書名:八十八夜物語(上)
著者:半村良
発行所:論創社
発行日:2008/12/30
定価:2,000 +税
書名:八十八夜物語(上)
著者:半村良
発行所:論創社
発行日:2008/12/30
定価:2,000 +税
もう亡くなってしまったが、現在の語り部半村良の特徴が遺憾なく発揮された作品です。普通のOLが八十八夜(今一番輝いてる若さ、元気、季節)をのんきに会社生活を送っている自分に何となく違う。自分の生きていく道は違うと気がついてからある目的をもって脱皮して行く物語です。銀座を舞台に夜の世界のなかで活躍、動き回る人間の生き様を半村良の経験から魚が水を得たように自由自在に「語っている」水商売の世界を生きている主人公を通じて今までの銀座の世界が垣間見えてくる。でもこれからの銀座は又違った世界になってくるという予感を漂わせながら、今を生きる女主人公が銀座の夜の世界を上手く泳ぎ回っていく、一種の出世物語です。半村良のジャンルはいろいろあるけれど「雨やどり」など似たところがある。またこの世界に居たこともあってなかなか普通の作家では書けないジャンルでは?飲みに銀座にいく人と飲みに来る人にサービスしていた正反対の視点からの物語。なかなかおもしろい作品です。思わず一気に読んでしまった。