書名:石の血脈
著者:半村良
発行所:祥伝社
発行年月日:1994/7/10
定価:631 円+税
シュリーマンがトロイで発掘したクロノスの壺には、”永遠の生命”を与える血の秘密が封印されている。古代イスラムから脈々と伝わる血の秘密を暗示する奇怪な事件が、巨石信仰、吸血鬼伝説、狼男伝説の分布地域が奇妙に一致する。”永遠の生命”を求めた巨大な組織がうごめいている。壮大な歴史を背景に半村良の嘘部が冴え渡る。
本書より
----------------------
人が死ぬ、交通事故で死ぬ。だが車は走り続けている。欠陥車が問題になる。だが不良部分が補修されると、車は再び走り始める、道路が建設され、延長される。車がそこを疾走し、また人が死ぬ。人々は車で走る権利を手に入れ、そのために何パーセントかの血を払う。人々は常に緊張を続けることを要求され、ぼんやりと歩く権利があったことを忘れてしまう。