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メッセージ・イン・ア・ボトル25年目のキス
ハムナプトラ/失われた砂漠の都エネミー・オブ・アメリカ
RONIN奇蹟の輝きカラー・オブ・ハート
プリンス・オブ・エジプト恋におちたシェイクスピア8mm

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メッセージ・イン・ア・ボトル

離婚間もない新聞記者のテリーサ(ロビン・ライト・ペン)は、息子が父親と一緒に過ごす間、
一人きりの休暇を過ごしにマサチューセッツ州ケープ・コッドにやってきた。
早朝のジョギング中、テリーサは海岸で手紙の入ったボトルを拾う。
そこに書かれていたのは、キャサリンという名の女性に宛てた誠実な愛情に満ちた言葉だった。
胸を打たれたテリーサが、その手紙をオフィスに持ちかえると、
それを見た彼女のボス、チャーリーが、彼女に内緒のまま
“メッセージ・イン・ア・ボトル”というタイトルで、この瓶のことをコラムに書いてしまう。
何も知らされていなかったテリーサは、チャーリーがプライベートな手紙を公にしたことに憤慨するが、
読者の反響は大きく、何百通もの感動の手紙が新聞社に寄せられて来た。
その中には、同様の瓶を拾ったという内容のものが2通含まれており、
彼女は3本の瓶が拾われた場所と海流の関係や、レターぺ一パーやタイプライターの種類などから、
手紙を書いたと思われる男性が住んでいる町を突き止めることが出来た。
その男性に会いたい気持ちに駆られたテリーサは、コラムのためのリサーチを名目にその町に出かけ、
とうとうその男性、ヨットの建造家ギャレット(ケビン・コスナー)を見つける。
ボトルのメッセージのことも新聞のコラムのことも言い出せないまま、ギャレットと親しくなるテリーサ。
テリーサはギャレットに惹かれ、2年前に妻・キャサリンを亡くしたギャレットもまた、
すでに居ない彼女への想いに囚われながらも、テリーサに惹かれて行く。

『マディソン郡の橋』を超えた究極のラヴ・ストーリーという触れ込みの作品。
『マディソン郡の橋』にはいまひとつ乗れなかった私ですが、
この『メッセージ・イン・ア・ボトル』にはかなり入りこんで観てしまいました。
今はもう居ない人の面影を愛しつづける男性を、
その人のその気持ちまでもを受け入れて愛していこうと決心する反面、
自分だけを見つめて欲しいと願うテリーサの心の葛藤が、痛いほど伝わってきたのです。
一方、今はもう居ない人の面影を抱きつつ、淋しさのあまりに別の人に寄りかかろうと思ってしまう
ギャレットの気持ちもまた、よく分かります。
お互いの切なさがそれぞれに伝わってきて、胸が締め付けられるような気持ちになってしまいました。
テリーサとギャレット、ふたりの気持ちをそれぞれ過去の恋愛で自分自身が経験したことのある私は、
観ていて思いきり私情が入ってしまったようです。
ふたりの気持ちの揺れなど、内面的表現は秀逸だったと思いますが、
冒頭、拾った手紙の主に恋してしまうテリーサの気持ちだけが、分かり難かったように感じました。
ベタなラヴ・ストーリーにしては、自分の中では久々のヒットだったのですが、ラストシーンでがっくり。
ネタばれになってしまうので、詳しくは書きませんが、
“ケビン、またやっちゃったのね”という印象を残して終わってしまいました。
あのエンディングはどう考えても卑怯で、許せません。
それまではレベル4つけてもいいかな、と思っていましたが、気持ちは急降下。
レベル3にしておきましょう。

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25年目のキス

25歳のジョジー(ドリュー・バリモア)は、シカゴ・サン・タイムズ社の新聞記者。
地味でオクテの彼女は、恋はもちろんのこと、仕事もあまり上手くいっているとは言えない。
そんなある日、会議で高校生の実態を取材することが決定し、
ジョジーが現役の高校生に化けて潜入ルポを行うこととなった。
彼女は初めての記者の仕事に一度は有頂天になったものの、
ふと高校時代にイジメに遭っていた自分を思い出し、急に不安になるのだった。
そしていよいよ、潜入ルポ開始。
相当な時代遅れファッションで登場したジョジーはドジを繰り返し、
クラスの人気女性グループやハンサムなガイ(ジェレミー・ジョーダン)に近づこうとするが、
無視されるばかりで相手にしてもらえない。
それでもあの手子の手で彼らに取り入ろうとするが、全く上手くいかず、取材も進まない。
そんな中、彼女は英文学教師のコールソン(ミシェル・バルタン)に恋心を抱き始める。

