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亜高山帯の植物について


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 亜高山帯(Subalpine Belt)を特徴づけるのは、針葉樹林です。白山はオオシラビソ(別名アオモリトドマツ)(Abies mariesii)が多く見られ、蔵王の樹氷などもこの木によるものです。球果は紫藍色になり、よく目立ちます。これらの林床にも多くの植物を見ることができます。針葉樹林帯に入ると常緑の大きな樹冠にさえぎられているので、光に乏しく、薄暗くてひんやりとした感じになります。また針葉樹の落ち葉は分解しにくいので、栄養分に乏しく、林床の植物は貧弱です。また雪崩が起きやすい斜面などでは針葉樹が生育できないので、ダケカンバなどの低木林が見られます。
 本州の亜高山帯の傾斜の急な尾根などでは乾燥しやすく、また土壌が薄くなっています。こういったところではコメツガが多くなっています。コメツガよりも高度の高いところではシラビソ−オオシラビソ林となっていて、トウヒが混じっていることがあります。この林にはナナカマドなどの落葉低木林も混じっています。
 北海道の亜高山帯を代表するのはエゾマツ−トドマツ林です。この林は平野部にも見られます。
 この針葉樹林帯を抜けるとダケカンバなどの落葉広葉低木林になります。この林は一般にシラビソ−オオシラビソ林と高山帯のハイマツ林の間に発達します。特に積雪や雪崩に強いため斜面に見られます。山などに行くと曲がりくねったダケカンバを見ることができます。さらに高度が上がると樹高が低くなり生え方がまばらになったりして森林といえなくなってきます。この森林が成立しない高度を森林限界といいます。本州中部ではほぼ標高2400〜2600m付近で、東北地方では1900〜2000m、北海道では1200〜1500mくらいになります。また同じ山でも北斜面と南斜面では北斜面の方が森林限界は低くなります。また山脈よりも孤立した高山の方が森林限界は低くなります。この森林限界を越えてさらに上まで生育する高木もありますが、やがてはまったく高木が生育できないようになり、これを高木限界といいます。森林限界より高木限界の方が高いのですが、両方を混同している場合もよくあります。