なんだか強い疲労感, そしてやや食欲不振. なぜかわかりません. 気候のせいかもしれません. 昨日は雨, 今日は曇り. 昨夜は大雨に強い風が伴ったので, 今朝は道端に濡れ落ち葉がいっぱい. おかげさまで堆肥の原料がたっぷり手に入りました.

女子大の四年生に金子・永島の共有知識の理論を指導している特別ゼミナールに, 昨日から参加者がさらに一人ふえて, ますます楽しくなりました. 一人一人の問題意識と, 私たちの理論とが, どのように結びつくか, それを見いだしたいと思っています.

手続きしなければならないこと, 書かねばならない手紙などなど雑務がたまって, そういうストレスに負けそうになってます. ストレスを解消する手だてはないものでしょうか.

2000/11/24小春日和  きのう木曜日は「勤労感謝の日」という祝日でした. 誰の勤労に誰が感謝するのでしょう. もともとは宮中の新嘗祭 (にいなめさい). 休暇を一日取って木曜日から日曜日まで四連休にした人もいるのでしょう. さて, 今日は久しぶりに青空, 小春日和になりました. おかげさまで, きもちよく今日の仕事ができました. 書くことがいろいろあったはずなのだけれど疲れていて文章がまとまりません. 取りあえず今日の日記はこれだけ.

2000/11/25落ち葉  落ち葉の季節です. 赤や黄色や茶色の木の葉が枝を離れ, 風に乗ってひらひらと舞い落ちていきます. 田舎で暮らしていたときには, この季節になると, 林の中の土の道は落ち葉の敷き詰められていました. 楢の木などの雑木林の道は歩くとかさかさと音を立て, から松林の道は降り積もった細かい落ち葉がじゅうたんのように ふわふわと心地よいものでした. 都会では落ち葉というものがどうしてこんなに嫌われるのでしょう. 何か不潔なものでも見るかのように忌み嫌われてます. 落ち葉で雨樋が詰まるとか, 道の濡れ落ち葉はすべって危ないとか, そういうことも言われているようです. それは納得できる部分もあるのですけれど, それだけとは思えません. 街路樹のケヤキの木なども落ち葉対策のために枝を極端に伐り払われて, ほとんど電柱みたいになってます. ケヤキらしく枝を張ることもなく哀れな姿です. 落ち葉がいやがられるのは, 道路がすべて舗装されているのが一因かも知れません. 土の道ならばいつか土に帰っていく落ち葉もアスファルトの上ではただのごみ. 土や石などの天然物をせっかくアスファルトで覆い隠してあるのに, その人工物の上に自然のものが落ちているというのは許せないと感じるのでしょうか. 自然から隔離された都会生活に, 落ち葉はなじまないものなのでしょうか. しかし, 路上の落ち葉を汚いと感じながら道に吸い殻や紙屑を投げ捨てていく, 犬に糞を平気でさせていく, そういう都会人の感覚は何か釣り合いを欠いているように感じられます. 長らく都会に暮らしていても, 田舎育ちの私には異文化接触なのです.

2000/11/29こうばい  紅梅はまだ咲きません. 購買でも公売でもありません. 坂の傾きつまり勾配 (こうばい) の話です. オーストリアのスキー場のケーブルカーが火災を起こした悲惨な事故の報道で, 線路が40度とか45度とかの急勾配だと当初はいわれてました. いくら何でもそんな急勾配は考えられないし, 映像を見てもとうてい30度以上には見えません. 勾配約40というのを伝え聞いた記者がその数値を度数と誤認したものでしょう. 実際には勾配が約0.4つまり40%でした. 鉄道や道路の坂の険しさは度数でなく水平と垂直との比で表します. 事故を起こしたケーブルカーの場合, 現地の新聞によると 麓の駅は標高911m, 山上の駅は標高2452m, 両駅の間の距離は4050mです (資料をご提供下さったチッペルレゆり様, ありがとうございます). これをもとに, 仮に勾配が一定であると仮定して計算すると, 駅の標高差が1541mであるから, 高さ1541m, 斜辺4050mの直角三角形の 底辺をピタゴラスの定理 (三平方の定理) で求めると 駅間の水平距離は約3745mとわかります. それで平均勾配は1541/3745=0.411となります. つまり41.1%の勾配です. 水平に100m進むごとに41m高くなる傾きということです. 度数に換算してみると約22度です. それでもたいへんな急勾配です. 参考までに, 45度が100%, 30度が約57.7%です.

