<カクテルパーティー:第5日目>


ソロになりたての頃

自分に自信がなくて、部屋に鏡もおけなかったけど

見守ってくれる人がいたから自分を見つめられるようになった

夫とスタッフが私の誇り

心から感謝をこめて−−−−

ありがとう



1.本日のカクテル:マルガリータ


テキーラ・・・・・・・・・・・・・40ml
コアントロー・・・・・・・・・・20ml
ライム・ジュース・・・・・・・20ml

砕氷と共にシェークして、ふちに塩をつけたカクテル・グラスに注ぐ。



2.本日のお客さま:松井和男さん

ディレクター。1951年、東京生まれ。’85年、ビクター・エンタテインメントに入社。
「ETERNALLY」(87年)から高橋真梨子の担当ディレクターとなり、以来、すべての
アルバム、シングル作品に携わっている。


皮膚感を伝えられるプロのボーカリスト

高橋さんには、すごい集中力がある。集中力といっても、いろいろなタイプのもの

があり、たとえばバンド系の人であれば、若さによるエネルギーであったり、一種

の躍動感出会ったりするわけだけど、彼女の場合は完全にボーカリストとしての集

中力。女優が演技するのと同じ、”歌を演じる力”を持っているんです。だから、

そのテンションが説得力となり、詞の世界観がドラマチックに演出できる。これは

才能と経験−−彼女のすべてが重なりあって出せる力なんでしょうね。

そして、優れた楽曲を大切にしていること。曲自体がいいものでなければ歌を感じ

させることはできません。サウンド・プロデューサーのヘンリー広瀬さんを中心に

作った楽曲、選んだ楽曲の良さによるところも大きいと思います。アルバム作りも

つねに1曲1曲のクオリティーの高さがコンセプト。楽曲のコーディネートは僕の

仕事でもあるわけだけど、やはり、みんなが納得したものでないとレコーディング

はしませんからね。実際、ヘンリーさんに曲の提案をする時、僕自身の中で、半信

半疑だったりしていたら絶対に彼も認めませんよ。

歌唱力と楽曲の良さ、このふたつが合体しているから、シンガーとしての高橋真梨

子が心の中に残っていて、曲が愛され続けているんだと思います。

人の気持を揺さぶる楽曲というのには皮膚感のようなものがあり、高橋さんはその

感覚を伝えられるプロのヴォーカリスト。一緒に仕事ができて光栄です。



3.本日のメロディ:MR−NK05

TODAY'S PROGRAM


曲名 時間 Vol. 音源
・あなたの空を翔びたい 4:06 '94 VICL-507
・思い出はひかりの中 4:56 18 '93 original album
・Brown Joe 5:01 '94 VICL-507
・CHESS 5:09 17 '92 original album
・夜明けのララバイ 5:00 '81 original album
・HEART 5:03 '84 original album
・THANKS 5:36 '92 LIVE
・帰り道を教えてよ 3:53 18 '93 original album
・愛はルフラン 4:27 '81 original album
10 ・悲しまないで 6:03 13 '88 original album
11 ・OVER 5:40 10 '85 original album
12 ・レイトリー 4:35 11 '86 original album
13 ・遠いProphecy 4:45 15 '92 LIVE
14 ・あなたの空を翔びたい オリジナルカラオケ
15 ・HEART オリジナルカラオケ


4.本日のおはなし:オキ・シローさん

別れのマルガリータ

もう2杯目なのに、まだマリアッチが聴こえてこない・・・・。
女は、ふちに白く塩をまぶしたスノー・スタイルのカクテル・グラスから、そっと唇を
離した。そして、さっきから海に視線を投げ出したままの男の横顔に目をやった。
入江に面したマリーナのクラブ・ハウスには、昼下がりのかだるい陽光が射し込んでい
た。大きなガラス窓からは、メンスルを張ったドラゴン級のヨットが、外洋に向かって
滑り出していくのが見える。
「ん? 何かいった?」
ようやく女の視線に気づいたらしい男が、とりつくろうような笑顔をむけた。
女が小さく首を横に振る。
「もう1杯、君も飲むだろ?」
思い出したように男が白いテーブルに手を伸ばし、半分ほど残っているマルガリータの
グラスを持ち上げた。
テキーラはね、海辺で飲むのが一番うまいんだ。海の好きな彼がそういって、このテキ
ーラ・ベースの酒マルガリータを、女に教えてくれたのは去年の夏のことだった。
テキーラとライム果汁の混ざった爽やかな味も、スノー・スタイルの白一色のたたずま
いも、女っはすっかり気に入った。それに、事故死した恋人をしのび、その彼女の名前
をそのままつけたというマルガリータの由来も、女はとても気に入った。
あの初めてのマルガリータも、このクラブ・ハウスで彼と同じ海を眺めながら飲んだ。
ただ、あの時と違うのは、ちっともマリアッチが耳に聴こえてこないこと・・・。
マルガリータの酔いは、いつも女の心を浮きたたせた。2杯目に口をつける頃には、も
うほろ酔い気分。すると、身ぶり手ぶりを混じえて熱心にしゃべる歯切れのいい男が、
かまってメキシコのあの陽気なリズム、マリアッチになって聴こえてくるのだった。
このクラブ・ハウスで、ヨットの上で、テキーラの酔いに身をまかせながら、何度も、
何度も、熱っぽく甘いマリアッチを聴いた。でも、今日の彼の口はひどく重い。
3杯目のマルガリータが2つ、テーブルの上に置かれた。
そのグラスをすぐ口に運んだ男が、ふちの塩に唇がふれた途端、さも辛そうに顔を大き
くゆがめた。ついこの間までは、目を細め、まるでいつくしむように塩の味も楽しんで
いたのに・・・・・。
「マルガリータにあきちゃったんじゃない?」
女は男の目をじっと見つめた。
「あきた?い、いや、そんなことは・・・・」
男は口ごもり、女の視線を遮るように、額の上に押し上げていた濃いサングラスを目の
上に落とした。
新しい恋人にも、彼はやはりこのカクテルをすすめるのかしら。
女は涙のにじんできそうな目をきつく閉じて、マリアッチの聴こえてこないマルガリー
タをそっと口に傾けた

高橋真梨子コレクションに戻る
パーティー
インデックス
第1日目 第2日目 第3日目 第4日目 第5日目 第6日目