■本の評価は、☆☆☆☆☆満点
☆☆が水準作
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4月28日(日) MYSCON3レポート(続)
・「あなたま」の調子が悪いので、自分用に工事中リンクを若干拡大して自営(動きません)。
・札幌ファクトリーに「ロード・オブ・リングス」を観に行く。9時からの最終回だったのだが、連休ということもあってか結構混んでいる。「指輪」狂のサイ君の「良くできていた」というお墨付きがあったので、いい映画なのでしょう。見終わって3部作の第1部だと知ったくらい最近疎くなっている自分は、ホビットを演ずる俳優がこびと俳優なのかどうかが、3時間ずっと気になって。さすがにスコットランドにはこれだけの自然が残っているのかと思いながら観ていたのだが、パンフによれば、全編ニュージーランドでロケしたらしい。なるほど。
というわけで、既に細部が怪しくなっているMYSCON3レポート続きです。記憶違い等ありましたらお許しを。
・(承前)
■開会まで
受付で3年連続の土産、マル成バタークッキーを出す。受付にいたおーかわさんと、ゲリラ企画については、後で話しましょということで。部屋には、松本真人さん、無謀松さん、naubooさんほか、2ch方面の話や無謀松さんの痛風の話などしているうちに開会の時間。
■西澤保彦氏インタヴュー
近田鳶迩さんの司会。「麦酒の家の冒険」の作家にふさわしく、ビール片手になごやかに進行。さすがに元学校の先生らしく、適度にユーモアを交えた語りが快調だ。初期のSF的設定は、本格ミステリの枠設定の意味しかなかったが最近はSFも意識している、アイデアのストックは使い尽くしており、作品化の都度考える等の発言が印象深かった。近作をあまり読んでいないので、最近の作品の話題については、ついていけなかった部分もあり。西澤作品の登場人物の姓が難読多数ということがネタにされ、幾つ読めるかという問題編が配布される。西澤氏自身もこの難問には頭を抱え、ゲラチェックの際、読み方がわからないのもあるというエピソードも披露。最初は、登場人物のを明確に区分けするために始めたが、もう止めようと思っているという発言もあり。
個人的に、本格ミステリには、鮎川哲也、山田風太郎、泡坂妻夫等、登場人物に変な姓を付ける作家の系譜というのがあると思っており、本格ミステリの世界の人工性にふさわしいような気もしているので、ここぞというときには続けていただきたい、などと勝手なエールを送らせていただく。ビールが飲み干されると、次の地ビールが補充されていく。
最新刊の「聯愁殺」を読んでいた人が何人もいたのは流石。
前後に、小林文庫オーナー、やよいさん、葉山さんとか、nakachuさんほかと挨拶。nakachuさんは、更新はお休み中だが元気そう。嵐山薫さんとは初対面。流石にお若い。初対面の素天堂さんは、想像していたよりお若かった。
■休憩タイム
部屋に帰ると最初に案内された部屋が煙草部屋になっていた。近所のコンビニに夜食を買い出しに行った帰り、ともさんと一緒になり、書庫のことなど伺う。最近出た本もなかなか手に入りませんねと嘆いたり。原書房の叢書はなかなか面白い作品が多いとか。
■MYSCON的裏窓
大広間の後ろに、古本オークションの貼り紙がしているのに気づきチェック。サイトの情報で事前にチェックしていなかったのだが、なかなかの本が並んでいるではないか。「紅鱒館」2000円までなら出すとか、牽制。
全体企画「MYSCON的裏窓」は、映画の「裏窓」よろしく、目撃した男女の行為(四コマ)のセリフをグループごとに考えるというもの。演じるのは蔓葉信博さんと七沢透子さん。
1 男、片手に持った本を持ちながら女に向かって怒る
2 男に向かって何かを言い返す女
3 男、持っている本で女性を殴る
4 女、ナイフで男性の腹を刺す
絶版本を汚されて怒っている夫に「お前が絶版じゃ」と4コマ目を当てた回答例の出来が良すぎて、これを超えるのは至難に思える。
