ナイト ミュージアム2 (特別編) [DVD] ナイトミュージアム2 (製作年度: 2009年)
レビュー日:2009.3.20
更新日:2010.4.11
評価:★★★★
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解説(Yahoo映画より):
夜の博物館で、ひとりでに動き出した展示物たちによる騒動を描いた『ナイトミュージアム』の続編。世界最大の博物館・スミソニアンを舞台に、ナポレオンやアインシュタイン、深海に住む巨大なダイオウイカまで、歴史や自然界の遺産たちが次々と動き出す。監督のショーン・レヴィと主演のベン・スティラーのコンビは前作を踏襲。『魔法にかけられて』のエイミー・アダムスが、新たなヒロインとして登場する。歴史上の人物の恋や冒険に胸躍らされた前作と比べ、本作ではどんなアイデアが飛び出すが注目だ。


逆クラークの法則

前作は「博物館の展示品が動き出したら……」というアイデアの勢いだけで話が進んでいったのですが、さすがに今回は動くのがあたりまえ、という前提から始まるので、センス・オブ・ワンダーだけじゃもたないわけで、話の展開とかがかなり強引だった気もします。
風呂敷広げすぎて破れてるんだけどそこは見なかったことにしてたたんじゃいました、みたいな。なので1と比べて星ひとつ減点。

でもまぁ、前回のあの大騒動をスミソニアン博物館を舞台にさらにハデにやらかしてくれるので、映像的な面白さはパワーアップしてました。もっともあんなにハデにあちこち壊しまくって、後始末どうしたんだろうといらんこと考えてしまいましたが(笑)。
(IDカード使われちゃったあの警備員、ただじゃすまなかった気もするが……)

今回も敵側と味方の人選にはなんだかアメリカ人の深層心理が透けて見えるようだなと感じたりして。新しいキャラもいろいろ登場したけど、いちばんツボだったのはアインシュタイン人形。めっちゃ可愛い(爆)。
それと最初出てきた時はなんか不気味でエグいキャラかと思った大ダコ(あれはどう見てもイカじゃない、タコだ)が、最後にはなんか可愛いじゃんコイツ、と思えるのが可笑しい。あの可愛さは前作のティラノザウルス・レックスの骸骨といい勝負かも。
前回天敵関係からいつしかアツい男の友情で結ばれたローマ皇帝とカウボーイのミニチュアコンビは、今回もけなげに頑張ります。ふたりのバトルシーンはかっこいいですよ……ミニチュア視点では。(ノーマルスケールだと爆笑モノだけど)

今回のラリーはアイデア商品がヒットして会社起こしてCEOとして多忙な毎日。だけどこの人たぶん、いろいろ考えたことが当たる瞬間に生きがいを感じちゃうタイプ。だからその後会社がどれだけ発展しようとビッグな相手から取引申し込まれようと、なんかノリきってない雰囲気が感じられ、ひさしぶりに会った博物館の仲間達にも「今の生き方なんか違う」と看破されてしまう。

それがスミソニアンに潜入して警備員に化けたとたんにイキイキとしてくるからおかしい。そしてトラブルに見舞われるほど本領発揮、ラスボスのカームンラーと懐中電灯一本で渡り合うに至っては、コメディ・キャラにはありえないかっこよさ(笑)。

で、今回の騒動は、前回の騒動以来一時は賑わったけれども結局飽きっぽい客に見放され、展示の刷新を迫られたニューヨークの自然史博物館から展示物の一部がスミソニアンの倉庫に「お蔵入り」したのがそもそもの発端。最後はラリーが博物館の仲間を助けるためと自分の生きがい再発見のためにある決断を……

で、タイトルの「逆クラークの法則」なんですが。
SF作家クラークが言った「充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない」という定義。これをひっくりかえすと、「魔法はスーパーテクノロジーと区別がつかない→魔法は信じなくてもスーパーテクノロジーと言われればなんとなく納得する(笑)」ってことなんです。つまりこれが今回のオチ。

エンドロールにはもうひとつトンデモな伏線回収がありますのでお見逃しなく。


【ここが美味しい名シーン】

ロビン・ウィリアムズのルーズベルト大統領(の蝋人形)はホント名演。今回も出番は減ったけどちゃんと出てきました。前作で同じ蝋人形仲間のサカジャウィア(ネイティヴ・アメリカン女性)といい仲になるんですが、今回の冒頭、運命のいたずらで引き離されてしまうんです(後でちゃんと再会しますが)。その別れ際の控えめな愛情表現(優しく手を取って甲にキスする)がまた素敵で……

うーん、「アンナと王様」でもそう思ったけど、最近オトナの男のこういう品格ある愛情表現ってなかなかお目にかかれなくなったような気がする。わたしはこういうの好きなんですが、それって感覚が古いのかしら。


【いよっ、名演技!】

実はこの作品のレビューだけ他の作品と違う点があります。このレビューが正確には「DVDレビュー」ではなかったこと(笑)。
公開から1年、ようやくレンタルDVDも「準新作」扱いになったのであらためて鑑賞。

いややっぱり面白いです。ジェデダイアとオクタヴィウスの「300<スリーハンドレッド>」ばりアクションシーンは何度見ても笑える。それにオーウェン・ウィルソン(ジェデダイア)は砂に埋められシチュエーションが似合いすぎる(爆)。

それから最初と最後しか出てこないけど(一箇所だけ例外あり)、やっぱりロビン・ウィリアムズのルーズベルトがいい。この人はラリーのことをちゃんと正式名称のローレンスと呼んでるのね。このあたりにセオドア・ルーズベルトの紳士的な折り目正しさがにじみ出てる感じもします。
最初の部分で、自分やティラノザウルス・レックスやエジプトのファラオ(と魔法の石版)はニューヨークに残されると知っているルーズベルトが、スミソニアンに送り出される仲間(その中には愛するサカジャヴィアもいる)は魔法の石版から引き離されてしまうため、これからはよみがえることもないのだと知っていながら、悲しみをこらえて笑って別れの挨拶をする姿が……名演なのよねぇ。泣けるわ。

それからベン・スティラー、前回のひたすらドタバタ走り回っていた姿とは違い、今回は戦っちゃいます。それもハンパなくカッコよく(笑)。いやこの人アクション俳優としても充分にやっていけるのでは、と思いましたからね。

ラリーのアクションシーンの見所その1は、警備員に絡んでまんまとIDカードを巻き上げてしまうシーン。ラリーが展示物に触ったのをとがめた警備員から懐中電灯を奪い取る早業がすごいし、片手で懐中電灯ばらしちゃうあれは……もしかしてジャッキーのパクリ?
だって「ラッシュアワー」のあのシーンにそっくりなんだもん(笑)。

見所その2はもちろんカームンラーとのバトルシーン。特に武器にしていた懐中電灯をカームンラーにはじき飛ばされた後の反撃が……一介の元警備員がいったいどこでそんな武術身につけたんだよ、と突っ込まずにはいられない(爆)。


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