ふつうの鉄道では% (百分率) で表したのでは数値が小さくなりすぎるので ‰ (千分率, パーミル) で表します. 例のケーブルカーの勾配は411‰です. 旧国鉄の規格で定められていた勾配は, 線路の等級によりますが, 幹線で25‰以下, ローカル線などで35‰以下, 碓氷峠つまり信越本線の横川・軽井沢間が特例で66.7‰でした. 私鉄でもおおむね35‰以下ですが, 長野電鉄の40‰, 神戸電鉄の50‰, 箱根登山鉄道の80‰などの急勾配もあります.

2000/12/04コンピュータ昔々  コンピュータほど急激に性能の高まったものは 他に例がないでしょう. 数年前のものは時代遅れです. 昔のことを少し振り返ってみようと思います. かつて勤めていた一橋大学から情報処理センターニュースを送ってきました. 最新号に, 情報処理センターの沿革が載っています. かつてどんなコンピュータが使われていたか書いてあるのを見て, 私がかつてふれてきた機械について書いてみる気になりました.

情報処理センターの前身の電子計算機室が発足した1969年に 最初に設置されたコンピュータHIPAC101は, 主記憶が2k語で, 1語が42ビットでしたから, ほぼ10kBに相当します. まだICメモリなど実用化される前のことで, 主記憶媒体には磁気コアが主流の時代でしたが, このコンピュータは少し前の時代のもので, 主記憶は磁気ドラムでした. 平均アクセスタイム5msですから, 6000rpmで回転していたのでしょう. 補助記憶装置はなく, 入出力は紙テープと500字/分の電動タイプライタ. この機械は見覚えはありますけど使ったことはありません. 1970年になるとFACOM230-25というのが入り, 全学共同利用になりました. これは主記憶が磁気コアで, はじめ48kB, 後に増設して128kB, 補助記憶に1MBの磁気ドラム装置と5MBの磁気ディスクパック装置, さらに集合磁気ディスクパック装置や磁気テープ装置も備えたもので, それまでのHIPACとくらべて圧倒的に高性能なものでした. 使えるソフトも 多くなりました. このコンピュータでは論理計算など多少試みたことがあります. これを読んでいて "キロバイトって書いてあるけどメガバイトのまちがいじゃない?" と疑問を感じる方もあるかも知れませんが, ほんとうにキロバイトです. さて, 一橋大学につぎのコンピュータの入るのは1980年なのですが, その直前までのことが書いてあり1980年からあとのことは次号に載るそうです.

1980年に情報処理センターが設立されてそこに設置されたのは富士通製の IBM互換機です. IBM互換といってもパソコンじゃありませんからDOS/Vでなく, 360シリーズ互換ということです. 主記憶は当初からICメモリで, 容量は2MBで発足したように記憶してます. まもなく容量不足で計算需要に耐えられなくなり, 増設しました. 増設の予算獲得に苦労したのも遠い思い出になりました. いまパソコンに64MBで足りないなどという話が当たり前になっていて, あまりのちがいに頭が混乱します.

さて, もっともっと古い話. 私がコンピュータにはじめてふれたのは 大学院生のときです. 在籍していた東京教育大学にはコンピュータが ありませんでした. 東京大学には理学部で作ったpc-1と工学部で作ったTACとが動いていました. これらは富士フィルムの社内用に作られたFUJICとともに, 最も初期の国産機です. トランジスタが高価だとか信頼度の問題とかあったようで, 使っている素子はFUJICとTACが真空管, pc-1がパラメトロンでした.

