過去の雑記 02年10月上

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10月 1日
朝から台風。しかし今日は職場の創立記念日なので、有給とってお休みなのだった。大雨の中働く下々の者の映像をぼぉっと眺めるのは選ばれしものの至福って奴だね。

そのまま至福を味わっていればいいはずなのに、つい魔が差して近所の新星堂へ。「じんせいを/やりなおすのに/たいむましん/つかったって/いいじゃないか/だってSFだもの」という『夏への扉』のポップに吹き出してしまった。やるなハヤカワの文庫SF担当。

帰りに肌着だの靴下だのを買う。もう10年来トランクスしかはいてないのに、ついふらふらとビキニパンツなぞ買ってしまった自分が理解できない。別に見せる相手もいないのにどうしようというのだ。< 見せるな、っつーか買うな

台風はさほどどうということもなく過ぎ去った模様。いまひとつ爽快感のない台風である。

10月 2日
倉知淳『日曜の夜は出たくない』(創元推理文庫)から巻頭の「空中散歩者の最期」を読む。この聞いた瞬間にありえないとわかる推理が一般に許容されているのだとしたら、日本は理科教育の方法論を根底から見つめなおした方がいい。

以下、ひょっとしたらいるかもしれない突っ込みどころがわからない人のためのネタバラシ。この作品の謎は「周囲の建物は10数メートルの高さしかないのに、20メートル以上の高さから落ちた死体があった」で、与えられた解決は「建物から斜めに落ちたので移動距離が20メートルを越えた」。馬鹿をいっちゃいけない。斜めに落ちようがまっすぐ落ちようが高低差10数メートルは10数メートルだ。摩擦を計算に入れなければ衝突時の下方向速度は同じだし、摩擦を考えれば斜めに落ちた方が遅くなる。どちらにしろ、同じ高さからまっすぐ落ちた場合と同じ衝撃か、より小さな衝撃にしかならない。何かの間違いで信じられないという人も次のように考えればわかるだろう。高さ1メートル長さ100メートルの坂を転がり落ちたとして、高さ100メートルから落ちたのと同じ衝撃を受けるだろうか。そんなわきゃない。

ありうる解決策は、はしごや飛行機械で一時的に20メートル以上の高さを作り出したか、ビルの屋上から大きな初速で打ち出したかだろう。高さ10メートルのビルから初速14m/sで真上または真下に打ち出せば、落下時の衝撃は20メートルから落下したときのものとほぼ等しくなる。きっと「空中散歩者は人間大砲の人だった」というのが真相なのだ。< おい


ちょいと不安になったのでWebで検索してみたが、この作品の推理が成立してないことはそれなりに有名な模様。多少安心。でも、気づいてない人もいるっぽいんだよなあ。

10月 3日
ちゆ板経由で目の錯覚の例。AとBが同じ色ってのは、ペイントツールで確かめてみるまで信じられなかったっす。ちょいと見る価値あり。

倉知淳『日曜の夜は出たくない』(創元推理文庫)は「寄生虫館の殺人」まで。今のところ、悪くはないが程度。感想はとりあえず最後まで読んでから。

本人のカミングアウトにより9位タイの方の名前がわかりましたってわけで、1292人現在のベスト10。1位 244(堺三保さん)、2位 238(三村美衣さん)、3位 236(大森望さん)、4位タイ 224、6位 221、7位 218(柏崎玲央奈さん)、8位 217(志村弘之さん)、9位タイ 210(山本和人さん、山岸真さん)。知人率は増すばかり。こうなると、4位〜6位の三人の名前も知りたくなるなあ。

ああ、しまったMXテレビの「The ビッグオー」見逃した。次は、えーと金曜24時からの千葉テレビか。

一歩さん翻訳SFファン度調査に便乗するSFの属性+売れ線属性調査っぽいの。結果表示に翻訳SFファン度調査にGETメソッドで投稿するっぽい文字列が出ますが、翻訳SFファン度調査はGETメソッドを受け付けないのでエラーが出るだけです。ブラウザ直打ちで、などと試さないで下さい。
#僕がソースも見ずに「たぶんGETで行けますよ」などと言ったのが原因です。