ドリュー・バリモア主演のラブ・コメディ。
この役をやれるのは、ドリューしか居ないんじゃないかというくらい、
彼女はジョジー役にぴったりハマっていました。
笑いの要素も随所に盛り込まれていて、まずまず楽しめる作品ですが、
全体的なストーリーはかなり幼稚で、テレビの学園ドラマレベルです。
強引かつ先が見え見えの展開には、少しゲンナリしてしまいましたし、
単発的な笑いを取ったあとで、一転シリアスな場面に持ちこむなど、
急に気持ちの切り替えを強いられる構成にも、不満を感じました。
また、ジョジーの人物像が最後まではっきりせず、
その人間的魅力が充分に描ききれていないために、
エンディングに向けて彼女に惹かれていく人々の気持ちが分かりません。
だから、プロムでの彼女の演説も、彼女が最後に書いた新聞記事も、
私にはそれほど説得力のある言葉には思えませんでした。
深く考えずに軽く楽しむ作品なのでしょうね。
カップルで観に行くには良いのではないでしょうか。
レベル2.5

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ハムナプトラ/失われた砂漠の都

“ハムナプトラ”それは、かつて3000年前の新王朝時代と呼ばれる古代エジプトに栄えた、
砂漠の奥地にある“死者の都”。
そこは王家の墓であり、宝が眠っていたが、突如として砂の下へと消えた伝説の都であった。
カイロ刑務所で絞首刑の宣告を受けていたリック(ブレンダー・フレイザー)は、
“ハムナプトラ”の正確な位置を知っていたため、その刑を逃れることが出来、
ハムナプトラの財宝を狙うカイロ刑務所の強欲な所長の命を受けて
古代エジプトの専門家であるエヴァリン(レイチェル・ワイズ)、
エヴァリンの兄・ジョナサン(ジョン・ハナ)らと、その伝説の都を探しに行く。
彼らは無事ハムナプトラにたどり着くが、3000年前の呪いによって封印されたミイラ男を
誤って蘇生させ、そのミイラ男と戦うはめになる。

全米で2週連続第1位を獲得したという事実がどうしても信じられないまま、
試写会場へと出向きました。
予告編から受けていた印象は、『インディ・ジョーンズ』もどきの超B級アドベンチャーロマン。
『インディ・ジョーンズ』を超えたフレッシュなヒーローが誕生!という触れ込みも、
怪しさを増幅させています。
おまけに、タイトルロゴまでもが『インディ・ジョーンズ』が同じデザイン、同じ配色。
サブタイトルの「失われた砂漠の都」というのは、
もしかしなくても「失われたアーク」からの引用なのでしょう。
よーく考えてみると、“砂漠の都”が失われるなんて、あまりにも強引過ぎです。
配給のUIPは、ウケ狙いのつもりだったのでしょうか、やる気がなかったのでしょうか。

映画の感想は、全くもって予想通りの出来。
笑わせようとしているところで笑えず、笑わせようとしていないところで笑えるという、
B級映画の王道を行く作品です。
主役に“ジャングル・ジョージ”ことブレンダー・フレイザーが起用されたことにも納得しました。
ミイラ男に立ち向かう主役は不死身で、好奇心旺盛のヒロインは、いつもトラブルを巻き起こす。
お約束の主役の付属品(この作品ではヒロインの兄)は、これまたお約束で徹底的に3枚目。
“ハムナプトラ”は“生きては帰れない”とまでいわれている伝説の都にしては、
案外簡単に色んな人たちがたどり着いていて、そんなに大それたものを感じませんでしたし、
シチュエイションにおける小さな疑問は、数知れません。
細かなことを気にせず、全てを受け入れるつもりで臨むのが、この作品の正しい見方だと思います。
宣伝側は“大スペクタクルアドベンチャーロマン”を売り文句にしていますが、
これは“コメディ映画”として観た方が無難です。
ただ、“コメディ映画”にしては大袈裟な音楽がつけられていて、
それが嫌がおうでも“大スペクタクルアドベンチャーロマン”を期待させてしまうのが、
この作品における一番の問題点なのでしょうが、作る側がそこまで承知してやっているなら、逆に拍手ものです。
『ディープ・インパクト』や『ターミネーター2』などの名シーンのパクリなども見せてくれます。
それなりに面白いですが、B級映画ファン以外は、お金払って観る作品ではないでしょう。
レベル3

