制作は進み、ついに放送開始…だが7.9%のスタート
企画が決まり主演が決まり、番組制作はいよいよ動きだしていった。
音楽は『南くん…』『最高の…』とお馴染みになった寺嶋民哉氏。ドラマの要となるイグアナの造形は、特撮監督の樋口真嗣氏からの紹介で高柳祐介氏が決まった。そして今井和久、新城毅彦らの演出陣。制作体制が整うのと前後して主題歌も決定するのだが、これにはちょっとしたエピソードがある。
ファンの間では、この曲を聴くとこのドラマを思い出すとまで言われるようになった「Your Song」。これは、高橋プロデューサーが原作を読んだときになぜか自然と浮かび、頭の中で流れだした曲だったという。
実はそれ以外にも、候補として著名日本人アーチストの曲もあった。8時台のドラマに洋楽のテーマ曲はあわないのでは?といったスタッフの声もあったからだ。だが、日本人アーチスト側が、その曲がデビュー当時のものであるということから使用に難色を示したことなども重なり、最終的に決定したのは、あの「Your Song」だった。
この曲がドラマにぴったりとハマったことは、今ではいうまでもないことだが、運命的とも偶然ともいえる成り行きで生まれたのである。
そうして、あわただしく始まった撮影も進み、1996年4月。いよいよ第一話が放送される。
番組に関わったスタッフは皆、一様にその結果を見守ったにちがいない。だがスタッフの期待に反して初回視聴率は7.9%(ビデオリサーチ・関東地区)という、厳しい数字だった。
■ドキッというよりは血の気がサッとひきましたね■
小松 ところで話は変わりますが『イグアナの娘』の話を聞きたいのですが、初回の視聴率の数字を聞いたときはドキッとされませんでしたか。
高橋 もちろんしましたよ。これはドキッというよりは血の気がサッとひきましたね。まさかって思ったり、でも思いあたる節もないことはないなって……。最初4月クールはこれをやりたいんだという話をいろいろ根回しをしたうえで、会社でオープンにしたときもやっぱりみんなびっくりした。
(中略)普通考えねえと、こんな企画考えないよ、という話になるわけです。
(前出インタビューより)
TVドラマ女優名鑑'97(洋泉社刊)
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前クールの番組の影響や、「イグアナ」という設定の特殊性が先入観を視聴者の間に生んだのかもしれない。しかしいずれにしても、作り手の熱い思いとは裏腹に、視聴率的には決して順調とはいえないスタートだった。
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