書名:盗まれた神話 記・紀の秘密
著者:古田 武彦
発行所:ミルネヴァ書房
発行年月日:2010/3/10
ページ:443頁
定価:2800円+税
「邪馬台国はなかった」「失われた九州王朝」につづく古田武彦の古代史コレクションです。紀元前100~紀元700年頃までの古代日本の歴史について古田史学というべき画期的な大提案です。日本書紀・古事記の文書の解析・調査・文献の中を独自の視点で調べ直している。これまでの学者がどうして気がつかなかったのか?これもコロンブスの卵かもしれません。
出雲王朝-九州王朝-神武の東遷-近畿天皇家という流れを提示している。なかなかユニークな説です。日本書紀の中に近畿天皇家を万世一系という作為をもって九州王朝の歴史を挿入してある。古代の地方の豪族の出来事(歴史)日本書紀・古事記に埋め込まれている。その事実を一つ一つ検証している大作です。日本の古代の歴史をこの古田視点で眺めると今までの定説とされていた歴史よりも納得する部分が多い。この記紀に出て来る天皇の年齢について、その当時春耕、秋収年2回の暦を使っていた。したがって158歳というのは79歳というように常識の範囲の年齢に収まる。また1里は75m程度の短里をつかっていた。など今まで誰も言わなかったことを述べている。勿論根拠を示した上で。
九州王朝は銅剣文化圏、近畿天皇家は銅鐸文化圏、そして魏志倭人伝に出て来る倭人は九州王朝と考える方が理解しやすい。しかしこの説にたいして批判も賛成も反対の論文もなく、古田氏が提案した説はすべて無視されていると。日本の歴史学会もやっぱりなんとか村の巣が蔓延っているようです。