Northwind Passage - 北風紀行 - (part-2)

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「ふるさとの―」啄木碑より出発(上野)

JR東日本の路線を乗り通してから2年、東北の私鉄も南から順番に乗ってきたので、この連休期間で北東北の未乗私鉄を一気に乗ろう、と〔あけぼの〕のB寝台へ。

2年前と同じところもあり、変わったところもありという旅は、今回も日本海側と太平洋側を何度も往復しつつ、拡がる春・北へ向かう桜前線を追いかける旅になりました。

Northwind Passage (part-1)



助走 - 由利高原鉄道 -


上野 21:41-(2021:あけぼの)-6:09 羽後本荘 7:10-(1D)-7:51 矢島 8:06-(6D)- 8:47 羽後本荘 8:57-(535M/1643M)-11:20 鷹ノ巣

霞の向こうに鳥海山。2003年4月29日早朝、〔あけぼの〕は定刻通りに酒田付近を走っているようだ。

秋田・山形県境、有耶無耶関(うやむやのせき)付近は線路も日本海に近い撮影名所の一つだが、海に面する場所にかなり無骨な防風柵が設けられているのに気づいた。安全がなによりだが、撮影には影響が出ないか?

羽後本荘で途中下車、由利(ゆり)高原鉄道・鳥海山ろく線の矢島(やしま)へ向かうが、始発までは約1時間あるので駅前を歩く。まだ朝早いから静かなのか、昼でもそうなのか。

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由利高原鉄道は もと特定地方交通線の矢島線で、1985年に第三セクターに転換した。由利高原という地域は実在しないし、山麓というほど鳥海山の近くへは寄らないが、イメージということか。車両には「おばこ」という愛称がつけられている。終点の矢島に車両基地、駅本屋はここもコミュニティセンターに改築されていた。


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羽後本荘まで戻って、これから鷹ノ巣まで行くのだが、これはどうも気が進まない。というのもロングシートの701系でほとんど各駅に停車して、約2時間かけなければいけないからだった。計画時に時刻表を何度もひっくり返してみたが、鳥海山ろく線と秋田内陸線に乗り、その後の予定も考え合わせると、ほかに選択の余地はなかった。そうとわかっていて腹を据えたためか、秋田からは空いたこともあって、退屈な以外にそれほど不満ではなかった。

電車は秋田からワンマン運転。大きな運賃表には整理券番号が120まで印され、運賃も高いものでは4,000円近くになる。車内で払うような金額とも思えないが。〔かもしか2号〕と行き違う鷹ノ巣で下車、世界一の大太鼓と秋田内陸縦貫鉄道の車両が待っている。


「ナイ」の地へ - 秋田内陸縦貫鉄道 -


鷹巣 12:00-(13D)-12:54 阿仁合 13:06-(213D)-14:38 角館 18:42-(3028M:こまち28号)-19:37 盛岡
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阿仁合に並ぶ内陸線列車

秋田内陸線の車両はいまどきめずらしい車内喫煙のできる普通列車。といっても車両の片隅に灰皿を設けた程度だが、「健康増進法」とは無縁なのか。

列車は阿仁合(あにあい)ゆきで、終点で隣のホームに待つ角館ゆきに乗り換える。車両基地が設置され、車両交換のような形だ。急行〔もりよし2号〕と交換して発車。

笑内(おかしない)という駅に停まった。「〜内」、ナイ(川・沢)というアイヌ語由来の地名が多くなって、いわゆる蝦夷地域に来たのだなと実感する。

比立内(ひたちない)から松葉までは鉄道建設公団建設の新線。秋田内陸線は、国鉄の鷹角(ようかく)線として整備される予定だったのが、北側の阿仁合線、南側の角館線とも特定地交線に指定された。秋田内陸縦貫鉄道が両線を引継ぎ、1987年の転換後に凍結されていた工事を再開して1989年に全線開通した。公団新線らしく高架と長大トンネルが連続、「マタギの里」阿仁マタギを過ぎてさらに山間に入ると、ところどころ根雪が残っていた。


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角館・武家屋敷通りのしだれ桜

松葉を過ぎ、カタクリの群生地が近い八津(やつ)からだいぶ混み合ってきた。外を見ると角館へ向かう国道は大渋滞、車内も満員になったところで終着。みちのくの小京都と称される角館はこの時期、武家屋敷通りの枝垂れ桜と桧木内(ひのきない)川堤の桜が見事である。すこし場所は異なるが、秋田新幹線(田沢湖線)の車内からも、堤防に咲く桜並木を愛でることができる。


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桧木内川を渡る秋田新幹線〔こまち〕 (鶯野-角館)
[Nikon D100, AF-S Nikkor ED 80-200mm F2.8D]