<その4>
◆大川弁護士は何かというとすぐに「訴訟だ、訴訟だ」と言う弁護士だった。「訴訟」は凡百の弁護士が使う言葉であり、河合弁護士はこの弁護士の能力をそこで見切った。
◆河合弁護士は「金利交渉」ではなく「代物弁済」という話になった。熊井はそんなすごい解決方法があるとは考えたこともなかった。
◆この選択は正しかった。そもそも4,500万円程度の物件を1億3000万円から1億5000万円もの高値で売りつけられているのである。だからどんなにうまくシェアハウスを運用したとしても、金利を望みどおり下げてもらっても元利を払い切ることなど絶対にできない。最初から「借金ゼロしかない」と河合弁護士は判断したのである。
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