アカムシ(ユスリカ)の巨大染色体の観察
アカムシ(ユスリカ)などの双翅目の昆虫の唾液腺には非常に大きくて観察しやすい染色体が存在しています。アカムシとは釣りの餌にしたり、熱帯魚などの餌として売っているものですが、手に入れやすいので、高校の授業ではよく用いられます。ここでは、その観察の様子などを載せました。
観察方法
方法1 アカムシをスライドガラスの上に載せます。このとき見やすいようにするためにスライドガラスの下に濾紙を置くといいでしょう。
方法2 アカムシの頭のあたりに唾液腺があります。そこで胸のあたりをピンセットで押さえ、頭部に柄付きバリを指して引き抜くようにします。すると唾液腺が出て来ます。
取り出した唾液腺を顕微鏡で見たものです。このようにハート型をしており、透明でややプクッと膨らんでいます。大きさは1〜2mmぐらいです。
方法3 取り出した唾液腺に染色液(ここでは酢酸オルセイン)を2,3滴垂らします。授業ではこのまま5分間置きました。時間については染色液の濃さや気温によって調節して下さい。場合によっては電熱器で暖める場合もあります。
方法4 方法3で染色しましたので、今度はその上にカバーガラスをかけます。このときは気泡が入らないように気をつけましょう。
方法5 この後余分な染色液を除くことと、細胞を広げるためにカバーガラスの上に濾紙を置いて濾紙の上から親指で強く押しつぶします。これによって重なっていた細胞が1層になるはずです。
この方法1〜5までで完成です。次はこれを顕微鏡で観察しましょう。
低倍率(対物10倍・接眼10倍)で観察したものです。細胞の中に糸状のものがあります。これが目的の巨大染色体です。
高倍率(対物40倍・接眼10倍)で観察したものです。糸状のものが3本あり、縞模様がはっきりと分かります。この縞模様の所に遺伝子が存在しています。
唾液腺染色体の顕微鏡写真(拡大)
ちょっと大きめにスキャンしました。縞模様と本数がはっきりすると思います。縞模様が膨らんでモヤッとしている部分がいわゆるパフと呼ばれる部分でこの部分の遺伝子が働いていることを示しています。