書名:ハリケーン
著者:高島 哲夫
発行所:幻冬舎
発行年月日:2018/1/10
ページ:302頁
定価:1600円+税
著者の作品は自然災害、原子力災害(メルトダウン)などリアルな作品が多く興味を持って読んでいました。でもこの作品は著者が別人かという位迫力の無い本です。もう少しインパクトがあっても良かったのではないかな?段々ネタ切れになってきたか??
交通事故で家族を亡くした自衛隊員、広島の災害で家族全員無くした一人の少年を救う。広島の災害で両親を亡くした気象庁に勤める予報官と妻と少年。それぞれの過去の出来事が綴られている。高度成長期にどんどん土地開発をして本来住んではいけないところに住んでしまった。広島の災害場所も、そんなところは全国至る所にある。最新の危険マップを見れば一目瞭然。そんな所に以前より多量の雨が降る。すると大規模な土砂崩れ、で家を失う人も出てくる。するとまた元の位置に戻って家を再建するか?どうかで悩まないといけない。
でも危険な所は人間の浅智恵で対策してもやっぱり危険箇所。少子高齢化時代、今まで以上に土地は余ってくる。思い切って別の場所に再建する方が結果的に安上がりで安全になる。というようなことを主人公に言わせている。多分これが本音でしょうね。筋の悪い土地をいろいろてこ入れしてもやっぱりだめ。最後のあたりでは多摩ニュータウンの以前開発されたところより山側に新しく宅地造成している場所があって台風が近づいてくる。住民に避難勧告でも避難場所の上は新しく宅地造成した場所。大雨が降る中住民達はどうするか?土地は不動のものだけれど時間とともに変異している。長い長い年月で見ると地勢のままに落ち着くが、人間が手を入れているそんなところは大災害の虞がある。昔は大丈夫だった経験も日々新たにしないといけない。そんなことを教えてくれる本です。