美術館日記2015
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アングラ演劇傑作ポスター展 第三期 天井桟敷
2015年12月27日

bunkamuraギャラリーのとこの階段から出て信号を渡って、路地を曲がって曲がったあたりの
ちょうどドンキーの裏側にあたる雑居ビル1Fポスターハリスギャラリー。(裏だがドンキー側からは行けない)
bunkamuraのあとは必ず寄るコース。
今日が最終日のようです。
(チケット500円で再入場可なんですが、今日は今日だけですね)
第二部の唐十郎さんのときにも行ってその時みた横尾さんデザインの腰巻お仙のポスターを
その後鑑定団に李さんご本人が持ってこられていてご本人もびっくりぽんの結果が出てました。
http://www.tv-tokyo.co.jp/kantei/kaiun_db/otakara/20151215/01.html
今回は宇野亞喜良『毛皮のマリー』(69年)など。
今見ても抜群に新しくてかっこいい。
お金はなかったけどあえてシルクスクリーンのいいものを。
そうそうたる顔ぶれが手弁当で担当した名作ポスター。
そしてそこで育った名だたる名優たち。
とても小さいスペースですが感じるものはbunkamuraに劣らぬものでした。
第一期もいけばよかったなぁ。

http://posterharis.com/02015/11/JapanAvantgard/index.html


ラファエル前派展 bunkamura
2015年12月26日

ラファエル前派はアカデミーが模範にしていたラファエルの、
前に注目する若者たちのグループから生まれたとか。
当然先生からは目の敵にされるわけです。
そんな彼らに目をかけ応援したのが美術界で一目も二目も置かれていたジョン・ラスキン。
そのラスキンの奥さんはやがてエヴァレット・ミレイの妻に。
なんてはなしをバーンジョーンズの親友でもあるウイリアム・モリスの企画展のときに聞いたような。
絵画の中以上にドラマチック。
井出館長(当時)講座感想で復習
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1913490738&owner_id=10445873
そんな人間関係の登場人物のひとり、ハントのさすが鳥の巣の画家という絵が。
写実の題材として鳥の巣というのは腕前がよくわかるんでしょうね。さすがでした。
バーンジョーンズ様式とでも言いたくなる人物の表現。
非常にツボですなあ。大きい絵もすごかったけど好みとして《フラジオレットを吹く天使》
それにロセッティ。
そして ラファエロ前派、堪能してショップの前を通ると、
安心してください。ミレイのオフィーリア、見られますよ。(複製) 爆

http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/15_raffaello/works.html

石黒宗麿のすべて (松涛美術館)
2015年12月24日

鉛白、紅殻などの顔料を固めて絵付けするのを当時14歳の清水卯一少年が見ていると解説に。
工芸館で清水卯一さんの作品見てから清水ファンのつもりが、
師匠の石黒宗麿さんのことを知らなかったです。汗
それはともかく、チョーク描きという技法。(命名小山富士夫氏)
まるでクレヨンです。
しんのすけ、人間国宝の先生のお皿になに描いてくれてんのー!
ってくらい自由なのです。
チョーク描きに限らず、いっちん(陶芸用のスポイトみたいなやつ)で
化粧土を搾り出して絵付けした工房のようすを描いた絵、
掻き落としの魚や鳥など、目がびっくりぽんしてたり何かいてあるかわかんなかったり。
でもなんとも言えんよさがありますよ。(いわゆるひとつの、味ですか)

黒釉。漆黒に見えながら電気のかげんや角度で微妙な貫入が。
さすが清水卯一の師匠、逆。

焚き火の跡、椋の葉の灰が形をとどめていたのに着想を得て、
ふのりを塗った茶碗の見込みにやわらかく揉んだ葉っぱをつける。
たりない成分をいろいろ試してみる。さやに入れて焼いてみる。
などなど試行錯誤の末にたどりついた木の葉天目。

他にも楽茶碗、金彩、三彩釉、柿釉、楽焼から書や絵まで。
これでもかというくらいさまざまな面をもっている石黒宗麿の世界。
陶芸界で最初に人間国宝になった浜田庄司、富本健吉、荒川豊蔵からくらべると
あまり今までとりあげられていないのが不思議ですが、
(回顧展20年ぶりという)その多彩さゆえにというのも逆にあるのかもしれないです。
浜田庄司といえばこれ、みたいな。
魯山人もちょっとそういう感じの皮肉めいた批判してたみたいだし。
タイトル石黒宗麿の世界、でなく「すべて」にもそれが表れているようにも思うのであります。
でも、 安心してください。ひとつひとつがすごいですよ。

http://www.shoto-museum.jp/05_exhibition/index.html#A007


文化村クラフトコレクション
2015年12月23日

文化村ギャラリーでやってたクラフト作家さん達の展示。
陶芸、アクセサリー、フエルトの動物たち、金属を叩いて成形した食器どが。
ステンドグラスも最近入門講座に参加してたいへんさがわかりますた。

http://www.bunkamura.co.jp/s/gallery/exhibition/151212wintercraft.html


想定外の感動に思わず額絵購入。三岸節子展(吉祥寺美術館)
2015年12月21日

時間があったのでたまっていた録画をまとめてみているとき、なんと9月の鑑定団が残ってまして、
なんでも名古屋でお医者さんをしていたお父さんが昔患者さんからお礼にもらったという花の油絵。
こどもの時は人間の顔みたいに見えておっかなかったんだとか。

鑑定団hp
http://www.tv-tokyo.co.jp/kantei/kaiun_db/otakara/20150908/03.html

紹介VTRで出てきた絵や三岸さんのプロフィールにひかれるものがあって
そういえばどっかで展示やってたような、と吉祥寺美術館のhp見てみたら。
安心してください。やってますよ。今度の日曜まで。
二十歳の自画像から94歳で亡くなるときまで描かれていた花まで。
(亡くなったときにも、まだ手に絵の具がついていた)
大きなキャンバスのさくらの絵は目の前に立ったらなかなか離れられず。
見ているうちにだんだん見え方もかわってきたりして。こころ揺さぶられるものがありましたねー。
キャプションにこんな感じのご本人の文章。
さくらの花を描くには美しさだけではなくて生にたいする執着と怖れがなくてはいけない。
今のわたしにはそれを感じることができる。(記憶はおぼろげ)
描いたのなくなる前の年の93歳。怖れを知りつつこの力強さ。なんなんだ。
青木繁、村山カイタ以来の若き天才といわれた夫、
三岸好太郎が三人の子を残して死んだとき、節子29歳。
30代、40代に静物が多いのも家の仕事をぜんぶやって子供の世話をして、
あいた時間に絵筆を握っていた。
でもそのときには自分の世界に入れると、なんか絵も説明も明るいんですよね。
50すぎて画家になった息子さんとパリへ。そしてヨーロッパを回り、帰る予定が農家の建物を買ってそれから20年住んじゃった。 その中でみつけた赤が爆発してます。節子の赤と言われているの書いてあったのが納得。
正直見る前、あまりぴんときてなかったんですが行ってよかった。
そして、じぶんは厚塗りの絵の具がすきなのを再認識です。
帰り、いったんエレベーターにのりかけてもう一度引き返してニュージアムショップで額絵を購入。
額絵買ったの近美の東山さん以来じゃないか。
あのときは、青い木が並んでいる白夜だったなー。(ともに300円)
うーん、三角形が並んでいる絵もツボなのかと再認識です。