この機能以外は多分、問題ないはず。僕側の情報処理というネックがないんで。

ちなみに、僕の「調査っぽいの」は。属性欄がもう少し埋まってから試そうかなあ、なんて。< 邪道
↑4日夜以降はPOSTボタンになりました。こいつはちゃんと動きます。

10月 4日
倉知淳『日曜の夜は出たくない』(創元推理文庫)を読み終える。ラスト2編の凝った仕掛けは、ただの蛇足としか感じられなかった。味わいがばらつくのは良いが、猫丸先輩のキャラまで揺れるのがなんとも。そこが揺らいでしまっては連作短編の軸が通らない。また、扱われる事件がすべて殺人事件というのも気になった。職業探偵ならともかく、犯罪捜査とは無縁の人物が偶然事件に出くわすという設定を使うのなら、事件はもう少したわいのないものである方が自然だろう。殺人事件を扱うことにより物語に含まれる毒の量が大きくなっているため、猫丸先輩の毒が利かなくなっているのも難。総じて『猫丸先輩の推測』の方が良かった。

でも、まあ、あくまで『猫丸先輩の推測』に比べてという話なんで、次を読もうと思う程度には気にいった。謎で面白かったのは昔話の真相を暴く「海に棲む河童」。文章が楽しかったのは「寄生虫館の殺人」。「約束」の物語りも悪くないけど、あまりに猫丸先輩がいい人なのがどうもな。

あ。猫丸先輩のキャラが揺らいで見えたのは、僕のイメージする猫丸先輩が高橋彳(ぎょうにんべん)先輩(by 唐沢なをき)だからかもしれない。 < それは間違っているだろう

北野勇作『どーなつ』(ハヤカワ藍背)読了。最後に立ち現れる光景は気にいったのだが、そこに到るまでの印象がやや散漫。「うらぶれた下宿街」が足りないのが難点か。

千葉テレビで無事「The ビッグオー」を見る。良い。微妙な駆動音、理由のある無表情、超高速駆け足、人に見えても異常に重いなど、R・ドロシーの一挙手一投足がずばずばとつぼに嵌る。ビッグオーの操縦システムもまた正しいかっこよさに満ち溢れており、ここまでは文句なし。次回以降が楽しみ。

いや、恥かしいことに見てなかったんすよ。

10月 5日
戸田山和久『知識の哲学』(産業図書)。読んだだけで課題を解いてないんで、明日には忘れている気がする。「認識論というものがある」と知ったと思ったら、あれよあれよという間に壊されたので、そのまま流されてしまった。批判的に読むにはもうすこし知的体力を要求されるようだ。

夕方からユタ。参加者は三村美衣、林、山本和人、SF人妻、大森望、宮崎恵彦、福井健太、高橋良平、志村弘之、小江雅美、添野知生(おそらく到着順、敬称略)。主な話題はファンタジーの偉い人のちょっといい話、「明日があるさ」映画版、『航路』メディア向けパンフ、『航路』、「最期の言葉」マニア、『地球礁』、紹介に困る作品、昼休みの過ごし方、翻訳SFファン度調査、を毎日チェックして嘆く人、読んでない本の解説ばかり書く人、ガンダムSEED(あるいは良く出来たリメイク)、京都のホテル、正しいたこ焼き、東京国際映画祭のチケットに並ぶ人々はなぜ共同購入しないのか(答:そんな社交性は無いから)、ミステリにおけるトリックの現実性、どちらにも紹介できない、大阪のおばちゃん入門、大阪の金持ち入門、引越し二題、独身SF者寮、戦争の記憶、年度回顧の焦燥、いそうでいない、など。

独身SF者寮は、周囲から結婚を諦めたと認定されたSF者が放り込まれる寮。まとめて住んでいればのたれ死んでないかと心配しなくて済むためのものだとか。お前は入居予定だなと言われてしまいました。別に諦めちゃいないがなあ。
#努力もしちゃいないが。

翻訳SFファン度調査ネタではレギュレーションの不備の話とか。88年の『ゲイトウェイ』は再刊文庫化なんで本当ははいらないはず。ではなぜ入っているかというと、僕に「80年代末というと『ゲイトウェイ』」という印象があったから。レギュレーションを守ると、これは『ゲイトウェイ 3』になるべきなのだった。気にしないけど。