主人公の最後のセリフもクサかったぁ。

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エネミー・オブ・アメリカ

国務省からNSA(国家安全保障局)に出向中のレイノルズ(ジョン・ボイト)は、
自分の政治的野心のために、自分が打ち出した“通信システムの保安とプライバシー法案”に反対する
ハマースリー下院議員を暗殺した。
巧妙にカモフラージュされたハマースリーの死は事故として報道されるが、
その現場を、偶然、野鳥の観察のためにセッティングしてあったビデオカメラがとらえていた。
ビデオの撮影者ザビッツ(ジェイソン・リー)は、自分のビデオカメラに映っていた殺人現場を
新聞社の友人に売りこもうとするが、それをレイノルズに知られ、NSAの組織ぐるみで追跡される。
ザビッツは、逃げる途中で偶然出会った大学時代の同級生ディーン(ウィル・スミス)に
そのコピーディスクを託し、そのあとNSAに追い詰められて死んでしまった。
ザビッツが死の直前にディーンと接触したことを知ったNSAは、今度は標的をディーンに移し、
膨大な情報とスタッフ、そして世界最先端のテクノロジーを総動員して
“殺人の証拠品”を奪うためにディーンを追い詰めて行く。

通信衛星によって位置を知らせる、というのはカーナビのシステムと同じ。
発信機さえつけていれば、人間の位置をも通信衛星によって知らせることは可能でしょうし、
監視や盗聴、ネット侵入すらも、一般人の手で簡単に行われてしまう時代です。
高度な技術を持った人たちが集結した組織では、おそらく私たちが想像出来ないくらい
進んだシステムを開発していることでしょう。
私たちはそれを知らずに過ごしているだけなのかもしれません。
自分の知らないところで、自分の知らない人が自分の情報をつかみ、管理出来る時代です。
このストーリーは決して夢物語ではないのだと思うと、
ハイテクの進歩がある意味、とても恐ろしく感じられました。
そして、もうひとつ私が気味悪く思ったのは、ディーンを追いかけるハイテクおたく軍団たち。
彼らは目的を知らされず、まるでゲームを楽しんでいるかのように、標的を追いまわします。
あの“目”がなんとも怖いのです。
渡辺浩弐という人が1994年に書いた小説で『1999年のゲームキッズ』というものがあります。
そこに描かれているのは、TVゲーム世代として育った子供たちの歪んだ未来でした。
ハイテクが進んだ世の中で、近い未来の現実として考えられそうなシチュエイションで、
ゲームの中の世界と、現実世界がごちゃごちゃになって分からなくなってしまう。
そこには、人間的な暖かさに欠けた子供たちが、やがて大人になる頃に体験する、
現実のシュミレーションが仮想科学小説として描かれていました。
まさに『エネミー・・・・』で出てくる、あのおたく軍団は『1999年のゲームキッズ』。
追い詰められた一人目の標的が車にはねられて死んだシーンでは、
スクリーン上に“GAME OVER”の文字が見えたような気さえしました。
ひとりの男が意味不明のまま謎の組織に追いまわされるという話を
伏線で語られていたマフィア絡みのもう一本のビデオテープの話と上手く混合させて
ラストシーンに持ち込んで行った展開も見事。
なかなか見ごたえのある作品でした。
レベル4

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RONIN

冷戦集結後、平和と共に各国の諜報部員らは還るべき組織を失っていた。
そんな中、かつて諜報部員として活躍したサム(ロバート・デ・ニーロ)、ヴァンサン(ジャン・レノ)ら、
世界中のプロフェッショナルな5人の男たちが、謎の女ディエドラ(ナターシャ・マケルホーン)からの
ミッションを受け、パリに集結した。
彼らに与えられたミッションとは、厳重に装備された中身さえ確認できない一つのスーツケースを
無傷で盗み出すことだった。
充分な準備の後、チームは命懸けの危険な任務に取り掛かり、
各々の見事な連係によりスーツケース強奪を成し遂げた。
しかし、チームの中の裏切り者の手により、スーツケースは再び奪われてしまう。