吉祥寺美術館hp
http://www.musashino-culture.or.jp/a_museum/exhibitioninfo/index.ht


隈研吾氏講演会 調和する日本建築
2015年12月01日

今年高尾山口駅がリニューアル。温泉もできた、ということで
建築家隈研吾さんをお招きしての京王が企画の講演会。
隈さんの講演を、しかも1000円という値段で聞ける機会もなかなかない、と
電車の吊り広告で見つけてインターネットで予約。
「厳正な抽選の結果」当選されましたという葉書がきたのでありました。

10時スタートだったけど久しぶりの満員電車で(ラッシュ時にはすこしずれてるのに今日はやけに混んでた)
30分くらい前に到着。中央3列目のいいポジションがとれました。
(その後あれよあれよというまに満員。ちょっと早出が正解でした)

聞き手の松原亨さんのカーサブルータスが和の建築を取り上げることが多いだけに
いい感じに対談形式ですすみ、おもしろいエピソードがいろいろ聞けました。

と、いうことでメモ代わりにいくつか。

その1
雨に濡れる入り口部分は左側は竹。右側は吹きつけのパイン材(松)を使っているが、
ふつうは均等にきれいにやるところを作業中にいったときにまだらに吹けないか職人さんに聞いてみた。
むらなくやるのがたいへんなのでそりゃできますよ、とやってみたらこれがなかなかよくて採用に。
ただし、まだらに吹くにも絵心がいるとのこと。
一発勝負だし。これをはじめてやったのが根津美術館なんですよ。
そうだったのかー。今度根津行ったらよく見てこよう。

つづく


隈研吾さん講演メモ2新歌舞伎座設計。
2015年12月02日

・いろいろ注文がついたが、できあがったらいいじゃないですかと。
注文つけたのは林真理子さん。(ともだちなんですけどね)

注文 前の歌舞伎座の雰囲気と新しくできるビルをどう違和感なく融合させるか。

ふつうの劇場ビルはホワイエの上に建物をのせている。
明治座、新橋演舞場しかり(だったか)ホワイエは柱を通せるので強度的にはこの方がいい。 しかしこれだと建物が前に出てきてしまう。
そこで新歌舞伎座は舞台の上にビルがのっかる設計に。
大きな柱のない空間の上に建物がのる。
そこで出てくる問題点。
上に建物をつみあげるにつれて、天井が下がってくる。
そこで、 下がる分だけを計算して、ジャッキアップしながら作っていったわけ。
で、前面の入り口部分からビルが別の建物のように見えるつくりになった。
いいわー、隈さんということに。
林さんもご満足。

・むかしの歌舞伎座の雰囲気をできるだけ残す、ということで瓦も昔のものを、
というつもりで調べてみるとほとんどがぼろぼろで使えなかった。
昭和25年、戦後の物のない時代、瓦もなかなかいいものが使えなかったんだな、と。
鬼瓦などの一部は使えるものが。

・軒下の組み物の構造。
調べてみるとラスモルだったんですね。
ラスモルって?これは金網で型をつくってからまわりを固める技術で
たいへん上手に作ってあったんだけど今はできる人がいない。
そこでアルミで作った上にコンクリートという技法を使って粉体塗装ということをやっている。
(漢字あってるかなー。このへんはかなり記憶あいまいです)


久隅守景(くすみもりかげ)逆境の絵師 サントリー美術館
2015年11月30日

お猿さんが水に映った月をとろうと手を伸ばしている画題。
いろいろ見たことありますがこの人のは一味違ってます。
一匹は水面に手を伸ばしていて、もう一匹は空を指差している。
水面に月は映ってない。空にもなにもない。
オイオイ、月出てねーよって完全にツッコミです。
小鳥たちを描いた絵も口が◇◇ーー◇◇◇みたいにリズム取ってたり。
鷹狩りの図や庶民のちょっとした風景を描いた絵も、さぼってるやつがいたり、
急に雨が降ってきて雨宿りしようとしたら小屋がすしづめ状態。でもなんとか潜り込もうとしている。
ちょっとした顔の曲げ方でなんかこのふたりつまらんことしゃべってる、みたいなのがわかってしまう。 狩野探幽の弟子として本名の一字をもらい探幽の姪を娶るほど期待されながら、
西鶴の好色一代男の中で例にあげられるほどの評判の女流画家だった娘が駆け落ちしたり、
息子が悪所通いがもとで破門された挙句に同門の絵師との喧嘩沙汰で流罪になったりして
本人も狩野派を離れることに。(だから久隅なんだね)
そうしたことから「逆境」と言われる守景だが、逆境の中でもなんだか絵に明るさとユーモアが感じられる。
息子が流罪になった佐渡で注文をとって絵を描いていた記録があるいうはなしをみてなんだかニヤリでした。
そういうとこやはり、親子ですなぁ。
探幽も嘱望した画力とそうした精神から、晩年の夕涼みの家族の絵が生まれた。
最終日ですでに展示が終わっていたのが残念でした。
まあ、いつか見る楽しみにとっておこうということで。

http://www.suntory.co.jp/sma/exhibit/2015_5/display.html


アングラ演劇傑作ポスター展 第2期状況劇場
2015年11月23日

bunkamuraから信号渡ってドンキの裏の雑居ビルの一階、ポスターハリスギャラリー。
真裏だけどドンキの側からはあることもわからない。ぐるっと回って裏路地みたいなところを入ってゆくんだね。
ふだん無料のギャラリーなんだがたまたま寄ってみると非常にツボの展示中。
チケット500円だがこれで3期すべてが見られます。今回が2期で状況劇場。
李麗仙さんの姉御感爆発。
横尾忠則さんや篠原勝之さん、そして赤瀬川原平デザインがカッケーです。
3期は天井桟敷。宇野亜喜良見にまたいかねばです。

http://posterharis.com/02015/11/JapanAvantgard/index.html


風景画の誕生などなど bunkamura
2015年11月23日

松濤美術館から人生下り坂最高ー。でbunkamura ミュージアム 風景画の誕生。ボスのオブジェは撮影ポイントです。
聖母子など宗教画、村人の生活の様子などの背景がやがてそれ自体が主役の風景画へと。
一点一点を見ているうち、流れとして風景画の誕生を感じられる展示になってます。
オーストリアハンガリー帝国のハプスブルク家の収集した美術品を展示するために
皇帝フランツヨーゼフによって作られた美術史美術館。その時に市庁舎やオペラ劇場などの中心街が整備された。
お孫さんの皇女エリザベート。
二度の大戦にリンクする波乱の人生。
すでにハプスブルクから離れて久しい彼女の所蔵品も、美術史美術館に寄贈されました。
遺言により、搬出が終わるまでこどもたちも立ち入りを禁止された。
出口のショップのとこでハプスブルクレプリカのアクセサリーなどのコーナー。
祖母エリザベート皇妃関連の品もありちょっとお話しができてうれしかったであります。

