過去の雑記 02年12月

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12月21日
昨晩ふと、プロ野球においてスーパー選手がどの程度チーム力を向上させるかが気になった。そこで、GBA版BPPBで全能力を最高値にした投手ひとり、野手ひとりを作成し、ペナントの結果がどうなるかを調べることにした。もちろん、スーパー選手が入団するのは昨年十二球団最弱の名をほしいままにした横浜である。古木、吉見の全能力を最高にして1年間のペナントを争わせてみた結果は98勝41敗1分で2位に16ゲーム差をつけてのぶっちぎりの1位。仮にもプロ球団であればたとえ弱小の球団でも、究極の投手と野手が一人ずついればペナントを制する事などわけはないのだな。GBA版BPPBの世界では。
# 現実には人間関係等々があるからそうもいくまい。

ちなみにスーパー古木は打率.450(1)、51本塁打(1)、133打点(2)、79四死球(1)、35盗塁(1)。スーパー吉見は防御率0.92(1)、35勝(1)、1敗、499三振(1)。さすがに現実離れした結果になることだ。そら、貯金34のエースがいれば優勝くらいはするよな。

この間買った富野由悠季:原作、長谷川裕一:漫画『機動戦士 クロスボーン・ガンダム』3巻(カドカワコミックスA)を読む。完結したまんがの3巻で語るべきことがあるわけないので感想は省略。とりあえず今のところ面白い。ああ、MS同士の戦闘でなにが起きているかがちょっとわかりにくいかな。

ちょっと前に買った冲方丁:作、伊藤真美:画『ピルグリム・イェーガー』1巻(少年画報社ヤングキングコミックス)を読了。16世紀イタリアを舞台とした歴史ファンタジー、かな。迫害を受けながらもキリスト教社会の中で生きねばならない「魔女」と、体制の手先として異端を狩る「魔女」。きらびやかな画と厚みを感じさせる物語は読む価値あり。

かなり前に買った菅原雅雪『暁星記』1,2巻(講談社モーニングKC)を読む。遥か未来の金星を舞台とした壮大な叙事詩の幕開け。縄文時代を思わせる世界観が魅力的。異世界を舞台としている分、考古学に取材している部分がどこまでか気になる。

夕方から名大SF研中期MLで飲み会。別にけんかをしたわけでもないのに在籍者のMLが初期(1-7)、中期(5、6-13)、現役(8、13-?)と分かれているのは傍目には変な話かも。それぞれにそれぞれの世代にしか通用しない話題はあるだろうけど、統合MLもあっても良いような。っつーか、20周年の話はどうなったんだろう? > 顧問の先生とか

6時間ほどだらだらと飲んだ後、例によって例の如くカラオケに。救急戦隊ゴーゴーファイブは歌える人間が二人いないと楽しくない。突然のスタッフデビューでみなを驚かせた堀口(13)がアニカラの人のようになっていた。そうか、そんなにスタッフ道というのは辛いものなのか。

12月22日
帰宅後、ひと寝入りして起きてまた寝て起きてまた寝る。なんぼでも眠れるなあ。

牧野修『傀儡后』(ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)。雑誌連載版で謎の解説を担当した壬生(医者)と狂言回しを担当した涼木(探偵)を同一人物にしたのは何故だろう。おかげでキャラが洒落にならないほど揺らいでしまっているのだが。作品全体の印象は雑誌掲載版と変わらず。濃密な奇想が楽しい作品ではある。ただ、まとめて読むと意外に安い。『MOUSE』を超えてはいないのが難。

ウィルスバスター2003をインストールするため2001のアンインストールをしようとするが果たせず。どうしたもんだか。サポートが切れるまでになんとかしたいのだが。

12月23日
心の底から油断していて起きぬけに「オースティン・パワーズ・デラックス」なんてものを見てしまう。聞いていた通りの下品でベタなギャグの羅列に感心。ペニスの言い換えネタだけでえんえん繋ぐ、あまつさえ2度も繋ぐというのは。劇場公開でやる話か、という疑問もあるが、休日の昼間にだらだらと見るものとしては申し分なかった。ああ、でも同じ時間帯にやっていた「老人Z」とどちらを見るべきだったかについては悩むところだ。

