ナラボー平原

ここがナラボー平原
478キロの一直線区間


INDIAN PACIFIC

原色大陸オーストラリア

インド洋に面する「世界でもっとも美しい街・パース」から
太平洋側の「オペラハウスとハーバーブリッジのシドニー」
へと向かう大陸横断列車である。

その全行程は、
4,352キロ、71時間にもおよび
なかでも、ナラボー平原での478キロの直線は、
世界最長の一直線区間でもある。

私たちは、1999年9月20日
パース発の東行きに乗車した



イーストパース駅
出発駅 パース東駅


 前日パース市内とフリーマントルを観光し、そして翌日、発車を待つ、「パース東駅」でのひとこまです。長い長いホームに銀色の車体輝くインディアンパシフィック号は、すでに入線していますが、お預けをくっている私たちです。しかし、だれも急ぎません。これから始まる3泊4日の旅を考えると、出発時間のことなど余り気にならなくなってしまいます。


 これがインディアンパシフィック号です。私たちの乗った日の編成は、機関車(一部重連)、ファーストクラス(ツイン)7両、ファーストクラス(シングル)2両、ホリデイクラス(コーチ)3両、ファーストクラス用ラウンジカー、ダイニングカー各2両、ホリデイクラス用ラウンジカー・ビュッフェカー各1両、スタッフカー2両、荷物車1両、車運車2両の23両編成の長大な列車でした。しかし、クラス別にまた、ファーストクラスについては利用するダイニングカー別に区分けされているので、おおむね3〜4両の移動で生活の全てが事足りてしまう贅沢な空間がこの列車にはあります。


車両
ブロークン・ヒル駅に停車中


アウトバック走行中

アデレート〜ブロークン・ヒル間のアウトバック


 めずらしく、アウトバックの中で現れた曲線区間です。画面の右端に牽引するディーゼル機関車の姿を確認できますでしょうか? 私たちはI号車ですから、丁度真ん中あたりです。前を向いても後ろを向いても、延々つながる列車の姿に驚くばかりです。けど、この赤土の道、バイクで走ってみたい・・・・・


 ナラボー平原の真っ直中に現れる、南オーストラリア州と西オーストラリア州の州境です。「WELCOM TO WESTERN AUSTRALIA」と書いてあります。列車は、事前に車内放送が流れ徐行運転してくれます。けど、他のみなさんおくつろぎのようで、カメラ片手に走り回っていたのは私たちだけのようでした。それと、深夜のポート・オーガスタ駅で西行きのインディアンパシフィック号とすれ違ったときも(毎週2便づつしかないためすれ違うのはここでの1回のみ)、起きていたのは私たちだけでしたすれ違う車両の方も、乗客の姿を見つけることはできませんでしたが、スタッフが私たちの姿を見つけてくれたようで、大きく手を振ってくれたときはうれしかったものです。こちらも負けじと手を振って、先に発車したパース行きを赤いテールランプが見えなくなるまで見送っていました。


ボーダー

カルグーリ〜クック間のナラボー平原
WEとSAのボーダー


クック駅

ナラボー平原の停車駅クックにて


 二日目の昼食後、列車はナラボー平原の真直中の停車駅「COOK」に到着します。見渡す限りの地平線です。嫁さんに見せたかった景色がここにあります。列車を降り、先頭から最後尾まで歩き写真を撮りまくりました。その中の1枚が、記念すべき2000年を飾る年賀状になりました。写真撮影後は、おきまりのビールを飲んで、そしてアイスクリームを食べて、1時間余りの停車時間はあっという間に過ぎていきました。


 三日目の朝は、アデレートで迎えます。早朝到着ですので、朝ご飯は後回しにされ、市内観光のエクスカーションです。インディアンパシフィック号の旅では、長時間停車する駅(カルグーリ、アデレート、ブロークンヒル)で、市内観光のバスツアーがあります。カルグーリの鉱山見学は深夜ということで参加しませんでしたが、アデレートと、ブロークンヒルの市内観光には出かけました。それぞれ参加費は15オーストラリアドルでした。観光バスに乗って1時間余りの小旅行を楽しみました。けど、お年寄りが多いために下車しての観光はありません。車窓からの見学のみですが、オージー運転手の上手なガイドもあって(私たちの語学力ではあまり理解できていなかったが・・・)楽しいひとときでした。車窓をボーっと眺めるのも良いけれど、たまには都会の街並みや人の流れに目を向けるのも新鮮なことではありました。それと、インパシのスタッフについては、乗客のいない貴重な整備時間・リラックスタイムなのではないでしょうか? クルーはアデレートを境にして交代してしまうようだけれど、あまりの長時間勤務は酷ですものね。たまには乗客のわがままから解放してあげなくちゃという配慮もあるのではないでしょうか。


グレートサザン鉄道

アデレート駅にて
上から「ザ・ガン号」
「インディアンパシフィック号」
そして「オーバーランダー号」のポスター
売り物ではないのが残念でたまらない・・・
欲しいヨー!!!