ギャラリーの方もなかなかツボな絵 でした、
本を描いている笹尾光彦さんと犬の高橋洋さんは元上司と部下ということです。(博報堂)
本の中でも星の王子様ものが気にいりました。予約のシールもかなり。納得です。

http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/15_wien/


魔術と神秘 古代エジプト美術の世界
2015年11月22日

京王線の神泉からだと楽ちんな、神泉下り坂最高。
猫、トキ、ヘビ、カバ、羊、ライオン、etc,動物ワンダーランドです。
ワンはいなかったけど、あ、ジャッカルがいました。
動物がかわいがられていたのと、信仰の対象。
死んでからの世界のお供として。ネコのミイラのための棺。ずいぶん小さい。うーん、かわいそすぎます。
子猫のは神通力が高いみたいな理由のようなんですがね。
墓にパンやいろんな食べ物の名前が書かれたヒエログリフ。
お参りにきた人が声に出して読むと、それがそのまま死後の世界にも現れるらしいんですな。
ネコの分もよろしくにやー。
膝を抱えたサイコロ型の像がおかっぱ引き目で、麗子像かよと突っ込もうとしたら紀元前だった。
125の呪文が書かれたビネット(パピルス)死者の書。
のっぺりしたスノーマンみたいになった呪いの人形は、
相手の名前を書いてあんなことやこんなことをしたあげく壊してしまうのでほとんどが残らないのだが、
ん、残っていること自体が、なんだかこわ〜。

松涛美術館、23日までなんだな。

http://www.shoto-museum.jp/05_exhibition/egyptian.pdf


幕末明治の浮世絵探訪(八王子夢美術館)
2015年11月11日

浮世絵といえば歌麿・写楽・北斎・広重と名前が挙がってきますが
忘れちゃいけない豊国の流れ。
豊春から「豊」をもらった豊国の名前は二代豊国三代豊国と継がれるが、
むしろ師匠からもらった方と別の方の一文字もらった国芳から月岡「芳」年、
芳年から、水野「年」方、そして鏑木清「方」へと。(今回の展示は年方までだが) 中でも今回の展示では歌川芳年あらため月岡芳年あらため大蘇芳年。
飛び上がった人物の構図、瞬間ストップモーションで今にも動き出しそうな緊張感。
この芳年と、国の字をもらった役者絵の国周、光線画の小林清親。
同時代の三羽烏を集中展示したコーナーもツボ。今まであまり知らなかった国周ですが、
人気役者にも媚びない国周も、さすが国芳の系統を継ぐ粋な江戸っ子気質なのであります。
それと戦争画は藤田だけじゃないんですよね。日清戦争だけど。爆

http://www.yumebi.com/index.html


文化勲章受章者の版画展マルゼン
2015年11月07日

文化の日に竹橋から銀座まで歩いている途中、立ち寄ったマルゼンでやってました。
平山郁夫、東山魁夷、片岡珠子、そして中島千波先生の桜。ほとんどリがトグラフやシルクスクリーンだが、
その中に加山又造「千鳥と骨貝」銅版画。
そしてもうひとつ大きな違いが、ご自身が版画の技法について深く研究されて銅版画のために描かれた作品だということ。
部長さんという感じの方もそういう感じで奥様方に説明されていました。
だからこの作品170万なのです。
ひとつ付け加えるならば、銅板のプロフェッショナル、大学の研究室の方々の協力が大きな力になっていたってことなんですよね。
加山先生は日本画の教授なわけで。
そういうことを一言付け加えたくて横から口出ししそうになってむずむずしてたんですが
口にチャックしてそーっとその場を離れるこじろうさんでありました。

ちなみに大丸のバーゲンのときも出てたけど、同じエディションナンバーかどうかは不明です。

、 1920s-30s モダンエイジ(三の丸尚蔵館
) 2015年11月03日

三の丸尚蔵館ですから伊藤若冲の動植采絵を期待しますが今期の展示は鶏さんも鳳凰もいません。
大正末から昭和初期なのです。ですが、川端龍子や堂本印象から始まり、鏑木清方六曲一双の屏風も。
関東大震災から復興した朝霧に霞むような清洲橋。
南満州鉄道会社製の切子硝子に時代を感じます。
そして並んで置かれた河井寛次郎と濱田庄司。高松宮家所蔵品。民藝運動の発行誌も愛読されていたようです。

いまやっているのは中期で今度のにちようまで。前期には板谷波山もでてたのかー。
月金お休み、閉館時間も早いですのでおきをつけください。

http://www.kunaicho.go.jp/event/sannomaru/tenrankai70.html#D0912


府中市美術館 藪野健館長講演
2015年10月30日

前の井出館長のお話もたいへんおもしろかったけど藪野館長は画家の目からのお話が興味深い。
手書きの地図を使ったパリ散歩。街角でスケッチブックを広げて描いた風景の中に向こうを向いた犬が。
次のシーンの絵はこっち向きに歩いてきてる。
色塗っている間に戻ってきた。
手前にワインの瓶やグラスが描き込んであるものも。先生、飲みすぎです。
そういう絵を会場(講義室)の右から左に手渡しで回して見せてくださって、
美術館でこういう見せ方はあまりしないけどまぁ今回は作者の絵なんでいいでしょうなんて。
講演というよりも学校の美術の授業でした。てか、先生、早稲田の理工の教授ですから。


伊豆の長八展 幕末・明治の空前絶後の鏝絵師
2015年10月14日

ういー。
湯飲みで酒飲んで
よっぱらって鼻も赤くなってるし、
前歯一本欠けてるし、
万次郎の特徴を実によくとらえている。
て、万次郎しらんけどいかにもな感じ。

左官伊豆の長八の見事な仕事。
作品が個人蔵で松崎の長八美術館管理というキャプションのものが多く、
地元の人たちにいかに愛されているかがわかります。
実際今回の展示は移動可能なもので、家や寺ごと持ってこられないものも多数だし。

平日午後にもかかわらずけっこうお客さん入ってたなぁ。
吉祥寺美術館なんどもいっているけれど、過去1,2をあらそう人気かも。

http://www.musashino-culture.or.jp/a_museum/exhibitioninfo/index.html


ムサビのデザインV:1960-80年代、日本のグラフィックデザイン
2015年10月07日

田中一光という名前を知らなくても、MUJIやLOFTは知っているhazu。
洗練されシンプルなデザイン。そして印象に残る。
石岡瑛子さんのPARCOのポスターのジュリーは、
反則クラスの妖しい色気を発してますね。福山でもキムタクでもあれは出ないよなぁ。
近年川崎の市民ミュージアムで企画展があったときに行きそびれていた
福田繁雄さんの弾が逆戻りしてるポスターも見られたし、
最近は選考するほうで会見に出ている永井一正さんは、
製作過程のデッサンから展示されていて、すごいかっこいいです。
エンブレム選ぶほうじゃなく作っちゃってください。

