伊吹山は滋賀県と岐阜県の県境に南北に連なっている伊吹山地(1000〜1300m)の南端に位置しており、1377.4mあり、伊吹山地の最高峰である。
現在は山頂付近にまで岐阜県側からドライブウェーが伸びているため、初心者でも簡単に山頂に行くことができる。伊吹山の位置は日本海側気候と太平洋側気候との境にあって、伊吹山から岐阜県の西濃地区へ吹き下ろす伊吹下ろしは有名である。気温はほぼ平地よりも8〜10度ほど低く、快適である。冬は季節風が強く、標高は低いがかなりの積雪が見られる。
伊吹山の地質は大部分石灰石からなる伊吹山石灰岩層と石灰岩のほとんど含まれていない地層に分けられ、伊吹山本山はほとんど石灰岩層に覆われている。そのため、山頂付近にはほとんど水がない。山頂の東遊歩道コースでは石灰岩地帯の特徴としてドリーネがところどころに存在する。また石灰岩に覆われているため、化石の山として知られている。とくに紡錘虫(フズリナ)の化石が多い。これは数mmから1cmくらいの大きさで石灰質の殻をもった原生動物である。伊吹山の石灰岩は古生代二畳紀(約2.5億年前)の昔に海底でできたと推定されている。
伊吹山は標高が低く、本来ならば高山植物は存在しない標高であるが、典型的な石灰岩地帯であり、冬季寒冷なためお花畑が見られる。古くから調査がなされているため、高山植物の中には白山とともにイブキという名が付くものが多い。
伊吹山ドライブウェーの駐車場からは多くのコースで山頂へ行けます。アンカーのある植物についてはクリックすると新しいウインドウが開いて写真が出ます。
1.西遊歩道コース(山頂まで約50分)
道幅が広く、傾斜が緩いので歩きやすいです。低木も見られ、主にオオバギボウシやメタカラコウの群落が見られます。またフウロソウやニッコウキスゲなどが7月の中旬までに、クガイソウ、イブキトラノオ、シモツケソウなどが7月中旬以降に見られます。特産種のルリトラノオは8月の上旬から見られます。
2.中央遊歩道コース(山頂まで約20分)
道幅は広いが傾斜がきつく、かなり歩きにくい歩道です。ただそれだけに早く山頂に到着することができます。イブキトラノオやニッコウキスゲ、クガイソウ、ミヤマコアザミ等が見られます。またサラシナショウマの大群落もあり、8月中旬以降には純白の花穂を出して咲いています。
3.東遊歩道コース(山頂まで約60分)
土が露出しているところは雨の後などにはぬかるみすべり易い。また石灰岩がごろごろしているため歩きにくい。そのため、このコースは下りに使った方がよいでしょう。低木やチシマザサが多く、サンカヨウ、ユキザサ、ショウジョウバカマ、オオカニコウモリなどが見られる。またここでは登山道沿いに風穴(ドリーネ)が見られる。このコースでは特にイブキトリカブトの群落が見られる。山頂東側のお花畑は面積も広く、いろいろな花が見られる。秋にはリンドウが大変多い。
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参照:伊吹山ミニ辞典 増補版 (名阪近鉄バス 伊吹山ドライブウェー)