さらにまんがを買う。

槻城ゆう子『召喚の蛮名 学園奇覯譚』(ビームコミックス)はRPGマガジン掲載の学園クトゥルフ魔術漫画。RPGMで読んで以来気になっていたんでこの単行本化は嬉しい。中身は全篇、本来の意味でのオカルトのてんこもり。僕程度では、正直、よくあるはったりと区別がつかないが、朝松健も認めているのだからかなり本格的なのだろう。ちゃんと娯楽になっているかというと微妙なところではあるが、テーマの珍しさだけでも一見の価値はあるかもだ。

『クロスボーン・ガンダム』4-6巻を一気に。木星帝国とクロスボーン・バンガードの戦いは地球圏へ。あくまで人間の物語であることがすばらしいっす。長谷川裕一の物語る力はやはり飛びぬけてるね。いや、原作付きだからある程度は富野の功績なんだけど。

街を歩くと、そこかしこにミニスカサンタのねーちゃんが。この衣装、どうにも風俗に見えてしかたがないんだが、バイトのねーちゃんたちは納得してやっているのか。こちらの目が邪に歪んでいるだけかなあ。

風俗といえば。キャバクラの捨て看に「アンミラ・ガールがお出迎え」というものがあった。うーむ。バドガールがありなら、これもありなのかなあ。私企業の制服を勝手にパクるのはどうかと思うんだが。そのうち「馬車道ギャル」とか出てきそうである。

まんが文庫はふだんチェックしていないので気づかなかったが坂田靖子/橋本多佳子/波津彬子『フレドリック・ブラウンは二度死ぬ』が出ていた模様。なんともはや懐かしい。もはや、どこで読んだかも、どんな内容だったかも忘れてしまったよ。そのうち探してみよう。でも、いまどきブラウンの読者なんているのか?

12月24日
職場(注:出先)の購買部が改装されてミニ・コンビニのようになった。雑誌だの洗面具だのはともかく野菜まで売っているのはなんだか。あまつさえ茨城みやげまで。つくば宇宙センターまで来て、がまの油クッキーを欲しがる人がいるとは思えないんだが。

「アンパンだ」の出典を調べているうちに、NEW MAD TAPEのサイトにたどり着いてしまった。そうか、そういう経緯で出来た物だったのか。NEW MAD全リストを眺めていると懐かしさが込み上げてきてしかたがない。そうだよ。中学の時、昼休みの校内放送でよく聞いてたよ(記憶が捏造されているかも)。

12月25日
あー、本質的にはどうでもいいことは良くわかっているのだが。

ハヤカワSF文庫は今は無い。君たちが言っているのはハヤカワ文庫SFだ。 > 非常に多くの人々

創刊当時は確かにSF文庫なんだけどさあ。20年以上も文庫SFで来てるのになぜ間違える人がいるのか不思議だ。

東京創元社のは創元SF文庫。これを創元推理文庫(SFマーク)と書いてしまうのはまだわからなくもない。創元がSFマークのままなら、文庫SF、SFマーク、SF文庫、SFシリーズ、SFノヴェルズでメジャーな海外SF叢書の区別ができていい感じだったのに。

ダニエレブスキー『紙葉の家』(ソニー・マガジンズ)買ってみました。価格はともかくサイズが。

やっと懸案の「HR」を観る。総集編じゃんかよぅ。損した気が。あー、でもレギュラーを観て面白いと思うかどうかは微妙かも。ところで。ラジオ体操第3は本当に存在しないのかとWebで調べてみたのだが、ないことを示すのも難しいのだった。戦後すぐに廃れた「新ラジオ体操」なるものには第1から第3まであるが、現在のラジオ体操は第2まで。最近新しい体操ができたがそれは第3ではない、というのが真実に近そうな話。本当かどうかわからないが。