ロバート・デ・ニーロやジャン・レノの他、『奇跡の海』のヤンことステラン・スカルスゲールドや、
『アンナ・カレーニナ』のヴロンスキー伯爵役ショーン・ビーンなど、
味のある俳優を集めて作られた作品だったので、期待していただけにがっかりしてしまいました。
まず“冷戦終結後、還えるべき組織を失った諜報部員たち”が、
どんな気持ちを持ってそのミッションに挑むのか、それが伝わって来ないのが一番の理由です。
彼らが狙うスーツケースが一体何なのか、それも“謎”のままにストーリーが進んでいくため、
その中身の価値が分からず、奪い合う人たちの気持ちにも入れませんでした。
また、主役の諜報部員たちがあまりにも冷血で、ストーリーに関係ない通行人などを
どんどん殺してしまっても平気だという部分にも乗れません。
無意味に人が死んで行く作品は個人的に好きではないし、
殺されて行く人たちの死に方もどことなくカッコ悪いのも気になりました。
この作品の一番の目玉は、何と言ってもカーチェイスでしょう。
パリの街なかの狭い道を猛スピードで追いかけっこする車は確かに迫力がありましたが、
それがストーリーにそれほど深く関わっていないだけに、無意味なシーンの様にも感じました。
あれだけのメンツを揃えておいて、ストーリーはスカスカ。
主人公たちに魅力なし。
カーチェイスを見せるだけにとどまった作品でした。
レベル2

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奇蹟の輝き

医師・クリス(ロビン・ウィリアムズ)は、不慮の交通事故死を遂げてしまい、天国へと導かれる。
クリスは画家である妻のアニー(アナベラ・シオラ)が描いた絵の中の風景で目覚め、
そこで出会ったアルバート(キューバ・グッディング・ジュニア)から、自分が死んだことを知らされた。
クリスは、アニーのことが気がかりだった。
4年前、二人の子供も交通事故で亡くしていたからだった。
子供の死に責任を感じたアニーは、自らも命を絶とうとした過去がある。
そして今、夫までもを失ってしまった彼女は、どうなってしまうのか。
クリスの不安は現実となり、アニーは自ら命を絶ってしまい、地獄へと落ちてしまう。
それをアルバートの口から聞かされたクリスは、アニーを探すため、天国から地獄へと旅立つ。

プレビューを見た時、これは正にハリウッド版『大霊界』じゃないかと思った作品。
アカデミー賞最優秀視覚効果賞を受賞しただけあり、
その美術面での表現はすごいものがあるように感じますが、
その内容には少々不安を持ちながら臨んだ作品だったのですが・・・・・。
もう、見事なまでに駄作でした。
さっさと進めれば30分で終わってしまうような簡単なストーリーを
延ばし延ばしで2時間にしているために、退屈で仕方ありません。
おまけに、“死後の世界”を監督の持つイメージを押し付けられている感があり、
“死んだら天国、自殺者は地獄”という決め付けも、あまりいい気持ちがしませんでした。
“夫婦の愛”“親子の愛”などをテーマにし、感動を売りにしていますが、
ストーリーも決して納得できるようなものではなく、素直に感動できるものではありません。
単純に美術面の技術力だけを見せつけたにとどまった作品に思えました。
ただ、キューバ・グッティング・Jrは、なかなかいい演技をしていました。
『ザ・エージェント』の演技でオスカーを受賞した時は、
正直言ってそれほどのものを感じてはいませんでしたが、
この作品を観て、これからちょっと注目してみようかと思いました。
レベル1.5

死後の世界では、自分の姿を好きなように変化させることが出来るらしい。
私なら藤原紀香に化けるな。

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カラー・オブ・ハート

デイビッド(トビー・マグァイア)はおとなしく真面目な高校生。
1950年代のアメリカの白黒テレビドラマ『プレザントヴィル』の熱烈なファンである。
ある日、双子の妹ジェニファー(リース・ウィザースプーン)とのチャンネル争いがきっかけで、
彼らは不意に『プレザントヴィル』の世界に入りこんでしまった。
その事実に気づいた二人は慌てふためくが、
デイビッドはしばらくの間『プレザントヴィル』の住人としてふるまうことを提案する。
しかし奔放なジェニファーは、その世界に退屈を感じ、規則正しい日常をかき乱そうとする。
やがて、性欲の存在しない街『プレザントヴィル』に、彼女がセックスを持ち出したことから、
徐々に街の様子が変わって行ってしまう。

