書名:京都の歴史を足元から探る
丹後・丹波・乙訓の巻
著者:森 浩一
発行所:学生社
発行年月日:2010/9/20
ページ:380頁
定価:2700円+税
奈良時代以前の縄文時代、弥生時代、古墳時代の遺跡を著者自身が歩いて、丹後・丹波・乙訓一帯の遺跡の数々を紹介している。奈良時代以前は丹後は丹波と呼ばれたところ、継体天皇の頃には天皇家に娘などを嫁している。記紀にも登場する神話時代の神々もこの丹波、丹後、乙訓にも足跡が見られる。当時の日本海は表日本、中国、朝鮮の文化、人は日本海から丹波へ、そして乙訓から奈良の都へ文物が送られた。淀川系淀川、桂川、大堰川、保津川の流域、加古川から丹波篠山、福知山、そして由良川から日本海また逆の順路で人々の交流が行われたところ。浦島伝説、天女伝説、大江山の鬼伝説なども楽しい。地元の人でも知らない歴史スポットも紹介されている。資料なども豊富で、わかったところ以外は今後解明していかないとわからない課題と、推定、偏見で決めつけないところが良いと思う。都として千年の歴史京都の北、西の地は目立たないけれども奥深い文化、遺跡が一杯埋もれている。これから未だ未だ解明するべき課題が一杯のところ。歴史の醍醐味を感じさせてくれる。この本は「京都の歴史を足元から探る」シリーズ全6巻の最終巻。内容のある力作です。