風はるか


このコンテンツはウェブリアルバムと連動しています。(要Macromedia Flash) →見る

のりつぶし私考


羽田空港 7:30-(ANA241)-9:25 福岡空港 9:45-(631C)-9:54 中洲川端 9:57-(084616)-10:07 貝塚 10:14-(1002)-10:25 香椎花園前 10:39-(1001)-10:45 西鉄千早/千早 10:58-(4329M)-11:05 博多 11:27-(073414)-11:33 福岡空港
JPEG KB
羽田RWY34Rを離陸するJTA 737-400 (JA8524)
[Nikon D200, AF Nikkor ED 80-200mm F2.8D]

同日6:30、羽田空港第2ターミナル。いつの間にか開くのが早くなった屋上デッキで日の出の時刻を迎えた。日本トランスオーシャン航空(JTA)のボーイング737-400が、まだ薄暗い空に向かって飛び立ってゆく。6:30発JAL1901便 那覇ゆき、あるいは6:35発JTA071便 石垣ゆきか。

7:15、ボーイング777-200 (JA705A)に乗り込む。ANA241便、行先は福岡空港。航空移動とはほんとにご無沙汰だった (この夏に羽田→新千歳で利用したくらい) ので、777への搭乗もはじめてだったりする。

7:33にスポットを離れ出発、7:43にRWY34Rから離陸した。西行きの航空路は富士山の北側を通過しており、川崎から座間へ、時に飛行機雲を引いて上昇していくのが自宅の窓からよく見える。しかし、地上はあっさりと雲の下に隠れてしまい、どこを飛んでいるのかわからない。富士山さえも確認できなかった。


雲海の上を西へ

そのかわり、というわけでもないが、後部左窓側からは主翼各部の動きがよくわかるので、風景などと一緒に撮影して並べてみた(ウェブリアルバムでご覧いただけます)。なお離着陸時はデジタルカメラを使用できないため、レンズつきフィルム(写ルンです400エクストラ)で撮影し、ラボでデジタル化した。

ずっと続いていた雲の絨毯が切れると眼下に滑走路が見えた。広島空港まで来ていた。関門海峡、北九州はふたたび雲に覆われていて、それを横目に響灘、海ノ中道と降下し、9:24にRWY16着陸。

9:29第2ターミナルへ到着し、ここではセキュリティを抜けて地下鉄福岡空港駅に向かった。中洲川端経由で貝塚へ、西鉄宮地岳(みやじだけ)線に乗り換える。陽が差していはいるものの、風の冷たさに冬到来を思う。「九州」とだけ書くと南国ムードが漂うが、福岡はまぎれもなく日本海側の気候だ。


JPEG KB
西鉄宮地岳線の300形 (香椎花園前)
[Nikon D200, AF-S VR Nikkor ED 24-120mm F3.5-5.6G]

西鉄宮地岳線は来春 (2007年4月) に西鉄新宮-津屋崎(つやざき)間の廃止が予定されているが、今回の本題はそれより手前にある。

西鉄香椎(かしい)付近では高架化工事と香椎操車場跡地再開発の関係で線路が移設されている。第1弾に名香野(なかの)から西鉄千早(ちはや)に最大100mちかく移動したときは、営業キロは改定されなかった。それが第2弾で西鉄香椎駅付近が高架になった2006年5月24日、水平距離はほとんど移動していないのに、この区間全体の駅間距離(営業キロ)が微妙に変えられた (鉄道要覧によれば、西鉄香椎-香椎宮前で5月14日に0.1km増えたことになっている)。


「乗りつぶし」、あるいは「完乗」とか「乗りつくし」の条件は必ずしも一意に決まるものではない……と書くと「全部じゃないの?」と言われそうだが、そもそも「全部」の定義からしてあいまいだったりするからややこしい。私の場合、路線の新規開業や延長は当然のこと、一部区間の線路改良、一部路線の事業体が転換したケースも可能な限り乗りなおしている (南海貴志川線→わかやま電鐵が該当)。ただし単純に短縮した場合はそのままということで、JR指宿枕崎線の枕崎駅移転 (-0.1km) がそれにあたる。また、つとめて昼間の乗車を心がけてきた。ふつうの人からすれば厳密に見えるほうだが、鉄道ファンの中では普通ではないかと思われる(JR以外は全部を追い切れてはいないし)。夜間は除外とか居眠り禁止とか、さらに厳格な方もいらっしゃるようで。誰かが認めたりする類のものでないし(全駅下車はギネスブックに載っているそうだが)、人それぞれでよろしいんじゃないでしょうか。

さて、線路改良ではその区間と営業キロの改定とが1対1にならないケースがしばしば発生するのだが、これは条件を厳密にする人にほど由々しき問題である。一般的に各駅の駅間距離とは、「停車場中心」(駅長室。代わりにそう書いた杭を立てることも)間の距離とされているが、停車場の位置は線路図面での距離を0.1km単位で刻んでいる。そうすると、線路を付け変えて数値の差が0.1kmの範囲内に収まっている駅間距離は変更されない。