何の因果かついに「シスター・プリンセス Re Pure」を観てしまう。とりあえず僕の人生とは何の関係もないものであることが良くわかった。

10時ごろかかってきた電話を取ったらすぐに切れてしまった。これは
  1. 女性が出ることを期待していた無作為いたずら電話
  2. 留守なら空き巣に入ろうとしていた確認電話
  3. 留守電に愛の告白を吹き込もうとしていたシャイな女性からの告白電話
のどれなのだろう。

4の「ただのまちがい電話」に1票。

12月26日
昨日の「文庫SF」と「SF文庫」の話はちょっと大人げなかったか。職場で再三「じゅうふく」という言葉を聞かされいらついていたところに、Webで「ハヤカワSF文庫」という表記をいくつも見かけたので、つい書いてしまったという次第。もっと広い心で人生を送らねば。

辞書によると、「重複」を「じゅうふく」と読むのは「正解とは言えない」くらいらしい。僕の周囲では既に「ちょうふく」よりも「じゅうふく」の方が多いので、そのうち読みが変ったりするのだろう。とかく言葉は無常である。

偉そうなことを書いてはいても、僕も「知己」を「ちこ」なんて読んだりしてるので人のこた言えないんですがね。

#「ら抜き」や「よろしかった」は名古屋語の正統表現だから気にもならない。

GBA版BPPB用のセントラル来期データを適当に作りペナントを争わせてみる。結果は中日>読売>>横浜>ヤクルト>阪神>広島。横浜の、主力が概ね好調で、借金抱えてのぎりぎりAクラスという結果は非常にリアリティがあるような。中日の1位はちょいと強くしすぎたかと思ったが、福留が .378 23本 89点という微妙な結果になった他は、概ね並から好調ならそんなもんかという数字で、どうやら運が良かったの範囲の様子。読売も個人成績はほぼ納得の範囲なので、大筋のデータはこれでよさげだ。あとは微調整か。

コックスの結果は.271 22本 87点。本当にこれだけの成績をあげてくれるのなら何の文句も無いよなあ。古木の.282 25本 75点というのもかなり現実的な期待値(の上限くらい)。でも失策0は妄想が過ぎるかも。
#外野手として使ったからだってば。

ちなみに最優秀防御率&最多投球回は井川。別に阪神のデータを不当に貶めたりはしてないので阪神ファンの人はメールボムとか送らないように。

12月27日
早めに職場を出て西葛西の忘年会に参加。20人以上参加の宴会で集合時間に3人しかいないというのはさすがSFの人たちである。

だらだらと呑んだ後、大森さんの家におじゃまする。ボルシチ、ご馳走様でした。社長はすっかり大きくなられたようで、キングゲイナーのOPにあわせて踊ってらっしゃった。既に英才教育の成果がでているようだ。スーパー1の秘密に迫ったり、翻訳SF短篇ファン度での敗北を知らされたり、猫の寵愛を競い合ったり、BPPBで対戦しなかったり、当分ネタは無いよと脅されたり、人生で最多のアニソンOPを見たり、繰り返し襲い来る「翔べ、ガンダム」に恐怖したりした後、カラオケ。パセラにかまけているうちにcyber DAMも着々と進歩しているようだ。

要約すると「宴会してました」ということやね。

12月28日
イラ姫『最終シスター四方木田』2巻(集英社)。修道院を舞台とするショート・コメディ。山田卓司の『吸血鬼にちがいない』にのりが似ている、といっても既にわかってもらうのは難しいか。手のひらサイズの修道女だの、幽霊だの、宇宙人だのが、ふつうに登場するような世界で、微妙に哲学しながら笑いを誘う。コメディの質も地味にいいんだけど、たまのしんみりした話はさらに良し。ウルトラジャンプ掲載なんで未見なら一度眺めていただきたいところ。今回ではミーアキャットの一家の巣に居候するジリスの話が良かった。しかしシスター四方木田はどんどん出番が減ってないか?

