last updated:Saturday, May 30, 2009            

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3 わかりやすい文章構成(推敲中) 

 レポート・論文は,自分の考えを文書にまとめ,それを相手(読者)に読んでもらい,その理解と共感,さらには納得を得る事を目的とします。
 ここでは 「レポート」とは,ある目的をもった調査,実験,研究などの結果を文章化した報告書で,そのボリュームは,A4判で1〜10枚程度を想定しています。「論文」はレポートよりボリュームが多いものを指します。


 なお,レポート・論文の特性から,その執筆に当たっては,@文章の筋立てが一貫(筋道がキチンと立てられていている)しており,A簡潔明解で,読みやすい文章であること,が何より求められます。  

    内  容

      目   的

日記

自分自身のための文

自身の記録

小説

芸術作品としての文

意思・思想の伝達−共感を得る,鑑賞  

レポート
論文

事実や意見を伝える文

情報伝達−同意を得る,説得する,動機づけ


事実:事実とは証拠をあげて裏付けすることのできるものである。
意見:意見というものは何事かについてある人が下す判断である。他の人はその判断に同意するかもしれないし,同意しないかもしれない。  出典:『言語表現技術ハンドブック』


3−1 レポート・論文の作成手順

 論文はもとよりレポートにしろ,自分の主張,考え方を説明力と説得力ある文とするには,事前準備が肝心です。レポートや論文を書く本人がその目的や意図を完全に把握してないと,筋道がキチンとせず,文脈もあいまいとなり,「何を書いてあるのかわかりにくい」ものとなってしまいます。そこで,やみくもに書くというのではなく,テーマに沿って,全体のバランスを考え,構想をたてます。
 とくに,200字〜300字程度の短い文章は,その記述を少しばかり足したり削ったりすることで,全体のニアンスが変わってしまいます。こうしたことから,じっくり構想を練るようにします。

 下の図は課題に対し,実際に文章を作る手順です。@〜Dのステップを順序通りに行ったり,戻ったりしながら進めます。




@目的・前提条件の確認

 このレポートや論文は,「何のために書くのか」「何を書きたいのか」「どんな情報を伝えたいのか」といった作成目的,そして「だれに向けて・何を伝えなければならないか」といった,伝達相手(読者)を確認・把握します。
 なお,伝達相手(読者)が不特定多数の場合は,平均的な読者像−知識水準,考え方,年齢,職業,社会的地位など−−を思い浮かべ,その人達の読みやすさを第一に考え構想を練ります。

◆ 目的・前提条件の確認
 WHY  : 文章作成の目的は            (           )
 WHO  : 読み手・読者はだれかは       (           )
 WHERE: 読み手・読者の知識水準は     (           )
 WHAT : テーマは・何を伝えたいのか       (           )
 WHEN : いつまでに書くのか            (           )
 HOW to  : 作成方法・体制            (           )
 HOW much: 予算                     (           )

A構想を練る――あらすじを組み立てる

 レポート,論文ともに,全体構想をたてるにあたっては,まず頭の中を整理してみることです。米国の心理学者J・P・ギルフォードは,思い浮かぶアイデアを次々に出していくことを「拡散思考」,逆によいアイデアを拾い出して問題解決策へと結びつけていくことを「収束思考」と名づけました。文章の構想を練るにあたっても,この正反対の二つの思考の使い分けが有効です。

 レポート,論文の構想をまとめる方法の一つとして,ポストイットを使っての方法をご披露します。

第1ステップ――自由連想・アイデアを拡げる
 目的・前提条件を満たすために,何を書くべきか,与えられた課題に対して,思い浮かんだ事柄をカードあるいはポストイットに箇条書きします。その内容は順不同でかまいません。また,この段階では,思い浮かんだアイデアや事実について,妥当性の判断はしません。
 こうして,「拡散思考」で書き出したカードあるいはポストイットは,B4あるいはA3サイズのコピー用紙などの白紙に貼り付けていきます。

第2ステップ――分類・並べ替え
 アイデアの生まれた順位白紙に貼り付けたカードあるいはポストイットを,類似性や共通点のあるもの同士で幾つかのグループに分けて,並べ替えます。この段階で,事実と異なる事柄,レポートや論文の作成目的から逸脱したアイデアは,破棄します。

第3ステップ――収束思考での整理・表札づけ
 分類・整理が終わったら,それぞれのグループにその内容や特徴を簡潔に示すタイトルやキーワードをつけ,それを表題として書き込みます。

第4ステップ――まとめ
 第3ステップの分類を参考に,アイデアを発展させたりアイデア同士を組み合わせて,全体構成をまとめます。

Bレポート・論文の組立方

 伝統的な文型に「起・承・転・結」型があります。「そもそも」に始まり,「すなわち」で承けて,「ひるがえって」と転じ,「要するに」で結ぶ,という順を取ります。
 「起」は文を書き起こす部分で,「承」は「起」を承けて主題を展開する部分。「転」は主題を違った角度から見て,最後はまとめ,結論の「結」で終える構成です。
 この「起・承・転・結」のパターンは, 小説・エッセイ・コラム,あるいは私的な手紙など,多くの分野で用いられている一般的な文型です。
  「起承転結」型の文体は,結論部分が一番最後にあることから,まわりくどさから,読み手をいらつかせる恐れがあります。
 特に,スピードが要求されるビジネス分野では,誰しもが的確・迅速に文章を読み取りたいと思っています。読み手をいらつかせる冗長な文体では,せっかくのレポートや論文も用をなしません。 
 そこで,ビジネス分野に合致したレポート・論文の文型として多く使われているのが,「序論−本論−結論」の3段構成です。  

