青島リカ=女優・菅野美穂との出会い…映画『エコエコアザラク』など
少女の成長物語という要素は、それを演じる女優・菅野美穂にとってもまた歩みを大きく進めるきっかけになったのではないだろうか。
ちょうど直前にNHKの連続ドラマ『走らんか』でヒロインのひとりを演じていたが、連続ドラマでいわゆるピンの主役を演じるというのは『イグアナの娘』がはじめてのことになる。
中学時代に参加したオーディションを契機に芸能活動をはじめ、いくつかのドラマ・映画に出演してきた彼女にとっての、連続ドラマ初主演。
キャスティングはおもに高橋プロデューサーと脚本の岡田氏との間で検討されていたらしい。
とくに映画『エコエコアザラク』での演技は業界内外に反響を呼んだが、両氏にとってもやはりそうだったようだ。
青島リカという役を演じるにはそれ相応の演技力・感性がなければならないし、ここを誤ると作品全体を損なうことになりかねない。設定上、どうしたってベテランではなく若手が演じる役だが、求められるものは高い。
「60人くらいの女の子の年齢、身長、人気度とかを全部チェックして照らしあわせていったら、合意したのが3、4人しかいない、その中の最有力が菅野美穂さんだったんです。僕はデビュー時から菅野さんを見続けていて、映画『エコエコアザラク』で本格的な女優さんとしての才能を確信したんだけど、岡田さんのなかでは菅野さんがダントツだった様子でしたね」(高橋プロデューサー・前出インタビューより)
TVドラマ女優名鑑'97(洋泉社刊)
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「彼女は漠然として筆頭候補にあったし、それはNHKの朝ドラを見ていても、やっぱり彼女は何となく光ってたし、逆に言うと変な言い方だけど、それが彼女の中の代表作として正直まだなってなかったことが、僕らにとっては有利だったと思うんですよ。まだイメージが固まってないというか、ただ元気で前向きっていうことよりもどっか切なさとか儚さみたいなものが表現出来る女優さんじゃないと、これはやっても大失敗するだろうなというのがあったので、そういう意味ではまさに菅野くんだなという風に思ったのです」(岡田惠和氏・前出インタビューより)
TVドラマ女優名鑑'98(洋泉社刊)
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おそらく単に技量的なことだけではなく、いわゆる役者根性のようなものや、演じることに対する姿勢も若手女優としては抜きん出ていたのではないだろうか。放送開始前、1996年3月8日の朝日新聞のインタビューでは「現場大好き 役に飢えてる」との見出しがついたが、そんな彼女だったからこそ青島リカを演じきれたのかもしれない。
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