我々A班のメンバーは、西澤さん、フクさん、均いちさん、naubooさん、深川拓さん、ハッチさん、松本真人さん、T2さん、成田というメンバー。簡単な自己紹介の後、検討に入るも、松本さんと何にも思いつかないね、とか話す。本を何にするか、3コマ目の転調をどう意味づけるかというところで、西澤さんが先頭に立ち、仕切っていただくも、時間は経過する。
女が持っているのは、「政治資金収支報告書」で「ソーリ、ソーリ」とかという時事ネタとか、男は作家、女は登場人物で、売れ行きのため女を作品で脱がそうとする作家に登場人物が復讐するとういう「登場人物が犯人」ネタなどローカルで話すも、いまいち。3コマ目が巨大メンコというアイデアが出てくるも、4コマ目につながらず。別グループで次々に起こる爆笑。あせる我がチーム。フクさんの指揮で、陽動作戦として空拍手など起きるも、空しさは拭えない。ところが、T2さん辺りから、「洋物テレホンショッピング」というネタが天啓のように出てきて、俄然盛り上がる。まさにブレークスルーとは、このこと。しかし、セリフの細部が詰められないうちに、タイムアップ。主宰者の特権を活用して、数分引き延ばしにかかったフクさんにあるべきリーダーの姿を観た思いだったが。
T2さんとハッチさんで演じたのは、こんなやつ。
1 「MYSCONショッピング。ハーイ、キャサリン、今日は出たばかりのバリバリの新刊を紹介するよ」
2 「知ってるわジョニー、『オイディプス症候群』でしょ。それ、便利なのよね。」
3 「そう、攻撃にも使えるし、」
4 「お腹に当てれば防御にもなるわ」
これが大拍手。成功した一発録りとはこういうものかという出来で、演じたお二人は見事だった。
このネタがなぜ面白いかというと、お前は林家三平か、本の紹介という全体のコンセプトが、本の意外な使い方という方向にずれていくからだろう。3コマ目の凶器としての本というのは、まああるかも知れないけど、4コマ目で防具としての本という風にエスカレートしていく。殺人としかみえない構図を本の(厚み)の宣伝にひっくり返しているところで、デベイズマンが達成され、意外性が生じる。で、全体を洋物テレホンショッピングという誰もがあやしいと思っている素材でコーティングしたところがアイデア。「オイディプス症候群」という時事性もあるし、全体として昨今の部厚本批判にもなっている(本当か)と、これは後で考えたこと。
他グループのでは、光原百合さんほかが、やや自虐的に演じた、殺人を出さないミステリ作家の哀切な感動話に仕立てあげてしまった離れ業が光っていた。その他にも、邪悪ドラえもんネタ、四コマ目「週刊新潮は明日発売です」という不条理オチ、フェチネタ・・。例題を超えるのは至難の業だと思ったけど、皆さんさすがです。
■煙草部屋
今回のMYSCONは、スケジュール的に余裕があったので、ゆったり話す時間が結構あって良かった。煙草部屋常連は、市川さん、maubooさん、愛蔵太さん、浅暮三文さん、蘇部健一さんほかといったところか。話は色んな方向に流れたが、最近のTV推理サスペンス事情など伺った話が面白かったな。煙草部屋で、愛蔵太さんのいるところに、均いちさんが入ってきて、それを大森望氏がツーショットを撮ろうとしている場面に遭遇。私的には、今回のMYSCONのハイライトだったかもしれない。
(続く)
4月21日(日) 『少年探偵王』ほか
・相変わらず、んー。
・鮎川哲也監修・芦辺拓『少年探偵王』(光文社文庫)やっと購入。芦辺氏の解説では、島崎博氏の書誌でさえ「少年もの」を省略してしまうのが通例であったことに触れ、「ここに生じた大いなる空白は、、《密室系》HP内に膨大な少年探偵小説目録を掲載されている“おげまる”さんのような篤志家の手で、近年ようやく解明と再評価が進められようとしています。」との記述あり。おげまるさんの仕事の評価は嬉しい限り。乱歩、高木、鮎川の入手困難少年物(プラス+「ビリーパック」が読める嬉しい選集だ。高木彬光「吸血魔」は、手抜きなしの少年探偵小説の王道で、相当楽しめた。
