中国・九州思索行

あさかぜ幻影

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広島電鉄宮島線直通「ぐりーんらいなー」が行く
(紙屋町)

三次から芸備線〔みよし3号〕で広島へ出る。三江線の列車は駅のはしっこに停車した。接続はすぐ、大荷物をしょって走る。2両編成の座席はあらかた埋まっていた。

可部線の大町からアストラムラインに乗り、広域公園で折り返して本通まで乗り通す。結構なスピードと勾配で、夜の新交通システムはジェットコースターの趣だった。広島の市街中心部は、夜遅くまで路面電車が走っている。宮島線の「ぐりーんらいなー」「Green Mover」も。

上り〔富士〕の広島駅停車を撮ろうと思ったが、機関車はホームからはみ出して停車するらしい。若干遅れており、これからすぐ後の〔あさかぜ82号〕に乗るため停車時の撮影は断念。そのかわり妙なものが……

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14系になった「ソロ」。方向幕「ゆうづる 青森」……
って何!?
もともと貨物用のEF66はヘッドマークがなくても
不思議ではないが、でも何か物足りない (広島)

久々に運転された臨時〔あさかぜ81・82号〕は、単独運転のなくなった〔はやぶさ〕のスジを使って運転されている。ダイヤ改正当日の12月4日に東日本地区で〔はやぶさ〕の「移り変わりダイヤ」として運転されて以来となる。

今日は14系客車6両での運転。ヘッドマークは付いていなかった。本日の停車はここ広島まで、車内はすでに寝入っていた。寝台はほぼ埋まっていたが、それもわずか6両での話、好調というわけにはいかない。

西へ向かう夜行列車のリストラはもう来るところまで来たという感じである。帰宅してから知ったが、3月には〔あかつき〕が〔彗星〕と統合され、佐世保線からブルートレインが消える。〔瀬戸〕〔出雲〕は「サンライズ」で生まれ変わった。

残る〔あさかぜ〕の今後を自分なりに予想してみた。

現行〔あさかぜ〕は東京〜広島が11時間半、東京〜下関は14時間半。これを電車にすると、1時間半〜2時間は短縮できるのではないだろうか(現行〔サンライズ瀬戸・出雲〕は東京〜岡山で1時間短縮した)。東京・広島発を2時間後ろにずらすと、夜行列車としてもっとも適当な時間帯になるはずである。

現在の〔あさかぜ〕にはA寝台個室こそあるが、B寝台はすべて開放型。客車・機関車の老朽化も今後ますます深刻になろう。もう1本、東京〜大阪の寝台急行〔銀河〕にも同じことが言え、したがって両者は同時に置き換え共通運用にする。これで予備車が1本分減らせる。(強いて言うとまだ〔出雲〕があるが、これはどうも先行き不透明にみえてしかたない)

現行サンライズと同様シングル個室を主体とし、編成は8〜10両程度か。現在の運転区間では直流のみの285系ですむが、交直流電車(585系?)にすれば九州ブルトレの今後もまた違った展開になるだろう。

以上勝手な推測だが、どんなものだろうか。全くの絵空事ではないと思うけれど。

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14系客車の前後から。東海道本線で、このような撮り方を同時にすることは定期列車ではできなくなった
([左]菊川-金谷)

1月4日、今日も晴れ。後ろのデッキに行ってみる。〔さくら・はやぶさ〕〔富士〕では14系客車が東京方に連結され、上り列車で後ろを眺めることができる定期列車はなくなってしまった。そういった意味でも貴重な列車ではあるが、それにしても窓が汚い。ちゃんと洗車したのだろうか。

ちなみに編成は宮原運転所・尾久客車区の14形・15形混成だった。前後日に運転されたのは熊本運転所の24系だったそうだ。

熱海を過ぎて横浜までは湘南電車に混じって淡々と走っていく。見慣れた風景にようやく帰ってきたなと実感がわいてきた。9時53分、横浜。下車してみると、後ろのトレインマークもなかった。次のシーズンに運転されるかどうか、なんとも言えない。

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東海道本線では、富士川鉄橋の上からが富士山が
もっとも見やすい (富士川-富士)
回送時には車掌も乗らないのだろう、後部反射標識を
つけたまま走っている。ジョイフルトレインでも
このような例が多く興ざめ (横浜)

確かに夜行列車は必要な分は残っていてほしいと思う。しかし現状のブルー・トレインにはあまりに魅力がなさ過ぎる。多社間にまたがる列車が多く改善を進めにくいのだろうが、そこをなんとか、思い切った施策で星の輝きを取り戻すことはできないものだろうか。というか、ぜひともそうなってほしいと願っているのだが……。