クィーンアデレートレストラン

クィーンアデレートレストラン


 ダイニングカーでの朝食風景です。豪華な車内ですよね。食事の時間は決められていて、私たちはその中のファーストシッテイング(一番最初、今回はセカンドまで)でした。朝食は8時、昼食は正午、夕食は18時に始まります。朝食は、ジュースに始まり卵料理(ベーコン・ハム・ソーセージいずれか添え)、サラダ、トーストのイングリッシュスタイル。昼食および夕食は、スープかアントレから始まるコース料理です。デザートまできっちりと一人前の分量がでてきます。ただ、ボーっとアウトバックを眺めているだけで運動などしていないのに、三食食べてしまうのですから、大変です。メニューについては、パースからシドニーまで乗り通す客がほとんどなので、合計9食食べましたが、実によく考えられていました。基本はもちろん洋食ですが、チャイニーズ風ありマレーシア風ありで、列車に居ながらにしてマルチカルチャリズム・オーストラリアを実感しました。そして、美味しい! さすがに豪華列車のメインダイニングです。全食残すことなくいただきました。
 そして、席はご覧のように夫婦が横に並んで座り必ずどこかの夫婦と相席になります。30人ほど入るクィーンアデレートレストランですが、みなさん上手に座り分けて、同じカップルと同席することはありませんでした。私たち日本人はやもすると、一回同じになったのなら次回もそのメンバーでというような意識が働くのですが、オージーはより多くの人と会話を楽しむために席を選んでいるかのようでした。リタイヤしたオージーに混ざった東洋人のハネムーナー、彼(彼女)らのカモになったのはいうまでもありません。


 私、根がいい加減なのでこのような格好で列車内をうろうろしてりました。上の写真の夫妻を見てもおわかりいただけるように、ダイニングに行くときは一応みなさんジャケットのような物を羽織っていらっしゃるようなのですが、私たちといえば・・・、特に私は靴も履かず、シェアウォーターのラフティング用サンダル履きでした。だって楽なんだモン・・・。
 そして、ここはラウンジカー「シルバーシティーラウンジ」です。バーカーを兼ねていて、食事前や食後のひとときを過ごすことができます。また、大きな窓が連続しているので、雄大な景色を見るにも最高のところです。後ろのガラス窓の中はスモーキングルームです。分煙が進んでいるこの国では、スモーカーの形見は狭いようです。


シルバーシティーラウンジ

シルバーシティーラウンジ


一人用個室廊下

ファースト(シングル)は部屋の面積を
大きくとるために
廊下が曲線になっている。


 ファースト(シングル)車両の廊下は、このように曲線を描いています。ツインの車両は片廊下タイプです。双方とも幅はご覧の通りです。食事時などは、「THANK YOU」「NO WORRICE」の言葉が飛び交います。小さなコミュニケーション。袖触れ合うのも多少の縁なのです。

二段ベッド

夜は二段ベッド、昼間は上段をたたんで
下段がソファーになる。
体重が重く、寝相の悪い私が
下段に寝たのは言うまでもない・・・


トイレ&シャワー

ファースト(ツイン)の部屋の中には、
洗面所・トイレ・シャワーがついている。
嫁さんが触っているのが洗面台、
下に便座が畳み込んである。
頭の上に見えるのがシャワー口。


 3泊4日71時間過ごした、ファーストツインルームです。二段ベッドだけれど、機能的にはホテル並です。トイレ洗面所はもちろんのことシャワーまであります。そして、熱いお湯も24時間自由にそしてふんだんに使えます。これは、贅沢ですよね。南アフリカのブルートレインにはバスタブ付きの部屋まであるそうだけれども、乾燥したオーストラリアではシャワーで充分だと思いました。また、アメニティーグッズも充実しています。歯磨き、歯ブラシ、櫛、石鹸・・・・・、みんなインパシのロゴ入りなのでもったいなくて全てお土産になりました。ノベリティーグッズについては、通信販売の詳細なリーフレットが車内にあります。また、シルバーシティーラウンジのカウンターでも販売されていて、絵はがきやキーホルダー・帽子・ネクタイなどを買いあさりました。インディアンパシフィック号は乗って楽しい、そして快適な列車でした。


シドニー駅

シドニー(セントラル)駅


 シドニーセントラルスタイションに到着。この駅のプラットフォームは短いためインディアンパシフィックの編成は入りきらず、三つに分割して入線しました。朝の通勤時間帯に入線するインパシ、結構ダイヤ上のネックになっているのではないかと思います。事実、帰国後、ブルーマウンテン走行中の長距離列車(たぶんインパシ)に通勤列車が追突するという事故があったとのニュースがありました。
 到着後、私たちはホテルにチェックイン、荷物を部屋においてシドニー市内観光に出かけました。



第89回たびっとーく
この旅の模様をハービス大阪で講演しました。

オーストラリア回想
91年夏 セントラルオーストラリア
92年春 グレートオーシャンロード
&サウスギプスランド
92年夏 ウェスタンオーストラリア

以前に行ったオーストラリアの旅の回想です。





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