過去の雑記 98年9月

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9月21日
会社で仕事をしていると中野君から、モンスター・コレクション「魔道士の黙示録」を買ったというメールが届く。いきなり5箱購入で、超レアが10枚重複だとか。そおかあ、また混ざりが悪いのかあ。いや、コレクターじゃないんだから良いんだけどさ。
とりあえず、近いうちに5箱買うことは決定。


9月22日
会社帰りに高田馬場・芳林堂に寄って、ゆうきまさみ『じゃじゃ馬グルーミンUP!』の16巻と「魔道士の黙示録」1箱(15パック)を購入する。しばらくは、カードを買って、整理して、デックコンセプトを決めて、模擬戦をして、という地道な作業が続く。読書も、アニメも、ウェブページの更新もしばらくおあずけかな?

『じゃじゃ馬』はあいかわらず。ラブコメ部分は読み飛ばしているので、巻によっては読むところが無いが、今回は競馬シーンがちゃんとあったので一安心。純粋に競馬物が読みたいなら、土田世紀とか他に適当なものがあるだろうという声もあるだろうが、僕はゆうきまさみの競馬ものが読みたいので仕方が無いのだよ。


9月23日
松野さん(9)が帰国しているので、藤澤さん(7)と3人で、『スプリガン』を見に行く。悪い評判は散々聞いていたので、ストーリーの出来の悪さなど気にすることなく、アクションだけを楽しむことができた。期待さえしていなければ、貶すほどの作品じゃないよな。つまらないけど。

その後、Yellow Submarineで「魔道士」を1箱買ったり、藤澤さんが禁断のキャラクタートレカに手を出すのを見たり、秋葉原へ行って「燃えよドラゴンズ!'98」を各々1枚づつ購入したり、喫茶店でだべったり、あまつさえ夕食を食いながらSFについて語ってしまったりする。
いかん、これではSFファンみたいではないか。

横浜は眼下の敵中日に勝ってマジック点灯まであとマジック1に迫った。応援しているチームにマジックが点くなんて生まれてはじめての経験なのでどうやって喜んでいいのかわからない。貶しかた、腐りかた、諦めかたならよく知ってるんだが。


9月24日
イザベル・アジェンデ『精霊たちの家』を読了。南米マジックリアリズムというにはあまりにも地に足がついている話だが、詰め込まれたプロットの多さには脱帽する他はない。長い話なら長い話で、これ位の中身があるなら楽しめるんだよな。SFの人も500ページ以上の本を書くなら、最低この程度、いや、おおまけにまけて『デューン/砂の惑星』程度のプロット数を詰め込んでくれれば何とか読めるのに。

横浜に、三原脩がマジックという概念を生み出して以来初めてのマジックが点灯した!まさか中日戦連勝するとは思いもよりませんでしたね。実は、ちゃんと試合を見てないんで実感が無いけど。とりあえず、これでAクラスは堅そうになってきた。このまま突っ走って最低2位にはなりたいね。

つい油断して「魔道士の黙示録」5パックを買ってしまった。おかげで、超レアがついに重複してしまう。うーむ。24種類もあるカードが9、10枚目でもうダブるかなあ。そんなもんといや、そんなもんという気もするけど、それならもう少しマシなもんでダブって欲しかった。使えねえよ、「魔神パズス」なんて。


9月25日
そのタイトルはないだろうと一部で話題となったバラード『殺す』を読了。創元SF文庫で出たんなら非難されても仕方が無いタイトルだけど、海外文学セレクションなんだからアリだと思うがなあ。内容・形式・装丁を考えに入れれば妥当な選択でしょう。文庫落ちの際には改題した方が良いだろうけど。
中身は、高級住宅地で起った凄惨な殺人事件の顛末を、事件解決に協力した医師の日誌の形で綴ったもので、『ハイ-ライズ』と同様、文明の罠を扱っている。一応、ミステリとしても読めないことはない形式をとってはいるけど、犯人はすぐ読めるし動機もわりと早くに明かされるので、そちらに主眼を置いて読むのは止めた方が良いかも。
犯人の動機の設定の仕方や淡々とした犯行描写などは、さすがバラードという他はない出来で、楽しんで読めた。握りこぶしで力説するほどの傑作ではないが、友人の5人中2人には薦められそうだ。
個人的に興味深かったのは、作中の動機と、別役実の犯罪論の中核をなす「関係の力学」という概念がそっくりだったこと。さすが日英の天才。ともに目のつけどころが違う。

倉本四郎『鬼の宇宙誌』(平凡社ライブラリー)も読了。鬼の本質をめぐるエッセイといった風だが、前半の論証が甘すぎて読むに堪えない。「A=B、B=C、ゆえにA=C」という論証なら納得するが、「B=C、で、AもBも似たようなもんだからA=C」というような粗雑な論証じゃ駄目でしょう。元の発表舞台(「クォーク」)でなら、これもアリかなという程度ではあるけど、1冊の本として平凡社ライブラリーに並ぶには完全に役者不足。後半の議論には面白いところもあるのに実にもったいない。「風呂敷的手法こそが、鬼を考える上で、最も有効だろうと思っていた。」なんて逃げを打つ暇があったら、つめるべき論はちゃんとつめて欲しい。


