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行政は農地法違反を幇助し環境破壊を推進する:
違法な行政行為の根拠

2005.06.08
古明地 光久



T
 事件の背景:詳細


当工事
の場所(地番)は牧丘町倉科字膳棚の農地(積み石の下、
赤線より1メートル以上下)、地目は畑(2003年4月3日、山梨市の甲府地方法務局山梨出張所で確認)であり、我が家玄関の真正面に位置している。

工事は、複数の土地所有権者・地権者等と造成工事業者が結託(意味:協同して、よくない事をすること)して農地法の定めを平然と破り、十年余の年月をかけて、農地上に大量の瓦礫、廃材、土砂、岩石、産業廃棄物等を積み上げてきた。

2003年3月31日現在では、我が家の屋根を越すほどにまでに積み上げられ、「身の危険を感じる」状態となった。

平成15(2003)年3月31日、「身の危険を感じる造成工事」として、担当する牧丘町に第1回目の申し入れを行った。調査の結果、本工事は農地法違反工事(知事の許可を受けないで行った無許可農地転用)であることが分かったが、農業委員長が消極的のため、現状回復は行われなかった。




違法工事に対する牧丘町の対応が遅いため、平成15(2003)年5月25日、農地法違反工事を原因とする「身の危険を感じる造成工事」に関して、山梨県知事(担当部局は農政部)へ申し入れを行った。

県の対応(原文)は、知事命令によって「農地(畑)への原状回復をさせる」ことであった。即ち、畑は畑、田は田へと、区画形質を元の農地の状態へ回復させることが指導された筈である。また、牧丘町・町長も県の指導に従い、「原状回復」を実行することを言明していた。

本事件のように、農地を農地でなくすこと、すなわち農地に区画形質の変更を加えることを農地転用と呼んでいるが、これを行うには知事の許可が必要である。この無許可農地転用に関連して、牧丘町長は減給処分を受けた。

しかし、約2年という「相当な期間」が経過したにも拘らず、建設廃棄物、がれき類、金属くず等大量の産業廃棄物が土中に埋め込まれたままの状態(農地法及び産業廃棄物処理法違反)で作業は終了(平成17(2005)年3月20日頃)した。元の畑も田もまだまだ数メートルも下にあり、農地法に言う、区画形質は著しく変更されたままとなっており、原状回復は全く為されなかった。


2005年3月28日 件名:農地法の形骸化:「県の原状回復命令は実行されなかった」について、県の見解を伺ったが返事はなかった。原文

2005年4月21日 山梨県も牧丘町も農地法違反行為に関して、対処する気がないことが分かったので環境省へ通告した。原文

2005年5月19日 山梨県農政部より、次節で示される「農地法無視」の見解が示された。


U 山梨県庁農政部の見解(平成17年5月19日):原文

 「今回、再度ご質問のありました件につきましては、峡東地域振興局農務部の職員が現地調査および関係者などから経過を確認したところ、当該地は農地として利用できる状態に回復されており、農地法に沿った原状回復が図られておりました。

 なお、農地法における原状回復とは、形状などを同じ状態に戻すことまでを必要とするものではなく、耕作できる状態に回復されていれば足りるものと解されています。」


V 行政が犯罪を幇助し、環境破壊を推進し、犯罪の温床となる陰湿な地域風土を育成する:違法な行政行為の根拠

農地とは、耕作の目的に供される土地であり、その質的状態を表す言葉として、区画形質という表現が使われる。区画形質とは、田・畑・樹園地等の使用目的、不動産登記法に関連する土地の境界や形態、、耕地の質的状態等であるが、当然のことながら、各種法律(廃棄物の処理及び清掃に関する法律、土壌汚染対策法、不動産登記法、刑法等)に抵触する内容が含まれてはならない。また、生命・身体・財産に関する権利等、近隣関係を脅かす要素を含んではならない。

本件では、無許可農地転用が行われ、区画形質に著しい変更が加えられ、耕作に適した耕地ではなくなった。現時点における、区画形質の著しい変更とは、次の通りである。

(1)土地の境界標の除去:
刑法第262条の2(境界標を損壊し、移動し、若しくは除去し、又はその他の方法により、土地の境界を認識することができないようにした者は、5年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する)。
(2)不動産の地目・地積:
元の農地上、数メートルの高さまで、大量の瓦礫、廃材、土砂、岩石、産業廃棄物等が埋め込まれている。また、境界標が除去されたため、地積を確認することができない。
(3)産業廃棄物等の不法投棄及び混入:
土中の廃材等は腐食・腐敗等によって土壌汚染の原因となり、地下水を汚染し、短期的には近接する田や果樹へ、長期的には地球環境に負の影響を与える。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律
(4)耕土の形質:
農地とは耕作の目的に供される土地であり、耕作は耕土を用いて行われる。大量の岩石、産業廃棄物が不法投棄・埋蔵された現在の土地を、耕土と言うことはできない。