・17日の道新夕刊に、20日から開催されるの世田谷文学館の「追悼 山田風太郎展」の紹介記事。自筆原稿、戦時中の日記のほか、デビュー前の秀作「紫陽花の君」などが書かれたノート3冊、「忍法アイデア集」と記されたメモ類、「警視庁草紙」創作ノートなども展示されるらしい。同展は、6月9日までとのこと。世田谷に行きたしと思えど、世田谷はあまりに遠し。(とういうほどではないか)
4月13日(土)
・相変わらず、なかなか更新できません。
・4/11、ページ管理者あてのメールアドレスが変わりました。(トップページ下部参照)今後、成田あてにメールをくださる方は、新アドレスへ送っていただくようお願いします。(もし、4月11日以降本日まで、旧アドレスにメールを送った方がいらっしゃる場合には、お手数ですが、新アドレスに再送していただくようお願いします。すみません)
・市川さんの錦通信閉鎖のお知らせは、MYSCON3でもお会いしたばかりだったこともあって、余計ショックだった。97年6月以来というから、当へっぽこサイトと立ち上げと、ほぼ同時期。本の交換もしてもらったし、企画の参加などもさせていただいた。どこかの阿呆のせいで、読み応えのある日記や新本格評のスタンダードとでもいうべき書評が大量に失われ、かつ、今後読めなってしまうかと思うと、無念。
4月6日(土) MYSCONまで
・MYSCON3レポートでっす。
■MYSCONまで
今年もやってきた、MYSCON。参加の申込みは早かったが、例年にもまして、年度末の追い込みの仕事やら身辺がパタパタして準備が整わない。参加者のサイトを事前にチェックしておき、余裕があれば、参加されるプロの方を事前にこなしておこうと思っていたのだが。西澤保彦氏『両性具有迷宮』、浅暮三文氏『左眼を忘れた男』、ラッカー『フリーウェア』、蘇部健一氏『動かぬ証拠』等を手元に用意するにとどまり、サイトのチェックもほとんどできなかったのがひどく残念。
参加前に、MYSCONスタッフのおーかわさんから、ゲリラ企画で、日下さんと山田風太郎追悼の対談をしませんかという話があった。第一回目だったかに、フクさんに山風ゲリラ企画があればいいと話したこともあり、企画には大賛成だったけれども、とても日下氏と対談する器ではないので、日下さんのインタヴューに切り替えて欲しいとお願いする。
企画では、山風作品のリストを配ろうと思い、事前に若干の準備は進めていた。サイトと同じ長短編ごっちゃの編年体リストと違う物にしたいと思い、全作品をジャンル分けにしたリストを配る予定で、金曜日の夜中から、最後のまとめの作業に着手。だが、なんたることか、午前3時頃に、データが消失してしまう。神も仏もないものか。ない。ヴァー。呆然とし、溢れる涙を袖で拭って、ジャンルごとのリストは長編と連作長編だけにすることとし、後は、サイトのリストをプリントアウトしたもので誤魔化すことに。それでも、作業に朝の午前6時までかかってしまう。
午前9時起床。山風関連本などをバックに詰め込み、リストのコピーは東京で行うこととして、あたふたと出発。札幌駅で、航空券が見当たらないことに気づき、サイ君に電話する。航空券は、バックに詰め込んであることが判明して、それはそれで良かったのだが、プリントアウトしたリストの10P目を家に置き忘れていたことが発覚。どこかで、家からFAXしてもらうこととして、千歳空港へ。羽田の総合案内で聞くと、FAXは、空港内の黒ネコヤマトで、コピーは東京カメラで出来るとのこと。家に電話をして、黒ネコヤマトにFAXを受領。受信料1枚100円。高い。東京カメラに移動して、コピー。ホチキスを借りて編纂。
新橋の地下街で早飯をしつつ、関連本などに目を通した後、南北線で東大前駅へ。駅のエレベーターのところで、松本真人さん、無謀松さん、蘇部健一さんに出逢う。お久しぶりです。居並ぶ古書店に若干未練を残しつつ、会場の「鳳明館森川別館」へ。
4月2日(火) MYSCON帰りの他力更新
