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研究地

 この研究を行った場所は金沢市の中心から東南東へ約3キロの郊外の夕日寺町と東長江町にまたがる石川県夕日寺県民自然園内にある(図1)。夕日寺県民自然園全体の面積は約34haで、標高は約60〜140mである。調査はこの自然園内のコナラの広場一帯で行った。この地域に10m間隔で計93カ所の捕獲地点を設けた(図2)。調査値の面積は0.94haで、標高は約140mである。調査値は3本の自然観察歩道(道幅 約1.5〜2.0m)に囲まれた三角形の地域とその周辺で、調査地の植生は全体としてコナラ(Quercus serrata)とアベマキ(Q. variabilis)を中心とした雑木林だが、場所によってはアカマツ(Pinus densiflora)やスギ(Cryptomeria japonica)などが生えている。調査地の北西側はチシマザサ(Sasa kurilensis)のみが生えている。チシマザサは4月の中旬まで冬季の雪の重みのために寝ている。北西側の小道を越えた地点には、アカマツの幼木(直径約5cm)が植えられており、見通しが悪い。またこのアカマツはほとんどが枯れており、葉は付いていない。この地域は下草としてチシマザサやゼンマイ(Osmunda japonica)・ワラビ(Pteridium aquilinum)が生えている。三角形の地域は北東側の一部でコナラ・アベマキの幼木(直径約2cm)が密に生えており、見通しはかなり悪い。低木層としてはツバキ(Camellia japonica)やヒサカキ(Eurya japonica)・ホツツジ(Tripetaleia paniculata)が優占しており、その他の低木として所々にヌルデ(Rhus japonica)やヤマウルシ(R. trichocarpa)・ヤマツツジ(Rhododendron obtusum)・オオバクロモジ(Lindera membranacea)・コシアブラ(Acanthopanax sciadophylloides)・マルバマンサク(Hamamelis obtusata)・ウワミズザクラ(Prunus grayana)が生えている。下草としては、チゴユリ(Disporum smilacinum)やサルトリイバラ(Snil axchina)・ゼンマイ(Osumunda japonica)・ヤマツツジ・ツルアリドウシ(Mitchella undulata)・ワラビ・コナラやアベマキの実生・イカリソウ(Epidium macranthum)が生えている。この地域の一部は冬季の雪の重みのため木が寝ている。残りの地域は生長したアカマツ・コナラ・アベマキの雑木林である。北側の歩道に沿って一部分崖になっている(高さ約2.0m)。三角形の地域の南西部分は南東から北西に向かって下っている(24度)。スギの植林地は北から南に向かって下っている(27度)。南東側は南東に向かって下っている(22度)。三角形の地域の南東部分から南西部分へ下っている(20度)。三角形の地域を囲む南西側の歩道からチシマザサの優占している地域に向かって下っている(22度)。三角形の地域を囲む北側の道を越えた北側の地域の一部は深く落ち込んでおり(深さ約2.0m)、雨の後などは水が溜まっており(この部分はゼンマイが多く生えている)、晴れた日でもかなり湿っている。ここにはワナは仕掛けていない。コナラ・アベマキは4月の下旬頃に展葉し、林内はそれまでに比べて暗くなる。冬季の調査地の様子はしっかりとは調べていないが、1986年の2月14日に見たところでは、幼木やササなどは雪の下に埋もれており、大きな木のみが雪の上に出ていた。そのため調査地全体は大変見通しがよくなっていた。このとき の調査地での積雪量は約140cm(吹きだまりの地域はもっと積雪が多いと思われる)であった。この調査地は北陸地方にあるために積雪量が多く、大体12月の中旬に初雪があり、下旬頃に初積雪を記録する。雪は調査地で4月の上旬頃まで残っている。またこの調査地は石川県の自然公園であるため一般の人が入ってくることがあり、特に秋の木の実やキノコの時期・春の山菜の時期には自然観察歩道以外を歩く人がいる。しかしながら、ワナや足跡法の器具がなくなったり壊れたりすることはあまりなかった。したがって人の影響は少ないと思われる。秋や春以外はこの公園に入ってくる人は少ない。

論文図表

論文図表

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