<その21>
◆忘れている人が多いが、独裁と民主制は相性が良い。ヒトラーもムソリーニもペタンも立法府が「私たちにはもう国家の重大事を議するだけの能力がありません。」と自らの無能を宣言したせいで、民主的手続きを経て独裁者になった。
立法府が見識と威信を失えば、民主制は自動的に行政府独裁に移行する。議会が機能していないことを繰り返し誇示しているうちに、立憲民主主義は壊死するのだ。
◆首相の言うように、スクランブル(国籍不明航空機に対する自衛隊機の緊急発進)回数が抑止力不足の指標であるのなら、安保法制の整備後にはスクランブル回数は減少してよいはずである。だが、実際には、安保法成立後の16年度のスクランブル回数は1,168回、戦後最高を記録した。北朝鮮のミサイル発射数も中国艦船の領海侵入も、安保法成立後に増加した。
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