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マニュアル(Manual)講座 −−新版作成中−− 伸びる企業はマニュアル上手
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1. マニュアルとは
2.マニュアルの役割
3. マニュアルのつくり方
4.業務分析
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10. マニュアル・メーカー編
11. マニュアル文章
12. マニュアルの図解表現
13. マニュアル有効活用
14. マニュアル事例
15. マニュアル作成ツール
16. マニュアルセミナー
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マニュアルのつくり方・生かし方【電子書籍】[ 小林隆一 ] |
「能率」というと,“人の能力や機械の性能をめいっぱい引き出すこと”,“コスト削減を目的とした非人間的な作業法”といった,マイナスイメージがあります。
これは, 「能率」の提唱者・元祖である上野陽一(産業能率大学創立者)先生の考え方を,いささか曲解しています。上野先生の唱えた能率の概念は,世間に広がっている定義とはいささか異なります。まず,この点から説明します。
「能率」を,目的と手段との関係でとらえてみます。目的と手段とがちょうど適合している状態を能率といい,二つのものが互いに適合(一致)せず,そのいずれか一方が大きすぎるときが非能率の状態です。
例)
6人の人が目的地に急いでいます。その目的を達するために用いる何人乗りかの車は手段です。
この6人に対して20人乗りのマイクロバスを使うのはムダです。反対に,6人の乗客に対して5人乗りの乗用車用意するのといった,“大きな目的に対して小さな手段を用いること”,それはムリというものです。
この,ムダとムリとが,アトランダム起きる状況がムラというわけです。能率とはムリ,ムダ,ムラのない状態を意味します。
上野先生の説,能率とは,「ムリもなくムダもなくいずれにも片よらぬこと」です。それは,「すべてのものがその持ち前(能力)を100パーセントに発揮することでもあります。能率の実現には,その持ち前を発見し,課題を明らかにするため,「科学的な物の見方・考え方」に基づく,調査分析が求められるとしています。
@一方的な押しつけや画一化でははない
標準とは,企業や団体,あるいは業界団体といった組織内における生産物の仕様や仕事の方法,手続きなどに関する“決めごと”です。
標準化とは,標準を定め,それを受け入れ採用していく組織ぐるみの過程や活動のことです。いわば組織内での“決めごとづくり” とその実行です。標準化とは,組織内における合理的な基準−−共通的な規格や仕様,構造,形式−−を定め,採用していく組織ぐるみの取り組みのことです。なお,標準化は,当事者間の納得を前提としており,決して,一方的な押しつけや画一化ではないのです。
ISOでは標準化を,「経済・技術・科学の分野にある問題に対して,与えられた条件下での最適な状態の秩序を得るため,繰り返し用いられるべき解決を作るための活動。一般的には規格の作成・発行・実施によりなされる。」と定義しています。<BR>
そのうち,規格は「一般に利用可能な技術仕様または他の文献で,関係ある人々の協力及びコンセンサスまたは一般的な同意があって作成される。これは科学・技術・経験の確固とした結果に基づき,社会集団の最適な便益の進展を目的とし,国内・地域・国際レベルで認められた機関によって承認されるもの」と定義されています。
出典:「通産省工業技術院標準部
標準化の目的は,国際的にはISO(国際標準化機構)の定義によると,
@ 相互理解(用語,記号,製図など)
A 健康・安全・環境の保護(人および物資の安全)
B インタフェース・互換性(システム間の整合)
C 使用目的への適合性(製品の品質・性能)
D 品種抑制(製品の単純化)
E 消費者の利益
の6項目をあげています。
「相互理解解の促進」:用語・記号・製図法等がその例で,ある国で作られた図面が他の国で容易に理解できるのは標準化によるものです。
「インターフェースまたは互換性の確保」:用語あるいは部品等に多くみられます。ボルトにナットがはまるのも,ボルトをスパナで固定することができるのも標準化のおかげというわけです。
業務の「マニュアル化」とは,業務処理の質の向上,処理コストの低減などを目的に,仕事の処理手順,方法に関する作業標準を定め,それを文書(ドキュメント)化し組織内で適用していくことです。
すなわち「業務遂行に関わる動作・手順手続きなどを統一し,さらにその内容を文章化し,Webを通じて,印刷物あるいはフロッピーディスク,CD−ROMなどの電子媒体に収録し,関係者間の合意に基づく取り決め」として共通の認識を持つ一連の活動が,業務のマニュアル化です。
上述の「標準」の考え方を,マニュアルにあてはめると,標準化,あるいはマニュアル化にあたり,仕事の成果,達成基準ををどの段階に定めるかが重要となります。
【達成基準の設定例】
・最低,平均,標準,現状の最高水準,理想(あるべき姿)