もうひとつ翻訳SFファン度調査ネタ。『たったひとつの』が国内で10万人に読まれたのだとすると『新T2』を読んだのは1000人。かなり説得力のある数字というあたりがなんとも。

10月 6日
近所の書店で『地球礁』を手に取った妙齢の女性に「ラファティがお好きなんですか」と話し掛けるという計画は出来ているのに、実際にそんな場面に出くわさないのはなぜだろう。と不思議なことばかり世に満ちる昨今、みなさまいかがお過ごしでしょうか。林です。

昼頃外に出ると、隣の空室を見に来た若いカップルがいた。見かけで人を判断するのはよろしくないと知ってはいるが。この手のヤン…、ヤングなカップルが隣人になるのはあまり嬉しくないような気がする。それよりは、やはり妙齢の女性の一人暮らしのほうが。駅近、6畳二間、格安の物件で、駅前にはSFがそれなりに入荷する割には売れないのでいつまでも残っている本屋までありますぜ。いかがですかお嬢さん。

と、白馬の王女様妄想はこれくらいにして。

ご本人からメールを戴きました。1364人現在のベスト10。1位 244(堺三保さん)、2位 238(三村美衣さん)、3位 236(大森望さん)、4位タイ 224(片山さん)、6位 221、7位 218(柏崎玲央奈さん)、8位 217(志村弘之さん)、9位タイ 210(山本和人さん、山岸真さん)。おお、はじめて知らない方が。これでベスト10でわからないのはあと二人。224作品のもう一方と、221作品の方、名乗り出てみませんか?

ふとスポーツニュースを見るとBu・盛田の引退登板がうつっていた。打席に立ったのはかっての同僚、BW・進藤。横浜大洋で活躍した両者の対決をこういう形で見ることになるとはいささかの感慨が。ありがとう盛田。あなたのぶつかったらぶつかったときだシュートの強引さは忘れない。

へらへらとチャンネルを変えているとANIMAXで「∀ガンダム」のOPが始まった。おお、∀をやるのか。それはすばらしい。と、そのまま見ていると、今度は「ガンダムX」のOPが始まる。なにが起こったのかと呆然と見ているとW、ΖΖ、Ζ、83、ポケットとどんどん色々と遡り、ついに「ガンダム」のOPが始まってしまった。どうやら歴代ガンダムのOP・EDをひたすら流すという番組らしい。案の定CM明けは「永遠にアムロ」にはじまり「星空のBelieve」「一千万年銀河」とただEDだけが流れていく。たいへん楽しくはあったのだが。なんなんだこれ。

一昨日の『日曜の夜は出たくない』感想に関して滅・こおるさんから突っ込みを戴いた。「素人が偶然殺人事件に出くわし続ける」というのはミステリの約束事なので突っ込むのは無粋(というかジャンルに対する無理解)というのは、なるほど言われてみればごもっとも。当該記述に関しては、『推測』の、皮肉屋で詭弁と虚言を弄する癖のある猫丸先輩というキャラを基準に考えるなら、深刻な犯罪よりはどうでもいい事件の方が向いている、というあたりに訂正させていただく。あくまで猫丸先輩固有の事情ということで。

「金田一少年」だの「名探偵コナン」だのに対する「なぜ、こいつらばかり事件に巻き込まれる」というツッコミには、「それを言ってもしかたがなかろう」という感想を抱いていたのに、不用意な発言をしてしまったのは恥かしい限り。どうも、素人探偵の場合、警察、職業探偵、事件記者などと知合いであるという「説明」が免罪符なのだと思っていたようだ。その手の「説明」なしでも「あり」というのがミステリの様式なのだ、と認識を改めるようにしよう。
いや、↑は皮肉でもなんでもなく。過去に読んだミステリは十指には余っても二十指には足りないかもしれないという程度なので、本気でミステリの約束事がいま一つわかっていないのだ。

上記に関しつつもやや離れ。先日、明らかに間違った無限に対する理解のもとに『ホワイト・ライト』を断罪する、あまりにも悲しいWeb書評を読み憤りを感じつつ嘲笑っていたのだが、自分も同様のことをしているかもと思うと背筋に冷たいものが。間違うことがあったとしても、知ったかぶりだけはしないようにしようと心に誓う秋の夜。

