中国・九州思索行

桜色のはやぶさが行く

分割側の「さくら」が先に
来るのは伝統の重みか

明けて2000年、1月2日。

1999年12月のダイヤ改正で併結となった〔さくら〕〔はやぶさ〕。併結後の姿は、本州内と九州内でマークが異なるという異例の形になった。それで九州版も1枚くらいは撮っておかねば、と思って黒崎の実家を朝出たのだが……。

「!」

バスの便が悪く、〔ソニック2号〕を逃した。次の〔ソニック4号〕だと〔さくら・はやぶさ〕まで博多では10分しか間がない。鹿児島本線では撮影地として知られる天拝山〜原田を考えていたが、これでは原田駅でさえ間に合いそうにない。

「ソニック883」の自由席に座りプランを練る。今回も「周遊きっぷ」でゾーンは福岡だからどこまで行けば無理がないか……。と、

船小屋。

この駅名が思い浮かび、博多で〔有明7号〕に乗継いだ。783系「ハイパーサルーン」は来る3月のダイヤ改正で、登場以来走り続けた有明路から姿を消すことになった。発車を待つうちに、隣りのホームに〔さくら・はやぶさ〕がED76を先頭に滑り込む。ほどなく発車。年始にしては乗っているほうではないだろうか。

天拝山〜原田間では線路脇にカメラを構えたファンの姿が見えた。うむ、なんだか「ふつう」そうだね、他にしておいたほうがいいか、と思った。まぶしいくらいの空模様がしだいに崩れ撮影にも不安定な状況になってきたが、電車はかまわず筑紫平野を飛ばし、客車特急との差を徐々に広げていく。

羽犬塚で普通電車に乗り換え、隣りの駅が船小屋。差は広げたがぐずぐずしてはいられない。逃げて行く電車を追い、撮影場所を求めて私も走りだした。


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北九州・福岡地区の主力、転換クロスシートの813系。
一方で熊本・大分地区にはロングシートの815系が増備され、
今後一般形の設備はどうなるのか興味がわく
甲高いタイフォンを鳴らせ787系〔有明〕が通過。4両編成だが
その走りっぷりは「驀進」と言ってもいい

さて、時間差は約20分と予想される。川の堤防付近に行ってみると比較的撮りやすく、足場も悪くないので三脚を構えた。レンズは実家から105mmをちょっと拝借。

ほどなく787系の〔有明9号〕、20分後の列車が寝台特急を途中で追い抜いてしまった。鳥栖での分割作業のロスを抜きにしても、両者スピードの差は歴然としている。

そしてやってきた〔はやぶさ〕は、すでに単独運転ながらヘッドマークは併結のままだった。赤い電機、桜色のマーク、そしてブルーの客車……。「なんともならない」結果が今の姿だろうが、本当に道は閉ざされてしまっているのだろうか。

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下り3列車<はやぶさ> 終着まであと70km (船小屋-瀬高)
[Nikon F70, Ai Nikkor 105mm F2.5, RDPII]
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なぜ船小屋(ふなごや)に行く気になったのかというと、整備新幹線計画の「九州新幹線」で新線(船小屋-新八代)と在来線との結合部にあたる駅で、その様子を見ておきたいという思いもあったからだ。で、肝心の船小屋駅はご覧の通り、対向式2面2線の無人駅だった。電車特急は130km/h近くで飛ばしてゆく。