“色気”が無い人々たちがセックスを知ったことで“色気づく”ということを
白黒の画面が少しずつ色づいてくるという現象に引っ掛けたアイデアと美術的センスが面白いです。
しかし、それもさることながら、私はこのストーリーの導入部にとても惹かれました。
白黒の50年代ファミリードラマ『プレザントヴィル』に、オタク的にのめりこむ少年デイビッド。
彼の家庭は崩壊していて、彼はテレビの中に理想の家庭を見つけ、夢見ているのです。
そして、ひょんなことでテレビの中に入りこんでしまい、
そこでの生活を体験することになるのですが、その世界のおかしなこと。
食卓にはゲンナリするほど山盛りの朝食。
人々はいつも不自然なまでに笑顔を絶やさず、決められた通りに動く。
私は満面の笑みを浮かべてバスケットをする高校生の姿が
思い切りツボにはまってしまい、笑いが止まらなくなってしまいました。
しかしそこの住人は、それを演じているのではなく、あくまで自然に振る舞っているだけなのです。
その世界に主人公が迷い込み、その世界の住人を演じます。
これは『トゥルーマン・ショー』の反対の世界なのです。
前半のテンポの良さと、コメディセンスは傑作もので、
そのペースで最後まで行ってくれれば、間違いなく今年のベスト3に入った作品だったと思うのですが、
中盤からややペースダウンが感じられました。
特に、肝心の街が色づき始める部分からが今ひとつという感じで、後半は少しダレてしまいました。
2時間ものですが、ラストまでテンポ良く、時間も1時間半くらいにまとめてあれば、
最高に面白い作品に仕上がったと思うのに、残念です。
それでも、見る価値は充分にある作品です。
レベル4

エンディングテーマの『アクロス・ザ・ユニバース』が良かったです。
好きな曲だけに、グッときました。
太田直子さんの字幕センスも良かったと思います。

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プリンス・オブ・エジプト

昔、ナイル河のほとりに住みついたヘブライの民たちは、エジプト王の奴隷として、
巨大な帝国の建設に駆り出されていた。
しかし、王はヘブライの増えつづけることで彼らを支配できなくなることを恐れ、
生まれてきた男の子をナイル河に投げ捨てるよう命じたが、
ひとりの母親は、息子を助けるために彼を籠にいれてナイル河に流した。
危険な旅の果てに彼は宮殿へと流れ着き、女王に拾い上げられる。
女王はその赤子に“モーセ”と名づけ、自分の息子ラメセスと同様、わが子として育てることにした。
やがてラメセスとモーセは成長し、王子としてたくましく育っていた。
しかし、ある日、モーセは自分がヘブライ奴隷の子であるという出生の事実を知る。

さすがドリームワークス製作のアニメーションということで、声優陣は『アンツ』に引き続き豪華です。
モーセ役のヴァル・キルマーを始め、ミシェル・ファイファー、サンドラ・ブロック、
ジェフ・ゴールドブラム、レイフ・ファインズ、ダニー・グローバー、スティーブ・マーチンなどが勢揃い。
でも、それだけ。
私はあまりに宗教臭い作品は好きではないし、キャラクターも見たところ、なんだか受け入れ難い感じ。
それにドリームワークスは、『アンツ』の出来にガッカリした前例があるので、
多少の不安は感じていたのですが、その不安は見事に適中。
全く面白くありませんでした。
ミュージカル調の歌も、中途半端だし、ストーリーも退屈。
奴隷を開放させるために王国に死の制裁を加えていくモーセも、本当にいい人なのかが疑問でした。
“目には目、歯には歯”のやり方には、どうしても共感できないし、
それを“正義”にすり替えられると、正直言って腹立たしくなります。
クライマックスの海が割れるシーンでは、たった7分間に28人のスタッフで318,000時間をかけて
製作されたということですが、技術力だけを誇示されたような気がして、かえって鼻につきました。
アメリカでは大ヒットしたようですが、キリスト教に馴染みの薄い人には
到底理解出来ない世界なのではないでしょうか。
レベル1

