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10 マニュアル事例・メーカー編 

 
 


10−1 マインドマニュアル

 

@ 事例−京セラのフィロソフィ手帳

  『カンブリア宮殿 村上龍×経済人 (日経スペシャル)  』 日本経済新聞出版社刊の稲盛和夫(京セラ名誉会長の項より)

小池: 京セラには稲盛さんの経営理念が詰まったフィロソフィ手帳というものがあるそうです。たとえば「土俵の真ん中で相撲をとる」というような言葉が書かれています。

村上:これが大事だということが書いてあって,六万人の社員の方が読んでいるんですね。

稲盛:もっと簡単に言うと,こういう考え方で人生を生きていきましょう,ということです。現代の社会では,人はどういう考え方をしようと自由です。ですがこれが団体,企業となると,そこに所属する人が同じような考え方を持ってベクトルがそろうかどうかが,全体のパワーに影響します。これを社員と共有したいと思ったのは,我々は二十八人が集まった零細企業で始まったのですが,とりたてて優れた技術があるわけではなかったし,資金があるわけでもない。頼りになるのは人の心だけでした。心が三になればそれが力になる。ところが考え方を共有しようというと,それは普遍的で正しいことでないと難しいんですね。「それはえげつない」と思われたらもうダメです。

 だから昔から正しいとされていること,親や学校の先生に教わったことを貫いていこうじやないかということになったんです。利益を追求したらそれでいいというのではなくて,人間として正しいことを行なう。そういう共通の基盤として持つべきものをフィロソフィとして,夜遅く仕事をしている時などに思いついたことをノートの端に書き出したりました。それがだんだん膨らんでいったのです。





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略歴−小林 隆一

 1943年生まれ。産業能率大学講師,鹿児島国際大学教授を経て,現在経営コンサルタント。『マニュアル作成の実務』評言社刊,『マニュアルのつくり方・生かし方』PHP研究所,『「身の丈」を強みとする経営』日本経済新聞出版社刊,他著作多数。

 日経文庫ビジュアルシリーズ− 『流通の基本』(日本経済新聞出版社刊)が4版が3刷となりました。 第1版を1994年7月に刊行し,世紀をまたぎ,今年で17年目のロングセラーとなりました。延べ発行部数も十数万部と,多くの方々にお読みいただき,感謝の気持ちで一杯です。特に大学で「流通」あるいは「マーケティング」のテキストとして採用されている事,著者としては望外の喜びです。