そんなわけで。僕はミステリ方面はまったくの素人なので、間違ったことを言っていたらぜひとも突っ込んでいただきたい。もちろん、ミステリ以外の分野においても。

10月 7日
もしも安田均が近藤真彦だったら、ジャニーズJrになるらしい林です。偽の命題からは任意の結論が引き出せるという奴ですね。伊藤典夫が郷ひろみというんだから、浅倉久志は西城秀樹か。で、野田昌宏が野口五郎。

翻訳SFファン度調査でちょっと意外だったのが、ペレーヴィン『眠れ』読者の少なさ。ターボ・リアリズムは一時期ブレイクした印象があったので、20%は無理でも10%くらいはいくかなと思っていたのだが。1%そこそことは。ブラムライン『器官切除』の4%未満も意外。冷たく残酷でかっこいいのに。自分のことは大きく棚に抛り投げた上で。最近の翻訳SFはつまらないという前に、もう少し広めに探しても良いよなあと思ったことである。

10月 8日
自分の所属していると思っていたコミュニティで、人より2、3日早く紹介したと思っていたネタが今頃はやりだして、かすかに悔しい思いをする今日この頃。いいんだ、どうせ俺のサイトなんて誰も読んでないんだ。 < 恥かしい自意識過剰&自虐ネタの典型

それはともかく。事件。なんとなく「ネタバレを気にする人」=「嫌煙者」、「ネタバレを気にしない人」=「喫煙者」な感じ。「気にしない人」には「気にする人」の受けるダメージが見えないところとか、「気にする人」が「正義感」の暴走をおこしがちなところとか、いろいろ。Webでも分煙は進んでいると思うけど、まだまだグレーゾーンがあるから問題が起こるのでは。と、したり顔で役立たずの解説者をしてみる。

なお。僕は「嫌煙者」で「ネタバレを気にする(こともある)人」なので、そちらを肯定評価しがちなバイアスがかかってます。

あ、似てないところも思いついた。「ネタバレを気にする人」が自分で紹介をするときには思いっきりネタバラシすることがある(お前がゆーな、って奴)、というのはタバコの例では珍しいな。

もうひとつ。「何が煙か」が人によって異なるところが最大の差異。というか、ここが問題の本質か。

10月 9日
ルーキー秦が初勝利。さんざんだった今シーズンだが、若手の成長が見えたのはせめてもの救い。投の吉見、打の古木が今後も使い物になるのなら、3年後に向けて望みもつなげるというもの。来期は木塚、隆が使えないので期待できそうも無いが。っつーか、監督が見るからに育成・待機型の山下だからなぁ。とりあえず石井琢の後継者さえ育ててくれれば良いや。

本読みながら一人で酒飲んで眠くなったんで寝たら灰羽見逃した

10月10日
アフタヌーン・シーズン増刊廃刊。雑誌自体を買っていたわけではないが、連載作品で気にいっていたものは多く何かしらの感慨はある。『蟲師』『もっけ』は本誌移籍とのことなので、とりあえずは安心。

縁あって『魔人ハンターミツルギ』5話を見る。すごいな、これは。江戸時代という設定など気にもしていない美術もあれだが、予算不足がありありとわかるのに敢えてコマ撮り人形アニメという特撮もあれ。そして、やけのようなてんこもりのアクションも、もったいないほどの人形のデザイン(今回は、骸骨の上半身がついた蜘蛛)も。このアンバランスは価値あるもののような気がする。ちゃんと金をかければ面白いんじゃないかとか思ってしまったよ。いや、意外に話はちゃんとしてるんで、素でそれなりに面白いんだけど。

ああ、加藤夏希の司会はがんばりがよく見えて微笑ましいんだけど、声がなあ。あの語尾の高音が無ければ。

今さらながら自分用のメモとしてリンク。あの本なんだっけ検索(嘘)。ネタ元はもちろん第弐齋藤。「ゴセシケ」で『合成脳のはんらん』が出てくるほど物知りではないようだ。

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