学生にまじって自転車とめて、ムサビの構内を通って美術館へ。
無料です。すいてます。

http://mauml.musabi.ac.jp/museum/archives/8985


モネ展 東京都美術館
2015年09月22日

モネ展に飾られる最初の二枚は、モネじゃない。
モネの肖像、モネ夫人の肖像(ルノワール)

今回東京都美術館にマルモッタン美術館からやってきた作品の多くは
モネの次男ミシエルが亡くなって寄贈されたモネが最後まで売らなかった作品と、
コレクションなんだな。だからルノワールが描いてくれた肖像画がある。ロダンもあるしドラクロワある。
銅版画好きにはたまらんピサロのエッチングの自画像に我が友モネへのサインが鉛筆で書いてある。
10代の頃、人物を思いきりデフォルメしたカリカチュア(風刺画)も展示。
そこからどうモネの風景画のスタイルができていくのか。大きな影響を与えたブーダンの水彩画も並びます。
で、最初のルノワールの絵、今は二枚だがミシェルはひとつの額に並べて額装してかけてた。
そして両親に墓参りに行った帰りに88歳で亡くなりコレクションが寄贈されたということなんですが、
その中に印象日の出はないのです。

印象 日の出の列に並んでたらどこかのおとうさんが
へーこれがモネの代表作かーって言ってるのが聞こえてきたんだけどね。
代表作。たしかにエポックメイキングな作品だなぁと。信長の代表作は桶狭間の戦いかーっていう感じの。
まだ無名の若い画家モネが印象とつけて出品したこの作品を、
辛口批評家がたしかに印象だけのなんだかわからない絵だ、みたいな記事を書い
てそれが印象派と呼ばれるようになった。
そういう風でまだ絵が売れない頃の印象派を早くから評価して援助する意味でも
絵を買った医師のコレクションを受け継いだ娘さんから印象日の出などの作品がマルモッタンに遺贈され、
それがミシェルのコレクションがマルモッタンに入る縁になり
以降マルモッタンモネ美術館と呼ばれるようになったというわけですな。
いろいろ書きましたが、やはり

印象 日の出、きらきら光る作品でした。

夜もねはだんだんすいてきてじっくりなんども見られたし。

10月18日まで展示でその後サンラザール駅に変わります。

http://www.tobikan.jp/exhibition/h27_monet.html


曜変天目茶碗と藤田美術館の仲間たち。(こら)
2015年09月20日

なんつうタイトルをつけてまいましたが、
要は曜変天目茶碗だけじゃないよということを言いたかったわけですよ。
曜変天目のすぐ近く展示の大井戸茶碗銘蓬莱、
古井戸茶碗銘面影は空いていて見やすいのはうれしい。ちょっと複雑。
金継、割れていなかった時考えられない景色です。

砧青磁茶碗満月。覗き込むと見込みに溜まった釉薬がほんのりとブルー。
白縁油滴天目鉢。天目茶碗よりも大きいサイズ。覗き込むと見事に油滴の模様。
このへん、壁際なので覗き込んだひとだけ限定展示(?)

楽茶碗黒 太郎次郎三郎から太郎と次郎。三郎ー。

楽家三代目のんこう赤楽茶碗。ホントは主役クラスだろう。見やすい。

で、問題の曜変天目茶碗ですが、やはり人気。常にぐるりを囲まれております。
ちょっと間から覗き込んでいると前にいける感じです。
深い藍色の中にいくつもの白いリング、うすいブルー、グラデーション、オーロラ模様。
光の当たり方、見る方向によって景色が変わるのでうしろに並んではまた前に。で360度。
釉薬はガラス質に変化していますが、高台部は土がそのままで白い土だったと考えられます。
ギャラリーの方々からおもわず声がもれます。どーやって作るのかしらー。
これはですなー、釉薬をかけて酸化焼成した後、
還元で二度焼きすることによって中の酸素が抜けて跡が出来て云々。
言いたいところですがじっとがまんの子であった。
そして他のところをまた見ては戻ってきて3回ほど。
1時半位に入って4時過ぎぐらいに出たと思うけど
後半は周囲が二重になっていて入り口にも列できてました。
ミュージアムショップは、天目茶碗も売ってました。油滴や禾目など、
さすがに銀河系みたいな曜変は難しいんだろうなぁ。
終了まであと8日の張り紙も貼ってあって、これから会期末に向けては混雑加速でしょうか。
サントリー美術館にて9月27日までですよ。

http://mobile.suntory.co.jp/sma/exhibit/2015_4/index.html


昭和のこども 六本木富士フィルムスクエア
2015年09月20日

なんでこんなに前歯がなかったり、青っ洟たらしたこども集まっているんだ。
そんでなんでみんなめちゃくちやいい笑顔なんだ。
って、それが普通だったんだね。
焼け跡の少女、路上に座り込んで吸い殻を拾って吸うのに夢中な子、
木村伊兵衛、土門拳、濱谷浩、林忠彦‥、戦後の断面を切り取った写真の中で、
へのへのもへじの植田正治はひと目でわかりました。(≧∇≦)
30日まで。


マリー・ローランサン展と全版画
2015年09月16日

ローランサンと言えばやさしげなかわいい少女。
やわらかな色使い。
でもはじめからそうだったわけじゃない。
普通のきちんと絵を描く画学生から、さまざまな試行錯誤をしてひと目でローランサンのタッチにいたったんだね。
自画像をたくさん描いてますが、はじめのころのはきつい三白眼風だったり。
その変遷をみていくのも楽しい展示。
府中市美術館。
ちなみに八王子のブックオフでマリー・ローランサン全版画という本ゲット。
前回行ったとき当店だけで使えます福引券が今月いっぱいだったんで、
八王子きたついでに寄ったら見つけました。
いーなーこれ。

http://www.tokyo-np.co.jp/event/marie/highlight.html


2015年08月

安野光雅の世界 八王子夢美術館
2015年08月24日

ABCの本、あいうえおの本

小学生にアルファベット教える時に見せている絵本、というか逆においとくと勝手にアルファベット覚えてる子も。
英語覚えるとかいう以前に絵自体がおもしろい。
組み木で作った文字がなんだかおかしいメビウスの輪のような。
エッシャーのようなたどっていくと反対側に出てしまったり、
どっちが表だか裏だかわからなくなったり。
原画だけでなく、実際に作ってみたモデルもいくつか展示されています
これがまたなんとも不思議な。

「数理科学」表紙絵

数学の雑誌なんだけどどれもやわらかくて興味を誘われる。
僕も森毅先生の数学博物誌や三匹の子豚が登場する確率の話の数学絵本持ってますが、
この雑誌の仕事は知りませんでした。
モナリザのジグソーパズルもおもしろいけど、 アインシュタインの頭の中開けたら茗荷がつまってたとかもいいですなぁ。

絵本平家物語

平清盛再勉強、という感じで一枚一枚文章を読んでいくと文章自体がおもしろくて味があって、
また絵にもどって味わうという。遠藤盛遠(文覚)、木曽義仲、敦盛と熊谷、忠度や知盛など
平家の武将たちの最期、そして壇ノ浦のあと、今度は追われる身となる義経。
絵の中では主役となっている人物だけでなく、雑兵や庶民のすがたも生き生き。