9月26日
朝、思ったよりは早く起きたので書泉西葛西へ。「魔道士の黙示録」3箱を購入して帰り、すぐさま整理する。超レア17枚のうち10枚が重複するという夢のような重複率である。とりあえず、コンプリートまで、あと12枚か。超レア8枚をどうするかが鍵だな。

などと考えている暇は実はほんとはない。今日は昼から、MIZOCONともショテコンともSF者OFFとも呼ばれている溝口@書物の帝国さん主催のOFFがあるのだ。カードの整理をしているうちに、どう考えても間に合わない時間になってしまったが、できるかぎり急いで待ち合わせ場所の目黒駅に向かう。結局15分遅れの到着となった。しかし、この時間で、27人中25番目とわ…。みんな約束の時間を守りすぎだよ。 < おい

てなわけで、会場について昼の部開始。全員が車座になっての自己紹介のあと、SFの現状などについてさまざまな意見が交わされた、ってのが表向けのまとめ方か?司会に当ったu-kiさんは頑張っていたけど、いかんせん人数が多すぎ。司会がだーっとしゃべって、会場が突っ込むという形に終始してしまった。
あの人数なら、もっとテーマを絞り込んで代表話者を中心に議論する形の方が良かったかもしれない。その他大勢は観客として適宜突っ込む、SFセミナーや京フェスの合宿企画形式ですね。
OFFという言葉から、みんながわいわい話し合う形式を想像していた人もいるようだけど(少なくとも僕はそうだ)、それは10名以下の小グループが自然にできる環境(上の合宿企画との対比で行けば合宿の大広間かな)じゃないと難しそう。
とりあえず、あの器の中ではうまく行った方ではないでしょうか。ほとんど全面的にu-kiさんのキャラクターのおかげだけど。

4時ごろからは、参加者が持ちよった本のオークションが始まる。それなりにレアな本も出てまずまずといったところか。ただ、会計など事務側がややもたついたのは残念。自然発生企画で何の準備も無かったんだからしょうがないとはいえ、次回があるのなら、事前に持ちよった書籍のリストを作ってちゃんとしたオークショナーを立てて盛り上げたいものだ。
しかし、よほどの本を除いて300円で競り落とされていったのには大笑い。

オークション終了後、渋谷に移動して飲み会。マジックの大会を敗退してきた翻訳者sや、東洋大SF研の面々など10人以上増えたはずだから、総勢40人弱での大宴会。いろんな方と話ができて楽しかったといいたいところだが、ふと気がつくと周りは京大SF研OBさんに、ユタの例会で顔見知りの深上さん、東洋大の方々など顔見知りが半分以上だったり(苦笑)。ぼかあ、この席で初めて話した人は二人くらいだよ…。いかんなあ、こんなことでは。

飲み屋は2時間で追い出されたので、近くのルノアールへ。この人数じゃ入れないだろうと思ったら、驚いたことに入れるらしい。ラッキーと思いながら先を行く人についていくと、なんと案内されたのはセミナー室らしき場所。ホワイトボードを向いて整然とならべられた机に次々と座っていく人々を見て、思わず演台に立ってしまった大森望さんと、大森さんに引っ張り上げられた浅暮さんで京フェス本会が始まってしまった。各種新人賞の体制の話や、ハードカバーの初版部数の話はかなり面白かった。まあ、それよりも「その場で企画を始めてしまう大森望のイベンター気質」の方が面白かったんだけど。

最後はカラオケになだれ込んで締め、というのもありがちですね。ろくなカラオケ屋があいてなかったので若干手間取ったものの、何とか2部屋を確保してスタート。僕がいたのはアニソン部屋の方だったのだが、かつき@ファンタジア領さんの張りのある歌唱(「勇者王誕生!」はさすがの一言)や、野田@のだなのださんのソウルフルな熱唱(「ソルジャードリーム」はすばらしかった)、そしてなにより森さんの見事な低音(「愛、おぼえていますか」…)など実に素晴らしい歌を聞かせていただきました。いやあ、あんなに周りのレベルが高いアニソンカラオケなんて始めてじゃないか?

