去り行く白鳥を追って
白い世界、黒い世界
最終時の上下〔白鳥〕は北陸本線 糸魚川付近ですれ違うダイヤとなっており、信越本線 直江津〜柏崎付近では上下列車を効率良く撮影することができた。この付近は海岸で風景もよく、〔はくたか〕への転移で数少なくなった特急、しかも国鉄色でボンネット型先頭車の入る機会が多い……などで、ふだんから人気も高い。昨年の夏にもここにきて、確かによい場所だと認識していた。まずはここに行ってみよう。2001年1月6日、「ゴーゴー3DAYSきっぷ」を握り、上越新幹線で新潟県へ向かった。
信越本線・前川。信濃川に向かう上り勾配がある。駅から5分ほど道を歩き、わき道に入る……と、そこはまったく除雪されていない。膝まで軽くつかる雪を一歩一歩踏みしめて先を急ぐ。
近くで地面を掘り起こす工事をしているが、ここはあたり一面真っ白な世界だ。小動物の足跡以外、何も残されていない。ちょっとだけ晴れたつかの間に、〔雷鳥22号〕が通過した。
信濃川へ向かう築堤を走る (前川〜来迎寺) [Nikon F5, AF Nikkor 50mm F1.4D, RHPIII] |
長岡にいったん戻り、昼過ぎに再度出発して1時間弱、鯨波で普通列車を降りた。歩いて撮影地に行く人が数人。海岸沿いの国道には車で乗りつけた人もいて、線路に並行する道路からカメラの列が出来た。
天気は悪い。さっき晴れたと思ったら、真っ黒な空から猛烈な雪霰が襲いかかる。海から吹きつける風は雪を下から降らせるほどで、海岸に生える木の枝振りを見ればその強さも理解できよう。その中で、1,000kmを走る〔白鳥〕の運行は驚くほど正確だった。通過するのにあわせたかのようにひどく吹雪く中、国鉄の面影を残す2本の特急列車は、その使命を全うすべく黙々と駆け抜けていった。
鯨波駅付近を行く下り〔白鳥〕 [Nikon F5, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D (IF), RMS] |