このような現況に対して、山梨県庁農政部及び峡東地域振興局農務部は、次の見解(灰色枠内)を示した。

峡東地域振興局農務部の職員が現地調査および関係者などから経過を確認したところ、当該地は農地として利用できる状態に回復されており、農地法に沿った原状回復が図られておりました。
 なお、農地法における原状回復とは、形状などを同じ状態に戻すことまでを必要とするものではなく、耕作できる状態に回復されていれば足りるものと解されています。

この内容(山梨県の見解)は、以下のように要約され、理解に苦しむこととなる。

農地法における原状回復とは、耕作できる状態であり、耕作できる状態とは、以下に示すような、区画形質が著しく変更された、原状回復が全く行われていない状態を言う。

(1)土地の境界標の除去:
刑法第262条の2(境界標を損壊し、移動し、若しくは除去し、又はその他の方法により、土地の境界を認識することができないようにした者は、5年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する)。
(2)不動産の地目・地積:
元の農地上、数メートルの高さまで、大量の瓦礫、廃材、土砂、岩石、産業廃棄物等が埋め込まれている。また、境界標が除去されたため、地積を確認することができない。
(3)産業廃棄物等の不法投棄及び混入:
土中の廃材等は腐食・腐敗等によって土壌汚染の原因となり、地下水を汚染し、短期的には近接する田や果樹へ、長期的には地球環境に負の影響を与える。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律
(4)耕土の形質:
農地とは耕作の目的に供される土地であり、耕作は耕土を用いて行われる。大量の岩石、産業廃棄物が不法投棄・埋蔵された現在の土地を、耕土と言うことはできない。


上記の見解は、異常な法解釈から生成されたものであり、まさに、行政による犯罪の証であり、恒常的に行われている農地法がらみの犯罪の温床としても機能している。

また、法律解釈を歪曲化した行政指導は、「行政は、公共の利益のために服務する」という、地方公務員の根本的服務基準からも大きく逸脱している。そして、行政法から考えても、違法性が,余りにも重大でしかも明白な場合に相当するので、行政の行為は無効である。さらに、山梨の行政は、このような間違った見解を、何ら恥ずることもなく県民に提示し、認めさせ、服従させ、強制する。また、山梨の行政は、違法行為者の利権・利益は擁護するが、善良なる一般県民には、極めて冷淡で、平然として劣悪環境を与え、従わせることだけを要求し、周辺環境や地球環境に対する配慮などは微塵も無い。以下に示す、「山梨環境首都憲章」とか「環境首都・山梨づくり」などと言う偽善性溢れる空文が、それらのことを如実に示している。


山梨県には、政治家と行政とが作り上げた「山梨環境首都憲章(平成5年4月1日制定)」がある。

行政の役割:行政は、あらゆる分野にわたり環境の視点から施策の調整を図りながら、「環境首都・山梨」づくりのための事業を推進する責務があることを確認します。

主役としての県民の役割:環境の保全と創造のために何ができるか、何をすべきかをよく考え、地球にやさしい生活様式の確立を目指した活動を実践する主役としての役割を担います。


さらに、「環境首都・山梨づくり(平成5年3月22日山梨県議会)」宣言もある。

山梨県議会は、ここに、県民、企業、自治体が一体となって、地域の特性に応じた健全で恵み豊かな環境の保全と創造に努め、先駆者的役割を果たす中で、世界に誇れる「環境首都・山梨」をつくり上げていくことを宣言する。





当事件は、山梨県の知事による許可を受けないで行われた違法な「無許可農地転換」のため、知事による原状回復?の指導が行われました。と同時に、知事権限の侵害の責を負って、牧丘町の町長は減給処分を受けました。次は、誰がどのような処分を受けるのであろうか。

山梨の行政は、農地法の意図的な違法解釈を行った。種々の法律を正しく解釈し、それに従って行動することが、法治国家における行政の義務である。それを行わない行政こそ処罰されねばならない。牧丘町長の処罰より、遥かに重い処罰が行われねばならない。

山梨県において、恒常的に行われている農地が関与する環境破壊の根源は、上述のような、県民を愚弄する行政や県政にある。そのような環境で発生する行政が看過・黙認する農村環境の荒廃(1):違法な行政行為の波及効果を憂慮している。


山梨の行政・識者は県民を愚弄・抑圧・服従・沈黙させる