で、あとは朝まで歌って帰るだけ、のはずが大森さんが帰るというので一緒に帰ろうとするちに二転三転不思議な話に。けっきょく、野田さん、森さん、かつきさん、サイトウ@月下工房#書評系さん、谷田貝@ノストラダまスさんらと、大森さんの仕事場にお邪魔するという話になってしまった。そんなわけでタクシーで西葛西に向かい4次会だか、5次会だか。大量のペーパーバックを眺めながら、ラファティの本を探したのに見つからなかったのが一番印象に残っている。(ちなみに見つからなかったのは、作家のアルファベット順に並んだ本棚で、Raffertyを探していたからだったり…。いねえよ、そんな作家…。ああ、せっかくのチャンスを無駄にしてしまった。2、3冊がめてこようと思っていたのに。)
まあ、それはともかく、この場での主な話題は森さんの『ダブ(エ)ストン街道』批評。作中のリアリティが揺らぐのが気になるという指摘は読んでいない僕にもわかりやすいもので、野田さんや、サイトウさんによる擁護発言も含めて、読もうという気にさせてくれるいい議論だった。やはり、べたぼめされる本よりは議論の的になる本の方が読書欲をそそりますね。

てな事を話しているうちに、朝が来る。最後は駅前のロイヤルホストで朝食をとりやっと解散。なんだかんだで18時間近くにもわたるお祭りは終りを告げた。中心メンバーは来年、ちゃんとしたイベントとして取り組みたいなどといっているので楽しみにしてもいいかも。
来年は、本当に合宿にしてしまうのが良いかもしれませんね。

追記:ちゃんとしたレポートとしては以下がお勧め
本会(昼の部)・本会(夜の部)・2次会(喫茶店)
銀河通信ミゾコンレポート
本会(オークション)・3次会(カラオケ)
森太郎のサイトショテコン'98レポート


9月27日
今日は何もできないだろうな、とは思ったが案の定何もできないうちに一日が過ぎる。まあ、そういう日もあるだろう。

とりあえず、「魔道士の黙示録」1箱を購入。思ったよりは重複が少なく、未見の超レアは残り6枚となった。エキスパンション全体の傾向もほぼ見えたし、そろそろデック構築にかかる頃合いのようだ。しかし、時間と気力がなあ。

特に何もしないうちに夜になってしまったので、溜まりかけていた録画アニメを消費することにする。「lain」11、12話、「トライガン」24話を鑑賞。
「lain」はやっと落とし所もみえてきた。この様子なら、最終話でおお外しということも無いだろう。よくこれだけカットを詰め込んでまとめきったものだ、と素直に誉めておきたい。電線とライティングは相変わらずいい感じだし。
「トライガン」は、やっとヴァッシュ君が己の身勝手さに気づいてくれた様で溜飲が下がる思い。未見の25話と今週の最終話で、彼自身の哲学と、舞台となる惑星の現実との間の矛盾をどのように折り合い付けるのかが楽しみだ。

横浜は広島に敗れ、連勝は5でストップ。中日が勝利したためマジックは8のままとなった。まあ、ここに来てそんなに連勝が続くはずも無いから、これは予定通り。大野の引退試合だしね。明日のヤクルト戦で負けさえしなければ問題はないだろう。川村・福盛・三浦のうちだれが登板するかは知らないが、健闘を祈る。


9月28日
1月ぶりにに大寝過ごしをしてしまった。月1で午前半休をとるつもりなんて無いんだが、おかしいなあ。

残業ができないので、そこそこで会社を切り上げた割には、プライベートの作業も進まない。困ったものだ。とりあえず、トム・ホルトの『疾風魔法大戦』を読了。
解説に「モンティ・パイソン」や「銀河ヒッチハイク・ガイド」のノリとあったし、イントロの主人公と測量技師の会話などは事実その雰囲気があったので期待していたのだが、その点ではちょっと外れたか。小さなくすぐりは続くものの、全体は、ギャグよりはストーリーに主眼を置いたまっとうなファンタジイになっている。ダグラス・アダムスのようなギャグの為にストーリーが存在するような小説とは違い、センスの良いアンダースンといった感じなので、ちゃんとした「ユーモア」ファンタジイが読みたいかたにはお勧め。

小堺・関根のコントなどを見ているうちにハタと気づくと「lain」が始まる時間になってしまった。最終話だし、これも何かの縁だろうと思いリアルタイムで見ることにする。リアルタイムで見るのは1話以来か。特に驚くべき展開はなく、なんだかわからない部分を残しながらもそれなりに気持ち良く終ってくれた。全編を通して何度も見れば、新たな発見もあると思うけど、そこまでする気力は無いな。ストーリーよりは映像が好きで見ていた作品だし。とりあえず、気持ちのいい3ヶ月を過ごせたことを製作スタッフに感謝。


9月29日
計画通りに石井・川崎をぶつけてきたヤクルトを相手に無難に1勝1敗でまとめ、中日との敵地最終戦を迎えることになった。マジック消滅とは言っても、必要勝利数は6(1つの中日戦含む)。中日の現状を考えれば、まず問題の無い数字ではある。確かに、いまだ横浜・中日・読売三つ巴のプレーオフ(今後、横浜1勝(対中日)11敗、中日5勝(対横浜のみ)5敗、読売3勝で可能)という不安が拭い去れないのは事実だが。

創元の海外文学セレクション『ダイエット』と「SFマガジン」11月号を購入。一時停滞していた海外文学セレクションは完全にペースを取り戻したようで、追いつくのが結構大変。これでもう少し質が低ければとっとと見捨てるんだが。
しかし早川は何をやってるんだ!夢の文学館は、『ヱジプト』はどうした!出す気が無いなら、版権を国書にでも売り渡せ!
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