親の敵のようにまんがを買う。

犬上すくね『恋愛ディストーション』1-4巻(少年画報社YKコミックス)。人から借りっ放していたのは返したんで、改めて買いました。いや本当にツボをつきまくりの良くできた恋愛コメディである。いろんなレベルで心に痛いよ。らぶらぶはいいよなあ、らぶらぶは。

やっと見つけました。あろひろし『科学の女体盛り』(ぶんか社コミックス)。タイトルどおりエロネタ満載のマッドサイエンティスト物。小ネタの連続だけで話をつくるあたりいかにもらしい。ちゃんとエッチな画はあるのに、それがギャグにしか結びつかないというのも、いかにもあろひろし。ひざまくらで本を読んでくれる「自動書籍朗読機・千夜ちゃん」は欲しいなあ。

ついでに買ってしまった、あろひろし『ちょっち お・と・な▽』『マジカル☆ヤンキー』(ラポートコミックス)。宇宙人が次々訪れる性感ヘルス「それぬけ!星間マッサージ」がまるで「銀河好色伝説」みたいで(まんまだ)良かった。

漫画文庫は好きじゃないんですが。坂田靖子・橋本多佳子・波津彬子『フレドリック・ブラウンは二度死ぬ』(講談社漫画文庫)。懐かしすぎる。何度読んでも坂田靖子の「クレージー・プラセット」はあまりにもそのままであることだ。

勢いで手を出したのが坂田靖子『ライラ・ペンション/ノーベル・マンション』(白泉社文庫)。坂田的バケモノたちの姿が楽しげなノーベル・マンションもいいけど、少女達の共同生活、ライラ・ペンションには及ばない。ロックファンでSF&ミステリ好きなザワシと、超然とした策士コウさんがいいっす。

でもってさらに坂田靖子『D班レポート』(白泉社文庫)。少年5人組。少年たちがちゃんと少年なのが良いですね。

素敵な眼鏡さんのいる喫茶店で『2003ベースボールレコードブック』を読んでいたらウェイター氏に「私は広島ファンで」と話し掛けられた。つい、そのまま弱小チームファンであることの悲哀などを。お互い、来年は何とかなると信じたいものです。

12月29日
珍しく朝早く起きた、というよりは寝なかったので日曜朝のゴールデンアワーを一通り観る。ハリケンジャーはラスト前の総集編でロボットもでてこなかったが、それなりに面白かった。よくできていることだよ。ちょっと大葉健二の使い方がもったいなかったけど。

SFM考課表02年結果を仮集計。票が増えたら集計しなおす予定なので、あくまで仮ということで。

海外はこんな感じ(*:範囲は-3〜+3、()内は投票者数)。
  1. +1.86(7) 異型の闇 デイヴィッド・ラングフォード
  2. +1.63(8) 七十二文字 テッド・チャン
  3. +1.38(16) ゴッテスマン教授とインドサイ ピーター・S・ビーグル
  4. +1.14(14) 愛撫 グレッグ・イーガン
  5. +1.13(15) 数理飛行士 ノーマン・ケーガン
順序こそ違え、ベスト3はSFM読者賞と同じ。この三作はひとつ抜けていたと言っていいだろう。4位イーガンはイーガンにしてはそれなりでしかないし、5位ケーガンは再訳なので読者賞に出てこないのもわからなくはないか。

国内はこんな感じ。
  1. +1.13(8) 希望ホヤ 石黒達昌
  2. +1.13(8) コスモノートリス 藤崎慎吾
  3. +1.12(17) 蜘蛛(ちちゅう)の王 飛浩隆
  4. +1.07(14) 素数の呼び声 野尻抱介
  5. +1.00(8) 風のオブリガート 菅浩江
SFM読者賞には出てきていない石黒達昌がトップ。「おれはミサイル」、「隠密行動」の評価は読者賞とかなり異なっている。どこに原因があるかちょいと興味のあるところだ。

