書名:被曝治療83日間の記録 東海村臨界事故
著者:NHK取材班
発行所:岩波書店
発行年月日:2002/10/29
ページ:168頁
定価:1600円+税
この本はもう絶版になっている。図書館では借りられるが、1999年9月30日に起きた東海村JCO臨界事故で被曝した大内さん、篠田さんたち現場作業員の身にいったいどのようなことが起きていたのか?NHKの取材班がルポタージュ、当然当時放送もされた内容です。それの書籍化したもの。
8シーベル以上の被曝した人は必ず死亡する。というタブーに挑戦した東京大学病院の医師、看護婦たち。いろいろと最新医療を駆使するがどんどん悪い方向に、最終的には83日間で亡くなった大内さんの治療の日々を追っている。壮絶な人生、生への可能性がない治療、命とは?を大きく問いかけている。
そして福島原発事故が起きた後読んでみて、被曝ということに深い理解ができる本だと思う。
本書より
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原子力防災の施策のなかで、人命軽視がはなはだしい。現場の人間として、いらだちを感じている。責任ある立場の方々の猛省を促したい。」
「放射線の恐ろしさは、人知の及ぶところではなかった。今回の臨界事故で核分裂を起こしたウランは、重量に換算すると、わずか1000分の1グラムだった。原子力という、人間が制御し利用していると思っているものが、一歩間違うととんでもないことになる。そのとんでもないことに対して、一介の医師が何をしてもどうしようもない。どんな最新の技術や機器をもってしても、とても太刀打ちできない。その破滅的な影響の前では、人の命は本当にか細い。しかし、大内は、そして篠原は、その命の限りを尽くして、前例のない闘いに挑んだのだった。放射線や原子力と命の重さの関りを見つめなおしたい、前川は決意した。人の命の尊さを