旅の絵本

携帯いすを取り出しての異国の旅先でさっそくスケッチ。
大きな筆で淡く溶いた絵の具でさっと色をつける。
制作風景のビデオも見られました。
細かいところ書き込んでるんだけど、ほっとできて息がつまらない。
なるほどこんなかんじですか。

見れば見るほど楽しい。hp





舟越保武彫刻展
2015年08月16日

浦和から湘南新宿ラインで池袋まで二駅。西武線に乗り換えて中村橋の練馬区美術館へ。
はじめ舟越桂氏のお父さん?ていう感じだったのですが、
その作品を知り人物を知るにつけ、強く惹かれるようになりました。
ポスターになっている聖クララは長崎の諫早石という砂岩を彫ったものです。
彫り上げてみると青白くてどうも人間味がないのでさんざん考えた末に
飲み残しの紅茶を塗ってみたらこれだ!と。砂岩なので表面から吸い込まれて馴染むのです、
みたいななんともニヤリとしてしまう解説がありました。
続いて聖セシリア。
絵葉書買いました。再入荷しました!」のキャプションが。やはり人気なんですね。
普段ほとんど買わないのですが。同じく砂岩で彫られた胸像見る前にブロンズの全身像の前に立った時に
思わずお祈りしたくなるなんともやさしげなそれでいて凜とした微笑みです。
そして聖ベロニカ。写真はないけど自分的にはイチオシでし。
(前の2人をさんざん褒めといて言うのもなんだけど)
これがですね2人と違って口をほんの少しだけ開けてるんですよね。
この聖ベロニカが作られた翌年、昭和62年。舟越保武は脳梗塞に。
リハビリを続けながらゴルゴダ、ゴルゴダ2と作品を作っていくのですが、
その時のことを書いた文章にも不思議と明るさがある。そして絶望がない。
これは舟越さんの生涯にわたって感じる共通した印象でもある。
数ヶ月の長男を病気で亡くした時、戦争中親友の松本竣介が亡くなった時、
深い悲しみの中でどこかに希望と明るさが見えるというか、だから乗り切れたというか。
芸大時代の舟越保武の研究室にはいつも学生たちががやがや集い、
そんな彼らに少しもえらぶらすに接していたそうですね。
少しもえらぶらず、自分のやり方も押し付けず。
深い悲しみを知った上での明るさみたいなものが彼らを引きつけたかもしれない。
前に日曜美術館で見たときに感じた思いがよみがえってきたので、さがしてリンク貼っときますね。

hp

展示室出てから絵葉書買う時に感動を受付の人に伝えてありがとう。
来月からのシスレー展のチラシもらいました。
これも外せませんなぁ。

練馬区立美術館ホームページ




世界絵本原画展 うらわ美術館
2015年08月15日

グランプリ作品の鉛筆で描かれたノアの方舟も確かによかったが、
一番のお気に入りは日本人作家のものでした。くろねこしろねこ。金のりんご賞のきくちちきさん。
チラシにも出ていますが原画は大きい。
そして墨で書かれております。
水墨画なんですよん。
受賞作品以外にも学芸員の方が世界中で集めてきたという絵本の数々。
ラトビアのカフカと旅する人形、スイスの摩天楼、
これはページをめくっていくとどんどん上に建て増しされていきます。したがって本も縦長。
もともと絵本好きですが、想像以上に
深い世界観が広がってました。

hp


2015年07月

エリック・サティとその時代展bunkamura
2015年07月20日

入ってから出るまで、ジムノペティがエンドレスでかかってます。出てからもずっと頭の中で回ってました。
サティとその時代のパリ。
ポスターです。ロートレック、スタンランです。モンマルトルです。ムーラン・ルージュです。黒猫です。
シュザンヌ・ヴァラドン(サティ)
サティが描いたヴァラドンですよ。(逆じゃなくて。しかも五線紙横にしてるから号泣みたいにみえる)
サティ(ユトリロ)
サティはユトリロとくんで仕事してたんです。
てか、ユトリロ義父ですね。この人が子連れのヴァラドンと再婚してこどもがのちにMユトリロに。
しかしユトリロ氏のあとにサティと恋人関係になったという。
まさにサティとその時代。
あ、さてぃ・・
その時代を彩ったサティの親友がジャン・コクトー。
コクトーとサティのサインが入った版画のキャプションより。
これはコクトーとサティの類まれなすばらしい作品である。
みたいなことが書いてあるんですが、
ここの「類まれなすばらしい」の部分が横棒で消してある。
落書き?それとも意図が。しばらく考えてから係りのおねえさんに聞いてみたわけです。
で、しばらくふたりで考えていたらもとの作品にも線が引いてある部分あり。
で、説明もうすこし読んだら、線ははじめから引いてあります、と。
当時かなりやられていた辛口批評家にあてつけとも自虐とも。苦笑。
問題はよく読みましょうってことで。

前の日記で書いた親友ドビュッシーがサティの曲がオーケストラでやれるように編曲してたり、
演劇の舞台装置のデッサンがピカソだったり、写真をとってるのがマン・レイだったり。
ビッグネームがふつうに同時代人として仕事してる。
おもしろかったです。
そして、日記書いている最中も、ずっと頭の中をあの音楽が。
きっと寝るまで回っていることでしょう。

hp


サティとその時代予習。
2015年07月17日

プレミアムアーカイブス、サティの歌。割と若い時期にもうジムノペティ作曲してるのに
全然理解されずモンマルトルの下宿も追い出される。
恋人のバラドンと別れた後にも33つの手紙書いてる(出さないまま)。
ラベルや若手達に担がれて革新的な音楽グループの旗頭に。
親友のドビッシーから意見されると絶縁状を書く。
やがて自分が利用されていることに気がついて友達にドビッシーの朝食を聞くが
まもなくドビッシーはなくなってしまう。
葬式にも出られなかったことをサティは死ぬまで後悔していた。
ナレーションが市村さんでこれがまた足があってよかったです。
Bunkamuraで始まったサティーとその時代の人たちのことが予習できて非常に興味が湧いてきました。


2015年06月

サントリー美術館の尾形乾山展。
2015年06月24日

乾山は、御所の乾(いぬい)の方角に築いた窯の名前からきてるんだな。
戌亥は北西の方角。
これ前日にロンドンブーツあつしが姫路城案内する番組で言ってたからまちがいない。(!?)乾小天守。
ちなみに十二支を時計にあてはめるとちゃんと北西に。

尾形光琳・乾山の実家呉服商の雁金屋の創始者の奥さんが光悦のお姉さん。
大河ドラマのお江の乳母お民→民部卿の実家でもあることから、
浅井三姉妹、徳川幕府をお得意さんに大いに栄えた。

相続していた財産で放蕩三昧の光琳も実家の家勢が大いに傾いて、
ようやく本腰入れて画業に。そんな兄に陶芸とコラボしたりお金を援助したりする弟乾山。
ゴッホの弟連想。宮沢賢治の弟の清作さんとか。