夕方、近所で手に入らなかったまんがを探すため切り札・池袋ジュンク堂へ。都内の書店はほとんどまわってないのだから切り札を切るまでのことは無いのだが。

さすがは切り札。目的のとり・みき『膨張する事件』(筑摩書房)と唐沢なをき『電脳なをさん』5巻(アスキー)、ついでにGBA版『ベストプレープロ野球全書』は無事入手できた。ただ一縷の望みをもっていた文芸系は空振り。既に版元品切れの文庫はともかく、今年出たばかりのはずのファンタジーがどこに行っても手に入らないのは哀しい話である。

文芸の棚はまた大きく配置が変わっていた。海外単行本新刊がすべて窓際の低い棚行きになったのは残念。スペースの有効利用なのはわかるが、どうも見難い。翻訳文芸なんてどうせ売れないということかと邪推してしまったことだよ。秋頃の配置のほうが便利だったなあ。

買えるものを手に入れたところで新宿に移動し宴会。メンバーは主にダサコン系+ファン考系。久しぶりの人とか初対面の人とか顔だけはどこに行っても見かける人とか色々いらっしゃいました。あといつもの人とか。

宴会後はカラオケ。新宿が満室だからと池袋に移動してまでカラオケという執念は、とても4連続宴会の最中の人とは思えない。> 某女子

ひさしぶり(二週間ぶりくらい)のパセラは謎の新曲が増えていた。「東京ラブマップ」(山本まさゆき)なんて誰が歌うというのだ。ここまで来るのなら、ぜひ「銀座のパキラ」をいれていただきたい。そして替え歌「秋葉のパセラ」を歌うのだ。

初めて見る人も多かったので久しぶりに持ちネタの替え歌を歌ってみたら皆が知っていた。向井君が別の機会に使っていたらしい。ネタがネタ自体として受けるのは嬉しいのだが、微妙に複雑な気分(笑)。

久々に会心の「ジムボタンの歌」など歌っていたら朝になったので解散。柏駅で立ち食い蕎麦を食って帰宅。寝る。

12月30日
昼過ぎに起きてまんがの積読を消化。遥かに高く積みあがっている小説を読むべきという気もする。

冲方丁:作、伊藤真美:画『ピルグリム・イェーガー』2巻(少年画報社ヤングキングコミックス)。体制側・30枚の銀貨、反体制側・七つの大罪者という構図がはっきりして物語に入りやすくなった。銀貨たちの能力、個性の描写も増え、だんだん忍法帖か今川版「ジャイアントロボ」を観るような味わいが。イグナチウス・ロヨラ、ザビエル、ミケランジェロ、アグリッパと歴史上の人物を次々と登場させる大ハッタリも、実に楽しい。あんまり楽しいんで銀貨一覧なんて作ってしまいましたよ。

唐沢なをき『電脳なをさん』5巻(アスキー)。ちょいと持ち直したか。スタジオぬえネタは面白すぎです。なお、謎の男ムラマサ(「無頼往来漫画」など)の元ネタは『高校生無頼控』(原作:小池一雄・作画:芳谷圭児) らしい。知らないなあ。

とり・みき『膨張する事件』(筑摩書房)。実際の事件を元ネタにした2ページギャグ「事件の地平線」を中心に様々な場所に掲載された四コマ〜短篇を収録。各誌掲載の四コマを由来を無視して並べた「4Ks」のパートは謎の味があって良いです。

