<カクテルパーティー:第2日目>


私らしい曲に出会えたり

私の歌をうたってくれる人がいたり、歌手になったおかげで

たくさんの喜びを感じることができた。

これからも歌を続けたい。

歌手になって本当に良かったと思えることが

未来にもあると思うから。

もしかしたら・・・・・

私は自分の幸せを探して歌っているのかもしれない。



1.本日のカクテル:サイドカー


コニャック・・・・・・・・・・・・・40ml
ホワイト・キュラソー・・・・・・20ml
レモン・ジュース・・・・・・・・・20ml

砕氷と共にシェークして、カクテル・グラスに注ぐ。



2.本日のお客さま:来生たかおさん

シンガー・ソング・ライター。1976年、シングル「浅い夢」でデビュー。
「夢の途中」などのヒットを飛ばし、同時にソングライターとして薬師丸
ひろ子、中森明菜など多くの人に曲を提供している。


ゴーイング・マイ・ウェイにエールを!

なにごとも「自然」にやっているのが真梨子さんの魅力。歌っている姿を見ても、特別

なアクションはしないし、ステージにだって奇をてらってない。確実に本質的な歌の部

分で勝負してるよね。これは時代がどう変わろとも、歌に求められる大切な部分。それ

を彼女はさりげなく、淡々とやっている。そんなスタンスで歌ってることを同業者とし

ては羨ましく思います。また、それを健気にやっている彼女は女性としても本当にかわ

いいと思う。

僕もやっているから分かるけど、毎年、途切れずにツアーをやるってことはすごく大変

な作業。それも彼女はエネルギッシュな雰囲気を出さず、無欲的にやり続けてる。きっ

と、本人が努力してると思っていないから、内に秘めたパワーを自然と表現してだけな

んだろうね。

歌手としてはどちらかと言うとウェットな声質で、喜怒哀楽の「哀」の部分を持ってい

るから、歌にも哀愁感やノスタルジィ感が自然と出てくる。僕自身、作りたい曲がそう

いうものなので、彼女への楽曲はとてもやり甲斐があるんだ。しかも、彼女に歌われる

ことによって作品が活かされてくるので、作者としてはとても光栄に思っています。

彼女にはこのまま変わらずにいて欲しい。僕はギルバート・オサリバンにものすごく傾

倒していて、ファンとしては彼に変わって欲しくないと思っているんです。やっぱり、

個性の本質はひとつ。ファンとしてはワンパターンでもいいから、本質を変えないしぶ

とさが魅力なんだ。

高橋真梨子のゴーイング・マイ・ウェイを願っています。



3.本日のメロディ:MR−NK02

TODAY'S PROGRAM


曲名 時間 Vol. 音源
・テンダネス 5:17 17 '92 original album
・水の吐息 4:42 17 '92 original album
・DIRTY MOON 4:26 12 '87 original album
・アフロディーテ 4:30 '80 original album
・恋する瞳 4:52 13 '88 original album
・ジュン 4:04 10 '92 LIVE
・STOP MY LOVE 5:55 '92 LIVE
・涙もろいペギー 5:16 '82 original album
・待ちきれない 5:00 18 '93 original album
10 ・デイブレイク 3:58 '80 original album
11 ・二度目の恋人 4:04 11 '88 original album
12 ・ジョニィへの伝言 3:38 '93 VICL-375
13 ・漂流者へ 4:54 '92 LIVE
14 ・テンダネス オリジナルカラオケ
15 ・ジョニィへの伝言 オリジナルカラオケ


4.本日のおはなし:オキ・シローさん

揺れるサイドカー

搭乗案内のチャイムが鳴った。続いて、アルトの落ち着いた声のアナウンスが、空港ロ
ビー内のレストラン・バーにも流れた。
「少し遅れるみたいね、あなたの112便」
女は、男の首にぶら下がっている見馴れないネクタイから目をそらした。
「これ、もう一杯飲めるな」
男が椅子にもたせかけていた背を起こしながら、軽くウィンクを送ってよこす。それか
ら、長い脚を組みかえると、フロアを通りかかったボーイを呼び止めた。
「サイドカー、もう一つ」
まだ明るいのに、そんなに飲んでいいの」
女のサイドカーは、まだグラスに半分近く残っている。
「夜みたいなものさ、君のいないこれからは」
ウソ!エンジン快調のあなたに、夜の闇なんか待ってっこない。レモンの匂う酒を、女
は一気にあおった。
「わたしも、もう一杯飲もうかしら」
男がすかさず追加を注文してくれる。
「だけど、今みたいな乱暴な飲み方はよくないな。第一、君には似合わないよ」
男が眉をくもらせる。
どうして、どうしてそんなに本当に心配そうな目をするの?女は昨夜、一瞬だけ見せた
男の困惑した目の中には、確かに不快感も混じっていた。
二つの新しいサイドカーがきた。
サイドカーは、ブランデーにホワイト・キュラソーとレモン果汁をシェークしたカクテ
ル。第一次大戦中のパリで、いつもサイドカー、あの横に人が乗せられるオートバイに
乗ってきた将校が愛飲したことから、その名がついたという。
これが、彼と飲む最後のサイドカー。本当に、今度こそ最後・・・・。女は、不安定に
揺れる、冷たい酒をそっとすすった。レモンの酸味が、なんとも切なく胸にしみる。
「そんな顔しないでくれよ。すぐ帰るさ。それとも、このまま一緒に行くかい?」
また出まかせをいう。そんな言葉に魅かれ続け、そして何度傷ついてきたことか。
あのネクタイだって、どこかの女のプレゼントに違いない。どうせわたしもそんな女た
ちの一人、格好の遊び相手。いつ振り落とされるかわからない彼のサイドカーから、今
日こそ女は自分から飛び降りたかった。
またチャイムが鳴り、搭乗案内のアナウンスが聞こえてきた。
「あ、112便、出発のようだな」
男は残っていた酒をぽいっと口に放りこみ、女を制しながら身軽に立ち上がった。
「じゃ、むこうから電話するから」
そういって、男は軽く片手を上げた。そして、まるでサイドカーのスロットルをフル回
転させたように、新しいネクタイをひるがえし、勢いよく搭乗ゲートに向かった。

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