展示は乾山に至る道、乾山作品、乾山のあとの絵付けの作品といったぐあいに
流れの中に尾形乾山を見ていこうというコンセプトで、
光悦や仁清から富本憲吉まで、たいへん楽しめる構成。
同じ題材で鍋島の色絵皿とこんなにちがう、みたいな見せ方もおもしろかったです。

hp


2015年05月

富士山と飛行機の写真展 2015年05月13日 GW、日本橋の高島屋で細川美術館所蔵の琳派展につづき一階で狂言師兄弟とフルートのコラボのイベント。 これがまた、お兄ちゃんがちりとてちんの主人公の師匠である草若師匠の息子小草若役、弟さんがごちそうさんの主人公の義妹の旦那さん役だったんですが、トークも抜群におもしろく、小一時間立ち見。 この後日本橋を渡って三越の切り絵展へと向かう途中で立て看板が目に入った。 会場はスルガ銀行とANAが共同でやっているれっきとした支店なのですが、飛行機の模型や写真集などが置かれていてゆったりソファーで休めるようになってます。GWで銀行の営業は休みのようでまったりした雰囲気。 冷水のサーバーの使い方を親切に教えてくれた青年。赤ん坊おんぶしている。非番だけど、子守しながらお客さんのお相手をしているとのことでした。 ボーイングの模型のうしろの部分の形状が、はじめて時速300キロを超えた新幹線、700系だったか、をひっくり返した形と全く同じでそれが新幹線がトンネルを出るときのドンて衝撃音を軽減するとともに乗り心地にも大きく貢献した、なんて話をして楽しかったです。トンネルドンということばがわかるあたり、なかなか。 スタバと隣接していて、席がないときはコーヒーをこちらで飲むこともできます。また、用のないときでも気軽にお越しくださいと。 好印象でしたなあ。 ゆっくりして次向かう元気が出てきましたですわ。 ちなみに平日はバリバリの銀行マンなんだろうなあ。 富士山と飛行機展は来月までけっこうながくやってます。 自然と暮らす 切り紙の世界展 2015年05月06日 今森光彦さん。こどもの頃からチヨウや虫がすきったが、切り絵にすることで写真のときとはまた違うものができる。写真が写しとるものから解放されるという部分がありますという感じのお話をされてましたが、写真の方は木村伊兵衛写真賞、土門拳賞などの受賞者でもある。飽きずにながめ、いっしょの空気感をかんじて、こまかいところまで観察する目を持っているから、それを切り出すことで逆に写真ではないものをつくれるのかも。黒と白の作品、カラフルな色を使った作品、どちらも違ったよさがあります。 こどものとき折った紙を切ってのばしたときの感じに感動。。 それが自然のなかのシンメトリーな美しさにあうのではと思ったそうです。 シンメトリーを生かしつつ、一部くずしているとこがまた魅力になっているように思いました。 例年、gwはまるちゃんとかをすることの多い三越日本橋でなぜ切り絵?と思わないでもなかったのですが、見て納得。 今日までですが。

hp


四月

加山又造アトリエの記憶 八王子夢美術館 2015年04月29日 加山さんが長く教授をされていた多摩美所蔵の作品。銅版画作品は原画をあとから版画にした、というのでなく銅版画の手法を研究されている銅版画家加山又造作品というように思いました。エッチングの線、アクアチントの麺、メゾチントに明暗のグラデーション。ひとつひとつの手法についてどのように使われているのか解説されているのもたいへん勉強になりました。 波、鶴、月、桜、そして裸婦というthis is 加山又造な作品もですが、千鳥と貝がらのものなどこういう作品やってたんだ、っていう意外な発見。hpに画像あり 観覧料500円は多摩美コラボならではでしょう。 八王子夢美術館にて。

hp


きのこイロイロ小林路子の菌類画 吉祥寺美術館
2015年04月24日

ふつうのボタニカルアートとはひと味ちがう。
これだけ細密に書いてそこから花にはいかない。
ただひたすらにきのこ。だけどそれはそれでありに思えてくる。
きのこひとつひとつに個性がある。
きのこだけじゃなくてそれが生えている木の皮の割れ、裂け目、
ウロ、枝、切り株、枯葉、松葉、草や苔、せみの抜け殻など、
生息くbしている場所やようすなどまで伝わってくる。
作品が以前出されたのも科学博物館だったり、
イギリスの王立植物園に収められたりと、
大きさも含めて学術的にも確かな観察がされているのだけれど、
その上でなにか楽しい、きのこ愛が感じられる。
作品のコメントも、マツタケモドキ別名マツタケオバサン。地元ではオバサンなりに人気がある。とか、
オニイグチモドキ、古びているように見えるが
実は若い固体で若いうちから老けて見えるタイプの損なキノコである、とか。
ベンガルトラのような、とたとえられる巨大なきのこは
めくれあがったトラのウワクチビルのようにたしかに見える。
それと、中毒をおこすこともある、たしかに味はよくない、とか
そうとう危ないものでない限り食べてたしかめているコメントつき。くいしんぼうばんざい。
常設の版画室の方はいつもの浜口さんのメゾだけでなく顔をテーマにした作品。
初期のものだと思うんですが、これがまたよい。
そして南桂子さんの版画も何点か。少女と小鳥もですが、
羊の絵とか、いままで見たことなかった主題のものも見られてうれしいサプライズ。
こちらのほうはかなり長く展示されるようなので、次の企画展のときにまたくるのが楽しみです。

きのこは5月17日まで。

hp


動物絵画の250年(後期)府中市美術館
2015年04月10日

ほとんど展示換えなんですが、展示換えの仕方がなかなかニヤリとするもので、
後期だけでも十分楽しいけど前期見てるとあの絵のあったところにこれ持ってくるか、
という企画の意図が読み取れてたいへんおもしろい。
たとえば前期で国芳の三枚つづきの浮世絵のあったとこ。
大井埠頭に死にかけた鯨が迷い込んできて、それを見物する野次馬がやいのやいのって。
あれがこうなる、と。なるほどなぁってぐあい。 若冲のかえるとふぐが相撲とっている絵は思った以上に大きかった。
(斑猫見た時と同じ感覚)
かえるとふぐが同じ大きさとか鳥獣戯画を思わせるけど、ふぐは手足つけるとかしてないから
いったいどうやって相撲とってるのか。かえるが巨大ふぐを抱えている。
あるいはふぐがかえるにフライングボディアタックしてる、としか思えない。
そういうふうにちょっとかんがえると変だぞ、というシチュエーションをふつうに描いてるとこが逆におもしろい。
まだまだ発見がありそうだ。また行くべし。