・気がつけば、4月。3月30日、31日開催のMYSCON3行ってまいりました。皆さんお世話になりました。レポートは、おいおい。(といっているうちに、各レポートの隙間狙いになるかもしれず)
・HMM5月号(特集は、エラリイ・クイーン!)、ジム・トンプスン『死ぬほどかわいい女』(扶桑社)購入。
・前回の、おげまるさん情報提供関係(特に、「別冊週刊大衆」−「漫画ストーリー」)で、誤記やら勘違いをしでかしており、おげまるさんからメールをいただきましたので、リストの修正事項等を訂正しました。えらく遅くなって、すみません。
・「漫画アサヒ」の予告記事についても指摘あり。要約ではニュアンスが伝わらないと思うので、おげまるさんからいただいたメールの関係部分を引用させてください。
――――――――――――――――――――――――――――――
あと、「漫画アサヒ」の予告記事について。御確認いただきたいのですが、これは「新連載長編「淫術」第一回」の予告ではありません。
「毎回長編読切一挙掲載」という企画の「第一回」に風太郎が登場する予告です。で、この雑誌は、次号からB5判・月二回発行のスタイルになるわけです。
現在の「ビッグコミック」等を想起してください。とても数百枚の長編小説を「一挙掲載」するキャパシティはないはずです。
これがどういうことかといえば、つまりここでいう「長編」とは、実質的には「ちょっと長い短編」のことだと解すべきでしょう。よくある誇大表示です。
「短編」とあるのがショート・ショートだったり、「ショート・ショート」というのが数行の一口話だったりするわけで。
小説ではなく漫画の話ですが、この頃は16ページの短編が「長編読切」と銘打たれていました。そういう時代、そういう業界であったのです。
で、成田さんは「淫術」というタイトルから後年の忍法帖を連想なさったようで、それはごく自然ではあるのですが、しかし今一度先入観をはらって昭和38年の作品リストを御覧ください。この時期の忍法ものは「忍法○○」「忍者○○」というタイトルが主流です。
「淫術」は(実在するとして)未見の現代ミステリー短編である可能性が、より強いと思うのです。「現代マンガ図書館」あたりに所蔵されていないでしょうかね。
―――――――――――――――――――――――――――――――(引用終わり)
・うーむ説得力十分。どこかに転がっとらんか、「漫画アサヒ」。
・篠原さんという方から、メールをいただきました。
●「忍者玉虫内膳」は「漫画サンデー」昭和37年11月28日号に中編読切小説として掲載されております、とのこと。
→リストでは、初出不明となっていた作品。おお。
●小説倶楽部・臨時増刊・昭和33年7月10日号に「天皇と美女と暗殺」作・山田風太郎 画・山崎百々雄と言う、作品が掲載されていました。
→これは、昭30.9「講談倶楽部」掲載「天皇と美女と暗殺」(→「天衣無縫」)の再録でしょうか)
情報提供ありがとうございました。
・斎藤さんという方から、当サイトへのリンク申込みがありました。(当サイト、「リンクはご自由に」ですが)。斎藤さんは、スペインの闘牛を紹介する、「ソル・イ・ソンブラ」という特濃サイトをやっておられる風太郎ファンの方です。サイト内の日記には、風太郎の本に関する記述もあります。一度御覧になってください。
・Interbook BackPageというネット古本屋さんからメールをいただきました。山田風太郎祈念殿堂!?というコーナーが最大の柱ということなので、興味のある方は、飛んでみてください。
・ようっぴさんから、密告をいただいてます。第一回富士見ヤングミステリー大賞受賞作という深見真『ブロークン・フィスト 戦う少女と残酷な少年』(富士見ミステリー文庫)がそれ。格闘技がメインになっているというちょっと新種なモノで、密室的には「『密室にみせかけた殺人』でも、『密室で発生した、一見殺人風の自殺』でもなく、『完全な密室殺人』である」ということが売りのようです。トリックは、確かに新手だと思いましたもとのことです。ありがとうこざいました。本屋の、この領域は、ナイスミドルとしては、正直行きにくいですが。