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第1回 日本バレエフェスティバルの映像     (2007.4.1)

20年以上も前になりますが、1984年夏、橘秋子記念財団第1回日本バレエフェスティバルが東京、三田の郵便貯金ホール(現在のメルパルクホール)で開かれました。
当時海外に知られた日本のバレエダンサーは、バルナ国際バレエフェスティバルで優勝した森下洋子ただひとりでしたが、この頃に、ローザンヌ・バレエコンクールで、今をときめく吉田都と熊川哲也のローザンヌ賞受賞の快挙によって、にわかに日本のバレエも注目され始めてきました。日本で芽が出ず、海外に渡って有名になった人も出てきました。
そんな中で開かれた第1回の日本バレエフェスティバルは、当時の日本のトップダンサー総出演ということで話題になりました。これだけのスターを揃えるには、主催者たちの苦労は大変な事だったと思います。この日の出演者と演目は以下の通りですが、当時としては本当に豪華な顔ぶれで、今は引退されたり、後進の指導に当たられている方々がたくさん出ていました。
  1.ディアナとアクシオン:越智久美子、藤木俊彦
  2.瀕死の白鳥:大塚礼子
  3.ジゼル〜第二幕:宮木百合子、篠原聖一
  4.プロムナード:江川のぶ子、深川秀夫
  5.海賊〜パ・ド・ドゥ:尾本安代、石井潤
  6.ル・コンバ:大原永子、三谷恭三
  7.ライモンダ〜パ・ド・ドゥ:川口ゆり子、今村博明
  8.タジラード:ゆうきみほ、原田高博
  9.シルヴィア〜パ・ド・ドゥ:森下洋子、清水哲太郎
 
コチコチに顔が引きつって今にもプレッシャーに押し潰されそうな若いバレリーナ、一方、「凄いでしょ」と言わんばかりで自信満々のベテランダンサーなど、出演者の表情はいろいろでしたが、皆、フェスティバルに選ばれて踊ることができた嬉しさは全身からあふれ出ているようでした。
有難いことにこのフェスティバルのもようはNHKが教育テレビで放送してくれましたので、今でもこの録画を楽しむことが出来ます。いくつかの感想は、バレエ映像のコレクション紹介のページに載せてあります。
当時、NHKには日本のバレエ界に詳しいプロデューサーがいて、彼が積極的に日本人によるバレエの番組を企画したそうで、これもその一つだと思います。ニューイヤーバレエコンサート、今年のホープといった年初の番組、NHKバレエの夕べ、そして毎週日曜日の芸術劇場での全幕ものやバレエコンサートの放送は、皆、このプロデューサーの手によるものだそうです。でも、彼がNHKを去って、これらの放送はほとんどなくなってしまいました。たまにBS衛星放送で放送されても、海外ものばかりで、日本人ダンサーによるものは全くといっていいほどありません。
世界で活躍する日本人ダンサーは増えましたし、日本にも世界に通用するダンサーは沢山います。海外のダンサーと同じように日本人ダンサーの踊りをもっと見たいものです。現在のNHKには、バレエ芸術を理解できる人が居ないのでは、と思ってしまいます。バレエ芸術に理解があるプロデューサーを迎え入れるとか、それができないなら、先のプロデューサーに復帰してもらうとかして、以前のようなバレエ番組の充実を望みたいものです。
また、この日本バレエフェスティバルをはじめ、多くのバレエ公演の映像のビデオが、NHKに保存されていると思います。バレエファンとしては、これらの映像を画質の良いBSハイビジョンで再放送してくれるか、DVDを販売してくれるかしてくれると有り難く思います。

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