常設展の小部屋は明治の東京を描いた木版画。でも小林清親でも川瀬巴水でもない。
歌舞伎座をいまと見比べてみるのもいいね。お見逃しなく。

ギャラリーショップに若冲の拓画っていうんですか?
木版を反転させて裏から墨塗ったみたいなやつが売ってました。この間美の巨人でやっていた手法。
盛り上がりの部分とか墨ののり方とかふしぎな感じ。そちらものぞいてみるとおもしろいですよ。

hp




2015年03月

ボッテヒチェリbunkamuriボッティチェリはボッテリさん。
2015年03月22日

ボッテリさんことサンドロボッティチェリ
なんてえ親父ギャグもまんざらデタラメでもない。
ボッティチェリとは、大きな樽ってえ意味で
もっとも大きな樽みたいな兄がいるんでそう言われるようになったってことで、
ご本人ははなはだイケメンだったようでございます。自画像ですが。
それはともかく。
聖母子像数々展示。
どれもマリアさまは慈悲に満ちた美しいお顔なんですが、
イエスさまがどこか大人びた、というかはっきり言っておっさんにみえる。
それでからだは赤ちゃんなんでなんとも言えない違和感。
ダンシングベイビーみたいなわけですね。
これ、ボッティチェリに限らず展示されている他の作家にも共通しているんで、
同時代的にはトレンドだったのかもしれません。
はるか後年のアングルの聖母子を見たときのかわいらしさとくらべると特に。
祝福する天使もひとりだけよそ見てたりさめた顔してたり。
そのアングル先生が中心になっていたアカデミーからはみだして、
ルネサンスのありのままの人間の姿に戻ろうという若い画家たちが
ラファエル前派だったような。ラファエル以前、ボッティチェリですな。
会場には後援者からラファエル前派のエドワードバーンジョーンズにおくられたという絵もありましたよ。
あるほどそうやって時代を挟んで、つながっているのですな。サンド□ボッティチェリだけに。
なんつて。

hp
ボッティチェリのヴィーナス
2015年03月21日

ヴィーナスの誕生からヴィーナスだけを取り出して描いたヴィーナス。
文化村のボッティチェリとルネサンス展なんだが追加展示でチラシにものってない。
バックも真珠の耳飾りの少女のように黒く。
あのすがたが真っ暗な中にうきでるわけです。
別の絵を見ているような存在感。と、ある種の違和感。
絵の中ではそこまで感じないあの独特の普通ではありえないフォルムがこれでもかときわだってみえてくる。
や、すごいことはすごいんで、いいものみせてもらいました。
つづく

hp


美しき西洋アンティークへの誘い
2015年03月21日

文化村のギャラリーをのぞいたらガレやドーム兄弟のランプを飾ったガラスケースのブース。
青いのをガラスケースからだして見せてくれましたよ。
72です。だと。さもありなんな値段ですな。
いい目の保養させていただきました。
アンティーク雑貨、版画にコーヒーカップ、装飾品などもあって、あちこち寄り道です。

hp


動物絵画の250年(府中市美術館)
2015年03月20日

年間パスを更新したので、お参りの帰りに今日のところはざっくり鑑賞。
鶴を書いても、写生を極めた感じの円山応挙と肩の力の抜けた与謝蕪村。
応挙先生の芭蕉と虫という作品、芭蕉の葉にくもの巣。
右下にはいのちからがらくもの巣から逃れた虫、ということになっているけどどうみてもほんとに虫なの?
墨のはねみたいに見える。はねたから虫ってことにしてたりして。
だとしたら、写実の応挙先生、遊び心満開じゃないですか。
壁一面ぐらい猿、猿、猿。森ソセンのお猿さん祭り。次の壁に子犬、子犬、子犬。
顔見えている方がぶち、背中が白。模様までほとんど一緒、円山応挙と長沢蘆雪。
でもちょっと顔の向きだけ変えて蘆雪は目が余所見。
蘆雪は修行している初期の作品というので師匠の絵を手本にして、
それでも持ち前のちゃめっけが出ているとか。
なんかいろいろ考えてたら帰りがけ版画展などでお世話になっている学芸員の人に会ったので聞いてみると、
この画題は受け継がれているものでなんでも北斎とかもやっているとのこと。
琳派じゃないですが時代を越えてつながっているんだなぁ、と。
若冲も何枚かあって、なかでも鶏は下向き、横向き、首かしげ三態。
タモさんの真似したんじゃないか、というぐらいポーズが似てました。
タモさん「が」か。
ところどころに国芳の浮世絵。中でも3枚一組の大井埠頭にくじら現る。
(みたいな題)あんなところまできてたんだね。しかも嘉永四年。ペリーがきたころじゃ。
鯨いまにも死にそうに弱っていて、目がかなしげ。
それをやじうまどもが船で大挙して囲んで見物しておる。
つついてるいきおいのやつもいそうだ。なんか、いまも昔もかわらんのう。
とりあえず今日のところはこのへんで。
ちなみにクイズしながらまわる動物探検隊、帰りに受付で鉛筆返す時に言うと、
おとなでも絵葉書プレゼントがあるみたいです。(おとなは言った人だけみたい)
3枚の中から選べるんだけど、やはり動物にしました。
展示換えもたっぷり。かわいい動物たちに会いにまたきます。
と、いっても北斎のうさぎ、片方アーモンド目で黒、片方メロンで赤。こわいけどまた会いたいぞ。

hp


写楽・豊国(三鷹美術ギャラリー)
2015年03月06日

自転車で東八道路つっぱしって三鷹まで行ってきました。
寒い。花粉飛散中。
三鷹美術ギャラリーはウルトラマン、ミュシャ展などいい線ついた企画展がけっこうあって
何度か行っているのですが自転車でははじめて。
駅に続いた商業施設に入っているのですが、
自転車置き場は別ブロックに入っているためか、わりとすんなりとめられました。
写楽・豊国だけではなくて、歌麿、広重、国芳などの美人画を特徴を含めた丁寧な展示。
その中で気になった絵師がふたり。
ひとりは鳥居清政。
鳥居清長の長男で、hpにも画像がありますがさすがといううまさ。
しかし、清長が養子をとってそちらに後を譲るとともに筆を折っています。
(または折られてなのか)
もうひとりは歌舞伎堂艶鏡。
こちらは写楽とならぶ謎の絵師といわれているそうです。
髷がすごい。セブンのアイスラッガーです。

そういうあたりも楽しみつつ、やはり写楽のインパクト、豊国のバランス感覚、安定感をじっくり鑑賞。
写楽の大首絵じゃない全身図の大谷鬼次だったか、 タッチが切り絵っぽくておもしろかった。第一期だけじゃない。
いいよ、写楽やっぱり。豊国の坂東三津五郎の解説に、
三津五郎は女性にもててもてて、踊りが上手でみたいなことが書いてあって、
やっぱ昔からそうだったんだーとジーン。(泣)

楽屋風景、かつらを合わせている様子なども浮世絵になっていて、楽しめる展示であります。

15日まで。 hp



2015年02月

物語絵(出光美術館)
2015年02月12日

武芸にも秀でよく歌も詠む北面の武士、佐藤義清がすがりつく幼い娘を縁側から蹴落として出家。
西行と名乗るようになって旅をしながら歌を詠んでいく様子を描いた西行物語絵巻。(俵屋宗達絵)
蹴落とされる娘の表情、すべて悟ったような妻、無表情を装う義清の顔。
縁側に立って引いた足と蹴り足の角度が180度以上。
不自然なほどの書き方になにか迷いを断ち切るような意思が感じられるような。
得度の場面。その後、遊女を訪ねたがもうこのようなところにきてはいけませんと面会を拒否されて去る。
ひとつひとつの場面ににやりとする描写が。
宗達です。やはり。