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恋におちたシェイクスピア

1593年の芝居熱が過熱するエリザベス朝のロンドン。
借金に追われていたローズ座の劇場主ヘンズロー(ジェフリー・ラッシュ)は、
人気作家のウィリアム・シェイクスピア(ジョゼフ・ファインズ)の新作コメディに期待をかけるが、
シェイクスピア当人は、スランプに陥り創作意欲を失っていた。
そんなある日、彼は美しい女性ヴァイオラ(グウィネス・パルトロウ)と出会って心を惹かれる。
演劇好きなヴァイオラもまた、才能あるシェイクスピアの詩に夢中だったが、
彼女には親が決め、エリザベス女王も認めた婚約者ウェセックス卿(コンリン・ファース)がいた。
ヴァイオラとシェイクスピアは心を通わせ合うが、それは身分の壁に阻まれた禁じられた愛だった。
ヴァイオラとの出会いで創作意欲に書きたてられたシェイクスピアは、運命に逆らった愛の物語を執筆し始める。
一方、芝居好きが高じたヴァイオラは、“女が舞台に上がってはいけない”という風潮の中、
男装して舞台に上がり、シェイクスピアが執筆した『ロミオとジュリエット』のロミオ役を射止める。

99年のアカデミー賞作品賞受賞作品。
シェイクスピアが身分の違う美しい女性に恋をし、その実体験を元に
リアルタイムで『ロミオとジュリエット』という舞台劇に仕上げて行く、というお話です。
シェイクスピアにはレイフ・ファインズの弟、ジョゼフ・ファインズが扮し、
彼が恋する女性・ヴァイオラには、見事この役でオスカーを射止めたグゥイネス・パルトロウが扮しています。
時代物らしく重厚な作りになっていますが、ストーリーはあくまでコメディ。
このアンバランスさがこの作品の魅力でしょう。
わずか10分の出演でオスカーを手にしたエリザベス女王役のジュディ・デンチや、
劇場主ヘンズローを演じる『シャイン』のジェフリー・ラッシュなど、脇役陣のコミカルな演技も
この作品に絶妙な味付けをしています。
芝居がやりたいために男装してまで舞台に立とうという、シェイクスピアが恋するヴァイオラも、
とても魅力的な女性で、グゥイネス・パルトロウは見事にこの役を演じきっていました。
音楽から衣装まで見どころがいっぱいの作品ですが、何と言っても素晴らしいのはストーリー構成。
男装したヴァイオラが、舞台でシェイクスピア自身の分身であるロミオの配役をもらい、
彼女自身の口から自分に向けた愛の言葉をセリフとして語らせるという面白さから、
ラストシーンに向けてのストーリー展開は、見事としか言い様がありません。
そしてシェイクスピアのもう一つの代表作『十二夜』へとつなげたエンディングも、
とても気持ちの良いものでした。
レベル5

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8mm

私立探偵のトム(ニコラス・ケイジ)は、ある日、富豪のクリスチャン夫人(マイラ・カーター)から
夫の遺品である1本の8mmフィルムについて調べて欲しいとの依頼を受ける。
そこに映っていたのは、下着姿の少女が黒いマスクをかぶった男に
むごたらしい方法で殺害される場面だった。
これは本物の殺人を撮ったものなのか、夫の名誉に関わるこのフィルムの正体を突き止め、
少女の無事を確認してほしい、というのが夫人の依頼内容だった。
早速調査を始めたトムは、そのフィルムに残されたわずかな手がかりを頼りに、
少女が数年前に行方不明になったメアリー・アン(ジェニー・パウェル)であることを突き止める。
更に調査を進めたトムは、次第に危険な性のアンダーグラウンドの世界へと足を踏み入れて行く。

観終わった時に、不快感が残る作品でした。
吐き気がするような薄汚れた世界を存分に見せられ、残酷な人間の欲望に目を覆いたくなります。
とにかく、“変態”がたくさん出てくる作品です。
“PG−12(12歳未満は保護者同伴)”の指定を受けていますが、
たとえ保護者がついていても、子供にこんなグロい作品を見せてはいけません。
ラスト近くのレコードが回るシーンだけは緊迫感がありましたが、
サスペンスといっても、それ以外のシーンではそれほどの心理的圧迫感を感じることが
出来なかったことも残念でした。
ただ、ニコラス・ケイジはハマリ役だったと思います。
レベル2.5

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