そもそも「営業」とわざわざ書くくらいあって、営業キロの設定は営業上の施策も大いに関係してくるようである。設定自体迂回や近道の路線を並行する路線と同じにしたり (新幹線などはその最たる例)、近辺のダイヤ改正や運賃改定の日にまとめて直す場合もある。ごく稀に放置されている例まであるらしいが。

湘南新宿ライン 中里トンネル

鉄道路線の中には貨物輸送区間(貨物線とか専用線と呼ばれる)がある。臨海鉄道のように専業の会社も存在する。そうした貨物線は当然旅客は乗れない。にもかかわらず毎日定期旅客列車が走っているところがあるのだが、ふつう「乗りつぶし」の対象には入らない(JTB時刻表のJR線営業キロの計算はそうである)。また鉄道要覧を覗くと、貨物会社の営業キロがあっても旅客会社の営業キロがない区間、さらには営業キロそのものがない区間まである。前者の例として特急〔はるか〕などの走る新大阪-(梅田貨物)-西九条間、後者は湘南新宿ラインの池袋-(中里トンネル)-赤羽間と大崎-西大井間。とくに後者はあれほど電車が走っているのに、どの尺度で測っても乗車キロは増えないのだ。ふだん通勤ライナーしか走らない東海道貨物線(鶴見-横浜羽沢-東戸塚)には立派に営業キロがあるというのに!

貨物線ならまだ納得がいく。ひどい(?)のは瀬戸大橋線こと本四備讃線、坂出から直接瀬戸大橋に入る短絡ルートは宇多津駅の構内という扱いで、〔マリンライナー〕で一回通過するだけであのデルタ(Δ)線を全部通った計算になる。一方で京葉線西船橋南方のデルタ線は三辺きちんと通らないと完乗できない。

線路のあるところ全部に乗る、と決意するのは自由だが、そうしたとたんに全線完乗の基準が「旅客営業区間」から「旅客列車の走るすべての線路」へと一気に拡大してしまう。反対に旅客営業キロにならないところを一切無視してしまうのもまた自由だけれど、乗れる列車が走っていれば乗りたくなる(珍しいし)のがファン心情というもので、故・宮脇俊三氏もこのあたりの扱いには困っておられたようだ。線路改良も変わったところがあれば全部乗りなおせばいいけれど、実のところその程度の改良は全国各地けっこう行われているもので、そこまではとても付き合いきれないというのが正直なところだ。氏の「時刻表2万キロ」の言から引用すると、けっきょくのところ、不本意ではあっても時刻表に示されている営業キロを頼りにするしかないようである。


名島西鉄千早西鉄香椎

また話がそれた。車両は天神大牟田線の「お古」が中心(軌間が違うので台車は取り替えられている)。日中は2両編成で、九州最大の繁華街・天神から10kmも離れていないのにローカル私鉄の色が濃い。多々良川を渡ると新線に移動するが、大きく移動した千早付近はすでに乗っていて、たいした感触もない。ただ、移設した交換可能駅の有効長(列車の停車できる長さ)がいまの2〜3両編成にくらべてずいぶん長く取ってあることに気づいた。地下鉄との直通も進展が見られず、後向きな話ばかり続いているが、まったく考えていないわけではないようだ。

かしいかえん

前回訪れたときは地平駅だった香椎宮前、つづいて西鉄香椎を過ぎ、高架を降りてしばらく走ると、聞き覚えのあるメロディが流れてきた。チューリップ「心の旅」。その名前の元になったといわれている駅前の「かしいかえん」遊園地は平日午前ではさすがに静かなもの。乗車キロ+3.7kmで九州本島の記録が回復し、JRを含めた全路線の既乗キロは27,238.1km(私鉄のみ7,402.2km)、総営業キロ27,251.0km (7,415.1km)に対し残り12.9km (12.9km)、全線比99.95% (99.83%)となった。

なお災害等によって運休中の路線は、復旧の見込みが事実上ない高千穂鉄道50.0kmのみ除く (H18鉄道要覧ではどの区間も休止になっていなかった)。以下の計算についても同じ。高千穂鉄道については、一部復活した場合その時点で改めて乗りに行った上で計上としたい。


西鉄千早から隣り合わせのJR鹿児島線千早に移り、博多経由で空港に戻ったが出発便までは時間がある。乗り継ぎでチェックインが済んでいるので、保安検査場へ直行すればいい。RWY16エンドまで歩いて10分くらいというので行ってみようと思ったところへ、北側に向かって飛び立つ機影を見てしばし呆然。

JPEG KB
天空へ [Nikon D200, AF-S VR Nikkor ED 24-120mm F3.5-5.6G]