SFM 1月号を読了したのはちょっと前。
ディック「シナリオ版 ユービック(部分)」
シナリオの途中までを読まされても。この調子でちゃんと終わるならそちらを読むのは悪くないけど、あくまで読むディック作品がなくなってしまったマニアには、だしなあ。未読なら『ユービック』自体を読む方が100倍有意義。
深堀 骨「歌丸大将軍の砲兵隊〜又は「なぎら健壱の『世界の平和』」」
世界の平和を守るため砲兵隊を指揮する男。点景からの広がりに欠ける。深堀骨ならまだまだこんなものではないはず。
マーティン「魔獣売ります」
環境工学者ハヴィランド・タフもの。異様な生物が次々と出てくるあたりは面白いのに、着地がいま一つ。酒井昭伸節炸裂の訳文(というか固有名詞)が無ければ読む価値は急減しそう。ところで「ゴジラ」ってのは本当に原文にあるのか。教えて読んだ人。
高野史緒・藤原ヨウコウ「ヴィデオ・スターの悲劇」
タイトル通り。安っぽくきらびやかなヴィデオ・スターの描写までは良かったのに。
神林長平「膚(はだえ)の下」(第21回)
アミシャダイとお話。
谷 甲州「パンドラ」(第24回)
戦いの予感は一気に膨れ上がる。長丁場の連載で可能な限りに盛り上がってます。
全体としてはあまりに読みでが無い。ラファティ追悼号がラファティ・ファン以外には厳しいものだったように、これもディックファン以外はお呼びじゃないと考えるべきなのか。しかし、ラファティ特集はまだ小説があったが、こちらはそれすら。

とりあえず、仮定に仮定を重ねるだけで未来を憂える香山リカの今号のエッセイは、いくらなんでも酷いのでは。

『90年代SF傑作選』考課表の現在状況。前回に加え、nyamさんの票を集計(集計まで3ヶ月もかかってしまいました、申し訳ない)。
  1. イーガン「ルミナス」 2.400
  2. リード「棺」 1.800
  3. ウィリアムズ「バーナス鉱山全景図」 1.733
  4. ガードナー「人間の血液に蠢く蛇」 1.600
  5. チャン「理解」 1.533
  6. ビッスン「マックたち」 1.143
  7. マクドナルド「フローティング・ドックズ」 1.133
  8. マクラウド「わが家のサッカーボール」 1.133(同着)
  9. レナルズ「エウロパのスパイ」 0.800
  10. バクスター「コロンビヤード」 0.571
平均点のベスト10でこんな感じ(-3〜+3、参加人数15人)。前回から「棺」「人間の血液に蠢く蛇」「マックたち」がランクアップ。ベスト10のタイトルは変りません。

12月31日
ありがとう読んだ人。というわけで特に理由も無いのに名を秘す方から教えていただきました。「魔獣売ります」のゴジラは原文でも「初出・短篇集ともにgodzilla(小文字)」だそうです。マーティン……。

今年のベスト海外長篇:エドガー・パングボーン『デイヴィー 荒野の旅』(扶桑社)
今年のベスト海外短篇:グレッグ・イーガン「ルミナス」(山岸真・編『90年代SF傑作選』(ハヤカワ文庫SF)収録)
今年のベスト国内長篇:新城カズマ『星の、バベル』(上・下)(ハルキ文庫)
今年のベスト国内短篇:石黒達昌「希望ホヤ」(SFマガジン 2002年3月号)
今年のベスト漫画:五十嵐大介『そらトびタマシイ』(講談社アフタヌーンKCDX)
SFしか読んでないかのようだなあ。

まだあと数時間(17:45現在)ありますが、概ね今年も終わり。私的にはあれとかこれとかそれとかあまり良い事の無かった1年ではあるけれども、つまるところは無事終わったわけで、まあそれなりはそれなりにめでたくはある。来る年も、なんとか概ねくらいには良い年であったりすると、そこはかとなく嬉しいことだなあと思うところであることよ。

とりあえずシリーズ物でもノヴェライズでもない翻訳SFが毎月2冊以上出てくれると幸せ。

では越年宴会に出かけますんで、また来年。

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