<カクテルパーティー:第4日目>


男と女が久しぶりに逢って感じること

実らない恋の切なさ、

愛される喜び、今までの私の経験を、詞に託しているけれど

それが少しでも、みなさんに共感してもらえたら

私は幸せ

詞は私の願いと思い出だから・・・・。



1.本日のカクテル:ブルー・マンデー


ウォッカ・・・・・・・・・・・・・・45ml
ホワイト・キュラソー・・・・・15ml
ブルー・キュラソー・・・・・・・5ml

氷と共にステアーして、カクテル・グラスに注ぐ。



2.本日のお客さま:松田光弘さん

1934年東京生まれ。’71年に株)ニコルを設立し、ニコル、
ムッシュニコル、マダムニコル、ニコルクラブなどのブランドを
育ててきた。NY,パリ,香港にもブティックMATSUDAを持ち
ワールドワイドなデザイナーとして知られている。


いつまでも桃色吐息を感じさせる女でいて欲しい

僕が真梨子さんの衣裳を手掛けるようになったのは’93年に行ったカーネギー・ホール

から。もちょろん曲を通しては知っていたけれど、初めて本人に会った時”非常にシャイ

な人”という印象だったんで、どうやって口をきかせようかと、一瞬とまどいました。

ただ、口には出さないけれど、自分の世界を持っている人だと分かり、それおうまく引き

出したいと思いましたね。

それから、とても素朴な人なので、衣裳で作り上げるというよりも、本人が歌っていて一

番気分のいいものにしたいと考えました。いかにもステージ衣裳といったものより、普段

の真梨子さんに馴染むもの。そのほうが本人のキャラクターと歌がシンクロするし、なに

よりも彼女自身が気分よく歌えるんじゃないかと思いまして。

そうして何着か作ったんですが、真梨子さん自身も気に入ってくれ「普段でも着たいわ」

なんて言ってるんで、僕としても気分よく仕事をしています。今ではすっかり打ち解け、

お互いに地を出して付き合っていますね。

華やかな仕事をしている人って普段はわりと素朴な人が多いんですよ。とくに僕が好きに

なる人はそうなんですが、真梨子さんもそんな女性のひとり。実際は、とても小柄な人な

のに、ステージに立つと、とても大きく見えるのもさすがプロだと思います。

僕がまだ彼女に出会う前、初めてカラオケで歌った曲が「桃色吐息」なので、彼女には、

いつでも”桃色吐息を感じさせる女”でいてもらいたいですね。



3.本日のメロディ:MR−NK04

TODAY'S PROGRAM


曲名 時間 Vol. 音源
・Sincerely 4:41 18 '93 original album
・流れる・・・・ 4:31 16 '92 LIVE
・都会の空 4:22 14 '89 original album
・鳥たちの行方 5:06 18 '93 original album
・この気分が好きよ 5:01 '82 original album
・カイロから来た男 3:59 16 '92 LIVE
・裏窓 5:03 '94 VICL-507
・Passage 4:52 18 '93 original album
・すべて霧の中 4:14 '80 original album
10 ・グレート・ブルー 6:09 18 '93 original album
11 ・ララバイ・シーガル 4:45 '83 original album
12 ・追憶のBlue 4:54 16 '92 LIVE
13 ・My Heart New York City 4:30 18 '93 original album
14 ・Sincerely オリジナルカラオケ
15 ・裏窓 オリジナルカラオケ


4.本日のおはなし:オキ・シローさん

気だるいブルー・マンデー

グラスの中は澄んだ青・・・・。
「お待たせいたしました」
そのブルー・マンデーを、黒いベストのバーテンダーがカウンターの上を滑らせ、そっと
女の前に置く。
「ありがと」
青いカクテルに目を止めたまま、女が抑揚のない声でいう。
「どうぞごゆっくり」
自分の前をすっと離れていくバーテンダーにほっとしながら、女はグラスの細い脚をつま
み持った。
もの憂いブルーは、今夜のわたしの心の色。女はもやのかかったような目で、持ち上げた
青いカクテルを改めて見つめ、それから静かにグラスを傾けた。
ウォッカとキュラソーの入り混じった、冷たく、ほろ苦いブルー・マンデー。そのキリッ
と冷えた甘苦さが、女の目から、ほんの少しずつもやをぬぐい去っていく。
初めてのバーだった。
黒が基調のモノトーンの店内。その無機質な雰囲気と、低く流れるピアノ曲が、女の気分
をいくらかやわらげる。
仕事も順調。彼との関係もうまくいっている。気の合う仲間にも恵まれ、今、取りたてて
いうほどの悩みもない。それなのに、時たま女の心にしのびこむちょっとメランコリーで
アンニュイなブルーの霧・・・。
そんな時、女は思いっきりヒールの高い靴をはいて、独り黄昏の街を歩きまわる。そして
最後に、見知らぬバーに寄り、ブルー・マンデーを2、3杯飲む。
「おかわりを」
女は素っ気無く酒の追加を頼んだ。
知る人のいないバーでの、しばしのエトランゼ。そんな気分を、バーテンダーのありきた
りの質問でこわされたくなかった。
今夜もヒールの高い靴で、ショー・ウィンドのまぶしい街を歩きまわった。画廊をのぞき
何軒ものブティックに寄り、アンティーク・ショップもひやかした。
しかし、今夜も買ったのは、どうせ使いもしないパープルのマニキュアだけ。女は、自分
のドレッサーの上に何本も並ぶ、手つかずの派手なマニキュアの瓶を思い出していた。
2杯目のブルー・マンデーがきた。
この憂うつな月曜日、ブルー・マンデーという言葉は”二日酔いで気分の重い日”といっ
た意味をも差すとか。その青い酒が、二日酔いならぬ倦怠感で、どうにも気だるい女の心
に、じんわり、じんわりとしみていく。
先ほどから、1つ空席を置いた左隣りの男が、しきりに女の方をうかがっている。その男
が、ついに声をかけてきた。
「きれいなカクテルですねえ」
なんてつまらないセリフ。女は自信たっぷりの男の顔を無視した。そして、2杯目のブル
ー・マンデーをゆっくり飲みほすと、静かに背の高いスツールを滑り降りた。

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