<カクテルパーティー:第6日目>


仕事をやめたいと思ったこともあったけど、

歌を通して多くの人と出会い

やっぱり、私には歌しかないと思った。

これからも歌を愛する人々に、私からのメッセージを贈りたい。

みなさんに出逢えてよかった。



1.本日のカクテル:パナシェ


レモン・ジュース・・・・・20ml
プレーン・シロッ・・・・・・20ml
ビール・・・・・・・60〜120ml

レモン・ジュースとシロップを砕氷と共にシェークして、タンブラーまたはゴブレットに注ぐ。
冷えたビールをたして軽くステアする。



2.本日のお客さま:鈴木雅之さん

ヴォーカリスト。シャネルズ(’83年ラッツ&スターに改名)のリーダー
として知られ、’86年からソロ活動をスタートする。「別れの街」 「もう
涙はいらない」 「違う、そうじゃない」など多くのヒット曲を生んでいる。


いつまでも声の恋人で!

僕自身も歌っているからわかるけど、聞き手が素直に上手いと感じてくれたり、クリア

に聞こえる歌ほど、パッと歌いあげてるように見えて、歌う側としてはすごい緊張をし

てるんだよね。どう歌おうか?試行錯誤を繰り返し、自分の中ではかなりの格闘をして

る。歌番組のスタジオで一緒になった真梨子さんにもそんな格闘と緊張を感じました。

神経を研ぎ澄まして、マイクに向かい、歌うことを楽しんでる。その過程を人には見せ

ないけれど、自分の中ではいろんなことを昇華してる人だと思いますよ。

ポリシーとして詞のコンセプトも大切にしているんじゃないかな。リズムやアレンジは

その時の流行があったりするけど、詞というのは普遍的なものでしょう。とくにラブソ

ングという名のもとに、男と女の世界を歌うのならば、詞がメロディーにのった時、よ

り切なさを持ちますよね。それを真梨子さんは素直に自分のことのように歌っている。

しかも、女心とか、恋のかけひきという、女性にしか分からないものだけじゃなく、男

であろうが、女であろうが・・・ひとつの愛をテーマにした歌をうたえるところがすご

い。懐の深さを感じてしまいます。

真梨子さんは、歌の暖かさ、女心の切なさを包容力でつつめる数少ない女性ヴォーカリ

ストだと思います。

これからも歌い続けて欲しいし、いつまでも”声の恋人”であって欲しい。



3.本日のメロディ:MR−NK06

TODAY'S PROGRAM


曲名 時間 Vol. 音源
・for you.... 4:35 '93 VICL-375
・それでもあなたがいるだけで 4:01 17 '92 original album
・おいでサマー・ホリディ 3:24 '79 original album
・ランナー 4:48 '94 VICL-507
・永遠の魚 4:31 14 '89 original album
・とまどい小夜曲 4:22 17 '92 original album
・貴方が生きたLove Song 4:47 17 '92 original album
・フォロー・ウィンド 4:12 10 '85 original album
・グランパ 5:11 13 '94 VICL-507
10 ・トパーズの湖 4:36 '84 original album
11 ・Love Me Hold Me Kiss Me 3:48 '83 original album
12 ・息もできないキスをして 5:02 18 '93 original album
13 ・ハート&ハード〜時には強く時には優しく〜 4:29 12 '95 VICL-713
14 ・for you.... オリジナルカラオケ
15 ・貴方が生きたLove Song オリジナルカラオケ


4.本日のおはなし:オキ・シローさん

恋のパナシェ

テニス・コートをたっぷり駆けまわって、からからに乾いたのどを、レモン風味の冷た
いパナシェがほとばしり落ちる。
「ああ、おいしい! まるでシャワーでも浴びたような気分」
女は、淡いビール色に透き通った酒の上に層をなす白い泡を、クラブ・ハウスに射しこ
んでいる陽光にすかして眺めた。
「今日は特にうまいんじゃない?」
男が苦笑まじりにいう。
「ええ、特に!」
思わず弾んだ声が出てしまい、女はちょっと首をしくめた。
「ぼくはやけにほろ苦いなあ」
男もパナシェのグrwスに目をやりながら、大げさに顔をしかめて見せる。
パナシェは、ビールとレモン・ソーダの爽やかなカクテル。パリで覚えてきたという男
が、女に教えてくれた酒だった。彼の説明によれば、パナシェとは”混ぜ合わせた”と
いった意味のフランス語だという。
「それにしても強くなったねえ。特にフォアが強烈になった」
「ほんとですか?」
「うん、ほんと。感心した」
「珍しく、ほめてくださるのね」
女はいい気分で、レモンの香るほろ甘苦いビールを、勢いよく口に流しこんだ。
「めずらしくって、そんなにほめなかった?」
「ええ、ちっとも。あまりきついんで、やめようかと思ったこともありましたわ」
テニスのコーチ役を引き受けてくれた彼と、最初の手合わせをした時だった。なんだ、
かなり出来るんじゃないですか、と男は意外そうな顔をした。なまじ出来たのがいけな
かったらしい。以後のコーチぶりは容赦がなく、趣味の域を越えたハードなものになっ
た。
「ほんとに一時期は、土曜日の午後がくるの、憂うつだったくらいですもの」
このパナシェだって、彼の厳しい説教つきで、以前はそれこそほろ苦いばかりだった。
「そいつは悪かったね。だけど、それもこれも今日でおしまい」
「今日でおしまい? おしまいって?」
「コーチをやめさせてもらうってことさ」
そんな!今は土曜日がこんなに待ち遠しいのに。可愛げがなくて嫌われちゃったのかし
ら。それとも、また海外へ転勤?女は自分でも意外なほどうろたえた。
「そ、それじゃ、来週からはもうテニス、教えてくださらないの?」
もう君に教えることなんかないもの。だってさっき、ぼくは0(ラブ)ゲームで負けた
んだよ」
ラブ・ゲーム・・・・。女の胸の中で、ラブという言葉だけが反響し、切なくうずく。
「だから、今日限りコーチは返上。来週からは、そう、コートではぼくは君のライバル
さ」
男はそういうと、片目をつぶって見せた。
カーッと熱くなった胸へ、女は残っていた冷たいパナシェを一気に流しこんだ。

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