書名:桃色浄土
著者:板東眞砂子
発行所:新潮社
発行年月日:2000/1/20
ページ:503頁
定価:781 円+ 税
大正中期、四国の足摺岬に近い隔絶された漁村に異国船が現れた。目的は高価な桃色珊瑚。明治時代に地元だけではなく異国船も混じって珊瑚の乱獲の結果。珊瑚は取れなくなって地元の漁船は九州の五島列島など他に進出している。そんなとき異国船の出現。イタリア人エンゾは諦めずに、海に潜り続ける。
海女の母を亡くしたりんはそんな彼にひかれていく。幼なじみの健士郎は複雑な心境で見つめている。やがて採れないとされていた珊瑚が発見された。発見したのはエンゾ。その珊瑚は4000円位、家が200円位でたった時代の4000円。欲望にとりつかれた若衆達は暴走をして異国船を襲う。大正時代の中期の漁村におこるいろいろな事件、人間模様が描かれている。また西方浄土、補陀落山を目出してこの村に住み着いた僧侶は黒潮の流れにヒントがある。
紀伊地方から舟を出すよりも、補陀落浄土に旨く行けるはずと調査をする。古お堂に残された絵馬にヒントが、桃色の月の出る夜に、黒潮の下り潮にのって西方を目指した先人はうまく補陀落山にいってもどっていった言い伝えがある。