平家物語の中でも木曽義仲が平家を追い落として都に攻め上り、
やがては後白河院の不況をかって義経によってこんどは追い落とされて、雲霞のような大軍にむかってゆく姿。

かと思うと、おなら芸で名をなした男と、それをまねしようとして失敗した男の物語とか、海賊退治の血わき肉踊る冒険譚とか。

当然源氏物語伊勢物語は物語文学の金字塔なわけですが、それだけじゃない物語の魅力が味わえました。
またそれに添えて鍋島、唐津などの焼き物がところどころに飾られているのも出光ならではです。
無料の煎茶コーナーでまったりする頃には、お堀が夕日に照らされて。
いい展示でござりました。2月15日までなので、会期今週末ですがいってよかったです。

hp


国立で版画と古陶磁器
2015年01月31日

府中の版画サークルの重鎮で、大国魂神社の暗闇祭りの絵を長く描いている綾部先生の個展が
国立の駅近くのギャラリーアートスペース88で。http://artspace88.jimdo.com/
基本的に木版画の方は誰にも教わってないコジ流なので、
綾部先生が美術館などで一日体験やワークショップをやられる時に行って教わるのが貴重な体験なのであります。
入り口に展示の狛犬の版画。
伝運慶とあったので先生に聞いたみたら神社の宝物殿にあるよ、ということでした。
一般公開してるのかな。伝というのが気になる。今度詳しくしらべてみるとするか。
近くの多摩信美術館は東洋陶磁を展示中。hp
東洋陶磁というと伊万里から高麗から中国から、ぜんぶありなのです。
これはいいものだ、という本物ばかり。
青磁あり、白磁あり、貫入のひびひびが入った瓶、色絵の皿、染付け。
そして入館料100円。そしてだいたいにおいてすいている。
まったり貸切で楽しんで、ソファに諏訪手眺めると、工事中のシートに覆われていた国立駅が
だいぶタイルらしき部分できてきたようです。前のがいいけど、景観が近い感じになればいいですね。

春からはまた絵の展示になるようなので、また↑のギャラリー88のスケジュールを見つつはしごしてみたいと思います。
ちなみに駐輪スペースが信用金庫のなので、わたしのように自転車で行くと土日はとめられないのが要注意です。
まああんまり自転車ではいかないと思いますが。


岡田美術館所蔵〜琳派名品展(日本橋三越)
2015年01月28日

お天気日曜日の1時ごろ着いたら入り口付近埼京線なみの混雑。
岡田美術館の主任学芸員小林さん(館長の小林先生ではない)のギャラリートークで、
作品を見ながら回りますとのこと。
最初、源氏物語の浮き船の解説は囲んだ人の頭しか見えなかったけど、
次の作品に向かうと絵の前がぽっかり開いて見やすくなりました。
というわけで、ギャラリートークを聞きつつ時間差で作品を見る作戦で。
琳派の琳は尾形光琳からつけられているわけですが、いわゆるそういう派として脈々と受け継がれている、
という形ではないんですよね。
俵屋宗達から光琳まで100年、
その光琳に憧れた酒井抱一、そして鈴木其一へと受け継がれ、
明治大正を経て現在にいたる。
そういう大きな流れの中で、例えば宗達が絵を描いて本阿弥光悦が書。
尾形乾山の角皿に光琳が梅の絵を描くという兄弟のコラボ作品。
光琳はささっと筆を走らせているんですが、太い幹から伸びた枝、
其の枝のしなった様子に花の重みまで感じられるようでした。
またその横のコーナーには乾山が自分で絵付けした皿もあって、
両方が見られるようになっておりました。どっちが勝ち、というのではなくこれもおもしろい。
コの字型の鈴木其一コーナーに守一が並ぶという親子のつながりがあり。
展示されていた其一の木蓮が朝の日曜美術館でちょうど取り上げられていた
速水御舟の水墨画の木蓮を思わせる色合いで、御舟の水墨画の方はまあ、色はないわけですが
そう思わせるような空気感。ふたつ、並べたらどうなるだろうとか、
御舟は其一の木蓮を見てインスパイアされたんだろうか、とか
いろいろもっとくわしく小林さんに聞いてみようと思ってギャラリートークが終わったあと行ってみたんですが、
そこは三越マダムたちに取り囲まれていて話しかけることがちょっとできませんでした。残念。
あと、おもしろかったのが平安時代の室内を描いた屏風で、だれかの足袋がかかっている。
そして碁盤みたいなのがおいてあるんだけどそれが双六なんです。
いわゆるバックギャモンみたいなやつ。
おっ、これは平清盛でマツケン清盛と松田後白河がやってたやつじゃないかとみょうに感動。
デパートの美術展でこれだけの作品が見られる。さすが三越さすが岡田美術館ですなぁ。

hp


紫舟×ノリタケ×柴田是真 三越1Fホール
2015年01月26日

オールドノリタケが好きで企画展にも行ったけど
このフェアも見応えありでした。
書道家の紫舟さんとのコラボ作品、是真の下絵から再現したボーンチャイナ。
ちなみにボーンチャイナって、もともとは中国陶磁のカオリンが取れなかった欧州で
なんとか磁器の白を出そうと牛の骨を混ぜて作った苦肉の策だったんですよね。
なんか漆で絵画を作ろうとした是真につながるようにも思いました。
ノリタケ、大倉陶園(販売権はノリタケとのこと)
ウエッジウッドやマイセンにまけてないです。

日本橋で東山魁夷と川瀬巴水を新春はしご式。
2015年01月05日

三越の東山魁夷わが愛しのコレクション展では、
東山ブルーだけではなく東山魁夷「の」コレクションが堪能できました。
古代の塑像の箱に梅原龍三郎が書いた箱書きがささっとした感じでまたいい感じです。
そして焼き物。特に同時代の岡部綾男の筒型にぽってりと釉薬がかかった「鼠志野茶碗」
二重の透明なひびが全体に入った青磁の壷。ヒビじゃないんだよ。これが「貫入」
素焼きしてから釉薬をかけて高温で焼くと釉薬がガラスに変わるんですね。
ガラスと本体の土では収縮率がちがうのでこの違いが大きいと縮んだガラスがヒビ状に。
しかもこれを調節して二重の貫入作っている。なんとも言えない美しさです。
絵画のほうも鏑木清方の美人画、ルドンのリトグラフ。
本館の方では匠の技伝統工芸実演をやっていて、なぎら健壱さんを発見。
(売ってる方じゃないです)皮の帽子で非常にダンディ。

日本橋高島屋の川瀬巴水展。点数もとても多くて見ごたえありました。
特に複数の試刷りや色を変えて春夏秋冬を表したりした摺りの工夫が
くわしい解説とともに見ることができてとても勉強になります。
増上寺の雪は42回の刷りがスライド形式で見ることができました。
岩崎家に依頼された箱根の別邸からのツツジ越しの富士とか、色が鮮やかでいい感じでした。
帰ってから日曜美術館がまた川瀬巴水の再放送。
先週見た時とはちがってさっき見た作品の背景がこんなことになってたんだなあ、と新たな感慨。
いい正月のしめができました。


東山魁夷

川瀬巴水



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