はじめは文京区本郷の東京大学工学部へ先輩が連れて行ってくれて, TACで定理の自動証明を行っているのなどを見せてもらいました. そのあと, 使い方を勉強して, 少しばかり使わせてもらいました. TACは主記憶容量1024語 (約2kB相当), 補助記憶装置無し, 入出力は紙テープと電動タイプライタでした. クロックが360kHzだったと思います. 主記憶素子はブラウン管で, 蛍光面にたまる静電気で記憶する仕組み, 従ってDRAMのようにリフレッシュして記憶を保ちます. 不安定なところもありましたけれど, とにかく純電子的なものですから 磁気ドラムなどとくらべてアクセスが速く快適でした. 若い人たちには信じがたいかも知れませんけど, いろいろな意味で使い心地のよいコンピュータでした.

2000/12/05だるい  青空と日射しに恵まれて心地よい日ですが, なぜか脱力感. 昨日の授業の疲れを持ち越したのか, 風邪の引きはじめか, だるくてたまりません. 共同研究の論文をまとめるために論理法則を あれこれ検討したり, 庭木を剪定したり, 給湯管の断熱材を巻き直したり, 照明器具を取り付け直したり, 手紙を書いたり, そんなことをしているうちに 一日が終わってしまいました.

2000/12/06星空  昨夜は久しぶりに晴れた夜空を眺めました. 外へ出てみたら西の空に上弦の月が明るく低く見えていました. 冬の星座のオリオン座が高く見えていました. その近くに恒星では最も明るいシリウスが輝いていました. そして天頂に近く, シリウスよりも一段と明るい惑星が見えました. 恐らく木星でしょう. 曇りの日が多かったこの秋から, 夜になって戸外へ出てみることも少なくて, 星空を見るのはしばらくぶりです. 夜の街を暗くすればもっともっと星空が美しくなると思います.

2000/12/07大雪  北国は大雪 (おおゆき) の降ってるところもあるでしょうが, きょうの表題は"たいせつ"です. 二十四節季の一つ. 埼玉県と東京都とにまたがるここ狭山丘陵には雪は降っていませんけれど, 霜が降りて寒い朝でした. 冬になったと実感する朝でした. 木の葉も散ってしまって少なくなり, 木々の眺めが寒々としてきました. 明日は開戦の日. 1941年12月8日, アメリカとの戦争が始まりました. まだ戦争というものがどういうものかわかってない私には, 何かたいへんなことが起きているらしいという漠然とした不安しかありませんでした. しかし, 衝撃的なことがまもなく起きたのです. それについてはまたいつか書く機会があるかも知れません.

2000/12/09研究討論  一泊二日で茨城県つくば市の筑波大学へ行き, 無事に帰ってきました. 筑波大学の金子守さんのところに, 金子さんの研究に参加している鈴木信行さんと田中義人さんと私とが 集まり, 8日の午後と9日の朝から昼過ぎまで, 集中的に討論してきました. 頭が疲れましたけれども, おかげさまで共同研究がまとまってきました. それぞれに専攻分野がちがったり興味の対象がちがったり感性がちがったり しても共通な目標をもって一つの研究をまとめ上げていくことのできるのは うれしいことです.

8日は朝早く出発してまず久しぶりに父母を訪れ, そのあと筑波山に近い峠を越えて筑波大学へ行きました. きょう9日は西に傾いて行く太陽に向かって常磐高速を走り, 外環道に入るころには日が落ちて薄暗く, 外環道を出て一般道を走るころには夜空になっていました. 二日間でかなりの距離を走りました. 思索と討論にも運転にも疲れたので今夜は早く寝ます.

2000/12/12寒い  寒さが本格的になってきました. 道路情報を聴いていたら, 長野県北部の信濃町から新潟県の上越市まで チェーンが必要とのこと. 信濃町というのはかつて暮らしていたところなので 雪国の雪道を思い出しました. 冷たい空っ風の吹く関東平野と, これから雪深くなる長野県北部や新潟県, それぞれちがった寒さです.

