新ポリス・ストーリー デジタル・リマスター版 [DVD] 新ポリス・ストーリー (製作年度: 1993年)
レビュー日:2012.2.24
更新日:
評価:★★★★
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解説(Yahoo映画より):
ジャッキー扮する刑事は、マフィアによる財閥オーナーの誘拐事件を追い、独断から手痛いミスをしてしまい謹慎処分を言い渡される。努力が報われないまま、日増しに兇悪さを際立たせた犯罪が横行し、刑事稼業に疲れを感じるジャッキー。だが、自分の非力さを痛感し辞職すら考える彼の前に、正義心をかきたてられる新たな事件が発生した!


ほろ苦風味のジャッキー

「ポリス・ストーリー123」とか「香港国際警察」とか似たようなタイトルがごちゃごちゃあって、すっかり埋もれて見るの忘れてた作品でした(汗)。
評価もイマイチだったし、あんまり期待せずに見たんだけど……いいじゃん、これ。
ということで即アマゾンの購入ボタン押してしまいました(笑)。

最初から最後まできっちりシリアス。多少「くすっ」とまではいかなくとも頬の緩む場面はあるけれど、コメディ要素はなし。実話を元にしているだけに、あまりムチャクチャなストーリー展開はないし。
でも香港映画お約束のドッカンドッカンど派手な爆破シーンもカーチェイスも銃撃戦もあるし、そういう点ではジャッキーのアクションものとしては不足ないはずなのに……なんでこんなに評価低いのかな。たまにはビター風味のジャッキーもいいじゃないかぁ。

誘拐犯が台湾と香港の連合グループで、人質を連れて逃げるのが人民中国の領海内、ということから、同じ「中国人」でありながら微妙に立場の違う香港警察と台湾警察と中国公安部が協力して解決に当たることになるわけですが、お互い政治的立場は違うけど警察仲間、という連帯感もあるし、かといって完全には仲良くできないいろんな思惑の絡み合いが垣間見えるし、香港警察と台湾警察とはちょっと仲悪いけど香港に対して中国公安は協力的、という描かれ方も返還前の香港(実際「返還」されたのは映画公開の4年後)の微妙な立場が出ているような感じがします。

だからたぶんこの映画では、北京語と広東語と台湾語が入り乱れているはずで、そのへんが聞き分けられたらもっと面白いんだろうなぁ。

ジャッキーが終始眉間に縦じわ寄せた深刻な顔してるシーンが多いけど、苦悩しつつ頑張るジャッキーもカッコイイ。っていうかちょっと切なくて胸キュンする。また例によって「説教モード」入るシーンもあるけど、こんだけ辛い目にあってるんならまぁ許せる。

それにアクションも少な目ながら、やるときはしっかりやってます。逃走しようとした情報屋をとっ捕まえる場面とか、その後署内で暴れるそいつをボコボコにするシーンとかはちょっとやりすぎだろ、と思うくらい(笑)。誘拐犯の指示で身代金の工面にあっちの銀行こっちの銀行と振り回される人質の奥さんを追いかけて街中走り回るシーンも、みんなで次々とガードレールを飛び越えるんだけど、ジャッキーの飛び越え方はやっぱり一味違ってスマートでかっこいい。

演技だってまだ一生懸命さが前面に出ちゃってるけど、でもうまい。自分が銃弾を撃ち込んだ犯人の車に近づいていく場面など、恐怖心を必死で克服しながら相手の生死を確認しようという様子が、そのためらいがちの足取りにはっきり出ています。
だからこそ、最後に黒幕と対決するときの怒りと「自分はこんな風にしか生きられないんだ!」という魂の叫びが心を打つし、事件解決後、背中を向けて歩み去る後姿に漂う哀愁が切ない。

というわけで、わたし的「ジャッキー演じるキャラ人気ランキング」ではエディ・チャン刑事かなりの高得点です。リー警部を抜くかも(笑)。


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