はじまりは個室寝台
211系2階建グリーン車を横に見る。同じ2階建でも 285系の階下は床のかさ上げがなく、目の高さも さらに低い (東京) |
利用低迷、機関車・客車の老朽化で、廃止・統合と明るい話題の見えない夜行列車の中、豪華版「カシオペア」「トワイライト」と新寝台電車「サンライズエクスプレス」だけは好調と聞く。いずれも個室主体の列車だ。
1999年12月28日、今夜も(年末だから当然ではあるが)利用状況は良いようだ。さらに今日は予備車を使っての〔サンライズゆめ〕(広島ゆき)も運転され、それを待つ人も多いと見える。
1年ぶりの「サンライズ」。前回は階上、今度は階下のシングル。部屋が少しばかり狭いようにも思えた(事実ベッドの位置では狭い)が、下すぼまりな窓のカーブがそう感じさせるのかもしれない。
車内改札は1時間もたって先頭車の部屋に回ってきた。これももう少し何とかならないものかな。部屋に入る時はきっぷ自体でチェックインするとか。そういう方式を開発中と聞いたが、その後どうなったろうか。
霧の中へ
大駅でもめったにお目にかかれなくなったホームの 洗面台。夜行列車も数えるほどになったいま、 どれだけの人が利用するのだろう |
流れ星はどこに向かうのか。EF65に掲げられた 〔彗星〕のマークもあとわずか (姫路) |
姫路着、29日5時28分。あたりはまだ闇の中だったが、隣りのホームには早くも223系新快速電車が堂々12両編成で入線。新幹線ホームにも灯が点り、一日が少しずつ動きはじめた。
〔サンライズ瀬戸・出雲〕にそのまま乗っていればあと1時間あまりで着く岡山に、中国山地へ分け入ると半日かかる。乗継ぎにも時間が空くが、ローカル線の未乗区間はまとめて減らさないと後が大変だから、ぜいたくは言えない。
駅弁か何かないかとホームをうろついてみるが、どこもシャッターは降りている。ふと新幹線なら開いているかも、と足を運ぶと幸い開いていた。早朝や夜でも食料調達が出来るかどうかは、旅の楽しみにもかかわること。維持充実していってほしい。
6時12分発の上月ゆきは1番線から、となりのホームには〔彗星〕がやってくる。それを撮ろうとするファンの姿がちらほら。「こんな朝早くから……」と感心する私は、まだ〔あかつき〕と併結の話を知らない。
しっとりと夜が明けた。霧にヘッドライトの光跡が 浮かぶ (播磨新宮) |
〔あかつき〕を待つなら6時12分は乗れない。しかし、「あかつき……1時間ほど」というアナウンスが耳に入る。どうやら相当遅れているようだ、というわけで撮影もそこそこに上月ゆきに乗り込んだ。4両編成のうち3両は、播磨新宮で折り返し姫路ゆきに。
智頭急行との連絡駅、佐用で下車。町は乳白色の朝を迎えた。駅前を歩くと、店店にのぼりが建っている、その文面が
「へ?」と思ったが、続きには「町を守りたいのです」。なにやら大型店に反対する意思を表明しているらしいが、それにしても刺激的な文。あと、「本日駐車側」というものもあったが、道の両側に立っていたりして、なんだかよくわからない。
少しくらいの荒天でもほぼ正確に走れるのは鉄道の強み といえるのだが……。濃霧の中〔スーパーはくと〕HOT7000が 大阪へ急ぐ (平福-佐用) |
智頭線と姫新線が分かれるところでちょうど道が斜面に上っている。まもなく〔スーパーはくと2号〕があらわれるはずだが、この霧。きちんと撮れるかどうかよくわからなかったが、とにかくやってみる。8時08分、エンジンの音が聞こえてカーブの先にライトが光った。
体も冷えた。佐用駅に戻ると「岡山色」の津山ゆき単行が待っている。暖房がよく効いていた。