2000/12/15大学院ゼミナール  大学院ゼミナールの今年の最終回を終えました. 金子守さんと私との共著論文を大学院生に読んでもらってます. 難解な理論であると私自身も思っている共有知識の論理に関する 二部作の論文を, 数理論理学専攻でない社会科学系の大学院生たちが 読んでいます. 幸いによく理解してくれて, すでに第二部の終わり近くまで 読み進むことができました. 若い世代に私たちの理論が受け継がれていくのは うれしいことです.

2000/12/16残り二週間  今世紀もあと二週間で終わるけれど, いつもの年末のせわしさだけで, 世紀とかミレニアムとかについて 格別の感慨があるというほどでもない. しかし何も感じないというわけでもない. 今世紀は戦争の世紀であった. 二度の世界大戦をはじめ多くの戦争があり, 第二次大戦では原子核兵器が人類史上はじめて使われた. 来世紀は平和の世紀になってほしいと心から願う.

戦争と直接には関係ないけれど, スリーマイル島やチェルノブイリの原発の 大事故があった. そのチェルノブイリ原子力発電所もついに閉鎖. 事故を起こした四号炉のとなりで運転を続けていた三号炉が無事に停止. 止めるときに不安定になったりするのが不安だったけれども異常なく停止して まずは安心. しかし止めた三号炉も事故の四号炉もこれから長期にわたって どうやって管理していくのだろう. 来世紀へ残した課題.

2000/12/19授業終わり  先週金曜日の自主ゼミナールと昨日の特別ゼミナール, そして講義二つ, 今年の最終回を無事に終えて, ひとまず落ち着いたところ. 昨日の疲れを今日に繰り越してるのは年齢のせいだろうか. 学生の論文に目を通したり, 気になってたことをネットで調べたり, 家の中で電線がじゃまなところを通ってたのをつなぎ直すなどの 処理したり, 何となく一日が過ぎ去っていった感じ.

2000/12/21冬至  冬至です. 明日から少しずつ昼間が長くなります. しかし, まだ昼間が長くなるとは実感できない, その理由は二つあるようです. 一つは, 昼間が長く夜が短くなるといっても, 一日あたりの変化がまだ少ないことです. 春分のころに変化がいちばん速くなります. もう一つの理由は, 日の出の時刻は却って遅くなることです. 対称的に日の出が早く日の入りが遅くなるわけでなく, 日の入りは日に日に遅くなるのに対して 日の出はこれからしばらくさらに遅くなって行きます. 出勤時刻に間に合うように起きるとまだ暗い, そんな状況が年明けのあともしばらく続いたのを覚えてます.

2000/12/23年末の週末  今年の授業が終わったといっても, まだ仕事納めという気分ではありません. 年賀状を書くなど年末恒例のことのかたわら, 来年早々の研究会のことを考えたり, 一月の授業の準備をしたり, 来年度の講義の構想を立てたり, あれこれやっています. いま, 学生の卒業論文を一つ読んでいるのですが, 私の専攻分野のものではなく畑違いのものであるにかかわらず, 読む喜びを感じさせてくれる論文です. よい論文に出会った幸せを感じています.

2000/12/26年の瀬  クリスマス過ぎて年の瀬の慌ただしさもあるけれど, どこの店へ行ってもしつこく聞かされる「甚五郎兵衛」とかいう音楽から解放された. 今日はごみ収集の最終日なので今世紀のもろもろのごみをまず捨てる. 午前中の陽の高いうちに入浴して, 南向きの窓辺で日射しを浴びながら論文を読み, 年賀状を書いて, 年末の買い物に行って, 充実した一日であった.

2000/12/27年賀状  年賀状をようやく書き上げた. ほんとうは一昨日あたりまでに出した方がいいらしいけれど, 迷っていてなかなかできあがらなかった. 十一月から構想はあったものの, 新世紀にふさわしいものをなどといくらかこだわりのあったことと, 毎度ながら決断力がなくてデザインも文章もあれこれ試しながら 決定版にならなかったこと, そんなわけで遅くなってしまった. 一人一人に手で書き加えるゆとりもほとんどないので, 文面には お礼やお詫びや近況報告などあれこれ盛り込まなくてはならない. 昨日になって図柄を決断, 文章も最近読んだものの影響で書き替え, 昨日の午後からプリント. 今日も続き. 幸いプリンタは順調に動作. 年内に終えなければいけないことをこれで一つ終了.