・顧客満足(いわゆる製造業では「前工程,後工程」という言い方を使います。ちなみに,品質管理の一手法として「後工程はお客様と思え」という考え方があります。)
一時期,曖昧という意味で「ファジー」という言葉が流行語にもなりました。これに似た表現に「いい加減」「要領よく」「適当に」といた言い回しがあります。
杓子定規に仕事をこなすというのではなく,状況に応じていかに「臨機応変に」「要領よく」「いい加減」に仕事を進めるか――といった最低限の取り決め,指針の提示が,今日的なマニュアルの役割の一つでもあります。
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世界でも通用する言葉「kaizen」。その元祖とも言える「トヨタ生産方式」では,標準を次ぎのように意味づけています。 |
一冊のマニュアルに,あれもこれもと数多くのことを詰め込むのは,ページ数が増え,取り扱いづらいものとなりがちです。そこでマニュアルの対象業務が広範に及ぶ場合や複雑な業務の場合は,作成目的や使用目的に対応してマニュアルの分冊化,マニュアルの体系化を検討します。
たとえば業務マニュアル(業務処理要領)は,@業務処理要領,A業務体系図,機能情報間連図,B帳票集の3点セットと分冊化するのも一つの方法です。
完全,完璧を求める日本人の気質がマニュアル批判の背景に,見え隠れです。せっかく作ったマニュアルが些細な不具合から,使い物にならないと,お蔵入りのケースも耳にします。また,企業の不祥事発生のたび,マニュアルの不備が指摘されます。こうした点がマニュアル無用論の根拠の一つともなっています。
「いい加減に」「適当」という言葉は,誤解をあたえかねない言葉ですが,あえて使います。マニュアルづくりは,「いい加減で」「適当」であっていいのです。
複雑化した現代,そして巡るましく変化する経営環境にあっては,論理をつくして「万全」を期しても,想定外の事態は起こりえます。現実のビジネス場面では,「使って見なければわからない」「やってみなければわからない」ことが,往々にして発生します。マニュアル作成に当たっては,割り切り,見切りも必要です
一時期,曖昧という意味で「ファジー」という言葉が流行語にもなりました。これに似た表現に「いい加減」「要領よく」「適当に」といった言い回しがあります。杓子定規に仕事をこなすというのではなく,状況に応じて,いかに「臨機応変に」「要領よく」「いい加減に」仕事を進めるか――といった柔軟性をもった良い意味での「良い加減」発想が,マニュアルづくりにも求められるのです。
なお,予想せざる事態に右往左往することなく,迅速・適切に対応できるよう,危機管理体制の確立とこれに伴うリスク管理マニュアルの整備が求められます。そのポイントは,危機的事態に対して,@対応組織や部署を決めておく,A対応組織や部署における対応手順を定めておく,ことにあります。
経済性,効率の観点からの要件としては,ハヤク,ヨク,ラクニ,ヤスクがあげられます。だが,ハヤクすればヨクできず,ヨクやろうとすればハヤクできないといった背反する事柄です。したがって,どの程度の限界内で,ヨクという品質が保証すれば,どの程度までハヤクすることができるかといった許容範囲を見極め―――要領よく,適当に,いい加減な―――手段を設定することが大切なのです。
マニュアルも進化させないと,時代に乗り遅れます。変革の時代が求めるマニュアルの要件を考えます。
「マニュアル化」とは,「より効果的なやり方やアイデアを組織知として共有する仕組みづくり」でもあり,それは固定された教条ではなく,関係者の合意に基づく取り決めとすべきです。
つまり,マニュアル化を適切に進めることは,関係者の合意のもとに合理的ルールに従って仕事に取り組むことでもあることから,社員のやる気と創意工夫を促します。
アメリカはマニュアルの先進国? |
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約四半世紀にわたりマニュアルづくりとその活用でのお手伝いさせていたいだいてきました。1991年に開講の産業能率大学マネジメントスクールでの「業務マニュアル作成講座」は,今年で21年目,開催回数61回を数え,延べ2000名超の皆さまに受講いただきました。 1 内容−テーマ ◆講演テーマ例(プログラム) ・マニュアル不要論を質す−「マニュアル否定論 vs マニュアル肯定論」 ◆アドバイス ・マニュアル診断(現在使用中のマニュアルの使いやすさ・妥当性など) 2 条件 ・謝金:1時間当たり1万円 ◎略歴−小林 隆一 1943年生まれ。産業能率大学講師,鹿児島国際大学教授を経て,現在経営コンサルタント。『マニュアル作成の実務』評言社刊,『マニュアルのつくり方・生かし方』PHP研究所,『「身の丈」を強みとする経営』日本経済新聞出版社刊,他著作多数。 日経文庫ビジュアルシリーズ− 『流通の基本』(日本経済新聞出版社刊)が4版が3刷となりました。 第1版を1994年7月に刊行し,世紀をまたぎ,今年で17年目のロングセラーとなりました。延べ発行部数も十数万部と,多くの方々にお読みいただき,感謝の気持ちで一杯です。特に大学で「流通」あるいは「マーケティング」のテキストとして採用されている事,著者としては望外の喜びです。 |
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