○3段構成−「序論・本論・結論」

 レポート・論文の基本的な構成は,序論→本論→結論の順です。

1 )序論
 読み手の印象は,書き出し部分で大きく左右されます。書き出しで,じっくりと読み手を引きつけることが望まれます。

・まえがき:この論文やレポートが書かれた理由,対象とするテーマや問題の背景
・調査研究の目的,筆者の立場,仮説
・要約:全体の要約や基本的な考え方
・もくじ(数ページ以上の場合は,もくじをつける)

2) 本論
 主題の展開:主題を巡る状況,それに対する自分の意見および対立する意見などを,筋道を立てて合理的,論理的に考察します。

3) 結論・見解・判断
 レポート・論文ともに,書き出しと同じように,結びも大切です。結びがしっかりしていないと,文章全体の印象が弱くなってしまいます。

・まとめ:レポートや論文の目的と関連付けし,結論,見解,判断を示す
・今後の課題,提案
・あとがき:謝辞,学会報告との関連
注)参考文献,資料

○4段構成−「要約・序論・本論・結論」
1)論文の要約 
 ・あらすじ,全体の要約
2) 序論

3)本論
 ・
4)結論
・「言いたいことはこういうことです」

 

C原稿作成

 不特定多数の読者を対象とする場合は,平均的な読み手・読者像を思い浮かべてみます。読者の顔が想像できれば,「こう書くと興味を示してくれるだろう」とか「こんな経験をしたことは少ないだろうから,飛びついてくるに違いない」という見当がつくものです。そうすると,「何を」「どのように」書けばよいかが,自然と思い浮かんできます。

 ビジネス文章場合,その目的である想定される読者の理解と共感,あるいは説得を得るためには,読者の知識,能力レベルに合わせて文章を書くようにします。読者の知識,能力レベルが不明の場合は,読み手は関連知識を持たないと想定して,中学生,高校生を想定して執筆すると良いでしょう。

・専門用語の使い方は,読み手の知識・技術水準に見合った表現をする
・和製英語,外来語などの薄い言葉には,最初に記述した箇所で説明をつける
 なお,宣伝広告文の場合は,不当表示あるいは誇大広告に陥らないように留意を要します。とくに不当景品類及び不当表示防止法 (景品表示法)を遵守し,誇大表現(広告)とも疑われかねない,「日本一」「最高級」「完全保証」といった,言葉はなるべくい避ける。


D推敲

 推敲することで内容も磨かれます。書き上げた文章を読み直し,書き直す作業が「推敲」です。推敲にあたっては,「自分の言いたいことは伝わっているか〜」「ほんとうに適した表現か〜」「全体のまとまりはいいか〜」「差別表現はないか」などをチェックします。推敲に推敲を重ねることが,読みやすさの条件でもあります

Eパソコン入力

 パソコンを使って,原稿の入力作業を行います。

F校正

 校正は,原稿の通りにパソコンに入力されているかを,原稿にてらしてあわせる点検作業です。誤字や脱字などを訂正し,見出しやカコミ・前文・写真説明などが指定どおりに正しく組版されているかを点検し,訂正を指示する作業です。

G校了

 パソコン入力→校正作業を,2〜数回繰り返し,原稿を仕上げます。


1−3 「伝わる」文章のつくり方−文章技術の向上にすぐ役立つ3つのコツ

@書き方のコツ

コツ:一文を短く書く
 文の書き出しから、文末の「。」までの「一文の長さを,35〜55文字程度とする。なんだか文がこんがらがってきたな,と感じたら「。」で文を分けてみるのも一つの方法です。

コツ2:箇条書きを使う
 箇条書きにすると,一つひとつの文が区切られるので,ひと目で全体が俯瞰できます。

・テーマ(目的や書きたいこと)を確認する
・テーマに関する事柄をできるだけ多く思い浮かべる
・一項目15〜30字くらいの短文で記述する

コツ3:漢字は少なく−−漢字とかなの割合は3:7を目安とする
漢字が多いと、堅苦しい文となりがちです。文中の漢字の割合は、3〜4割を目安とします。
 
A読みやすさにつながる三つのコツ

1 あいまいな表現をさける−解釈が1つしかできない文にする
 「・・・等」といったことばは,含みを持たせる意味で使われます。この他にも「・・・と思われる」といった断定を避ける言い回しもあります。これらの言葉は,ともすると曖昧で正確さを欠くことからレポートや論文では,極力使わないようにしましょう。

・多数の…「400〜500」のといったような具体的表現とする


2 大事なこと,重要なことから先に書く−−  「要点を先に,詳細は後に書く
 「自分は何を言いたいのか」を,数行で簡潔に書きます。そうすることによって,書き手として最も強く表現したいことは何か,といった意思がそこに表れるからです。


3 余分な文は削る
 ビジネス文章では,「余分なことは書かない」ことです。読み手をイライラさせ,無用の混乱を招きかねません。

4 情報不足・説明不足はないかを最後に確認する
 


3−2 目次のつけ方

 目次は,レポートや論文の全体構成を一覧するものです。読者は,目次から全体の内容を連想します。そこで,内容の概略について,おおよその見当がつく程度の項目を目次に盛り込む必要があります。しかし,目次が詳細すぎると全体を俯瞰することが逆に難しくなることから,目次の量的なバランスをとるようにします。




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