2000/12/28やり残したこと  今年中に終えておきたいと思いながら 果たせないことは数え上げればきりがない. 退職のときに持ち帰った 資料を片づけるとか, 研究に手をつけたまま棚上げになってる問題とか, もろもろのことが年を越し世紀を越してしまう. 今日は取りあえず年内に返信しなければならない手紙などを投函. 区切りのつかない年末. 年の変わり目とか世紀の変わり目とかに こだわらないことにしよう, というのは言い訳がましいかな.

さて, 個人としてやり残したもろもろはひとまずおいて, 日本という国家の今世紀にやり残したことは, 戦争の後始末. 敗戦以来55年, 国外に対しても国内に対してもいろいろなことを やり残して二十一世紀を迎えることになる. どうなるのだろう.

2000/12/29仕事納め  昨日か今日が仕事納めという方も多いでしょう. 常勤でない私には"仕事納め"はありませんけれど, 今年の最終回の授業は先週終えてるので, 仕事納めみたいなものでしょう. 学者の仕事というものは17時で終わりとか28日で仕事納めとかいうけじめの つけ難いものです. 夜でも休日でも, 新しい問題について考えていたり つぎの授業の計画を考えていたりします. 実験系の学問ではまたちがうかも知れませんけど, 紙と鉛筆だけの学問といわれる数学の場合は大学でも自宅でも研究できます. みずから思い切ってけじめをつけないと休みにならないのです. その区切りをつけてみました. 昨日は共同研究者と今年最後の連絡. 講義資料などもひとまず整理して収納し, 調べものもひとまず終えて, 今日はおもに学問以外のことに集中しました.

復旧作業 年末にあたり家の掃除よりもパソコンの中の掃除と 思ったのが失敗. 不要になっていたソフトをアンインストールして, ついでに不要なファイルを削除したりしてるときに何か間違えたらしく, ネットに繋がらなくなってしまった. あれこれ試みたけれどだめで, ついにWindowsを再インストールした. それに先立つバックアップなど, わずらわしい作業がいっぱい. 再インストールは一見無事に終わったかに見えたけれど, TCP/IPが働かない. ダウンロードしてあったWin95の修正ファイルなどを インストールし直してダイヤルアップ設定をやり直して, 半日がかりで どうやら復旧. ネットに繋がるようになった.

2000/12/31二十世紀最後の日  この日にあたって今世紀の総括とか 今ミレニアムを振り返るとか書こうかと思ってはみたけれど, やはりテーマが重すぎます. それに, 今世紀といっても体験してきたのはそのうちの三分の二だけです. すでに広く言われてることですが二十世紀は戦争の世紀であった, それは同感だということだけにとどめておきましょう.

2000年というこの一年を振り返ってみます. つらいこと, いやなこともありました. 半世紀以上前に上級生たちに暴行されて亜脱臼した左股関節は, 42年後に治療したのですが再発し, 治療しました. その他のつらいことは書きません. 過去へと消え去って行くことを願うのみです.

うれしいことがいろいろありました. 共同研究者たちが金子守さんと私の"共有知識の論理"をさらに発展させ, 問題を解決して下さいました. 私たちの理論を研究に応用して下さった方もいます. 数学専攻でないのに私たちの難しい論文を読み通して下さった大学院生たち, その論文を読もうと意欲的に数理論理学を学んでる女子学生たち, 主婦として二人の子を育てながら魅力的な卒業論文を書き上げた女子学生, そういう皆さんに感謝してます.

インターネット上でもその他でも人の輪の広がる喜びを感じた年でもあります. そして, ネット上で知り合った人々にも喜ばしいことがいろいろありました. 新たな仕事を見つけた人, 婚約した人, 結婚した人, 出産した人, CDを出した人, その一人一人の喜びがネットを通じて伝わってきます. 来世紀への希望を感じながら今年を締めくくります. みなさま, 来年もどうぞよろしくお願い申し上げます.

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