タマネギの根端分裂組織の観察をしました(生物選択者の授業)
今年から、カリキュラムが変更になって、学科によっては生物が選択となりました。そこで、今年は12名の生徒が生物を選択しました。ということで、12名という少数の授業ができるため、いろいろと実験・観察を多く取り入れながらやっています。ひとまず、いろいろと顕微鏡の観察をしましたが、細胞分裂は今までは40名でやっていたので、市販のプレパラートを観察してお茶を濁していたのですが、少数なのできっとやりやすいだろうということで、タマネギの水耕栽培をして根を出させて乖離・染色の作業をすることにしました。
午前中にタマネギの根を切り、酢酸・アルコール溶液にて固定し、その後70%アルコールに入れて保存しておいたものを3モル塩酸に入れて(5分ほど)解離を行います。実験書などでは温浴をするとありますが、特に暖めなくても大丈夫なようです。
解離作業が終わったら、ピンセットで取り出し、スライドガラスの上に乗せます。この写真では左側が根端部です。分裂をしているのはこの根端部より少し上側なので余分な部分をカミソリで切り落とします。
カミソリで切り落とした様子です。このうち、必要なのは左側だけなので、右側のものは捨てます。
余分な部分を捨てました。
この上にスライドガラスをもう1枚十字に重ねます。そして、スライドガラスの上から思い切り体重をかけて根っこを潰します(細胞を1層にするために)。かなり体重をかけても大丈夫です。
スライドガラスを剥がします。すると、2枚のスライドガラスのそれぞれにつぶれた根っこの組織がつきます。どちらにも細胞があるので、一気に2枚のプレパラートを作ることができます。
酢酸カーミン(オルセイン)を1・2滴たらします。そのまま5分ほど待ちます。
時間がたったら、カバーガラスをかけます。当然、染色液がはみ出ます。
上にろ紙を載せて、ろ紙の上からカバーガラスをまた強く親指で押さえてさらに細胞を広げます。
これで、プレパラートの完成。赤いところに細胞があります。では顕微鏡で観察しましょう。
低倍率でまずは観察をします。細胞分裂をしている細胞は、ほぼ正方形をしています。長細い細胞はもう分裂をしてしまっている細胞なので、探しても細胞分裂の様子を見ることはできません。
中央やや上側にある細胞が、分裂終期頃の細胞です。細胞の中に2つの核があります。核の間に細胞板があるはずですが、ちょっとわかりません。
いろいろな段階の細胞があります。後期〜終期の細胞。中期の細胞も見られます。
空気が入っていて見づらいですが、中央よりやや下側に前期の細胞があります。染色体が折りたたまれて太くなっています。
色が薄いですが、中央部に後期の細胞があります。染色体が両極に引っ張られようとしています。
中央に中期の細胞があります。染色体が赤道面に並んでいます。
ということで、結構綺麗に見れました。肉眼ではもっと綺麗に見えています。この写真は、Cannon New Eos Kiss Digitalに顕微鏡アダプターをつけて撮影しました。いずれも絞り優先で撮っています。ホワイトバランスはオートで撮りました。それにしてもピントを合わせるのは結構難しいです。